July 23, 2008

秋-春制は現実的なのか?

久しぶりの更新になります。公私ともに新しいことが多く、ばたばたしておりまして。これからもぼちぼちの更新になると思いますが、おつきあいいただけましたら幸いです。


Jリーグは秋-春制へ?

さて、川淵キャプテンのあとに就任した犬飼新会長だが、以前から話題になっているJリーグの秋-春開催について検討を始めたようだ

記事にあるように、Jリーグを秋-春開催にすることは、欧州リーグの開催時期と同じになり、海外からの選手(および監督)の獲得、また日本人選手の海外移籍もスムーズになるというメリットが考えられる。また、ワールドカップや(出場できれば)コンフェデ杯の日程も、欧州リーグにあわせて考えられており、例えば現状では「Jリーグでは」シーズン中の6月にワールドカップが行われるため、日本ではリーグ戦を長期間休止し変則的なスケジュールを組まなくてはならなくなっている。シーズンを欧州にあわせると、それもまた解消され、より整合的な日程が組める可能性がある。それもメリットと言えるだろう。

しかし、よいことづくめならばとうに導入されているはずで、今までそうされていなかったのには、もちろん理由があるのだ。

1)日本は欧州でもなかなかない積雪地方を抱えており、冬季の試合開催、練習に支障がある。
2)寒い時期に試合をすると、観客数が減少する恐れがある
3)春に卒業した選手をどのように受け入れるか

1)と2)は混同して語られることも多いが、私は別の問題だと思っている。観客数を増加させるには、さまざまな手段があるし、「寒さ」だけで言えば欧州でも寒い時期にサッカーをするところはある。また、日本でもJが創設されるまでは、ラグビーと同様「サッカーは冬のスポーツ」という認識だったではないか?選手にとっては夏季の猛暑がパフフォーマンスの低下に影響を及ぼしている部分は大きく、マラソン同様持久力が重要なサッカーは、冷涼な時期の運営によりパフォーマンスが向上する可能性は高いと思う。そうなれば、「よいサッカーを見に」スタジアムへ足を運ぶ観客も増えるかもしれない。

(ただ個人的には、トヨタカップや天皇杯を観戦しに行くだけでも、相当に寒さで二の足を踏むので、Jリーグの冬季の開催は「勘弁して欲しい」ところではあるが)

しかし、もっとも大きな問題は1)であると思う。日本の積雪地域は、欧州で冬季に開催しているところとは比較にならないほどの雪が積もる。メートル単位で積雪する地域では、非常に特殊な対策を講じないと、サッカーの試合や練習そのものが「不可能」だろう。試合で言えばドーム型のスタジアムが必要になり、練習でも全天候型の練習場が必要になる。しかし、よくある屋内練習場は、プロサッカーの練習を毎日行うには到底不十分だ。一般的にJクラブの練習で使われる規模の練習ピッチを、積雪の影響を受けないように作る(ないし運営する)のは、現状のJクラブの予算規模ではほとんど不可能だろう。

スタジアムの耐積雪対応にしても、現状ではほとんど考えられない予算規模の改修が必要になるはずで、クラブが負担できるレベルではない。Jリーグが補助をするにしても(練習場も含め)、これからいくつも出てくる可能性がある積雪地域のクラブすべてにそれを行うのは現実的ではなさすぎる。また積雪地域のクラブにだけそのような補助を行うのは、不公平だという批判も出てくるだろう。かと言って「では積雪地域のクラブの自己責任で」と突き放してしまっては、「Jリーグの理念」にもとることになる。

Jリーグは、全国津々浦々の人々が、自分の街でスポーツを楽しめることを理念として、「Jリーグ百年構想~スポーツで、もっと、幸せな国へ」をスローガンとして掲げている

 1993年にJリーグがスタートした時、Jリーグが掲げる理念は社会に新鮮な衝撃を与えました。しかし、その衝撃は直ぐに共感へと変わり、10クラブでスタートしたJリーグは、2006年には31クラブにまでなりました。さらに、Jリーグを目指すクラブや町は全国に数十あるといわれています。Jリーグが蒔いたスポーツ文化という種は日本全国で着実に芽となり花となっているのです。

この理念には言うまでもなく、地域によって差異があってはならないはずで、ある地域のクラブにとって試合や練習そのものが「不可能」になるというような状況は、この理念に基づけば「ありえない」ことだ。一部の地域(と言っても、かなりの広さがあるのだが)を切り捨てた上での開催時期変更では、「なんのための百年構想だ」ということになる。放映権料の減額にも現れているように、一般にとっての「Jリーグの価値」が低下している(ように見えている)現状で、その理念までがぐらついているようなことでは、ますます人心が離れていってしまうだろう。

雪で練習や試合が「不可能」になる地域のクラブを切り捨てない方向で、秋-春制に移行することができるのか?

考えられるのはかなり長期のウインターブレイクを取ることだろうが、それでクラブ経営が成り立つだけの試合数を確保することができるかどうか?

以上を考えると私は、2010年にこの移行を行うのは不可能に近いと思う。犬飼会長はじめ首脳部は再考するべきだ。ただ、現状でもJリーグの日程は破綻していることは確かで、この議論によってそれを根本から見直す機会になるのならば、この問題提起には意味があったということになるだろう。現状にこだわり過ぎて、停滞する意味はない。何事も抜本から考えていく。それは間違ったことではないと思う。Jリーグの日程が、さまざまな視点から見直され、改善されていくことを祈ってやまない。


今回はあまりまとまっていませんが、とりあえず今「出しておく」意味を感じたので書いておきたいと思います。それではまた。

07:23 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(0)|

October 09, 2007

おかしなおかしな規定適用

川崎フロンターレのメンバー入れ替えに端を発した「ベストメンバー規定」に関する議論ですが、こうやって世間の関心が高まっているところに、まさにジャストミートするような問題が発生しました。


天皇杯より昇格?J2“4強”敗退(スポニチ)

J2のリーグ戦で上位に位置し、昇格を争っている4チーム(東京V、札幌、仙台、京都)が、そろって天皇杯に大幅にメンバーを変えて臨み、JFLのチームや大学勢相手に敗退したのです。川崎は8人の入れ替えでしたが、この4チームは10~11人を入れ替えて戦っています。言うまでもなく彼らがこのようにしたのは、J2のリーグ戦を天皇杯よりも重視し、何よりも昇格にすべてをかけるためです。

これは、サッカー的には当然のこと、と私は思います。クラブは年間にいくつもの大会を戦いますが、その中でどれにプライオリティを置き、どれを(言葉は悪いですが)「軽視」するかは、そのクラブが自分の権限と責任で行うことだからです。消耗の激しいサッカーという競技において、スケジュールが厳しくなってくればすべてに同じメンバーで戦えるはずがない。どのように重要度を判断し、力を「配分」するか、そこがクラブ上層部と、サッカーの監督の腕の見せ所と言っていいでしょう。それこそがまさに「サッカー的」であることなのです。


成長しない川淵キャプテン再び

これに対して、協会からは「容認する」という姿勢が示されました。

川淵キャプテン: 「カップ戦は仕方がない」「3日後に昇格のかかる試合があるなら、そちらを重視するだろう」

私も、J1昇格を重視したJ2各クラブの判断は当然のことと思います。しかし、Jリーグでは「ベストメンバー」で臨むことをあれほど強力に要求する同じ人間が、どのようなロジックを持ってこういうことが言えるのでしょうか?協会の田嶋専務理事は、

田嶋専務理事: 「Jには最強チームという規約があるが、協会にはない」

と言っているようですが、これもまったく理由になっていません。田嶋氏の川淵化もだいぶ進んできたようですね。重要なのは、「なぜJリーグにはそのような規約が適用され、天皇杯には適用されないのか」ということであって、田嶋氏が言っているのは単に現状の矛盾の追認に過ぎません。これはどのような論理を持って言い得ることなのか?

そもそもこれまで見てきたように、ベストメンバー規定は「プロになったからには最高水準のゲームを提供していかなければならない」という川淵チェアマン(当時)の考えに基づいて成立した規定です。さまざまな議論はありますが、少なくとも成立、および維持の根拠はここにあるはずです。そしてそれに準拠して考えれば、天皇杯が除外されるのはまったくおかしいと気づくはずです。

天皇杯も、もちろんお金を取ってお客さんに見せている試合です。そして、今回メンバーを変更したJ2クラブはもちろん「プロ」のクラブです。Jリーグとどこが違うというのでしょうか?天皇杯にはアマチュアも参加できますが、そこが理由なら「彼らだけ」適用を除外すればいいでしょう。まさか、Jリーグには「Jリーグの」スポンサーがいるが、天皇杯には「?」というところが理由ではないでしょう。ないはずです。

この矛盾になぜ現協会トップは気がつかないのか?


一部の大会にだけ「ベストメンバー規定」を押しつける

ここに矛盾が起きてしまう最も大きな原因は、やはりJリーグが世界でも珍しい「ベストメンバー規定」の制限を受けている、ということにあるでしょう。何度も書いていますが、サッカーのクラブはいろいろな大会に参加しつつ、選手をやりくりして「自分たちのクラブにとって最高の結果」を得ようと努力するものです。それが欧州、南米でも普通に行われている、「サッカー的な真実」だということを、さすがにそろそろ協会、Jリーグの幹部も理解するべきでしょう。

もちろん、クラブがどれかの大会を重視し、あるいは別の大会を軽視することにはリスクもあります。そしてそれを評価できるのは、そのクラブのサポーター、ファンだけなのです。リーグ戦を軽視することに疑問のあるサポーターが増えれば、声を上げるでしょうし、観戦に来るお客さんも減るでしょう。そしてそれは、クラブがオウンリスクで解決していかなければならないことなのです。それが、「独立したプロのクラブ」ということです。

例えば、今回のJ2勢と逆の例も存在しえます。Jリーグで優勝のなくなったあるクラブが、その時勝ち残っていて優勝の可能性のある天皇杯のために、Jリーグのほうを「軽視」し、Jリーグに中心選手を出させず、天皇杯の試合に向けて「温存」するという可能性です。それは今回の例と何か本質的に違うのでしょうか?今回の例が問題ないのなら、この例もなんら問題ないはずです。私はそれも含めて、各クラブがどのように年間を戦うか、それは各クラブに任されているべきだと思うのです。

それぞれのクラブが、年間を通して参加するさまざまな大会に、自分たち(とそのサポーター、ファンと)で戦い方を考え、「自分たちにとっての」最高の結果を求めていく。それはリーグ優勝かもしれないし、カップ戦優勝かもしれないし、ACLの優勝かもしれない。それを決めることができるのは自分たちと、サポーター、ファンだけである。それがプロサッカーというものです。

鬼武チェアマンは「スポーツの基本的な精神というのがある。考え方は変わらない」などと、まったくそれを理解しない発言をしています。川淵キャプテンの意見とはまた矛盾していますが、彼は天皇杯でも「ベストメンバー」で戦うことを要求したようです(10/10 8:46 以下の記事により、この部分の記述を修正しました。鬼武チェアマン天皇杯軽視NO!)驚くべきことです。「レギュラーを常に出せ、過密日程は変えない」というのでは、この国のトップは選手を消耗品とでも思っているのではないか、と思わされます。


なぜリーグ戦が最も価値があるのか

最後にもう一度書いておきますが、プロのサッカークラブとは、年間を通して参加するさまざまな大会に、自分たち(とそのサポーター、ファンと)で戦い方を考え、「自分たちにとっての」最高の結果を求めていくものです。消耗の激しい競技であり、限られた選手でそこを戦っていかざるを得ないがゆえに、クラブは目標設定を厳密に求められますし、監督はマネジメントが厳しく問われていきます。

そのようなプロサッカーのあり方を理解すると、一シーズンを通してしっかりと戦い、結果を出していかなければならない「リーグ戦」の価値があらためて浮かび上がってくるはずです。1試合1試合で結果が出てしまうノックアウト方式のカップ戦は、ジャイアントキリングが起こりやすい大会といわれます。逆に、長期のリーグ戦を制するのは、安定した戦いぶりと、豊富な選手層が必要になってきます。「リーグ戦の覇者が本当の王者」と言われるのはそのためでしょう。

例えば、どんなチームもその時のベストメンバーだけでずっと戦っていくわけには行きません。もしそういうことをすれば、数年後には若手が育っていなく、凋落してしまうことでしょう。実際にそのようなケースも私たちは見てきました。すなわち、クラブはリーグ戦を戦いながら、若手も育てていかなくてはならないのです。選手は「一つ一つの試合でベストを尽くす」のはもちろんですが、クラブは「年間を通じてベストの結果を追求する」ことが必要であり、さらには「先も見通して、ベストの判断をする」ことが要求されてくるのです。

さまざまな大会を睨み、さらにクラブの将来も考えて、力を配分していかなくてはならないサッカーで、長期のリーグ戦で最終的に優勝するということが、どういうことか。それこそがサッカー的に最も価値のあることです。それは、上層部が「ベストメンバー規定」などを無理やりおしつけなくても、各国のリーグ戦にもともと備わっている価値なのです。そしてその価値はリーグ上層部よりも、もはやサポーターたちの方が理解しているのです。


今回の件で、再び、三たび、協会やJリーグの上層部が、「サポーター」においていかれているということが明らかになりました。これまでも何度も、Jリーグは「日本だけの特殊ルール」から、「世界標準のルール」への移行を繰り返してきました。サドンデスの延長戦やPK戦ありの形から、普通の勝ち点制へ。2シーズン、チャンピオンシップありの形から、普通の1シーズン制へ。それは初期の上層部の思いつきで作られた恣意的なルールから、「サッカー的普遍性」への回帰という形でした。この問題も、そろそろそうする時期が来ているのではないでしょうか?

私は時代に取り残されている「ベストメンバー規定」を、早期に撤廃することを望みたいと思います。

それではまた。

10:48 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(3)|

October 05, 2007

Jリーグの権威のためにこそ

カズが、川崎フロンターレに対する犬飼チェアマンの発言で始まった騒動に関して、コメントを出しています。

カズ: 選手は全員がレギュラーで、試合でどの選手を使うかは監督が決めること。いろいろな事情があって8人入れ替わっても、スポンサーやサポーターに失礼になるとは思わない。

さすがカズですね。またJリーグ選手協会のゴン中山名誉会長とも連絡を取って、選手総会で取り上げようと話したようです。これによってより突っ込んだ議論、見直しの機運が高まることを期待したいと思います。


スポンサーのために権威を守る

さて、カズのコメントにもありますように、ベストメンバー規定を大本から考えるに当たっては、Jリーグのスポンサーの問題についても、実は避けては通れないところだと思います。

私も詳しくはないのですが、Jリーグには、Jリーグのスポンサードをしてくださっている企業がいます。Jリーグ公式サイトの下の方にバナーが出ている企業ですね。彼らは「Jリーグに」お金を出してくれていて、そのお金はJリーグのそのものの運営と、クラブへの分配金として使われるわけです。放映権料の高騰が望めない現状では、Jリーグ、および分配金を受け取る各クラブにとっても、重要な存在と言えるでしょう(もちろん各クラブには、それぞれの独自の大事なスポンサーもいますね)。

彼らのことを考えると、Jリーグが「Jリーグの権威」を守ろうとする行動には、一定の理解ができます。誰も権威のないものにお金を払おうとは思わないからです。

また、カップ戦にもそれぞれヤマザキナビスコ、ゼロックス、JOMOといったスポンサーがいますね。こちらもスポンサーのことを考えると、ないがしろにするわけにはいきません。実際にピッコリ事件は、ヤマザキナビスコカップの試合で選手を入れ替えたことが原因で起こったものです。ここでも各カップ戦の権威は守られなくてはならないということです。

「ベストメンバー規定」は、「プロになったからには最高水準のゲームを提供していかなければならない」という考えで設けられたものですが、同時にこの「リーグ戦やカップ戦の権威を守る」という機能も果たしているということができると思います。また逆に、ベストメンバー規定の存在意義としては、「スポンサーのためにリーグ戦の権威を守る必要がある」ということを、主張する人もいます。

しかし、本当にこの「ベストメンバー規定によってJリーグの権威は守られる」という考え方は正しいのでしょうか?


ベストメンバー規定で権威は守られるか

前回見たように、ベストメンバー規定は本来は「Jクラブは、その時点における最強のチーム(ベストメンバー)をもって前条の試合に臨まなくてはならない」というものです。そして、川淵チェアマン(当時)の文書による補足によれば、

「最強チームとは、多くのファンに了解された公的なもの」「リーグ戦、リーグカップ戦、天皇杯などのトップカテゴリーの試合の多くに先発出場している選手として、ごく簡単かつ客観的に見てとることができる」

ということですから、「その時ベストコンディションであるメンバー」ではなく、「それまで多く試合に出ていたレギュラーメンバー」と考えられていることが分かります。しかし、ピッコリ監督の意見にあるように、

技術のある選手がベストメンバーではない。90分質の高いプレーをするのが選手がベストだ。

という考えもあるのです。動けないレギュラーメンバーが出ることと、動ける選手が出ることと、どちらがよりレベルの高い試合を保障するのでしょうか?「リーグ戦の権威を守る」ことは本来は、「全力で戦う」ことによって「レベルの高い試合をする」ことであるはずです。そのためにレギュラーメンバーを出すべきか、フレッシュな選手を出すべきかは、「全力で戦う」ことをしようとする限りにおいては、監督の自由であるべきでしょう。

「ベストメンバー規定」というよりも「レギュラーメンバー規定」であるような現状の規定は、それに従ったからといってリーグの権威を高めることにはならない、と思います。現状の、A3、ACL、カップ戦、代表まで含めた過密日程の中ではレギュラーはどんどん疲労していきます。そんな中でレギュラーが出続けたとしても、グダグダの試合では、むしろ試合の、ひいてはリーグの価値を減じるでしょう。

問題はそれを「スポンサー」が理解するかどうか、ということですね。


サッカー的真実の啓蒙

スポンサーの(特に)上層部は、そこまでサッカーに詳しい人は少ないかもしれません。そういう人は、「選手をたくさん入れ替えるということは、勝つ気がないんじゃないか?」と思ってしまうかもしれません。90分間全力で走り回らなければならず、ハードなフィジカルコンタクトもあるサッカーというスポーツにおいて、いかにコンディションというものが大事か、そして「勝つ気があるからこそ選手を入れ替える」のだ、ということは彼らには理解できていないかもしれません。

しかし、その現状に甘んじていてよいのでしょうか?そういうスポンサーに配慮して、「グダグダでもレギュラーを出し続ける」ことをJリーグがクラブに押しつけ続けていてよいのでしょうか?そんなことはないはずです。「サッカー的な真実」はやはり、カズも言うように「勝つためにこそ選手を入れ替えることもある」という方にあるはずです。それを、もしかしたらまだ理解していないかもしれないスポンサーに説明し、理解してもらうように努めることこそ、Jリーグ上層部のするべきことです。

今、一選手に過ぎないカズが、それをしようとしてくれています。

Jリーグがすべきことを一選手にさせて、Jリーグ上層部は恥ずかしく思うべきです。


Jリーグの試合を「軽視する」ケース

さて、ここまでは「そのクラブが、その試合に勝つためにこそ、全力で戦うためにこそ、メンバーを入れ替える」という場合の話でした。今回の川崎は、イランへの往復のあと、疲労したメンバーを出場させないことを選択し、8人入れ替えたわけですが、それはまさにそういうケースだったと思います。Jリーグを捨てないためにこそ、動けるメンバーで戦うべきだ。それが監督の判断だったのでしょう。私はそこには問題がないと思います。

しかし、そういうケースではない、他の場合もありえますね。例えば

1)チャンピオンズリーグに勝ち残っているクラブが、優勝のなくなったリーグ戦を「捨てる」場合
2)残留争い真っ最中のクラブが、リーグ戦に注力するためにカップ戦の試合を「捨てる」場合
3)優勝も降格もなくなったクラブが、来期をにらんで大幅に若手に切り替え、育てようとする場合

これらのようなケースも考えられます。これらは、その一試合においてそのクラブは「全力で戦う」ことをしていないと言っていいと思います。しかし、欧州においてはこういうこともかなり行われているのではないでしょうか?ということはそれは、「サッカー的な真実」としては、実は「問題」ではないことなのではないでしょうか?これはどのように考えるべきなのでしょうか?

各クラブは、各国リーグに所属してはいますが、リーグからは独立した企業です。それぞれに、自分たちの発展を考えて、活動を行っていきます。その大きな目標は各国リーグ制覇であり、そのために基本的にはリーグ戦に全力を尽くして戦うことになります。そこまでは、各クラブとリーグの利害は一致しています。

しかし、ここにCLやACLという存在が入ってくると話は違います。


Jリーグからはみ出していく各クラブ

欧州の例で言うCLをイメージするとより分かりやすいでしょう。欧州のクラブはCLで得られる膨大な利益、および名誉を求めて、そちらに注力します。つまり、各クラブは、各国のリーグに所属しながら、そこからはみ出た部分も持っているのです。彼らは、けして各国リーグの「部下」でもないし、「配下」でもないのです。そして各クラブは、シーズン全体で戦うことになるさまざまな大会を通して、最終的に最大の結果を得るために、「全力を尽くす」のです。

1)2)3)に上げたようなケースは、各クラブがそのようにしたとして、おそらくはそのクラブのファン、サポーターからは支持を得られるものではないでしょうか?特に1)2)はそうでしょう。クラブが独自に目標を掲げ、そのためにいろいろな試合を重要度に応じてやり方を変えて戦ったとして、それをそのクラブのファンがどう思うか。それはそのクラブが独自の権限と責任で、独立して行っていくことなのです。

もちろん、1)や2)のようなケースは、それぞれ軽視される形になるカップ戦や、リーグ戦の運営主体にとっては、面白くないことでしょう。皮肉を言ったり、批判をしたりするかもしれません。しかし、各クラブとリーグの利害は完全には一致していないのですから、そのようなことが発生するのはおかしなことではありません。そして、各クラブにとっては、自分たちで自分たちのファンのために目標を設定し、それと共に歩んでいこうとするのであって、それは当たり前のことと考えるべきなのです。

では、もしそのようなケースが発生した場合、「Jリーグの」スポンサーはどう考えるべきでしょうか?


リーグをスポンサードするということ

先に書いた1)2)の例での、軽視されたリーグやカップ戦の運営主体が不快であるのと同じように、例えば、あるクラブにCLを優先されたセリエAのスポンサーは、基本的には不快に思うでしょう。それは仕方がないことと思います。CLまで含めて自分のチーム(およびファン、サポーター)にとっての最適を実現しようとするクラブと、あくまでも国内リーグを主に考えて欲しいそのリーグの関係者(スポンサー含む)の利害は一致していないからです。

つまり、(今回の川崎のケースはまったく違いますが)、欧州でのCLのように、将来「ACLのためにJリーグの試合を捨てる」という判断は、クラブによってはありうることであるし、ベストメンバーの数的基準があったとしても、それが起こる可能性はある、ということです。また、若手育成のためにその時のベストメンバーを組まない、と言うこともありえます。そして、遠い将来かもしれませんが、大きく見て考えるならば、スポンサーは「それらをも含めて」、リーグをスポンサードする、という考えでなければならないということでしょう。

例え話で考えてみましょう。ある企業が、ある美術館をスポンサードしました。その美術館の売りは、一部の印象派の有名な作品を所蔵していることです。それが常に展示されていることをそのスポンサーは望みました。しかし、その美術館は、美術界の将来的な発展を考えて、若手のアーティストの作品を集めた企画展を開催しました(有名作品はその間は倉庫に行きます)。それはそのスポンサーにとって裏切りでしょうか?そこまで含めて、美術館をスポンサードするべき、という考え方もあるでしょう。

これはリーグをスポンサードする企業に対して、一方的に犠牲を強いるような考え方でしょうか?


Jリーグの「権威」のためにこそ

「Jリーグをサポートするスポンサーは、ACLを優先するクラブに対して、寛容であるべき」というのは、スポンサーにとって受け入れられないことでしょうか?その可能性はありますが、また別の考え方もあると思います。それは例えば、「毎年ACLでグループリーグ敗退をすることは、Jリーグの『権威』を下げることになるのではないか?」ということです。「今年もJの代表がACL敗退!」というニュースは、Jリーグのスポンサーにとってもうれしいことではないでしょう。

そう考えると、ACL出場クラブがACLでいい成績を収めたり、優勝すれば、それは「強いJリーグ」ということにつながり、Jリーグの「権威」を高めることにつながるということが分かります。そうして「そんなに強いなら見に行こうかな」というお客さんが増えれば、Jリーグ全体の利益にもつながるでしょう。注目が増えれば、放映権料も値上げすることができるようになるかもしれません。この点においては、JリーグとACL出場クラブの利害は再び一致させることができます。

もちろん、犬飼専務理事が今年から「ACLサポートプロジェクト」を立ち上げ、それに尽力し、そしてチャーター機を飛ばすようにしたのは、そのように考えたからでしょう。「Jのクラブが、ACLを制することは、Jリーグ全体の利益につながる」ということですね。この点においても、犬飼、鬼武両氏がすべきことは、「川崎FだけでなくJ全体のサポーターがいる」などと詭弁でぐるぐる巻きになることではなく、こうした考え方を持ってスポンサーを説得することでしょう。

折りしも、オシム監督も「1つのクラブの問題ではなく、日本サッカー全体の名誉の問題。みんなが、浦和がアジア王者になることを望んでいる」と言っています(川崎敗退前なら、当然ここに川崎の名も入ったでしょう)。「オシム監督も言う日本サッカー全体の名誉のために、協力をした太っ腹なJリーグのスポンサー」そう言われたほうが、Jリーグのスポンサーとしても本望なのではないですか?


以上見てきたように、本来的、将来的に考えても、スポンサーのことや、Jリーグの権威のことを考えても、もはやベストメンバー規定に存在意義はほとんどないと言えるでしょう。早期に撤廃されることを望みたいと思います。

それではまた。

07:43 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(1)|

October 01, 2007

15年前から一切成長していない協会トップ

物議をかもした川崎の「チャーター機~8人入れ替え事件」ですが、Jリーグの鬼武チェアマンが「今回はやむをえなかった」としたことで一応の収束を見そうです。チェアマンは川崎の武田社長をJFAハウスに呼び出して事情聴取をした上で、「クラブとしてベストの判断をしたと聞いた。今後はお互いがコミュニケーションを図ってやりたい」というコメントを出しました。

しかし、これでは「川崎側にもコミュニケーションの上で落ち度があった」と言っているように聞こえます。これはおかしい。川崎側はそもそもルールを守っている上に、Jリーグに確認もとっています。したがって不足していたのは「社団法人日本プロサッカーリーグの中でのコミュニケーション」であって、それを指導、監督する責任者はもちろん鬼武チェアマンその人です。鬼武チェアマンはまずは自らの指導不足を恥じ、誤解に基づいて自分の部下(犬飼専務理事)が怒鳴りつけ騒動に巻き込んだ川崎に対し、公式に陳謝すべきです。


なぜ存在する、ベストメンバー規定

この「ベストメンバー規定」ですが、私はそもそも悪法であり、不必要であると考えていました。今回それがあらためてクローズアップされた形になりましたが、なぜこれが制定されたのか、さかのぼって見てみましょう。その経緯についてはこちらが詳しいです。

・川淵チェアマン(当時)の「プロになったからには最高水準のゲームを提供していかなければならない」という信念により設けられたもの。
・当初は、「Jクラブは、その時点における最強のチーム(ベストメンバー)をもって前条の試合に臨まなくてはならない」(Jリーグ規約第42条)というだけで、明確な数的基準がなかった。
・2000年のヤマザキナビスコカップにおいて、アビスパ福岡のピッコリ監督が意図的にメンバーを落として試合をし、川淵チェアマンはこれを問題視、あらたに基準が設けられた(ピッコリ事件)。

その通称ピッコリ事件の際に設けられたのが、今回川崎が違反していない

② 第40条第1項第1号から第3号までの試合における先発メンバー11人は,当該試合直前のリーグ戦5試合の内、1試合以上先発メンバーとして出場した選手を6人以上含まなければならず、詳細に関しては「Jリーグ規約第42条の補足基準」によるものとする。

という数的基準になるわけです。

ピッコリ事件の時も川淵チェアマンは、数的基準がなく、ほとんど「心がけ規定」のようなものである、もともとの42条に基づいて福岡を罰したい意向を持っていたようですから、ここで話している

一方、日本協会の川淵三郎会長は27日、「Jリーグで解決すべき」と前置きしながらも「8人もいないのは本来の精神にもとる」と苦言を呈した。

「本来の精神」は、数的基準以前の42条「「Jクラブは、その時点における最強のチーム(ベストメンバー)をもって前条の試合に臨まなくてはならない」を念頭においているということでしょう。そしてその精神は、「プロになったからには最高水準のゲームを提供していかなければならない」という信念に基づくものだ、ということです。


ピッコリ事件

このアビスパ福岡の「ピッコリ事件」(2000年4月)に関し、大住良之氏がJリーグ側の視点に立ち、「アビスパの『規約違反』に断固たる制裁を」という文章を書かれています。これは、今回の問題を考えるにあたっても、非常に参考になるものだと思われますから、少し詳しく見てみましょう。このコラム中では、ベストメンバー規定の存在意義を

 1.公平性
 2.プロとして勝利のために最善を尽くすこと
 3.アウェーチームの金銭的損害
 4.サッカーくじとの関連

としています。また、このコラムには反響が大きかったと見え、読者からの反論の投稿に答える形で111回、また数的規準の制定後に118回を書き足しています。

この第118回では、川淵チェアマンがピッコリ事件に対し投書を行った人たちへ、「最強チームによる試合参加の義務について」という返事を送ったことに触れられています。その中になかなかに興味深い一節が含まれていたようです。

 ヨーロッパなどでカップ戦ではリーグ戦とは違うメンバーを出すことが容認されているとしても、現段階のJリーグでは、まず何よりもすべての試合で最強のメンバーを出して全力を注ぐというモラルが必要と説いています。

この問題について考える時に、当時から「欧州や南米ではリーグ戦とカップ戦、CLなどで試合の重要度に応じ、ターンオーバーをするのは普通のこと」という意見は数多く出されました。それに対して川淵チェアマンの反論は「現段階(7年前)のJリーグでは」、ベストメンバーで戦うことが必要というものだったわけです。そのこと自体も疑問の残るものですが、ではそれから7年後、2007年の現在、Jリーグは欧州や南米のリーグと同じことをしてよいのかどうか、そのような成熟は見られたのかどうか。

それを考えるために参考になるのが、一つは「ベストメンバー」という言葉であり、もう一つは犬飼専務理事がいみじくも使い、論議を呼んでいる「サポーター」という言葉になると思います。


何が「ベストメンバー」か

川淵チェアマンは「最強のメンバー」「ベストメンバー」について、件の文書の中で、

「最強チームとは、多くのファンに了解された公的なもの」「リーグ戦、リーグカップ戦、天皇杯などのトップカテゴリーの試合の多くに先発出場している選手として、ごく簡単かつ客観的に見てとることができる」

としているようです。わかりやすく言うと「レギュラーメンバー」であり、「スターメンバー」とか、「Aチーム」とでも言うべきものを指すことになるでしょう。しかしそれが本当に「その試合を戦うに当たってのベストなのか」という疑問があるわけです。ですから「ベストメンバー」という言葉のチョイスがそもそも誤解を生みやすいものであって、「レギュラーメンバー規定」とでもしておけば分かりやすかったでしょう。

2000年のナビスコカップでメンバーを入れ替えたピッコリ監督は、このように言っています。

技術のある選手がベストメンバーではない。90分質の高いプレーをするのが選手がベストだ。

「疲労したレギュラーとコンディションのいいサブのどちらがベストか?」ということですね。これは結局、その時の監督の考えによって変わってくることでしょう。「動けない選手よりも、コンディションのいい選手を使った方が『最強のメンバー』であり、『全力を尽くす』ことになる」という考えの監督も多くいます。それに対して「疲れてようとなんだろうと、レギュラーメンバーを出すべきだ」ということを押しつけようとしているのが、川淵チェアマン(当時)の言っていることになるわけです。

これを「プロになったからには最高水準のゲームを提供していかなければならない」という視点で見ると「ファンは、動けるサブの出る試合よりも、動けないレギュラーの出る試合を喜ぶだろう」ということになります。はたしてそれは正しいでしょうか?

これはもしかすると、Jリーグ設立当時には一応の合理性を持っていた考えかもしれません。しかし、現在の私たちの目はもっと肥えているのではないでしょうか?疲労して動けないレギュラーのするプレーよりも、ピッコリ監督の言う「90分間質の高いプレーをする選手」によって構成されたゲームを、楽しめることができるようになっているのではないでしょうか?

もしかすると、Jリーグ設立以来成長していないのは、協会トップの方ではないでしょうか?


「サポーター」とは誰か?

さて今回の川崎の事件において、犬飼専務理事は

「Jリーグも頑張ってもらうためのチャーター機。その思いが通じなかった。サポーターを裏切ったことへの説明を求めていく」

語りました。これに対して、川崎フロンターレのサポーターの方は「犬飼さん、我々は裏切られていません」というダンマクを出しました。私もこれは応援したいと思います。

あのハードスケジュールの中、疲労の蓄積した選手を休ませることは多くの川崎サポーターが支持するでしょうし、また8人入れ替えた時の試合振りも、その後のACLの、懸命に戦いながら1点が取れずにPKで敗退した戦いも、「よくやった」と思いこそすれ、「裏切られた」などと感じた「サポーター」はいないだろうと(個人的には)思います。

ただこれも、犬飼専務理事が「サポーター」という言葉を使ったために、このような誤解が起こっていると考えられます。「サポーター」ではなく「ファン」であれば、前章で見たような「動けるサブよりも、動けなくてもレギュラーの出る試合が見たい」と考える「ファン」はいないとも限らないからです。おそらく、私たちがイメージする「川崎フロンターレのサポーター」を犬飼氏は意味しているのではなく、ごくごく一般的な「ファン」に対して、「レギュラーを出さないという裏切り」をしたと考えたのでしょう。

これについても、15年前のJリーグ設立当初ならば、その考え方にある程度の妥当性があったかもしれません。当時は「サポーター」よりも「ファン」の方が多かったかもしれないですし、「有名選手が見たいからスタジアムに来た」というタイプの「ファン」に対しては、レギュラーを出さないというのは裏切りと言えなくもないかもしれません。(注:私はここで「サポーター」と「ファン」の間に優劣をつけて論じていません。ただその違いを見ようとしているだけです)

しかし、ピッコリ事件の起こった7年前でも、アビスパ福岡のサポーターの一部の方は、「サポーターはピッコリ支持で一つに固まっていた。文句を言う人間はだれも居ない」と語ったといわれています。(wiki大住氏への投稿)そして、Jリーグ設立から15年、日本のサッカーファンは急速に、おそらくJリーグ幹部の想像を超えたスピードで「サポーター」となって来ているのです。

私見ですが「サポーター」とは、チームとともに戦う存在だと思います。だからこそ、川崎がACL、Jリーグでともに「ベストの結果を出す」ことを考えての「コンディションの悪いレギュラーを休ませる」事については、当たり前のように承認し、クラブを後押ししようと考えるのだと思いますそして、川崎の試合を応援しにスタジアムへ駆けつけるのは、もうほとんどが「ファン」よりも「サポーター」になってきているのではないでしょうか?それは、Jリーグが目標としてきた「地域への密着」が、ついにそこへ到達したというべきでしょう。

今回意外だったのは、「あの」サポーターを抱える浦和レッズを作り上げた犬飼専務理事から、このような発言が出たことです。彼はともかく、川淵氏、鬼武氏の考える「ファンのために有名メンバーを」という考え方は、すでに完全にサポーターにおいていかれていると、私は思います。川淵氏が7年前に出した「現段階のJリーグでは、まず何よりもすべての試合で最強のメンバーを出して全力を注ぐというモラルが必要」という考えは、もはや時代遅れなのではないでしょうか?

欧州や南米のクラブにおいては、リーグ戦とカップ戦、そしてCLで選手を入れ替えて戦うことは、一般的に行われていることです。それはハードスケジュールを強いられる選手を守り、またそれぞれの試合のクオリティを保つためにこそ、必要とされることです。そして日本の「ファン」「サポーター」は、もはやそれをきちんと受け止められる、理解できる段階に達しました。それが今回の、犬飼、鬼武、川淵の発言に対してこれほど多くの反発が起こった理由なのだと、私は思います。


ベストメンバー規定の撤廃を!

私はもはや、「ベストメンバー規定」はその歴史的役割を終え、撤廃されるべきだと思います。Jリーグの草創期には、Jリーグを推進する立場にあるものが、各クラブに対してある程度指導をしていくことが必要だったかもしれません。しかし、現在ではクラブはそれぞれ独立した道を歩み始めているといってもいいと思います。そしてファンやサポーターも成熟し、欧州で行われているような(例えば)ターンオーバー制などが行われても、それを十分に消化し、受け止めていくことができるようになっています。

そしてなにより、そうした「ファン」「サポーター」との関係は、現在では各クラブがそれぞれ独自に考えていくテーマになっているということです。Jリーグが「こうすべきだ」などと指導することではない。クラブによっては(例えば)優勝の芽があるナビスコカップを重視するクラブがあってもいいし、カップ戦よりも降格を回避するためのリーグ戦に注力するクラブがあってもいいし、ACLを重視するクラブがあってもいいのです。それによってファンやサポーターがどう思うかは、そのクラブと彼らとの間の問題なのです。

Jリーグは、Jリーグ幹部のものではない。サポーターのものだ。

今回の事件は、それをあらためて如実に表したものだと思います。

それではまた。

03:27 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(3)|

December 04, 2005

おめでとうガンバ!

rockガンバ大阪が大混戦のJ1を制して、最終節で優勝を決めましたね。優勝争い自体、ロスタイムで他会場の結果もあって決まるという、なんともドラマチックなもので、本当にサッカーの面白さを堪能させてくれました。

1ステージ制になってのガンバの年間優勝、大きな価値があると思います。選手、監督、関係者の皆さん、お疲れさまでした、そしておめでとう!

家から一番近く、同行友人たちの希望もあって、等々力スタジアムに行ってきました。しかも、それしか取れなかったのでアウェーサポーター席。大量のガンバサポに混じっての観戦でした。

周り中、尋常じゃない歓声と雰囲気、歌声と悲鳴、そういう中での観戦でしたので、試合内容についてはほとんど覚えていませんすみません(笑)。私は個人的にはもちろん中立な気持ちで見ていたのですが、最後の4点目が入った時にはやはり思わず立ち上がってしまいました。周囲のすべての人が、誰かれかまわずだき合っていて、それは素晴らしい瞬間でした。

ガンバは1点目の記憶が強かったのか、やたらと中央突破、ヒールパスを繰り返す印象。サイドにフリーな選手がいるのになあ、と思いつつ見ていました。川崎の前線の選手のプレーは素晴らしく、必ず一人ででもシュートまで行く。それの影響を受けてか、いつものガンバよりもパスが少ない印象でした(私はガンバをずっと見ているわけではないので、「いつもあんなもん」であるという友人の説もご紹介しておきます)。

等々力は、川崎サポが、負けたけれども相手のガンバを称える暖かい雰囲気に包まれ、ちょっといい感じでした。前に行った時には、サポの子供が「今の順位はできすぎだよね」と明るく語っていたりして、ちょっと面白いサポの雰囲気のところだなあと思ったのですが、今回もそれは健在でした。いいところですね、等々力。

その後は、祝勝会をしたがる友人たちと遅くまで飲み歩いてしまったので、書くのが遅くなってしまいました(写真は、昨晩行った、とあるもとJリーガーさんが経営するバーです)。帰って録画を見て、西野監督と、宮本の涙、松波の「襟直し」にまた感動しました(笑)。

ガンバ大阪、本当におめでとう!

06:41 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(3)|

November 06, 2005

おめでとうジェフ!

naviscoナビスコカップ決勝を観戦に国立に行ってきました。試合後のセレモニーがとてもジェフらしくてよくて、あそこに参加できたことがとても幸せで、つくづく行った甲斐があったと思える決勝でしたね。

試合自体は、一発勝負の決勝らしく序盤からお互いにリスクを犯さない入り方をしたようでした。このカードから「攻め合いの試合になるのではないか」という戦前の予想が裏切られ(笑)ましたが、しかし両チームの守備の意識の高さが見られ、締まったよい試合になったと思います(鈴木チェマン会見)

鈴木チェアマン
両チームとも守備の意識が非常に高い試合だった。集中力の切れない素晴らしい試合だった。あれではなかなか点も入らないだろうと思った。
サッカーを知っている人には玄人好みの面白い試合だっただろう。

とはいえ、ジェフはハースを欠き、ガンバは二川、家長が不調だったり出場しなかったりというところが響いている部分はあるように思いました。

やはり「大きくして(ちょっとだけ)上手くした柳沢」のようなハースが動きながらボールをおさめ、そこからやわらかなボールが散らされると、ジェフの攻撃は一段も二段もよくなります。この試合では彼がいなく、1トップの後ろにホペスク選手と羽生選手が配置されていました。特にホペスク選手がボールを「待って」しまうことが多く、全体に「追い越す動き」が減って、ジェフらしい攻撃が減っていましたね。

ガンバは、3トップの脅威が強調されていますが、それを支える二川、遠藤、橋本、家長といったあたりのパスワークも非常に重要なのだと思います。特に両サイドに二川や家長というもともとはインサイドの、攻撃的中盤としてファンタジーを見せるような選手を配置し、彼らと3トップのからみから多くのチャンスをつくりだしていました。しかし、怪我もあり、ここ最近はそれが難しくなって来ていた(西野監督会見)。二川は怪我から何とかこの試合には出場しましたが、やはりトップパフォーマンスとは言いがたかったですね。ガンバはボールを支配できず、ジェフボールを奪ってカウンター、ということのほうが多い印象でした。

しかし、序盤に何度か見せたそのカウンターが、アラウージョ、フェルナンジーニョ、大黒の3人の個人技のために反則級に怖く、序盤はらしさを見せていたジェフから、やや思い切りを奪ったように見えました。決勝の重圧、ガンバ攻撃陣の個人技の脅威、それらによってジェフがいつものジェフではなくなっていましたね。ボールを追い越す動きがずいぶんと減っていました。

スタジアムではそのように感じて帰ってきたのですが、オシム監督の会見を聞くとこれはオシム監督のゲームプランというところもあったようで、抑え気味からスタートしての後半、延長勝負と読んでいたがゆえのものだったようです。確かにいつもに比べると中盤でのアタックも少なく、ルーズめにマークしていることも目に付きました。スタンドからは「ジェフ硬くなってるなあ」という声が上がっていたのですが、あえてセーフティーに、一発勝負のカップ戦の戦い方を選択したのだとすると、「ジェフも大人になったなあ」と言うべきだったでしょうか。

後半になって、動きがいくぶん変わってきたジェフ(両監督ハーフタイムコメント)。

オシム監督(千葉)
・暑くてやりにくいのはわかっている。前半はハンドブレーキを上げて走っているようなものだ。
・攻撃はもっと危険なプレーを仕掛けること。
・もう少しマークに対してタイトについていこう!!
・ゴール前で何かやるなら全力でプレーしよう。

また、ジェフは工藤、水野、そして林と攻撃陣を活性化させる手を打ってきたことで、さらに動きのよさが出できました。これに対して怪我上がりの宮本を投入、シジクレイを中盤に上げる采配を見せた西野監督。これはなかなかの好采配だったのではないでしょうか。ジェフは中盤に起点が作りにくくなり、ロングボールが増えていきました。ただ、水野、林といったあたりが投入されているので、その前に入れるとけっこうチャンスになります。後半から延長にかけては(シュート数はともかく)ジェフの決定機の方が多かったように感じました。ジェフは、手持ちの駒が減っている中、こういう戦い方もできる、というところを見せましたね。

jefgambaところで、私はバック上段という、とてもディフェンスラインの見やすいところから、試合を見ていました。すると、やはりマンマークを重視して時にバランスの崩れることをいとわないジェフ、それに比べると相当ゾーンバランス重視のガンバDFラインというのがはっきりと見えて、興味深いものでした(←写真:左がジェフ、右がガンバ。ともに左が自陣ゴール方向です)。しかし、その上でガンバはシジクレイの獅子奮迅の活躍が素晴らしく、読みも強さも一級品でした。周囲にはジェフサポが多かったのですが、「またあいつだよ」という声が何度も何度も上がっていましたよ(笑)。

さてPK戦の結果はでましたが、首位ガンバにはもちろんリーグ戦での優勝を目指した戦いがあるわけです(勝ち点差5のジェフにも)。ガンバはやはり3トップ以外の構成力が落ちているのが課題でしょうか。むしろこの試合の前半のように、守りを固めて3トップに任せる、というような戦い方を選択した方が脅威だと思うのですが、西野さんはどうするか。ジェフはやはりボールを持ったときの、ゴール近くに行ってからの「違い」を作り出すところにやや難があるように感じます。ただそこはやはり一朝一夕には変わらない部分ですから、今の、「額に入れて飾っておきたくなるような試合」の時のようなよいサッカーを維持、貫き通すことが重要でしょうね。

ところでエルゴラッソではとうこくさんが漫画に「オシム監督(105キロ)の胴上げが見てみたい」と書かれていましたが、試合後選手たちが胴上げしようとしたところオシム監督が辞退して「なし」になってしまったようです。確かにそれで腰を傷めたりしたら目も当てられないわけですが(笑)、ある意味一番の注目でしたね。とうこくさんの着眼点は鋭い!

両チームの選手、監督、関係者、そしてサポーターの皆さん、本当にお疲れさまでした。オシム監督の涙腺がゆるんでいるのを見たら、ジェフサポではない私もぐっと来てしまいましたよ。「サッカーを呼吸する」ということの一端を(あくまでも一端ですが)感じることができたような気がします。Jクラブのサポであることが、とてもうらやましく思えたナビスコカップでした。

そしてジェフ千葉、初タイトル、おめでとう!

それではまた。

10:40 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(0)|

January 08, 2005

村井!

muraiBNジェフの村井選手が、磐田に移籍するか?という報道が出ていますね。まだチームから正式アナウンスはない状態ですが。

これに対して、「村井をこのまま行かせていいのか」という活動が、イヌゲノムさんと黄色イヌさんのところで行われるみたいです。掲示板形式で、村井選手へのメッセージを集め、それをクラブのほうへ届けようというものです。

掲示板の方を見ましたが、皆さんすばらしく熱い書き込みで、私は感動してしまいました。

私はJEFサポではありませんから、「行かせるべきか否か」については話をできませんが、このように愛される村井選手はすばらしいなあ、と思いました。

興味のある方はどうぞ覗いてみてください。そして、趣旨に賛同される方はぜひメッセージをどうぞ。

09:29 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(0)|

December 16, 2004

ザスパ草津!&ドイツ代表戦

今日(もう昨日か)は、すばらしいアップセットを見せてもらいました。ザスパ草津が横浜Fマリノスを、退場選手を出し9人になりながら、延長で破ってしまったのです。とても驚き、そして感動しました(しかし、いい写真ですね・笑)。

横浜Fマリノスはチャンピオンシップを戦い抜いた後で、しかも代表に中澤、松田が招集され(結局二人とも代表の試合にも出られないコンディションのようですが)、サブが主体のメンバー。その疲労とコンビネーション不足もあって、序盤からなかなか試合のペースをつかめない状態で、前半29分にザスパのハンサムなFW、宮川大輔に得点を決められてしまいます。

後半になると、もちろんFマリノスが攻勢を強め、ザスパ草津がしっかりと守ってカウンターという展開に。交代出場したザスパ草津の佐藤が見事に抜け出したのをペナルティエリア内で引っ掛けられ、「あわやPK!」というシーンもありましたが、主審は取りませんでした。私は主審の判定には、どちらかというと異議をさしはさみたくない方なのですが、この試合では他にもかなり疑問の残る判定がありました。そのせいもあって、試合は荒れ模様となっていきます。

そして後半29分、中盤でテクニックを生かしてアクセントをつけていた山口貴之選手が、2枚目のイエローで退場になってしまいます。さすがにこれでは防戦一方にならざるを得ないザスパ草津。それでもよく耐えていましたが、38分、Fマリノスから見て左サイドにポイントを作られたあと、奥選手にミドルシュートを決められて、とうとう追いつかれてしまいました。

そこから崩れるかと思いきや、ザスパはすばらしい精神力で持ちこたえていました。が、後半40分さらにザスパDF籾谷が2枚目のイエローカードで退場になってしまいました。なんてことないショルダーチャージに見えたんですけどねえ・・・。籾谷選手、ピッチサイドで本当に泣いていました。なんと言っていいやら・・・。

試合はそのまま延長に突入。ひざを痛めていたGK小島選手は、足を引きずりながら再三好セーブを見せます。アンブロカップのブラジル戦のころから大好きなGKなんですが、この姿には本当に涙が出てきました。

延長に入るとき、ザスパの植木監督は、4バックとキャプテン鳥居塚選手の5人には「上がるな」と指示したそうです。ところがすごいことに、その5人を除いた3人はむしろカウンターのときに積極的に上がるようになって来ました。前半から必死に守備に奔走し、さらに9人になって走りまくり、そういうチームが延長に入って、カウンター時にあれだけ上がってくる。すごいです。

もちろん基本的には、Fマリノスがボールをもち、攻撃をしています。ところがザスパ草津の何度目かのカウンター、Fマリノスは自陣左サイドでファウルを犯してしまいます。ザスパ草津から見て右サイドからのFK、いったん壁に当たったことで、ゴール前でマークしていたFマリノスDF陣の集中がふっと緩んだでしょうか。もう一度あげなおしたクロスを依田選手がヘディングシュート、それがDFに当たったこぼれがまた依田選手の足元へ、それを再びシュート!タイミングをはずされた榎本(哲也のほう)の脇をするすると抜けて、ボールはゴールに転がり込んでいきました。

判官びいきの日本人ですし、9人になって必死に戦っているザスパを見たら、どうしてもこころから応援してしまいました。そして、このVゴールには本当に感動しました。小島さんは、「9人なら戦術なんてない。気持ちだけだった」とのこと。本当ですよね。そしてそれがどんなに大事か、再び教えてもらいました。

もちろん天皇杯の次の試合はあるのですが、今日だけはザスパ草津に本当におめでとうと言いたいです。お疲れさまでした。いい物を見せてもらいました。

さて、今日はもうドイツ代表戦ですね。選手がそろわないので4バックということになるようですが、先発はこんな感じでしょうか。


----鈴木--高原----
--小笠原-----藤田--
---稲本----福西---
三都主-田中--茶野--加地
------楢崎------

見所としてはやはり稲本の復帰後のパフォーマンスを確認したいというところです。それと、個人的には、鈴木のポストプレーがドイツのDFにどれだけ通用するかも見てみたい気がします。

ちなみにドイツは、こんなチームで来日のようです。格上を迎えると自然にモチベーションも上がり、「やってやろう!」という気になれるものですね。シンガポール戦ではちょっとピリッとしないプレーをしてしまった選手たちも、今日はいい試合を見せてくれるのではないかと期待します。そして、初めての対戦となる2002年準優勝国に、泡を食わせてやりましょう。

それではまた。

03:14 AM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(2)|

December 14, 2004

最後のチャンピオンシップ(2)

チャンピオンシップ第2戦、浦和はどのように攻めに変化をつけてくるのか。そして、横浜はどのように受けて立つのか、興味は尽きませんでした。


■ノンコンパクトを強要された2戦目前半の横浜Fマリノス

浦和の変化は、まず布陣に現れましたね。

---エメ--永井---
三都主--山田---平川
---鈴木--長谷部--
-ネネ-闘莉王-アルパイ-
-----山岸-----

1戦目での3トップから、ガンバ戦でもやったように山田をトップ下へ、そして右に平川を入れてきました。田中達也の調子が今ひとつということもあったでしょうし、左右アウトサイドともに攻撃的に行くという意思表示だったかもしれません。

compact4.5前半のレッズはこれに加え、左右のアウトサイドを高めに位置させ、そこへロングボールやサイドチェンジ気味のパスを送り込むという戦略を取ってきました。これは、1戦目の横浜FMのやってきたことを反対にしたわけです(笑)。横浜FM守備陣がラインコントロールでオフサイドゾーンに浦和FWを追いやっても、後ろから走りこんでくるアウトサイドの選手はオフサイドにならないでボールを受けられます。

これによって、2戦目立ち上がり、サイド深くに基点を作られた横浜FMはラインを下げさせられ、コンパクトゾーンを保つことができなくなりました。

浦和はホームの声援の後押しもあり、序盤から飛ばして来ましたが、その勢いだけではなく横浜FM は、こうした「コンパクトの奪い合い」でも主導権を握られていたため、プレスもかけられなかったわけです。また、浦和の左右が高い位置で攻撃参加するため、ドゥトラも隼磨もそれへの対応に追われ、位置取りが低くなってしまっていました。それによって、横浜FMは押し返すことがなかなかできなくなりました。

ここで得られた多くのCKやFK、しかし浦和はなかなか決めることができませんでしたね。ここで得点が奪えていれば、試合展開はまったく違ったことでしょう。


■再びコンパクトを取り戻す前への意識

後半になって横浜FMは、前へ前へとFWやMFがプレスに行く姿勢を取り戻しました。同時に浦和は、パスをつないだり、ドリブルを多く用いたりする攻撃をしはじめました。どちらかといえばこの方が「浦和らしい」(笑)のですが、横浜FMが勢いを取り戻したのとあいまって、逆にプレスに引っかかることも増えてきました。そうなってくると、横浜FMディフェンス陣も、ふたたびラインコントロールに自信を持てるようになり、どんどん押し上げていけるようになって来ました。

offside2ここで重要なのは、横浜がやっているのはオフサイド「トラップ」ではないということです。プレスの状態によってラインを上下動させ、「オフサイドラインを利用してFWの動きを制限する」ということなんですね。さらには、敵MFがボールを持ってFWにパスしようとすると、FWがオフサイドポジションにいるために前方へのパスが出せなくなる。選択肢が制限され、そこで躊躇していると、囲まれ、奪われてしまう(左図)。敵の攻撃をスローダウンさせ、選択肢を奪い、プレスを強化することが重要で、「オフサイドを取ることが目的」ではないですから、オフサイドの数は重要ではないのですね。

さて、浦和の戦略は「前半ロングボールでラインを下げさせておいて、後半からうちらしい攻撃をしよう」というものだったのでしょうか?しかし、横浜FMの守備陣は、いったん下げさせられ、ノンコンパクトを強要された状態からでも、そこからまた押し上げていける共通理解がありました。そうして後半は、コンパクトフィールドでのプレスができるようになったわけです。


■退場と失点

互いに何度もカウンターからゴール前でのチャンスを迎えたあとの74分、やはりカウンターで田中達からエメルソンへパスが通ったところを中西が倒したという判定で一発レッド。そしてそこからのFKで失点。さらに横浜FMは残りの時間を10人で戦わなくてはならなくなりました。しかし、この日のように守備陣に集中力があり、組織も崩れていなくてしっかりと対応できているときは、えてして数的不利になってもそれほど影響がないものです。

それにしても横浜FMの選手たちの落ち着きは見事でした。退場があり、続いて失点、という局面では、選手たちの心理が不安定になっても仕方がないものです。しかし、経験豊富な選手たちは、慌てず騒がず、それまでと同じように対処、むしろ数的有利となった浦和が個人勝負に出たり、オフザボールでの動きがやや緩慢になったりで、攻めあぐねる状態が目立ってきました。

そしてそのまま延長突入、どちらもカウンターからのチャンスを迎えるも、得点はなくタイムアップ。PK戦もいろいろと駆け引きがあり、とても楽しめましたね。しかし最後は、さまざまな局面で「一日の長」を感じさせた横浜FマリノスがPK戦を制しました。

さて、1戦目と2戦目で、見事に「コンパクトの奪い合い」が流れを変えるところを見せてもらい、そこが興味深かったのでこのような考察をしましたが、もちろん、これだけが勝負を決したわけではありません。サッカーにはメンタル、フィジカル、戦術面、さまざまな要素があり、そのどれもが大事なのだと思います。そのちょっとの差が、昨日の勝敗を分けたのでしょうね。

個人的にもう一つ感慨深かったのはこの2試合が実に「激しい」ものとなったことです。ボール際での攻防、そこでぶつかりあい、倒される選手たち。かなり以前には「日本ではちょっと転んだだけですぐにファウルを取ってもらえる」という状態だったのが、ここ数年、だいぶ変わってきたように思います。これなら、あたりの激しい中東勢と試合をするときにも、戸惑わなくてすむでしょうね。個人的にはよいことと思いました。

もう一つの「最後」トヨタカップは「つまらなかった」という声が多いのですね。そうかなあ(笑)。一方のチームがちょっと引きすぎというところは感じましたけれども、局面局面では質の高いプレーもあって、私はけっこう楽しめましたけどね。

それではまた。

02:27 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(0)|

December 13, 2004

最後のチャンピオンシップ(1)

marinos横浜Fマリノスの年間優勝が決まりましたね。最後のチャンピオンシップを制しての年間チャンピオン、おめでとうございます。

この2試合では、Fマリノスの「老獪さ」(笑)が目立ちましたね。平均年齢の差、チャンピオンシップ出場経験の差、そして岡田監督の「自分で考えてプレーする」という指導方針など、多くのものが結実した結果でしょう。得点されても、一人少なくなっても慌てない、その精神的な部分での強さは見事でした。

逆に浦和は、監督を含めて若さ、経験の浅さが出てしまったでしょうか。しかし、ということはこれからまだまだ強くなれるということ。今は悔しいでしょうけれども、山瀬や坪井が帰ってきて、さらに経験をつむ来年以降が、浦和の本当の黄金時代の始まりになるのじゃないかと感じます。


■自分はコンパクトに、敵をノンコンパクトに

チャンピオンシップ開幕前には、「浦和の攻撃陣を横浜FMの守備がどうやって抑えるか」というところがポイントになると思われました。

これに対して、まず第1戦目、横浜FMは二つの方策を採ってきました。ひとつは、「浦和対策」というよりも、岡田監督が言うように「シーズンを通してやってきたことが、シーズンの終わりにできた」ことですが、ラインを下げ過ぎずにきちんとコントロール、中盤をコンパクトにして数的優位を保ち守りきる、ということができていたことです。

一般的には浦和の俊足攻撃陣を前にすると、ラインを引いてスペースを消すことが安全策と考えられがちですね。実際にそうして浦和のよさを相殺し、競り勝ったチームも今年のリーグ戦、カップ戦にはいくつかありました。しかし、1試合目の横浜FMの選択はそうではなかったわけです。前出の岡田監督は

Q:前半の立ち上がり、かなりアグレッシブにいったと思うが、監督からの指示があったのか

ほとんどのチームが浦和との対戦では怖がって下がってしまう。腰の引けた試合はしたくない、という意思表示のためにも前から行ってくれたのではないかと思う

このように語っています。また、エル・ゴラッソの中澤インタビューでは

守備については浦和の長所を消しながらも、ラインの上げ下げがなくては横浜FMらしさがなくなるので、必要以上に怖がらないように話し合った。チーム全体として守れたと思う。

とのことです。松田が両手を広げてラインを押し上げていくシーンがTV画面にも映っていましたね。エメルソンや田中達也が、オフサイドの網にかけられ悔しがっているのも印象に残りました(例えば前半24分、28分)。そうしてラインを高く保ち、コンパクトを徹底できたことが、選手間の距離の近さ、フォローの密度につながり、浦和の強力3トップに対して数的優位を生かした守備ができた、ひとつの要因なのですね。


■敵をノンコンパクトに

横浜FMのもう一つの策は、サイドの裏へのロングボールでした。これによって浦和のラインを押し下げ、敵のフィールドをノン・コンパクトに、ルーズにしてしまう。そうすると、浦和の持ち味の一つである「プレッシングから高い位置で奪ってカウンター」というカタチが作れなくなるわけですね。プレスの効きも悪くなり、奪えても自陣深くになる。そこからの攻撃は手数がかかりすぎ、横浜FMのプレスの網に、どうしてもかかってしまう。

compact3

自らはコンパクトにして、プレスの効きをよくする。
敵のラインをロングボールで押し下げ、ノン・コンパクトにし、プレスをかけられなくする。

この二つは、前者は中西が「この作戦は今週やってきたことではなく、1年通して積み重ねてきたこと。」と言うように、チームとしての熟成された守備戦術ですが、後者は「スペースにボールを多く蹴っていたのは監督に言われたわけじゃなくて、自分たちで考えてやった。(中澤)」という、選手が自ら考えた策であったようです。あらためて、いいチームだなあ、横浜FMは、と思わされますね。


■浦和の3トップ

1戦目の浦和の方はこの策にまんまとはまった形になってしまったのですが、これは一つには3トップという布陣にも原因があったのではないかなと思います。エメルソン、田中達、永井という3トップは全員に個人技があり、個人でも、また連動しても敵の守備をこじ開けていく力がありますね。しかし、3人ともややタイプがかぶり、変化をつけるのが得意ではないのではないでしょうか。

プレスからそのまま3トップに入れられる時はいいのですが、いったんスローダウンさせられ、さらにはフィールドもコンパクトにされていくと、どうしても構成力が十分ではなくなって来るように思います。リーグ戦ではそういう時、3人のうち一人が下がってボールを受け、そこから展開して速く攻めていく、ということもできていました。エメルソンもいいパッサーじゃん、と思わされたこともありましたね(笑)。しかし、コンパクトフィールドではそこにもプレスがかかってきます。

下がったFWが何とかボールをキープして前を向いてパスを出しても、パス出しのタイミングが単調になり、横浜FMのラインコントロールの前に、オフサイドの網に引っかかってしまっていました。であればさらに、下がったFWをおとりに使って、空いたスペースにボランチが上がっていってそこへパスを入れる、など、組織的に攻めていくやり方もできると思うのですが、第1戦の浦和は、チームとしてはまだそこが十分に意思疎通ができていなかったわけですね。

第2戦目の興味は、「浦和がどう攻めに変化をつけていくか?」ということになりました。

 

すみません、今日は時間切れでここまでです。本当は第2戦のことを書くべきタイミングなんですけど(笑)。

そうそう、トヨタカップも延長までいって最後はPK戦という大変締まった試合でした。これもフットボールの醍醐味を堪能できましたね。

続きはまた明日。それではまた。

01:07 AM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(0)|

April 11, 2004

レスです

<神戸サポ>さんからのコメントへのレスです。私は「クラブのことはそのクラブのサポの方に聞くのが一番」と思っていまして、こういうコメントをいただけると「ネットやっててよかった」と思ったりします。

無料券は本当にいいのか、という批判はありますが、新潟のこともあるし、この前おにぎりとお茶を配って好評だったので、柏餅もありかと思っています。近所の人が行くか行かないか決める最後の一押しにはかなり役立っている気がします。タレントさんも同じ意味です。

ああこれはなるほどと思いました。「無料券はあるけど行こうかどうしようか」という人への最後の一押し、ということですね。自分も友人をサッカーに誘う時には、付加価値が多いほうが誘いやすいです(笑)。「天気もいいし、ビールはうまいし、帰りに桜も見れるし、今すごくいいサッカーしてるし、あと・・・そうそう、柏餅もくれるんだって」うん、効きそう(笑)。

そういう意味で、自分は神戸のやり方は今は一般人向けのアピールばっかり(会社がやればそうならざるを得ない)だから、もっとサッカーの質を高めてよい試合をしてサッカーの玄人さんも呼ばなければ、会社がここまでしてるんだから選手たちがもっと頑張らねば、と思っているところです。そうすれば、一度来てくれたあまりサッカーに興味のない人も続けて来てくれるかもしれないし。そしてサッカーを好きになってくれるかもしれないし。

あとは、無料券でなんであれ、一回来てくれた人に「もう一回来たい」と思わせる「スタジアム体験」を提供できるかどうか、ということですね。それは良質のサッカーを提供することでもいいし、楽しい、あるいは気持ちを駆り立てられるような応援体験でもいい。または、戸田の言うような「感動させられる、気持ちの入ったサッカー」を見せてくれることでもいい。うん、2番目と3番目はリンクしているようにも思いますね。

今度の始球式は神戸製鋼の選手を呼びます。地元の他のスポーツ選手を持ってくるってのはいいなあと思っています。

それはいいアイデアかも。さすがに阪神の選手は呼べないのでしょうか(笑)。

02:00 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(0)|

一日一桑原運動

個人的に一日一桑原運動を展開しようと決心。なぜかは聞かないでください(笑)。

01:48 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(0)|

April 08, 2004

神戸頑張れ

「神戸チケット売れない」

この問題について、掲示板J-KETのほうで、chihayaさんとmasudaさんが議論をされています。

確かに神戸は質の高いサッカーを目指している。でもそれが直接に集客につながるわけではない(JEFを見よ・笑)。それをどのように伝えて集客を図るべきか?ここでアイデアが必要になってきますね。

また、柏餅や大道芸は確かにサッカーの集客としては「横道」「妙てけれん」なのだけれど、それが悪いかと言うとなんともいい切れない。新潟も無料券の配布が現在の素晴らしいサポータを作るのに貢献したという側面もあるわけですし。

でも新潟と神戸が何か違う感があるのは、「地元密着感」の差かな。神戸も一試合だけでの集客を考えるのではなくて、次へ、将来へつながるような施策だともっといいのですけどね。地元の少年団の無料招待とか(もうやってるか)。

もっともっと地域へ、地元へ。アドバルーンじゃダメですよ。山の上への落下傘降下じゃ後が続かない。地道にふもとから登って行かないと。地味に見えても、地元のサポを多くしていくこと。神戸の経営者、現場の方もそこに注目してくれているといいのだけど。

これ実は下の話題にも関連するんですよね。というわけで、両者合わせてまた続きます。

06:55 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント | トラックバック(0)|