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July 23, 2008秋-春制は現実的なのか?
久しぶりの更新になります。公私ともに新しいことが多く、ばたばたしておりまして。これからもぼちぼちの更新になると思いますが、おつきあいいただけましたら幸いです。
Jリーグは秋-春制へ?
さて、川淵キャプテンのあとに就任した犬飼新会長だが、以前から話題になっているJリーグの秋-春開催について検討を始めたようだ。
記事にあるように、Jリーグを秋-春開催にすることは、欧州リーグの開催時期と同じになり、海外からの選手(および監督)の獲得、また日本人選手の海外移籍もスムーズになるというメリットが考えられる。また、ワールドカップや(出場できれば)コンフェデ杯の日程も、欧州リーグにあわせて考えられており、例えば現状では「Jリーグでは」シーズン中の6月にワールドカップが行われるため、日本ではリーグ戦を長期間休止し変則的なスケジュールを組まなくてはならなくなっている。シーズンを欧州にあわせると、それもまた解消され、より整合的な日程が組める可能性がある。それもメリットと言えるだろう。
しかし、よいことづくめならばとうに導入されているはずで、今までそうされていなかったのには、もちろん理由があるのだ。
1)日本は欧州でもなかなかない積雪地方を抱えており、冬季の試合開催、練習に支障がある。
2)寒い時期に試合をすると、観客数が減少する恐れがある
3)春に卒業した選手をどのように受け入れるか
1)と2)は混同して語られることも多いが、私は別の問題だと思っている。観客数を増加させるには、さまざまな手段があるし、「寒さ」だけで言えば欧州でも寒い時期にサッカーをするところはある。また、日本でもJが創設されるまでは、ラグビーと同様「サッカーは冬のスポーツ」という認識だったではないか?選手にとっては夏季の猛暑がパフフォーマンスの低下に影響を及ぼしている部分は大きく、マラソン同様持久力が重要なサッカーは、冷涼な時期の運営によりパフォーマンスが向上する可能性は高いと思う。そうなれば、「よいサッカーを見に」スタジアムへ足を運ぶ観客も増えるかもしれない。
(ただ個人的には、トヨタカップや天皇杯を観戦しに行くだけでも、相当に寒さで二の足を踏むので、Jリーグの冬季の開催は「勘弁して欲しい」ところではあるが)
しかし、もっとも大きな問題は1)であると思う。日本の積雪地域は、欧州で冬季に開催しているところとは比較にならないほどの雪が積もる。メートル単位で積雪する地域では、非常に特殊な対策を講じないと、サッカーの試合や練習そのものが「不可能」だろう。試合で言えばドーム型のスタジアムが必要になり、練習でも全天候型の練習場が必要になる。しかし、よくある屋内練習場は、プロサッカーの練習を毎日行うには到底不十分だ。一般的にJクラブの練習で使われる規模の練習ピッチを、積雪の影響を受けないように作る(ないし運営する)のは、現状のJクラブの予算規模ではほとんど不可能だろう。
スタジアムの耐積雪対応にしても、現状ではほとんど考えられない予算規模の改修が必要になるはずで、クラブが負担できるレベルではない。Jリーグが補助をするにしても(練習場も含め)、これからいくつも出てくる可能性がある積雪地域のクラブすべてにそれを行うのは現実的ではなさすぎる。また積雪地域のクラブにだけそのような補助を行うのは、不公平だという批判も出てくるだろう。かと言って「では積雪地域のクラブの自己責任で」と突き放してしまっては、「Jリーグの理念」にもとることになる。
Jリーグは、全国津々浦々の人々が、自分の街でスポーツを楽しめることを理念として、「Jリーグ百年構想~スポーツで、もっと、幸せな国へ」をスローガンとして掲げている。
1993年にJリーグがスタートした時、Jリーグが掲げる理念は社会に新鮮な衝撃を与えました。しかし、その衝撃は直ぐに共感へと変わり、10クラブでスタートしたJリーグは、2006年には31クラブにまでなりました。さらに、Jリーグを目指すクラブや町は全国に数十あるといわれています。Jリーグが蒔いたスポーツ文化という種は日本全国で着実に芽となり花となっているのです。
この理念には言うまでもなく、地域によって差異があってはならないはずで、ある地域のクラブにとって試合や練習そのものが「不可能」になるというような状況は、この理念に基づけば「ありえない」ことだ。一部の地域(と言っても、かなりの広さがあるのだが)を切り捨てた上での開催時期変更では、「なんのための百年構想だ」ということになる。放映権料の減額にも現れているように、一般にとっての「Jリーグの価値」が低下している(ように見えている)現状で、その理念までがぐらついているようなことでは、ますます人心が離れていってしまうだろう。
雪で練習や試合が「不可能」になる地域のクラブを切り捨てない方向で、秋-春制に移行することができるのか?
考えられるのはかなり長期のウインターブレイクを取ることだろうが、それでクラブ経営が成り立つだけの試合数を確保することができるかどうか?
以上を考えると私は、2010年にこの移行を行うのは不可能に近いと思う。犬飼会長はじめ首脳部は再考するべきだ。ただ、現状でもJリーグの日程は破綻していることは確かで、この議論によってそれを根本から見直す機会になるのならば、この問題提起には意味があったということになるだろう。現状にこだわり過ぎて、停滞する意味はない。何事も抜本から考えていく。それは間違ったことではないと思う。Jリーグの日程が、さまざまな視点から見直され、改善されていくことを祈ってやまない。
今回はあまりまとまっていませんが、とりあえず今「出しておく」意味を感じたので書いておきたいと思います。それではまた。
07:23 PM [Jリーグ] | 固定リンク | トラックバック (0) |