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February 17, 2008

東アジア選手権は本当に必要なのか

現在岡田日本代表は発足間もない中、東アジア選手権に臨んでいるわけだが、同時にこの時期、J各クラブはリーグ戦前の期初キャンプに入っており、選手が代表に取られることはクラブにとって大きな問題になっている。トラックバックいただいたアルパカ日記さんも投げかけておられるように、「本当に東アジア選手権は必要なのか?」また、「この時期にやらなければならないのか?」とつくづく思わされるところだ。今回はこの問題について考えてみたい。


なぜこの時期なのか?


MON TUE WED THU FRI SUT SUN
  1/1※          
             
             
          26  
    30   2/1    
    2/6        
           
    20     23  
          3/1XSC
          8
       
       
         
  4/1    
       
       
       
  4/29 5/1    
  5/6 ○    
         
       
        6/1
       
           
           
       
  7/1    
         
       
       
        8/1 AS  
        ●? ●?
          ●? ●?
        ●? ●?
    ●? ○?  
9/1       F→
    ←F    
        ●?
     
    10/1    
       
     
       
          11/1
       
        ※?  
       
         
12/1          
          ※?  
          ※?  
          ※?  
      1/1※      

現在岡田日本代表は発足間もない中、東アジア選手権に臨んでいるわけだが、同時にこの時期、J各クラブはリーグ戦前の期初キャンプに入っており、選手が代表に取られることはクラブにとって大きな問題になっている。トラックバックいただいた○○さんも投げかけているように、「本当に東アジア選手権は必要なのか?」また、「この時期にやらなければならないのか?」とつくづく思わされるところだ。今回はこの問題について考えてみたい。

まず「この時期にやらなければならないのか?」についてなのだが、この時期でなければ他のどの時期にやればよいのか、ということになる。試みに左の表に簡単に今年の年間スケジュールをまとめてみた。白い○がJ1の試合開催日、赤い○がナビスコカップ、青い○が代表戦、◎がACL、※は天皇杯の開催日を示している。なにぶん、私はこういうことに詳しくないので(Jクラブのサポーターの方の方が、マイクラブの問題としてこれを捉えている分、はるかに詳しいと思う)漏れがあったらご容赦いただきたい。ちなみにJ2の日程はスペースに収まりきれないので省かせていただいている。

小文字の「f」はFIFAのマッチデー(親善試合用)、F→←Fはオフィシャルマッチデーである。FIFAマッチデーは他にもあるのだが、だいたい青○とかぶっているので省いた。今年は6月にFIFAマッチデーが集中しており、その時期のアジア3次予選はすべてそこで行われている。ちなみに8月20日、9月6-10日もFIFAマッチデーであり、代表の親善試合が入ることが考えられる。また5月末の青○?は、おそらくそのあたりでキリンカップが開催されるだろうと想定したものだ。ちなみに10月と11月の青○は、アジア最終予選の最初の2試合である。8月の緑色の部分は、北京五輪の開催期間。そうそう、2月の緑○は、パンパシフィック選手権の開催日だ。

さて、講釈師武藤さんも書かれているように、3試合行われる東アジア選手権のためには最低でも3開催日分の日程が必要となるのだが、さて、表をごらんいただいてどこかそれが可能になる場所があるだろうか?ナビスコを一個ずらせば7月末~8月初頭の時期にかろうじて見つかるが、五輪直前の時期に中国で、というのは無理があるのではないか。ただ、J1の2~3試合をその時期へ移して、現在他のJ1の試合が組まれている時期に開催するということも考えられなくはない。それもまた、シーズンを非常な過密日程に(しかも暑い時期に)することになる。

しかしそれにしても、ほとんどすべての週末に何らかの試合があり、試合のないミッドウィークも探す方が大変であるというこの表を見ると、あらためて「日程問題は破綻しているのだなあ」と思わざるをえない。、このうえに賞金未払い問題があり今年は開催するかどうか未定のA3チャンピオンズカップは、記入していないのだ(開催することになったらどの時期でするのだろう?)。

これは実は、アジアカップを2007年に開催するという決定のためのしわ寄せを食らった形ではある。本来は東アジア選手権は昨年開催する予定であり、であればW杯アジア3次予選、最終予選とのバッティングもなかったわけで、昨年ならまだましなスケジュールとすることができただろう(その代わり、アジアカップが今年であれば、アジアカップとW杯予選がかぶることになり、おそらく3次予選までしかできなかったのではないだろうか)。

以上のように、「この時期にやらなくてはならないのか?」という問題に関しては、「他でもいいと思うが、じゃあいつすればいいのだろう?」と思わざるをえないところである。

東アジア選手権は本当に必要なのか?


さてでは、根本の問題である「本当に東アジア選手権は必要なのか?」についてはどうだろう。そもそも破綻した日程の中で、アジア相手の大会などやる必要があるのだろうか?欧州や南米の強国と対戦したほうが、日本代表の強化の役に立つのではないだろうか?いっそなくしてしまったほうが良いのではないか?私も心情的にはそれらの意見に賛成である。酷使される選手、ないがしろにされるクラブのことを考えれば、そう思って当然だろう。

そもそも、なぜ東アジア選手権が開催される経緯になったのだろうか?正確なところはわからないが、参考までにWikipediaを見てみると、まず東アジアサッカー連盟の発足に行き着く。その理由の一つとして、AFC総会における西アジア諸国の発言力に対抗しようという考えが強いようだ。

AFC

またAFCには問題も数多い。その一つに、中東の産油国を抱えている影響があるためかオイルマネーに流されやすい傾向が挙げられる。近年はその風潮も和らいではいるものの、90年代まではワールドカップ予選開催地に中東のスタジアムを選ぶなど、中東・湾岸諸国が有利になるような大会運営が散見された。

東アジアサッカー連盟


そうした現状を打開しようという意向もあり、EAFF(東アジアサッカー連盟)は、西アジアサッカー連盟などのようなAFCの下部組織ではなく、欧州サッカー連盟(UEFA) のような国際サッカー連盟(FIFA) 直属の独立した組織という形態をとっている。

また、AFC傘下にはASEAN、南アジア、西アジアと、それぞれのサッカー連盟があり、それぞれに東アジアサッカー選手権と同様の大会を開催している(さらにペルシャ湾岸地域のガルフカップやアラブサッカー連盟主催のアラブカップなどがある。)。そう聞くと、「東アジアサッカー連盟など要らない」とは言いがたいものがある。そしてどうも、○○サッカー連盟と名のる以上、主催のサッカー大会を持っていないと示しがつかないという事情もあるように思える。

考えてみれば、前項で書いたような、「アジアカップを2007年に開催する」という決定や、今年になってからの「W杯予選方式の変更」などに対して、我々は「どこかでいつの間にか決まっているもの」と捉えていないだろうか?しかし無論それは自然に決まるものなどではなく(笑)、AFCにおいて決められているのだが、そこに日本の声が反映されている感触がないと思わないだろうか?東アジアサッカー連盟の設立、東アジアサッカー選手権の開催は、そういう現状を打開しようと意図がこめられているのだろう。

「しかし、連盟が発足して6年、大会が始まって5年たつが、東アジア諸国の発言力が増したとは思えない。意味がない、止めてしまえ」という意見もありえるだろう。しかし、上記したような他の地域の状況を見ると、東アジア地区だけが遅れるわけにも行かないのではないか。また、将来的にAFCの東西分割などを視野に入れるとすると、その母体としての東アジア連盟にはかなり意味が出てくるし、その存在証明(?)のような東アジアサッカー選手権も、意義があると言わざるをえないのではないだろうか。

私ははっきり言って、心情的には「いらないし、少なくともこの時期は止めろ」とつくづく思うのだが、どうもそう言ってもいられないような気もしてきた。であるならば、どんどんAFCでの発言力も増して、開催の意義があったと思わせて欲しいものだ。さすがにそろそろ振り回され続けるのも限界があるだろう。ニュージーランドのAFC加盟模索やOFCの処遇という今後の懸案事項もあるのだから、東西分割を目指す、とはっきり宣言してしまうのもよいかもしれない。いずれにしろ、さすがに「なんとかしないと」という状況になってきているということは言えると思う。


岡田日本の第2フェーズへ


とはいえ、現在の岡田日本代表にとっては、(代表にとっては、だけに限るが)、この時期の東アジア選手権は、チーム作りのためにむしろ「あってよかった」ものでもある。タイ戦は1ボランチで戦ったが、それは「タイ相手だから」と当初より言われていた。ここで「対同等レベルのチーム」用の戦い方を試し、習熟しておければ、今後に向けて大いに糧になるだろう。岡田監督はダブルボランチ3トップを取り入れる可能性も示唆したようで、大いにここで試しておけばよいと思う。

ただ3トップをするのなら、シャドータイプのFWを組み込みたいところだが、今遠征にはほとんどいないのが難点ではあるが、田代、播戸、前田、矢野と、これまで起用機会の多くないFWを試すチャンスでもある。あまり勝敗にこだわらず、選手を休み休み使いつつ、怪我を避け、良い強化として欲しいと思う。

それではまた。

03:35 PM [岡田日本代表] | 固定リンク

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