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November 27, 2007
Svabo Ostani!
イビチャ・オシム日本代表監督が脳梗塞で倒れられてから、10日が経ちました。日本サッカーがどう、ということよりも、ただただ一人の人として、一刻も早いご回復を祈っています。
この報を聞いて以来私は頭が真っ白になってしまい、何も手につかない状態でした。ただJEF時代のオシムさんのサッカースタイルに魅了され、日本代表監督としてのオシムさんを応援していたに過ぎない私ですらそうなのですから、ご家族のご心労は、想像すらできません。また直接指導を受けていた日本代表やJEFの選手たちはさぞや心を痛めているだろうし、また特に五輪代表の水野、水本たちはよく戦い、よく五輪出場権を勝ち取った、と思います。
この件に関して、SoccerCastで語りました。正直、ここしばらくは友人とでもこの件は語りたくない状態だったのですが、「こういう状況だからこそやらねばならない」と思い、収録しました。いつもとは違うSoccerCastになりましたし、またこういうものですので「聞いてください」というつもりもありません。ただ、今の気持ち、考えをここに残しておこうと思ったものです。
3次予選組み合わせ決まる
さて、SoccerCastでも話したのですが、日本代表の南アフリカワールドカップへ向けた3次予選の対戦相手国が決まりました。世界のサッカースケジュールは、待ってくれないのですね。日本は第2組、バーレーン、オマーン、タイと対戦することになりました。バーレーン、オマーンといえば、ドイツW杯予選でも苦戦した相手です。日本の実力が上回っているのは確かですが、監督選びを間違えれば、再び苦しめられる、場合によっては足元をすくわれる可能性もあるでしょう。
日程 | 大会 | 相手 | 場所 |
1月中旬 | 日本代表候補合宿 | - | - |
1月26、30日 | 親善試合(2試合) | 未定 | 未定 |
2月6日 | W杯3次予選 | タイ | ホーム |
2月17日 | 東アジア選手権 | 北朝鮮 | 中国・重慶 |
2月20日 | 東アジア選手権 | 中国 | 中国・重慶 |
2月23日 | 東アジア選手権 | 韓国 | 中国・重慶 |
3月26日 | W杯3次予選 | バーレーン | アウエー |
5月下旬 | キリン杯 | 未定 | 未定 |
6月7日 | W杯3次予選 | オマーン | ホーム |
6月14日 | W杯3次予選 | オマーン | アウエー |
9月6日 | W杯3次予選 | タイ | アウエー |
9月10日 | W杯3次予選 | バーレーン | ホーム |
初戦は2月6日、ホームにタイを迎えます。そのための合宿は1月中旬には始まるでしょうし、予選のための準備試合が、1月26、30に予定されています。そう考えると、オシム監督が回復したとしても(もちろん絶対に回復すると信じていますが)、ストレスの大きい代表監督としてそのまま始動できるとは考えにくい現状、考えるのもつらいことですが、その後任選びは、ある程度急がなくてはならない、ということになります。
危険な「路線継承」
しかし、後任人事を急ぐあまり「予選も迫っているので手近な監督で」というのは間違いだと思います。現在、岡田武史氏に打診をしていることが報道されていますが、その報道の中に「オシム路線継承」という文字が躍っているのが、私は気になります。
岡田氏とオシム監督は、サッカー観も違うでしょうし、Jリーグで実現してきたサッカー像も違います。いや、サッカー観が近いと考えられる、オシム監督の弟子たちが実現しているサッカーを見ても、あるいはオシム監督がアドバイザーとして参加していた反町U-22を見ても、「オシムサッカーはオシム監督にしか指導できない」と考えるべきだと思います。
そしてなにより、岡田氏に就任を要請するならば、「岡田氏のやり方に日本を託すのだ」と考えなくてはなりません。「岡田氏のサッカーの方向性が、これからの日本サッカーの方向性として正しいのだ」というPLANを持って頼むのでなければ、おかしい。その場合は「オシム路線継承」ということではなく、「岡田サッカーを日本は目指す」という明確な目的意識を持たないと、再び日本は迷走していくと思います。
PLANあっての代表監督選び
日本はこれまで、「ボールも人も動くサッカー」を目指してきました。これはオシム監督だから、ということではなく、それ以前から日本が、日本の選手の特性を生かすために目指していたものです(ジーコジャパンは違いましたが)。そしてそのPLANにオシム監督が最適であるために、彼が選ばれ、日本代表監督に就いたのであるはずです。その「目指すサッカー像」はいま、変更されるべきなのでしょうか?
いま監督を再び選ぶならば、「ボールも人も動くサッカー」を目指している監督であるのか、実現したことがあるのか、実現できるのか、という基準で選ぶべきです。そうでなければ、「目指すサッカーを変更する」という意思決定が先にあるべきです。「就任した監督によって日本の目指すサッカーがころころ変わる」ということであってはなりません。
私は、オシム監督就任以来の2年間の、各年代日本代表(いずれも「ボールも人も動くサッカー」を目指してきました)の戦いぶりを見ても、その「目指すサッカー像」を変更する必要を感じません。今でも変わらずそれは、日本が世界と戦っていく上で、最適なヴィジョンだと思っています。もし協会が「目指すべきサッカー像を変える必要がある」と考えるので「ない」ならば、次に必要になるのは「岡田武史氏は、『ボールも人も動くサッカー』の実現のために、最適な監督であるのか否か?」という判断です。
岡田氏は実績のある監督であり、これまで指導してきたチームという、その判断のためのサンプルがしっかりとあります。日本協会はそれを参照して、目指すサッカー像との一致、実現の度合いはどうなのかを判断するべきです。それがなければ、「予選も迫っているので手近な監督で」という、再びの「PLANなき代表監督選び」になってしまいます。そのようなことはもう二度とあってはなりません。
タイ戦までは、暫定指導体制で
とはいっても、先に書いたように3次予選初戦が迫っていることは事実です。しかし、ここはSoccerCastで話していて、考えが変わった部分なのですが、私は「まず暫定的に、現状のコーチ陣で始動しつつ、時間をかけて代表監督を選定する」という案を提唱したいと思います。幸いにして、初戦はホーム、3チームの中では最も実力的には劣ると考えられるタイが相手です。ここはぎりぎり、暫定指導体制でも、オシム日本の核を継承したチームで戦っていけるのではないかと思います。
そうなると次は3月26日のアウェーバーレーン戦ですが、その前に2月17日~2月23日の東アジア選手権があります。このあたりまでに監督が決まっていれば、東アジア選手権で新監督の下で強化をしてもよし、あるいは新監督が東アジア選手権を見て選手の見極めに使ってもよし、暫定体制からうまくバトンタッチしていくことができるでしょう。いずれにしても、いま話題になっているような12月3日や、7日までに決めなくてはならない、という拙速は避けることができます。
もう一度書きますが、「予選も迫っているので手近な監督で」というのは、おかしな考えかただと思います。「日本のことをよく知っているから、今のチームの継承ができる」というのも、間違っているでしょう。その監督が、これまでのオシム日本と同じようなサッカーを志向していたことがあったのか、実現していたことがあったのか、ということのほうがずっと重要です。あくまでも、日本が目指すサッカーに最適な新監督が、自らのヴィジョンに基づいて強化し、その上で3次予選を勝ち抜いていく。新監督にはそういう能力を求めるべきだと思いますし、それが確認できる実績が必要だと思います。
望ましい代表監督像
以前に私が書いた、日本代表監督のために望ましい条件を再び書いておきます。
1:経験と実績のあるプロの代表監督であること*1
2:ボールも人も動く、コレクティブなムービング・フットボールを志向していること*2
3:できれば、日本や日本サッカーについて知識を持っている人であること
4:できれば、協会やマスコミなど、日本サッカー全体を改革する意思を持っている人であること
(*1:それは必然的に外国人監督となる=日本人に、経験と実績のあるプロの代表監督はまだいない)
(*2:ここ数年の日本全体の強化方針もこちらであった・・・ジーコジャパン以外は)
3、4は「できれば」ですが、1、2は「絶対に必要な条件」です。岡田氏は、実は日本人では唯一といっていい1の適格者ですが、2に関してはどうなのか、ということが問題になると思います。
最後になりますが、私は岡田武史個人のことは、好きです。監督としても、人物としても、好感を持っています。しかし、この問題はそれとは分けて、しっかりと日本サッカーの将来のことを考えて決めるべきだと思うものです。
オシム監督の一刻も早い回復を祈って。
それではまた。
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どうやって勝負事に勝とうと言うのか?
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