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March 20, 2007

もちろん、門は開いている

2007年最初の親善試合、3月24日のペルー戦に臨む日本代表が発表になりました

またも驚きの18人、2回(?)に分割しての代表発表です。これと同様のことがあったのは、初戦トリニダート・トバゴ戦に重なってA3の試合があった時で、そのスケジュールの不備に、オシム監督がある意味<抗議>の意味をこめて13人しか発表しなかったのではないか、と思いましたが、今回はなぜこんなことをしたのでしょうか?

さらに驚くのは、なんとFWが高原(フランクフルト)一人しか選ばれていないこと。合宿に呼んだ6人のFWはどうしたの?と聞きたくなりますね。我那覇は怪我だそうですからわかりますが、他の選手は?これに対しての、オシム監督のコメントがまた泣かせます。

オシム監督: また、今まで呼ばれているのに今回呼ばれなかった選手に関しては、ここ数試合の調子を見てのイエローカードだと思って欲しい。
ただしレッドカードのように呼ばれなくなるわけではない。今以上に考えて、いいパフォーマンスを発揮し戻ってきてほしいというメッセージだ。

FWがJリーグからは一人も、一人も呼ばれていないということは、これ以上ない強烈なメッセージでしょう。この水曜日(21日)にはナビスコカップがあります。このコメントを聞いて、FW陣をはじめ選手たちはさらに発奮するでしょう。ものすごく単純に考えると、ここで得点した選手がそのまま選ばれる、という可能性さえ感じさせます。まだ第1節のナビスコカップが、急にエキサイティングなものに変わってしまいましたね。

また、年頭の合宿には参加しなかったGK西川(大分トリニータ)、MF二川(ガンバ大阪)が復帰しています。ガンバのゼロックス杯以降の好調振りからみても、二川の選出は妥当でしょう。個人的には橋本、藤本を含め、とても好きな選手なので、今回の招集は凄く楽しみです。

FW陣のほかに残念なのはMF今野(FC東京)とGK山岸(浦和レッズ)、MF田中隼磨(横浜Fマリノス)でしょうか。特に今野や隼磨は試合に出ていながら選出外となったことで、オシム監督のメッセージの対象の真ん中と言えますね。必ず帰って来るべき選手だと思うので、ここでまたぜひ発奮して欲しいですね。


海外組の招集とチーム作り

また、かねてからの言葉通り、MF中村俊輔(セルティック)とFW高原(フランクフルト)も呼ばれています。これまでオシム監督は、「無理して呼んで、クラブでレギュラーをはずされては意味がない」と海外組の招集には慎重でした。が、国際Aマッチデーであり、各国リーグがしっかり中断されるこの機会に、レギュラーの座を(おそらくは)奪われないだろう二人を呼ぶ、という決断を下したようです。理にかなった判断だと思います。

また、そのほかの海外組の中田浩二(バーゼル)、松井(ルマン)、稲本(ガラタサライ)らは今回は見送りということのようですね(レギュラーを取りきれていない選手はもちろんですが)。これも、「一度に多くの選手を入れ替え過ぎては、チーム作りの継続性を得られない」という観点からは、合理的だと思います。

チーム作りにはある程度の時間がかかる。そのため、まずは国内組でチームのベースを作る。そして、合わせる時間の少ない海外組は、そこへ少数トッピングするような形とする。そのような、私のして欲しかった強化の形が、ここに来て実現しそうになってきています。うまく機能させて欲しいですね。


「いつでも帰ってきなさい。門は閉じられていない」

さて、この招集を見てつくづく思うのは、「オシム監督はけして門を閉じない」ということですね。これまでオシム日本に一度呼ばれ、その後招集されなくなった選手は何人かいます。それはおそらく、Jリーグでのパフォーマンスは十分だが、オシム監督が代表で要求することが出来ていない、という判断でしょう。特に二川、小林大悟、山瀬、中村直志など、攻撃的MFにそういう選手が多く、おそらくは「走る」ことの量と質で、まだ十分ではない、と判断されたのだと思います。

しかし、今回好調のガンバから二川が代表に復帰しました。一度下った判断も、いつでもクラブのパフォーマンスで覆すことができる、ということですね。そしてオシム監督は非常にJリーグの視察を精力的にする監督ですし(この日はなでしこ含め3試合!)、それを選考にも反映させるということは、今回また非常に明確に示されました。これからも、いつでも、誰でも呼ばれる可能性はあり、また外される可能性もあるわけです。「代表に指定席はない」ということでもあるのでしょう。

もちろん、このようなやり方にもメリットとデメリットがあります。「健全な競争」とよく言われますが、それはよいことばかりではないと思います。しかし少なくとも、「代表に指定席はない」「門は閉じられない」ということは、選手にとって常に希望と緊張感を与えてくれることでしょう。それが選手に、そしてJリーグに、好影響を与えてくれることを期待したいと思います。

ペルー戦がつくづく楽しみになってきましたね。おっとその前のナビスコカップも。

それではまた。

12:26 AM [オシム日本] | 固定リンク | トラックバック (0) |

March 15, 2007

ちぐはぐさの理由?

U-22北京五輪アジア2次予選vsマレーシア戦(アウェー) マレーシア1-2日本

試合は本田圭のグラウンダーのコーナーキックを平山が泥臭く押し込んで1点。後半途中、運動量の落ちた平山に代わった李が、家長の素晴らしいドリブル突破からのクロスに、ニアに入って合わせて追加点。全体に個人の能力でチャンスも作れたが、きれいにやろうとしすぎてピッチに邪魔されフィニッシュしきれない、という流れ。

マレーシアはロングボールで日本のDFラインの裏を狙い続け、日本は間延びさせられて苦しんだ。また、審判がJリーグ水準以上にちょっとしたことでファウルを取るという珍しい人で、そこのアジャストも選手には難しかったようだ。終盤に本田圭の与えたファウルからFK、ゴール前に放り込まれ上田が競り負けて失点。1-2で逃げ切って勝利した。予選であるし、勝ち点3取れたのはなにより、ではあるが・・・。


香港戦後半の継続 [3-4-3]

どうも反町さんのやっていることがちぐはぐだ。

大雨の後のマレーシア、水たまりか沼かという最悪のピッチコンディションの中、日本は、3-4-3でスタート。香港戦の後半と同じようなカタチである。ただ家長が広範囲を動き、布陣図が役に立たない場面も多かったが。

------平山------
---家長----増田---
本田--梶山--青山--水野
--青山--伊野波-水本--
-------林------

3トップと言うよりも、増田、家長というシャドー、ドリブラーを並べて平山の周囲に配するやり方を採った。香港戦の前半のチームに反町監督が非常な不満を抱き、「人選も含めて考え直す」と言っていたので、こうなるのは想像がついたことではあった。家長は自由に動き、増田は平山を孤立させないよう、中盤とのつなぎを意識して動いていたようだ。

香港戦では、李、カレンと平山の3トップがまさに「FW3人」となって裏を狙い続け、前後が分断されロングボールばかりの攻撃になってしまっていた。後半そこに増田が加わり、前後に動くことでようやく狙いとするパスがつなげるようになった。その時間帯をいいイメージとし、その継続で日本は立ち上がったわけだ。

しかし、この劣悪なピッチコンデションで、つなぐサッカーを志向した人選、配置というのはどうなのか。また家長、水野ともにボールを足元でもらおうとする「ドリブラー」であり、裏への飛び出しが少ない選手である。マレーシアは頻繁にオフサイドトラップをかけ、平山が再三それに引っかかっていたが、それは2列目の飛び出しでビッグチャンスになるような状況でもあるはずだ。しかし、それをする選手がいないのだ。


少なかった「飛び出し」「飛び込み」

家長がサイドでボールを持てば、これは本来ならビッグチャンスだ。一人二人は抜けるのであるから、クロスに対して中央に選手が入ってくるべきである。しかし、この試合では平山が中央で待つのみ。前後に間延びしてしまっているため、押上げが遅く、ペナルティエリアに入ってくる選手がいない。

オシム監督は山岸や羽生、加地や駒野を起用する理由として、「逆サイドからのクロスに対し、長距離を走ってゴール前に飛び込む能力」をあげていたと言う。逆に家長、水野にはそこが足りないのだ、と理解できる試合だったのではないだろうか?個人の1vs1の能力は高いのだが、「考えて、走る」部分では彼らは十分ではない。

このチームのことだけを考えるならば、彼らのような「ドリブラー」だけではなく、より「シャドー」であるような選手をもっと混ぜて、2列目からの飛び出しやペナルティエリア内への飛込みなど、ボールのないときの動きを活性化させていくほうがよいだろう。しかし、反町監督は、家長や水野に、「より走れる」ようになることを求めているように見える。それはつまり、「今日よりも明日のことを考えた」起用だということなのかも知れない。


「ちぐはぐ」さ=将来を見据えて、なのか?

冒頭で「ちぐはぐ」と書いたのは、この試合のことだけを考えるならば、この日のピッチコンディションでは、USA戦、香港戦の前半で使った「FW3人の3トップ」の方が機能した可能性が高いのではないか、と思われるからだ。3人の距離を近くし、李や平山にロングボールを当てて、こぼれを3人が相互に拾い、早めに敵ペナルティエリアに迫る。そのやり方はまさにこういう、「つないでる場合じゃない」時に有効なのではないか。

また、香港戦でそうしていたように、李、平山、カレンの3トップは裏を狙う意識も強い。彼らならば、李やカレンが2列目から飛び出していく攻撃もできただろうし、あの頻繁なオフサイドトラップをかいくぐってチャンスを作ることもできただろう。しかし、雨後のマレーシアで反町監督が送り出したのは「つなぎを意識した1トップ2シャドー」であった。

国立の整備されたピッチで放り込みになりやすい3FW、マレーシアの沼のようなピッチでつなぎを志向する。どうも「ちぐはぐ」なやり方の選択に見えて仕方がない。

しかし、「チーム強化」という観点から見ればどうだろうか。本田圭も香港戦に比べて「攻撃はよかったと思う」と語ったとのこと。この試合全般、ぬかるんだピッチでボールが止まり、最後の細かいところでボールを奪われてしまっていたが、確かに香港戦前半のロングボール一辺倒よりも「このチームの志向すること」に近いことはできていたと言える。少なくともそう「しようとしていた」のはわかる。反町監督がもし「2次予選を勝ちながら」「中期的に理想とするチーム強化」をしようと考えているのならば、このちぐはぐさにも一定の意味があるのだ、と言うこともできなくはないのだが・・・。

次はホームでのシリア戦。2次予選最大の難敵ではないかと個人的には思っているのだが、国立のピッチはマレーシアよりも格段にいいはず。香港戦後半と、この日にやりかけた、チームの方向性であるショートパスをつなぐサッカーで、そろそろ魅力的な選手を生かした内容も見せて、そしてもちろん勝ち点3をしっかりと奪って欲しいと思う。

それではまた。

05:32 PM [北京五輪代表] | 固定リンク | トラックバック (0) |

March 03, 2007

なでしこプレーオフ迫る

ひな祭りの日ですね。だから、というわけではないですが、今回はなでしこジャパンに関するお知らせです。

なでしこジャパンは、今年中国で開かれる女子ワールドカップに出場するため、メキシコ代表とホーム&アウェイで大陸間プレーオフを戦います。その決戦の第一弾(ホーム)が、いよいよ間近、3月10日(土)に迫ってきました。厳しい戦いになるでしょうが、ぜひともワールドカップへの切符を勝ち取って欲しいですね。

それへ向けてのイベントがあるそうなので、こちらで告知のお手伝いをいたします。

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元なでしこジャパン川上直子さんが登場!(フットボール道場)

ゲスト 川上直子さん(元なでしこジャパン) 江橋よしのりさん(サッカーライター)

3月7日(水) 開 場・・・・19時00分 開 演・・・・19時30分 

会場 DISCO PANTS

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プレーオフは3月10日(土) 14時 国立霞ヶ丘競技場

なんといっても記憶に鮮やかなのは、同じ国立で強国北朝鮮を下してアテネ五輪への出場を決めた試合ですね!あの時は国立に31324人が集い、その前でなでしこジャパンが素晴らしい、「これが日本のサッカーだ!」といいたくなる戦いを見せてくれて、出場権を勝ち取ったのでした。あの時のように、また国立を埋め、その力で女子代表の背中を力強く押したいものですね。私も事情が許す限り、国立へ参集したいと思っています。

それではまた。

01:05 AM [なでしこジャパン] | 固定リンク | トラックバック (1) |

March 01, 2007

ま、こんなものでしょう

反町五輪代表、アジア2次予選 初戦香港戦(ホーム) 3-0

重要な五輪予選の初戦、3点取っての勝利は文句なしの結果だが、反町監督本人をはじめ「文句なし」と思えている人はあまり多くないだろう。なぜこのようなフラストレーションがたまるのだろうか。

布陣はやはり3-4-3、USA戦から比べるとボランチの青山が復帰、本田拓に代わって入っているだけで他は変化なしの配置。

--李--平山--カレン-
-------------
本田圭-青山-梶山--水野
-------------
--水本-伊野波-青山--
-------------
-----松井------

前半、香港のラインが高いので、どうしても裏を狙った長めのボールを蹴ってしまう&前線の選手もそれを要求してしまうのだが、、そうするとうまくやらないと攻撃が単発になる。序盤の2発の平山のチャンス以外は、あまりいい組み立てができていなかった。

ただ一応、合宿で手をつけたというDF「3」→ボランチレベル「4」へのビルドアップのパスは、アメリカ戦よりも入るようになっていた。この辺も非常に素直なチームだと思う。本田、梶山、青山、水野が後ろでのボール回しの良く顔を出し、ボールを引き出していた。その部分はちょっと改善されていたと言えるだろう。

ただそこから前方へのパスが、裏狙いになってしまう。3-4-3の「4」のところまではボールを入れさせてくれるので、そこの選手たちが一人ひとり持つ時間が長くなって、「俺が決定的なパスを入れる」とか、FWなら「俺の前にパスを!」とか、あるいは水野の場合は時間をかけてドリブルする、という展開が増えた。これが反町監督がハーフタイムに「個人プレーに走っている」と怒っていたところだろう。

目を転じて守備では、今回はおそらくマイボール時の押し上げに、USA戦以上にチャレンジしていたと思う。基本はマンマークだが、マイボール時にはマークをやめ、押し上げていく。そこで日本がボールを奪われると、あらためてマークを掴まなくてはならない。この辺の不慣れさが、あのいくつかあったDFのミスの原因だろう。マンマークと押し上げの整合性をどう取るか。ここはこれからも問題になりそうな部分だ。


後半 人とボールが動くサッカー

さて後半になると、李に代えて家長投入。この後、選手たちが全体に動きの幅と量を増やしたことで、日本のペースが加速した。やはり、「まず動く」ということがないと、パスも回っていかないもの。水野や本田、家長もよく前後に動き、また中にも切り込み、パスコースを作っていく。そこへ、グラウンダーのビシッとしたパスが通り、そこからまた動いている周りにボールがわたり、いい攻撃ができる。それにより、水野、家長が高い位置でボールを持てるようになり、得点の気配がひしひしと漂っていく。

2点目は、右サイドで粘った水野から梶山。
3点目は、家長から増田(カレンと交代出場)

おそらく、後半の戦いぶりこそが反町監督が狙っていたものだろう。一人ひとりの技術は高い選手がそろっているわけで、きちんとパスコースを作り、組織的に動いていけば引いた相手でも崩せる、という考えだ。後半の戦いぶりを見ればその方針には納得できると言えなくはない。のだが・・・。

仏作って魂・・・

真剣勝負の予選で3-0での勝利は文句ないはずだが、何か釈然としないものが残る。

この世代、というよりも今のJでも屈指の才能の水野や家長、本田の使い方がこれでいいのか、という疑問が残るからか。ただ後半彼らが輝いたのは、チーム全体が上下動を増やし、動き回るようになったからで、頭から起用すればいいという問題でもないだろう。もちろん3トップの両翼が水野、本田圭の頭にフタをしているということもあるが、それもこの二人の動き出し、押上げが遅いせいでもあるのだ。

そういう意味では、このチームはまだディテールの部分での意識の統一がなされていない、と感じる。西部氏に言わせれば、その集積こそが「システム」だという、細かなディテール。例えば、パスはスペースでもらうのか、足元でもらうのか。パス回しの時は、どのようにボールに寄るのか、あるい離れるのか。これらの点で選手の「感覚」が統一されていないことが、多くのパスミスや、本田がシンプルにプレーできないこと、などにつながっているのでないだろうか?

詳しくは西部さんのこの文章(「システムとフォーメーション」)に対する次回の考察に譲りたいと思うが、オシム監督やトルシェあたりがなぜあれほどにパス回し練習や、攻守の切り替え練習などの「デイティ-ルの練習」に時間を費やすのか。もしかするとそれこそが「システムの肝」だからではないのか。そう言えば以前に山本監督がトルシェ路線だといわれたときには、このような言葉が投げかけられたものだ。

「仏作って魂いれず」なのではないか?

チーム戦術以前、グループ戦術以前のチームの細かい「感覚」の統一、もしかするとそれこそが「魂」なのかもしれないですよ、反町さん。ビデオで修正ポイントを伝えるのもいいですが、もっとずっと基礎的な部分をもう一度見直したほうが良くはないですか?オシム監督がやるような2vs2、3vs3の攻守の切り替え練習、あるいは多色ビブス練習は、最近はしていなかったりしませんか?それを復活させたほうがよくはありませんか?その方が、しっかりと「魂」の入ったチームにできる早道かもしれませんよ。

しかし、何はともあれ、予選であるから勝ててよかった。そういえばトルシェ五輪代表も1次予選で香港と当たっているのは、ほとんどの人がお忘れだろう。小野、中村、柳沢、本山、稲本のいた当時のスコアは4-1、ホームで2-0というもの。あの綺羅星のようなチームで、だ。それと比べても、ま、こんなものでしょう。

それではまた。

01:27 AM [北京五輪代表] | 固定リンク | トラックバック (1) |