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December 18, 2006

クラブW杯は「ワールドカップ」なのか?

Image166クラブワールドカップ決勝に行ってきました。会場には多くのバルサファンが詰め掛けていましたが、そこかしこに本国からの遠征組みとおぼしきインテルナシオナルサポが集団でいて、大きな声での応援を繰り広げていました。会場の雰囲気だけで言えば、インテルナシオナルホームのような試合でしたね。

試合はモチベーションも高く、しっかり準備したインテルナシオナルが勝利、多くの「ロナウジーニョの妙技を味わいに来た」ファンには残念な結果となりました。しかし、インテルナシオナルの選手たちの頑張りに、会場のかなりのファンもちょっとほだされたのか、得点のシーンでは相当な歓声が上がっていましたよ。ブラジル王者の、あれだけの技術を持った選手たちがあれだけハードワークする。そうでないと勝てないのですね。日本も見習いたいものだと思います。

クラブW杯の権威を上げる方法

さて、KINDさん、dorogubaさん、缶詰にしんさんが、「クラブW杯の権威を上げる方法」について非常に興味深い議論をされています。きっかけは、KINDさんの同名のエントリーから。KINDさんはこのように書かれています。

さて表題の件ですが、どうしたもんでしょうかね。「Jリーグから世界へ」を考えたとき、この大会のプレステージが上がってくれないと困るわけですよ。現状はどうでもいいわけですが、将来的にどうでもいいままでは困るわけです。

これに対して、缶詰にしんさん

けれど、なんとか盛り上がって欲しいって気分はあります。 開催国のメンツって言うよりかは、頂点の大会が盛り上がることで その予選も兼ねるACLが盛り上がってほしいってことでもあり ACLが盛り上がって欲しいのは、やっぱりJリーグが、クラブが アジアと世界とつながってる感覚の上に盛り上がって欲しいからです。

このように書かれています。私もこれにはおおぐくりで賛成です。

現状でJクラブがどうしてもACL(アジアチャンピオンズリーグ)に本腰を入れているように見えないのは、それを勝ち抜いた先のCWC(クラブワールドカップ)が、「どうしても参加したい」「そこで戦いたい、勝ちたい」大会とは目されていないからでもあると思います。それを変えることで、Jクラブが「世界で勝つために」という視線を現状よりも強くもつことになれば、それは日本サッカーのレベルをさらに引き上げていくことに資するでしょう。私はそうなって欲しいと思うものです。

さて、dorogubaさんは少し違う意見をお持ちのようです。

dorugubaさんは、現状FIFAがとろうとしている施策を「世界クラブ選手権に戻るだけじゃないか」として、「世界クラブ選手権は、成功しなかった」とお考えのようです。そして、私の読解が正しければ、その理由は主に「欧州チャンピオンの側の意欲不足」であると書かれていると思います。

私はこれにも賛成です。

ボスマン判決以降、欧州CLが実質世界最高峰の大会となり、そこで勝つほうがCWCで勝つよりもはるかに権威が高くなってしまっています。その状況において、欧州側がどこまで本気でこのカップを獲りに来てくれるのか。あるいは、本気で獲りに来る価値のある大会にできるのか。それは非常に難しいところでしょう。今回の大会でも、バルサのライカールト監督は次のように語っています。

今回は欧州チームがタイトルを取るには複雑な状況があったと思う。相手の方が(タイトルへの)飢餓感が強かった。

しかし、先にも書いたようにCWCが「Jリーグと世界をつなぐ」糸であり、門であると考えると、もっと発展していってもらわないと困る、とも思います。ではどうしたらよいのでしょうか?


日本開催と開催国枠

FIFAのCWC組織委員会は、再び開催国枠を設けたい意向を持っているようです。前回も一回は「開催国枠」が、組織委員会によって上申され、FIFAの理事会によって却下されていますので、まだ予断は許しませんが、一応その方向へ向けて前進を見そうです。

しかし、その時も書いたのですが、「開催国枠があるなら、日本継続開催はおかしい」と私は強く主張したいと思います。

現状日本で続けて開催されているのは、一つは旧トヨタカップ以来の慣性(欧州vs南米の旧トヨタカップが何故日本開催になったかはこちらに詳しい・・・開催地のフーリガンの問題が大きいようです)、もう一つは、主としてお金の問題で「どこも引き受ける国がないから」ということが原因でしょう。つまり、もし「開催国枠ありで日本恒久開催」ということになれば、「日本はお金の力でCWC出場の権利を買い取った」ことになります。これほどCWCの権威を引き下げる行為が他にあるでしょうか!

「もし開催国枠が認められるのなら、日本は継続開催を要求しない」これを日本は(川淵さんは)はっきりと宣言するべきです。そうでなければ、開催国が自らの手で(お金のために!)、大会の権威、価値を引きずり落とそうとしているのだ、ということになります。日本は、そろそろ「サッカー的に正しいこと」を世界に向けて発信するようにするべきでしょう。

参考:当面は日本継続開催の意向 FIFAブラッター会長

参考:メキシコ、08年大会名乗り=クラブW杯サッカー


クラブW杯の権威とは?

話を戻しましょう。私は「クラブW杯の権威を上げる」とは、「日本での視聴率、観客動員」が向上することだけではないと思います。「世界が大会の価値を認め、欧州からの参加国もクラブW杯を獲ろうと本気を出してくるような大会にする」ということが、その本当の意味になるでしょう。それがdorogubaさんとKINDさんのエントリーを止揚した考え方になるのではないでしょうか?

そう考えると、逆に現状「世界(特に欧州)が何故CWCの権威をそれほど認めないか」ということが問題になってきます。その原因はいくつか考えられますね。

1)欧州CLの方がレベル・権威ともに高い。
2)極東の地、日本で続けて開催されている。
3)毎年開催されている。

1)の問題が最も大きいことは確かですが、これは仕方がありません。CWCがレベル・権威を上げていくことで、それに対抗、凌駕していくことを目指すのが正しいでしょう。

2)3)の問題はどちらも、考えてみれば「ワールドカップ」と名がつく大会としては異例のことであると気がつきます。成人年代のフル代表のワールドカップはもちろん、U-20ワールドカップや、あるいはU-23年代の世界大会であるオリンピックも、各国(ないし各都市)持ち回り開催であり、また2年、ないし4年おきに開催されるものです。この形から大きく逸脱しているのが唯一、CWCであるということになるのです。

この逸脱はもちろん、前身たる旧トヨタカップからの受け継ぎでもあり、また開催にあたり運営面の問題をクリアすることが現状の形でしかできない、ということからきているわけです。さらには、欧州CLやリベルタドーレス杯が毎年チャンピオンを生み出す(したがってクラブ世界一も毎年決める必要がある)ということも毎年開催の原因でしょう。これらの諸条件による「逸脱」が、大会の価値、権威を世界が認めないことにつながっていると私は思います。「各年代のワールドカップは少なくともFIFAオフィシャルな大会だが、CWCはそうではない」・・・世界にはそのように見えてしまっているのではないでしょうか?


解決策?~「当たり前」への回帰

私は解決策として、「世界持ち回り開催」と「開催国枠の導入」をあげたいと思います。

CWCの特殊性、「ワールドカップの常識」からの逸脱のうち、大きな一つを解決するのが、「世界持ち回り開催」の導入です。それであれば、ようやく「開催国枠」が意味を持ちます。「日本以外では、金銭面、観客動員の問題で成立が危ぶまれる」という問題は、開催国枠を導入することで、いくぶん改善に向かうのではないでしょうか?もちろん現行のチケット料金が維持できるかはわかりませんが、開催国が出場しない場合よりは「まし」になることでしょう。

持ち回り開催には副次的効果もあると思います。それは、「欧州では、欧州のクラブは恥をかけない」ということ、「南米では、南米のクラブは恥をかけない」ということになるでしょうか。例えば次回開催がイタリアということになれば、開催国枠とあわせて2カ国、欧州の国が入ってくることになるわけです。おそらく世界レベルと言える試合はそれに加えて南米代表くらいになりますか。そうなれば、欧州代表も気が抜けない、大会のレベルがやや上がる、本気度がやや上がる効果があるでしょう。

(もちろん、旧トヨタカップが日本開催になった理由の一つ、フーリガンの問題は解決しなくてはなりませんが、欧州CLやワールドカップで経験が積みあがっていることに期待したいと思います)

缶詰にしんさんのおっしゃる王道=「スタジアムから盛り上げる」に関しては、まずこの「世界持ち回り開催」「開催国枠設置」によって行われるのがよいのではないかと思います。欧州開催なら、開催国に加えて欧州王者のサポーター、南米なら南米王者のサポーターが自然と来場するようになると、スタジアムが熱くなるでしょう。そして、そういう場ならホームチームは自然と本気にならざるを得ない。そのようになっていって欲しいものだと思います。

(お分かりのように、私は次回を欧州、その次を南米で開催して欲しいと思っています。本来なら立候補国から選ぶのがよいのでしょうが、ここしばらくは「権威向上のため」、「開催するべき(とFIFAが判断する)ところで開催する」でいいのではないでしょうか)

これによって、欧州では欧州の、南米では南米のファンにも、CWCを認知していってもらう。1994年に「サッカー未開の地」であるUSAでワールドカップを開催したのと同じ狙いです。身近でやっていれば、一応は興味を持つ。「あれ、こんなことやってるんだ」「まあわが国で開催されるのはこれっきりだろうから、見に行ってみるか」・・・後者が「希少性」による価値の向上です。そうして「知っている人」「見たことがある人」が増えてくれば、価値を認める人も自然と増えていくでしょう。

何かを考えるときに「目の前の諸問題の解決よりも、それを引き起こしている原因を探してしまう」のが、私の癖のようです。そして「改善」よりも「改革」を求めてしまう。「各大陸持ち回り開催」と、「開催国枠の設置」。当たり前の案ですが、この「当たり前」に回帰することが、最終的にはもっとも正しく、かつ効果的であるように私には思えます。それに付随する各種問題は、「当たり前」への回帰を前提に、努力して解決していくべきではないか、と思うのですね。


それではまた。

05:30 PM [サッカー] | 固定リンク

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