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November 03, 2006

反町日本も「多中心」サッカーか?

Chaina2先日、時間がぽっかり空いたので、国立で行われたU-21代表中国戦を観戦しに出かけた。しかしなんとハーフタイムで本業の仕事の呼び出しが入り、前半だけ見てスタジアムをあとにするという羽目になった。なんてことだ(笑)。

前半はバックスタンド中央で見ていたのだが、日本は自分から見て右から左へと攻める。ということは手前が日本の左サイドということになる。したがって、私は前半の本田圭佑選手を目の前で、じっくりと見る機会に恵まれたわけだ。

彼は実になんとも、目立っていた。

まだこのチームは、ビルドアップにぎこちなさが残る(アウェイの中国戦よりはよくなってはいたが)。そんな中彼にボールが入ると、ボールが落ち着く、取られる心配がない、ように見える。そして、彼からの美しい弾道を描くサイドチェンジが、攻撃を加速する。梶山との連携で得たシュートチャンスにGKの頭上を越えるループシュートを放つ。素晴らしい存在感だった。

アウェイではちょっと心配になった守備も、練習でやったという1vs1の体の使い方の向上、守備の意識の充実もあり、相当によくなっているように見えた。これほどの選手が、労をいとわずにDFラインに参加、敵をしっかりマークして離さない。これは実にオシムイズムっぽい(まあそう言っては反町監督に悪いのだけど)なあと思って見ていた。家長、水野、本田(圭)、さすがにもう誰も、「司令塔をサイドに追いやった」などと前時代なことは言わないだろう。

ところで、この試合の本田圭佑選手を見ていて気になったことが一つあった。パスをつないでいる時に、前線へ向けて動き出すタイミングが、私のイメージよりも一つ二つ早いのだ。左サイドやや低めでいったん止まれば、彼に預けて起点とし、その間にまわりが動き出すサッカーができるだろうと私はイメージする。しかし彼はそれをしようとせずに、前へ移動して行ってしまう。私は「あれ、このチームで預けどころにもっともふさわしいのは本田君なのに、何で受けてくれないんだろう?」と感じたのだ。

そうやって早めに前方に動き出した本田君には、フル代表のインド戦(の前半)に見られたような、DFラインからのダイアゴナルなロングパスが何度か入っていた。なるほど、こういう意図なのか。オシムっぽい(笑)。しかし、DFラインに人数を増やし、サイドにフリースペースを作らない中国のやり方では、ここで受けた本田君は窮屈そうにプレーしていた。もう少し下がり目でいったん受けて、そこからチームのリズムを作るプレーを選択し、それから上がっていった方がいいのではないか、と私はスタジアムで観戦しながら思っていた。

しかし、ここまで考えて、私はハッとした。


「ボールの落ち着きどころ」は必要か、否か?

私はU-21vs中国戦のスタンドで、私の考え方自体が、「ゲームメーカー待望論」になっていることに気づいたのだ。トルシェ時代のように「まず左サイドに預ける」とか、ジーコ時代のように、OMFやボランチの誰かがボールを納めて時間を作り、その間にまわりが動き出す、というような意味での「ゲームメーカー」。私は本田君の技術を見ているうちに、知らず知らずのうちに彼にその役割を見出し、彼がそのようにプレーしないことに違和感を(勝手に)抱いてしまっていたのだ。

最近、オシム監督の現今のサッカーに対し「つまらない」という意見が、少数ながらあるという。なんとも短兵急な、とも思うのだが、おそらくは彼らが求めているのも、これと同じことなのではないか。誰かはっきりしたゲームメーカーがいて、彼がボールが納めてくれると安心し、そこから「なにかしてくれる」と感じ、まわりが彼に「使われる」ことを求める。そういうサッカーは確かに見やすいし、わかりやすい。善と悪、あるいはこの役者はきっと悪者、とかがはっきりしたドラマのように(笑)、役割分担がはっきりしたサッカーは、わかりやすく、おそらく「おもしろい」と感じやすいのだろう。

私もまだ、どうやらそういうサッカーを求めているらしい、というのが、先日のU-21代表のvs中国戦(の前半)を見てわかったことだ。しかし仮説だが、反町監督のチームでも、特定の誰かを「ゲームメーカー」にするということは、しないのではないか。本田君ほどの選手でも、ボール回しの間に「使われる」ポジションへ移動することが求められているのではないか。ゲームの流れの中で、誰もが中心になり、また逆に走る役にもなる。その役割がくるくる入れ替わる。そういう「多中心サッカー」を、U-21も採ろうとしているのではないか。それが、本田君のポジショニングに、思ったよりも早い「動き出し」に、現れていたのではないか。

もちろん、私はグランパスサポではないので、クラブでの本田君のプレーをつぶさに見知っているわけではない。もしかすると彼は、グランパスでもこういう役回りを求められ、習熟し、それをU-21代表でもやっていただけなのかもしれない。しかも私はこの試合前半しか見ていない(笑)。ここでこういうことを言うのは気が早いかもしれないことは自覚している。しかし、フル代表、U-21と、「ボールの落ち着きどころ」を「わざと」設けないようなサッカーを見ていると、上記のような仮説を立ててみたくなるのである。

以前のエントリーで書いたのは、ありていに言えば「海外組が合流しても、ボールの落ち着きどころには『しない』かもしれないよ、オシムさんは」ということなのだ。技術の高い選手の合流があっても、一部の人が待望するようなサッカーにはならないかもしれない。これは、もちろん仮説であって、そういう選手が出ればそうする、のかもしれない。どちらかわからない。しかし、ストイコビッチに対し「彼は『正しい』ファンタジスタだ。彼は『走る』事を知っている」と言うオシムは、どうもそういう「落ち着きどころのあるサッカー」をよしとはしないような気がするのだ。

「多中心サッカー」はわかりやすくはない。しかし、もし実現できれば、確かに日本に向いているようにも思う。今後この仮説が正しいのか、またその方針は継続されていくのか、さらにはそれは世界に通用するのか、楽しみに見ていきたいと思う。

それではまた。

12:32 PM [北京五輪代表] | 固定リンク

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