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October 05, 2006

おかえりなさい♪

Ghanaキリンチャレンジカップ2006/10/04 日本0-1ガーナ 

ドイツW杯16強、決勝トーナメントでブラジルに敗れながらもあの印象的な戦いを見せてくれたガーナが、実にいいメンバーをそろえてくれて来日。オシム日本にとって、ほぼはじめて迎える世界レベルの相手との対戦は、0-1での敗戦となりました。さて、この試合は皆さんどうごらんになりましたでしょうか?ニッサンスタジアムのスタンドで、選手がパスミスやトラップミスをするたびに頭を抱えながらも、私は個人的には非常に楽しみました。

ポリバレント!

Ghana352前半の布陣はこのような感じでしょうか。








Ghana361いやそれともこう言うべきか。

私が見ていて楽しかったのは、この布陣図がまったく役に立たない場面がほとんどだったということです(笑)。三都主が右で突破していたり、鈴木が左アウトサイドに入れば三都主がバイタルエリアで守備をし、今野がサイドを駆け上がれば、その時は駒野がセンターバックに入っている。ポゼッション時にも誰もがくるくるとポジションチェンジしながら、奪われればそこを最初のDFの起点とし、ファーストプレッシャーをかけにいく。幾分まだぎこちないですが、こういう形こそオシム監督がやりたいものでしょう。就任以来初めて守備が問題になる試合で、急ごしらえのDFラインながら、全体でかなりそれができていたのは、個人的にはとてもよいことと思います。

私は以前の、中村、中田、稲本、小笠原、小野などがいる中盤について「奪えば、中盤の誰もが攻めの起点になれる」という点で、日本の数多いCMF(セントラルミッドフィールダー)を生かせるものだ、と思っていました。ガーナ戦の選手たちは、あれほどの精度はないものの、代わりにと言っては何ですが(笑)、「フィールド全域で『全員が』攻めの起点になるべき」というサッカーを展開していたわけです。もちろん、まだ完全にこなせていたというわけではないですが、「この方向に行くのだ」という指針は、これまでの4試合に比べても、さらに色濃くピッチ上に描かれていたといえます。

私はその指針がはっきりと見えたのが、観戦していてとてもうれしかったのです。

新しい息吹

もう一つ、楽しかったのが後半途中から次々と投入された、フレッシュな選手たちです。佐藤寿人に代えて羽生、山岸に代えて播戸、巻に代えて我那覇、遠藤に代えて中村憲剛、鈴木啓太に代えて長谷部、そして三都主に代えて二川。先制点を取られて、逆に精神的に「吹っ切れるしかない」状況に置かれた彼らは、実にはつらつとピッチを駆け回っていましたね。羽生の動き出し、播戸の飛び込み、アグレッシブさ、我那覇のポストプレー、憲剛のリスクチャレンジ・パス、ミドルシュート、そして長谷部のドリブル、二川のワンタッチ・パス・・・。

攻撃は、機能したところと、敵の守備能力に戸惑ったところと両方がありますね。Jリーグなら個人でキープできるところも、Jリーグなら通るパスも、ガーナ相手では伸びてきた脚にからめとられてしまう。しかし、今日はそれを選手たちが経験するための強化試合です。チャレンジしてみたのはよかったのではないでしょうか。機能した部分は、いくつか作った非常に惜しいシュートシーンを数えていけばわかるでしょう。個人的には、後半10分ぐらいの巻(ヘッド)→寿人(折り返し)→山岸(軸足シュート)と、40分あたりの播戸の倒れながらのシュートが非常に印象に残っています。

それぞれのプレー

スターティングメンバーの選手の個人評を少し。

水本: 守備のベーシックな能力と、パススピードの速いグラウンダーのクサビパスに感心しました。失点時にピンポンに振り切られたのは彼ですが、これをいい経験にして欲しいですね。

駒野: これまでの批判を振り払うような活躍(特に前半)ではなかったでしょうか?戦術理解も高いし、これからも試される権利を得たと言えるでしょう。

鈴木と阿部、遠藤はこのぐらいはできて当然、というところ(遠藤はイエメン戦よりもよかったと思いますが)。ただ、押し込まれた時間が続いたあたりで、落ち着かせることは彼らの役目ですし、もっとできないといけませんね。

川口: こういう試合では生き生きとしますね(笑)。グッドセーブ連発!

今野: 守備面では運動量も多く「何人いる?」状態でよかったのですが、ビルドアップ時に「狭い方」へパスを出してしまうのがいただけない。いったん奪われて危機に陥ったことがありました。この辺は精進して欲しいところです。

寿人: 守備面でがんばっていました。現代サッカーでは、FWにも守備を期待する戦術を取る監督が多くなってきています(バルサでさえ!)。そのあとの攻撃に持ち味を出したシーンもありますが、もっとできる選手でしょう。なるべくストライカーとして起用してあげたいですけどね。

巻: 寿人と一緒に「裏」を狙いすぎだったような気がします。我那覇のように下がってのポスト、散らしをもっと意識してもよかったのでは、と思います。ただ、みんな気づいてくれませんが(笑)、ロングボールをしっかり収めて地味に貢献していましたね。

山岸: ちょっと緊張していたのでしょうか。前半は動きが固く、いつもなら走り出すところで躊躇している場面がありました。次第に動けるようになっていきましたが、その辺は経験のなさが出た、というところ。今後に期待ですね。

三都主: どう評するべきか本当に難しい選手です。今日も一人で静止して持って、DFラインにフェイントでチャレンジして奪われるというプレーを繰り返していました。技術は疑いないのですから、「抜ききらなくてもまわりを使い、使われるプレー」を覚えてくれるともっと連動性が高まるのですが・・・。

マンマークと「帰ってきたもの」

守備に関しては、基本はマンマーク。中盤でもボールが入った選手に一人が必ずつき、前を向かせないようにする、という方針だと思いますが、このやり方はよく選手が一箇所に固まってしまうんですよね。そこからサイドのオープンスペースに展開され、ピンチとなることが何度か。オシム監督のサッカーは、ここでも「走る」ことが要求されます。守備面でポジションバランスよりもマークを優先する結果、空いたスペースのカバーは運動量で行わなくてはならなくなるわけです。そして奪えば、全員がまたぱっと散って動き出していく。前者も、後者もまだそれほどできていません。ここは向上が必要な部分でしょう。

それと、失点後、ちょっとだけ守備に「びびり」が入りませんでしたか?そう言って悪ければ、「これは当たりに行くとかわされるぞ」というような感覚になっていませんでしたか?敵の脚の長さを警戒しすぎたのでしょうか?その時間帯はマークに行っても少しルーズに過ぎ、簡単に前を向かれ、パスを回されていましたね。もちろん疲労もあったと思うのですが、あれではいけません。ただその後、「1点取り返しに行くぞ!」という気合が全員に出てきた時には、再び当たりに行くことができ出したので、非常によかったと思います。あれを続けないとね。

そして最後、全員が鬼気迫る動きで敵のDFラインのボール回しを追い回す。播戸がボールに頭から飛び込んで、怪我をする。それを見ていて私はちょっとだけ目頭が熱くなりました。ちょっとだけ、ちょっとだけですけどね。「ああ、『これ』をドイツで見れていたら・・・。」皆さんは違う感じ方かもしれませんが、私はそこに「魂」を見ました。なぜでしょうか。私は「おかえりなさい」と言いたい気持ちでいっぱいです。

それではまた。

04:42 AM [オシム日本] | 固定リンク

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