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October 29, 2006

U-21中国戦の観客動員は問題なのか?

Chaina先日のU-21vs中国戦は最終的には21,190人という観客を集めましたが、前売り券の売り上げは不調だったようです。これは一般にも話題になり、敬愛する武藤さんもこの件で講釈をされています。この問題提起、問題意識は世間一般とも共通するものでしょう。武藤さんの考察に準拠しつつ、私も少しこの問題について考えてみたいと思います。

 ワールドカップ直後の年の五輪代表と言う事を考えると、類似的な試合としては8年前、98年11月のアルゼンチン戦が思い出される。

いい試合でしたね、これは(遠い目)。最近知り合ったサッカーファンにも、「あの試合でトルシェを決定的にプラスに評価した」という人が多かったです。それはさておき、あの試合は観客動員としては47,374人入ったようです(ソース:FOOTBALL ASCII)。ただこれは、11月23日という、休日の試合だったことも考えなくてはならないでしょうね。

また、今回の対中国戦を98年との比較で言えば、「対アルゼンチン」という「代表ファンでないサッカーファン」の興味も引くカードだったことも考慮に入れなくてはならないでしょう。残念ながら「対中国」というのは、対戦相手の「ブランド価値」で相当劣るのは仕方のないところです。

例えばトルシェ時代、あのナイジェリアワールドユース準優勝後の1999年5月12日(水曜日)に駒場で行われたU-21対オーストラリア戦は「平日夜、駒場、ブランド相手でない」ということから、観客は12,392人(収容人数は21,500人)に過ぎませんでした。

 このように整理してみると「アテネ五輪以降のあるタイミングで、五輪代表に対する『漠然とした期待』が全く小さくなってしまった」と考えざるを得ないではないか。

私は、アルゼンチン戦47,374と今回21,190の差は、「平日か休日か」「対アルゼンチンか対中国か」で大半の説明がついてしまうように思います。しかし同時に、武藤さんのおっしゃる「アテネ五輪以降のあるタイミングで、五輪代表に対する『漠然とした期待』が全く小さくなってしまった」ということもまた、肌感覚では同意なのです。これはどういうことでしょうか。

 元々、各方面で「ドイツワールドカップに向けて、広告代理店は完全に浮動層のファンをメインターゲットにマーケティングを実施、それに日本協会(と言うか川淵会長)も乗ってしまい、結果として適切な強化ができずドイツでは完敗、さらにドイツでの日本の不甲斐なさに浮動層もサッカーからサヨナラ」と言う懸念が語られていたが、それが現実化してしまったのだろうか。もし、そうだとしたら危機的状況である。

「ドイツでの不甲斐なさ」だけが原因とは思いませんが、いわゆるマーケティングの手法が「一部の選手人気」に依存しすぎたものであって、そういった選手がいなくなればこのような状況になるのは、理の当然といえましょう。

 「代表人気にあぐらをかいて適切な営業活動をしなかったから」と言う批判も多く見受けられるが、上記のトルシェ氏時代や山本氏時代だって、適切な営業活動が行われていたとは思えない。

おっしゃるとおり、「営業活動」というのを例えば「事前の広告、宣伝活動」などと捉えれば、8年前も今回もそんなに差があるとは思えません。8年前にそんなにたくさんCMを打っていたという記憶はありませんね。

とすれば「10年以上継続していた代表バブルがはじけた」と言う事なのか。これまた、そうだとしたら危機的状況である。

1999年のU-21オーストラリア戦(12,392人)、同じく99年のフル代表対イラン戦(35,860人@横浜国際競技場)と見比べると、「代表バブルが10年以上継続していた」ということはないのではないか、と私には思えます。やはりW杯直後、五輪予選も始まっていない時というのはこんなものなのでしょう。


日本特有だった、五輪代表人気

 一方で、「欧州や南米では、U23代表への注目度は低いからこんなもの」と言う意見もあろうが、そうだとすればアテネ前の大観衆はどこに行ってしまったのか。

日本はもともと、「オリンピック」というものへの関心がとても高い国です。サッカーというカテゴリーでは、フル代表年代の代表の大会が、世界的にはほとんど唯一の関心ごとであるにもかかわらず、日本ではサッカーでも五輪代表の人気が非常に高かった。トルシェが「五輪年代の予選にこんなに客が入るとは!」と驚愕していたというエピソードを私は記憶しています。

そして、トルシェ率いる五輪代表が親善試合(例:vsU-21韓国4-1!)で、予選で、よい戦いぶりを見せたこと、そこで攻撃陣が活躍したことで、彼ら個人個人が「スター」になって行き(バーモントカレーのCMに起用された選手もいましたね)、「五輪そのものの人気」×「スター人気」で、トルシェ五輪代表人気は爆発していきました(それが02-06のフル代表の特定選手人気にもつながっていくわけですね)。これはこの間、フル代表のアジア予選がなく、五輪代表の予選のみが「真剣勝負」だったということも影響していると思われます。

しかし、状況は変わりました。もっとも大きかったのは、「02年に日本でワールドカップを開催したこと」だと私は思います。これによって、日本でも多くの、本当に多くの人がフル代表の真剣勝負の魅力を知り、「世界には五輪を上回るワールドカップという舞台があるのだ」「五輪のサッカーは明らかにそれよりも下なのだ」ということを理解してしまった。それがもっとも大きかったのではないでしょうか。

次に、「日本代表の試合」というものが、U-21であれフル代表であれ、本当に珍しかった頃と、今とでは、もう状況が違いすぎる、ということがあるでしょう。98-02にはなかった、ホーム&アウェーでのフル代表のアジア予選という真剣勝負。まがりなりにもFIFA主催のタイトルのかかったコンフェデ杯。そしてもちろん、W杯本大会。日本のお客さんはもう「真剣勝負」の味をふんだんに知ってしまっています。

そうなるとやはり、五輪年代のたかが親善試合にお客さんが入らなくなっていくのも当然のことといえるでしょう。そういう認識に立てば、平日夜の2万人超というのは、U-21としては十分な数字だと私には思われます。日本も欧州、南米なみに、「フル代表の、真剣勝負、ないし価値の高い試合にしかお客さんは注目しない」という状況が現出しつつあるのだと考えるべきでしょう。


マーケティングではなく、強化の本道へ

Image121_1これは私は「不可避的変化」だと思います。「正常化しつつあるだけ」とも言えましょう。例えば洋酒業界では、日本では、世間一般の理解の浅さと(時代的に仕方がありませんでしたが)、おかしな酒税法によって、正確にはウィスキーではない洋酒が「ウィスキー」としてまかり通ってきたという過去があります(左写真は本物のウィスキーですが)。その後、理解が進むにつれて、また酒税法の改正により、それらは「ウィスキー風スピリッツ」として売らねばならなくなり、当然、そこにあったビジネスは縮小していきました。

この場合は、「そういった誤解に基づいた市場にビジネスの本拠を置き続けること」が間違っているのであって、「誤解を継続する」努力をしてもまったくの無駄です。そこでビジネスをしていた企業は、別のところにきちんとビジネスの本拠を見つける、作る努力をするべきです。まあこれまでの五輪代表人気をすべて「誤解」と決め付けるつもりはありません(私だって熱狂した一人です)が、JFAが今後ともそこをビジネスのひとつの主戦場とするのは、無理があると思えてなりません。

したがって私は、JFAは観客減に対し、「それを解決するためだけの」具体的な対策はとりたてて打たなくてよい、と思います。それは「怪物!平山!」(笑)とかになりかねない要素をふんだんに持っているからです。川淵氏が会長の座に居座り続けるならなおさらです。今週のサカマガがその一環だという噂はありませんか?なんでしょう、「フィールドのステルス迷彩」ってのは(笑)。もちろん、普通にU-21を取り上げてくれる、候補になった選手の特徴を書いてくれる記事は歓迎ですけどね。

もっとも重要視するべきは、「対戦相手が本当に中国、韓国でいいのか」「それが最もよい強化と言いきれるのか」「招集、合宿、試合を含めた強化のスケジュールは妥当なのか」というところでしょう。重要なのは今回の五輪代表によい強化環境を用意してあげること。Jリーグとの日程の整合性、強化試合の対戦相手、強化合宿の日程、などすべてを含めてです。それによって、北京を目指す五輪代表が強くなり、魅力的な試合を続けていくようになれば、自然ともっとお客さんは集まるようになりますよ。

マーケティングの基本は、よい商品を作ることです。これか古今東西、変わりません。JFAにはその部分を間違えないで欲しいと思います。

それではまた。

02:35 AM [北京五輪代表] | 固定リンク

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マスゴミは一人の若者を持ち上げたり、貶したり、相変わらず忙しい様ですな。 オシム語録を良く読んでから、記事にして貰いたいモノだ。 ホームシックで帰ってきてしまう ナイーブな若者にとって、些か辛辣すぎる のではナイだろうか? 「そう言うお前はどうか」って? 大学進学を選んだ時点でダメポって言ってきた。 まあ 2chのサッカースレだったから、発言していないに等しい がorz いかん!表面的な事しか見ないマスゴミにつられて、余計なことを書いてしまった。 スポーツ界、とくに、これから世界に打って出ようとする... 続きを読む

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