June 15, 2006
次だーーーー!!!!
現地では、切り替えられないサポーターが俯いて歩き、今日などは同じレストランで食事していた日本人夫婦が喧嘩を始め、おさめるのがたいへんでした。いやー、落ち込みますね、あの負け方は。私はまだ声が枯れております(笑)。
■リスクを犯したくない?
試合を生で見ていると、まずは前半のラインの非常な低さが目につきました。まあ、「まずは低目からスタートして、プレスがかかれば次第にラインを上げていく」というのは、ドイツ戦でも成功したやり方ですから、それでいいといえばいいのですが・・・。それにしても異様に低い。オーストラリアを過剰に警戒した宮本が個人で下げてしまったのか、ジーコの指示なのか・・・?
私は、ドイツ戦のように低い位置でもコンパクト、プレスがかかればラインを上げ、高い位置にコンパクトを作るやり方なら、この暑さでも先にスタミナ切れを起こすのはオーストラリアだろうと思っていました。しかし、この試合ではディフェンスラインは低いまま、日本ボールになっても押し上げる気配がない。これでは、攻撃性の高い中田が走らせる前線の選手とDFラインの距離が開いてしまい、無駄に体力を消耗するぞ、という懸念が、前半途中で沸いてきました。
■なぜ押し上げられなかったのか?
そのひとつの原因は、あきらかに中田、中村にターゲットを絞っていた敵のハードなチャージです(ヒディンク監督のコメントでもそう言っていますね)。こういう「ボールを持つ」タイプのポゼッション(ボールを回す、のではなく)では、キープする時間の長い選手が狙われるのは必然です。これによって、おそらくは中村選手は次第に「壊れ」(フィジカル的にもメンタル的にも)に陥っていたのではないでしょうか。終盤には本当に動けなくなっていたようでした。
このようにハードにチャージされることで、日本の「低い位置からでもボールを持ちながらじっくりとゾーンを押し上げていく」というやり方がまったくできなくなっていたこと。それにより、ゾーンが低いままで、高い位置からのプレッシングがほとんど機能せず、敵に自由にボールを回されていました。まあ、ある程度は「回させていた」という部分もあると思いますが、あそこまでラインが低いとチャンスを作られやすくなり、シュートも多く打たれてしまいます。
→オーストラリアはロングボールを蹴るだけだった、という意見を目にしますが、「そう?」と私は疑問に思います。ヒディンク監督になってからのオーストラリアはむしろグラウンダーのパスを回すチームで、それも前半からけっこう日本はやられていました。本来なら日本のプレスと相性のいいはずの敵のやり方なのですが、日本チームのラインの引きすぎ、敵のチャージにやられ高いゾーンを保持できなくなっていたことなどから、かなり自由にやらせてしまっていましたね。まあ先制後は、「あえてそうした」という部分もあるでしょうが。(オーストラリアがロングボールを増やしていったのは後半途中からですね。)
■わかりやすいヒディングの戦略
これは、日本は体力勝負に持ち込まれるとやばいかもしれない。リードされたヒディンク監督は、後半途中からFWをどんどん投入し、バンザイアタック(あれ?)に出てくるでしょうから、それに付き合わないようにしないといけない。それにはロングボールの出所を押さえることですね。セオリーです。
また、これまでのオーストラリアのテストマッチを見ていると、ロングボールを入れてくるにしてもそれでそのままヘディングシュートではなく、また裏に抜けるのでもなく、まずは後ろを向いて胸トラップ、キープ、そのまま反転するか、2列目に落としてシュート、というカタチがものすごく多いことに気がついたはずです。それはまったく予想がついたことでした。
案の定、後半途中からどんどん新しいFWが投入され、次第にロングボール攻撃が増えてきます。それにしても、裏に一発で抜けることの少ない敵FWですから、バイタルエリア(DFラインの前、ボランチの後ろぐらいのエリア)を締めておけば、それほど怖くないはず。ダブルボランチの自重が求められる局面でした(1点リードしているんだし)。
■局面を変えた選手交代
さてここで小野投入です。先にも書いたように、中田と中村がハードなマークでボールポゼッションしきれていなく、それがゾーンの低さにつながり、守備にも悪影響を及ぼしている・・・とジーコ監督は考えたのだろうと私は想像します。そこで起点をひとつ増やして、「キープしてほっと一息する時間」を作ろうとした・・・?そうであれば、この采配はあながち間違いではないと思います。ただ、敵がFWの枚数を増やして、また先に書いたようなロングボール→胸トラップ→キープ→2列目という攻撃を狙っている時に、バイタルエリアを開けることは完全に間違いです。ジーコ監督の指示がどうだったのかわかりませんが、結果的にそのパターンで失点していますね。なんとも残念です。
ここで個人的には本当はやってほしかったことは、巻か玉田の投入でした。玉田ならロングボール1発でもカウンターの役に立つ(終盤はカウンターのチャンスに誰一人走っていませんでした)し、敵陣深くでキープしてくれれば時間稼ぎにもなります。あるいは巻なら、かつてのゴン中山を思わせるような、最前線からの「魂の」強烈なチェックをして、ロングボールの出所をつぶし、日本の守備陣を楽にしてくれたでしょう。私はいわゆる「守備的ボランチを入れろ」よりも、こういう交代のほうが勝利に近かったと思っています。
■日本は戦っていたか?
選手たちも、監督も、日本の美点であるボールポゼッションを放棄しようとは思っていなかったでしょう。ただ、予想以上に中盤でのハードなフィジカルコンタクトでそれが分断され、復帰のめどが立たなかった。それはもうひとつにはジーコ監督のハーフタイムの指示「1点を守りきれ」によって、選手が慎重になり、スペースを作り、使う「オフザボールの動き」に参加しにくくなっていたこともあったでしょう。しかし、ヒデは守りきるつもりは全然なく、相変わらずスペースへ鋭いパスをビシッと通していましたね。その辺のジーコとヒデ、ヒデと周囲の選手の意識の乖離が、なんとも残念だったことです。
ただ、試合終盤では(TVには映っていなかったかも知れませんが)、マイボールになった瞬間に走っているのはヒデ一人でした。彼の姿からは「戦っている」事がよく伝わってきました。しかし、他のほとんどの選手は走らないばかりか、守備でマイボールになった瞬間にはボールから目を離して歩いていて、自分にパスが出ると驚く選手もいる。守備陣がようやく敵から絡め奪ったボールを前線にパスをしようとしても、誰も走っていないからただのクリヤーになってしまう(6/15 20時訂正済)。この試合で現地のサポが本当に打ちのめされたのは、同点にされ、逆転された後の選手たちの「あの」姿でした。しまった、書いていてまた涙が出そうです(笑)。
■NEXT TWO WIN!!!!
しかし、しかしです。まだあと2試合あります。
「緒戦で負けたチームが勝ちあがれる確率は4%」ですと????たった2大会のそれではデータが少なすぎますよ。だいたい「緒戦で」というのが統計の嘘です。どういうチームと当たるかということのほうが重要なはずで、そういう意味では「グループリーグで1敗したチームが勝ちあがれる確率」とするべきです。この2大会に限定すると、決勝トーナメントへ上がったのべ32か国中、9カ国が1敗しています。割合にして26%!ですよ。しかもその中には、イングランドやブラジル、結果的に3位になったクロアチア(98年)、トルコ(02)も入っています。そう考えると、悲観することはまったくないでしょう。ないんですよ。
今ごろ選手たちは次へ向けて熱い話し合いの真っ最中でしょう。ある意味これで吹っ切れて、「やることはひとつ」と考えられるはず。次試合は「攻め」に吹っ切った選手たちののびのびとした「自分たちのサッカー」が見られるでしょう。幸い、オーストラリア戦を見て「がっかりした」らしいクロアチアは日本を舐め、オーストラリアほどは激しいチャージをしてこない、日本にとって持ち味を発揮しやすい敵となると予想されます。いいサッカーを見せて、そしてもちろん勝ってほしいですね。いや、勝てるでしょう、勝ちます!
ニ”ィィィィィィィィッッッポン!!!!
それではまた。
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