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June 07, 2006
ではドイツで!
ドイツワールドカップ2006も開幕まであと少しと迫ってきましたが、まずはじめにご報告です。
私は日本戦3試合を見に、ドイツへ渡ることにしました。
現地に一応インターネット環境は持って行くつもりですが、現地から更新ができるかどうかはわかりません。最悪は、W杯期間中の更新がなくなってしまうかもしれませんが、ご容赦願えれば幸いです。
■最高の試合と・・・
さて、ドイツ戦、マルタ戦と、最高の試合を見せてくれた後に少し気の抜けた試合を見せてくれた日本代表ですが、これらはどれもそれほど驚くようなことではないでしょう。以前にも書いたように、加茂監督の昔から、出てきてスペースを与えてくれる欧州強豪に対してはいい試合を見せられても、引いて守ってくる相手には苦戦するのが日本の特徴でした。さらには、何と言っても現代表は「家族」なのであって、家族は、ドイツ戦のように自然にモチベーションの上がる「危機」には強いが、マルタ戦のような「平時」にはピリッとしなくなってしまう。これは以前から見られたことですね。
ドイツ戦のままオーストラリア戦を迎えるより、マルタ戦を経験しておくことでチーム全体がふたたび「危機」を感じ取ってくれているほうが、W杯に向けてはよかったと言えると思います。そしてまこそ、この「家族」の最大の目標だったW杯に直面しているわけですから、だいじょうぶ、マルタ戦のようにピリッとしない試合は本大会ではないはずです。
■アジアカップ代表+チーム・ヒデ
ドイツ戦は、直前の話し合いの成果が十分に出て、前半のように押し込められた時間にはFWも下がって全体を低い位置でコンパクトにして我慢でき、プレスが利きだしたらラインを上げて積極的に奪いに行く、そういう使い分けができていましたね。前半はアジアカップ仕様、途中からはそこに中田英や高原の要求していたプレス主導~シンプルな速攻仕様を織り交ぜた、というところでしょうか。これはドイツのような「出てきてくれる」敵に対しては実に有効でした。
そして特筆すべきは、このような「プレッシングからのショートカウンター」戦術においては、中田英選手の特徴である「すばやく的確なアプローチ」「力強い1vs1のディフェンス」「視野の広さと大きな展開」が非常によく活きていたことです。そしてそれを引き出すヤナギをはじめとする選手たちの動き出しのよさ。私や中田英が、常々代表に「やってほしかった」「やるべきだと思っていた」サッカーがそこに出現していました。このサッカーができればオーストラリアやクロアチアには十分対抗できるでしょう。
■バーンアウト
ところがマルタ戦です。マルタは先制されても出てこない、5バックで引いてスペースを消し、入ってきたら集中して体を張って止める、攻められ続けてもあわてない、あせらない、という、トルシェの言う「守備の文化」が息づいているような敵でした。「勝って景気をつける」という目的のために選ばれたのでしょうが、「日本と対戦することに恐怖を感じていた」と監督の言う、こういうチーム相手に大勝するのは難しい。
その上、ドイツとの激闘の結果、精神的にややバーンアウトした選手たち。グループリーグにピークを持っていくためにかけている負荷による、フィジカルコンディションの低下、などなどが拍車をかけました。ヒデは「走らないと勝てない」と言っていたようで、確かにその通りなのですが、私は「無理もない」と思ってしまいますね。
この試合ではヒデの「走れよ!」というメッセージの乗ったパスが目に付きましたね。味方選手が動き出していなくても、その前方へ、前方へのパススピードの速い、力強いパス。あるいは、FWの足元につけるビシッとしたクサビのパス。どちらもロジカルで、勝つためにはよい選択肢なのですが、チーム全体となんともフィットしていない感を受けました。
さらには、有限実行というか、最も動き出しが早く、走り回っていたのも中田英でした。しかし、この試合ではこう言っちゃなんですが、それは逆効果の部分もあり、中田がトップスピードで引いた敵の中に入っていっても、トラップがどうしても浮いてしまい、奪われることのほうが多かったですね。ペナルティエリア付近で「なにか」を起こす力は小野や中村、選ばれていませんが松井あたりのほうが上だと思います。
ジーコ監督もそう思ったのはわかりませんが、後半から4バックになり小野投入、しかも中田英を上げるのではなく、小野がオフェンシブに。この3バックから4バックへのシフトチェンジは、アジア予選などでは効果を上げてきたわけですが、ここではうまく行きませんでしたね。さらに玉田に代え小笠原(大黒のワントップ)、福西に代えて稲本(ヒデよりも高い位置にいましたね)、そして大黒に代えて巻のワントップと、日本は完全に「選手に試合を経験させる」モードへ。
ただ、ドイツ戦までで出来た「レギュラー組の話し合い」には彼らは入っていないわけで、また国内で行われたキリンカップの試合には中田英や中村は出ていなく、コンビネーションがまだまだ。フレッシュな選手を投入するほど攻撃がこう着状態に陥るという、やや残念な結果となりました。
まあ、後半の選手交代も「1点をもぎ取って来い!」というよりは、「試合勘を取り戻して来い」だったことは確かですし、ここで出来上がった4-5-1も「オプションを充実」ではなくて、「使うべき選手を投入していたらそうなった」だけでしょうから、ここでできていなくても取り立てて問題視するには当たらないでしょう。点を取りたいときのオプションは他で充実しているはずです(そういえば中村選手はFKをあまり見せていませんでしたね・・・笑)。
■彼らは出てきてくれるか
個人的に少しだけ気になるのは、ドイツ戦をオーストラリアとクロアチアに「見せてしまった」ことです。「日本相手には出て行くとやられる」・・・もし彼らがそう思って、マルタのようなやり方を取ってくると、マルタよりもカウンター時がはるかに鋭いですから、少し困ったことになりますね。ただ、クロアチアは自らを強者と自認してくるでしょうし、「日本から勝ち点3を取らなくては」という状況にあるはずですから、出てきてくれるものと思います。そうなればドイツ戦の再現ができるでしょう。
オーストラリアは激しいフィジカルコンタクトを高い位置からかけてくるチームですね。2002年の韓国を思い出しました(笑)。ただあの時にくらべると、韓国人選手の持っていた凄いスタミナはないでしょうから、後半に日本がポゼッションを回復し、細かいパス回しをしていけば、大男DFの足元を突いていけるでしょう。両チームともセットプレーから得点しようとするでしょうが、コンフェデの時のギリシャも「日本は小さいから高さで勝てばかんたんだ」とばかりそこばかり狙って来て、かえって対処がしやすかったですね。
どちらの試合も、ドイツ戦の再現になれば十二分に勝機があるし、マルタ戦のような試合振りになったら危険でしょう。その最大のポイントはメンタル面と、コンディション、そして「敵が出てくるか、否か」。敵に関すること以外は、こちらで完全にしておくことができるものですから、これまで自分たちがやってきたことを信じて、しっかりと準備をして臨みたいですね。
ではドイツで!
ガンバレガンバレ、日本代表!
それではまた。
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