« 「オフ・ザ・ボール」というメッセージ | トップページ | いよいよドイツへ! »
May 15, 2006
代表発表前夜
もう今日(2時間後)は、ドイツW杯に向けた日本代表の発表の日ですね。昨日から実にいろいろと選手選考について喧しいですが、ここでひとつ、基準となるジーコ監督の選考基準について考えてみましょう。
ジーコジャパンで最も重要なのは、「貢献度」だと一般に言われています。ジーコ監督自身もそう明言していますね。ただ私は、その前にもう一つ重要な基準があると思っています。
それは、うまい言葉ではいえないのですが、「才能」「クオリティ」というようなものです。
かつての超名選手であったジーコ監督がその「目」で選んだ、「この選手には才能がある」「この選手は試合を決めるクオリティを持っている」ということ。それが、実はすべてに優先しているのではないか、と思います。
コンディションのよい普通の選手よりも、コンディションが悪くても才能がある選手を。
ジーコ監督がそう考えているとすると、これまでのさまざまな選考基準、ふるまいにも納得がいきます。というか、理解が進みます。ジーコ監督の中の「序列」も、それによってまずは決まっているのでしょう。「今日本のベストとなるメンバーを」というのはそういうことなのだと思います。
時としてジーコ監督は、「才能」「クオリティ」を重視することで、それまで所属リーグで試合に出場せず、勘を鈍らせているような選手や、熱があって動けない選手も優先的に起用したりします。それが悪い方に出たのが1次予選緒戦オマーン戦でした。
同時に、才能があると「見込んだ」選手に対しては非常に強い信頼を寄せ、結果が出なくても我慢して使い続けたりします。それを「意気」に感じた選手が「これほどに信頼してくれるのだから」と、いつもは出せないレベルのチカラを発揮したりする。それがアジアカップ優勝の一つの力になった(可能性がある)のは、このやり方のよい点だったと言えるでしょう。
私の記憶が確かなら(ちょっとソースが見当たらなくなってしまったのですが)、昔ジーコ監督は、怪我でいくらかブランクがあった中村選手に対し、「彼は試合を必要としている」と、試合に優先的に起用し、その復調に手を貸したことがありましたね。これもいうまでもなく、「その時点」でのコンディションよりも「才能」=クオリティを優先していることから来るものであり、「才能で決められた序列の上位に来る選手」には、代表戦をリハビリに使うような、そのような扱いも「あり」だということなのでしょう。
そういうわけで、今年に入ってからのテストマッチは、私にはあまり「選考」の役に立っているとは思えませんでした。それよりも、久保、小野といった、「才能」により見込まれた「序列上位」の選手たちの「リハビリ」に使われていたのだと考えると、この半年間のマネジメントが非常にしっくりと来ます。そのかいがあって、と考えるべきか、所属クラブのスタッフの努力を褒めるべきかわかりませんが、小野はここに来てずいぶんと復調してきたようですね。もちろん、リハビリだけではなく、彼らを組み込んだ上での連携をなるべく構築しておく、という側面もあります。
(ブルガリア戦、スコットランド戦も、小野と玉田、遠藤のための試合だった、と考えると、しっくり来るのではないでしょうか。)
このやり方を是とするか、非とするかは、意見が分かれるところでしょう。2002年にも、長期にわたって怪我で動けなかったベッカムが選ばれ、メンバーとして出ていますし、1994年大会でも、大会中に負傷したバレージが、期間中に回復し、決勝戦に出場したということもありました。一部の選手に関しては、コンディションよりもクオリティを、という考えが正しいことも、時としてある。
しかし同時に、1次予選緒戦オマーン戦のように、コンディションを重視しないマネジメントがマイナスに働くことも多い。どちらが正しいかは、ポリシーによるのでしょう(もちろん2分法ではなく、どんな監督もその両者の間でバランスをとって考えるのだと思いますが-トルシェ監督@2002年大会も、最初は復帰直後の森岡を先発させていましたしね)。
ジーコ監督は、そうとうな「クオリティ」「貢献度」重視派ですね。それはもうわかっていることで、変わらないこと。明日の発表は、1、2名を除いてほとんど予測はつきますね。怪我上がりの選手を入れることは、ギャンブルの部分は出てしまうかもしれませんが、そういう監督なのだから、それもそれで、一つの方法なのだ、と思います。
ほとんどの方と同じだと思いますが、一応私の予想メンバーです。
GK: 川口、楢崎、土肥
CB: 宮本、中沢、田中誠、坪井
SB: 三都主、加地、中田浩、駒野
DMF: 福西、小野、稲本、 *遠藤
OMF: 中村、小笠原、中田ヒデ *松井
FW: 久保、高原、大黒、柳沢 *玉田
最後の枠を、遠藤、松井、玉田のうちの二人、というところでしょうか。誰が選ばれても、クオリティにおいて日本を代表する選手たちであることは間違いがありません。今はまだちょっとだけ心がざわざわしているでしょうが、今日にはすべてが決まります。決まってしまえば、泣いても笑っても後1ヶ月。覚悟を決めて、よい強化をしてドイツに臨んで欲しいですね。
それではまた。
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
この記事へのトラックバック一覧です: 代表発表前夜: