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May 29, 2006

いよいよドイツへ!

Bottleみなさまお久しぶりです。久保落選のショックで更新が空いてしまいました。どうもすみません。

前回のエントリーで書いたように、私は「それでも、ジーコは久保を選ぶ」と思っていました。相当に状態が悪くても、最後の最後で何かをしてしまう。久保をそういう選手だと見込めば、例えばブラジル戦の後半にしか間に合わなくても、久保を選んでしまう。それがジーコ監督の「家族・序列マネジメント」の真骨頂だと思っていたのです。

それには、悪い面もあるでしょうが、いい面もある。コンディションの悪さから試合内容を低下させても、最後の瞬間に「なにか」をしてくれるのはやはりそういう選手なのだ、ということを、ジーコジャパンは示してきたのではないか、と私は感じていました。

しかし、久保は落選。代わりに巻が入る。これはもちろん、JEFファン、巻ファンの私からすると、とてもうれしいことですし、非常に合理的な判断だとも思います。しかし、それと裏腹に、巻との比較ではなく、「日本人にもこんな怪物FWがいるんだよ」ということを世界に示すチャンスがなくなったのは、純粋に残念だと感じている私がいるのです。それはもちろんジーコを非難するというものではありません。しかし、今回奇妙なことに、私はジーコの「非合理性」に、ずいぶんな信頼(?)を置いていたようなのでした。

しかしこれも、もはやネット的には旧聞中の旧聞、繰言の部類に入ってきたことですね(笑)。選手は目前に迫ったW杯という大目標に向けて全力を集中している時です。これからは気持ちを入れ替えて、決まった23人を応援していきたいと思います。


■前か、後ろか

さて、代表合宿では「戦術の話し合い」がどんどん進んでいるようです。やはり出場する選手同士が顔を合わせて、じっくり話をできるようになってから、このチームのチーム作りは急速に仕上がるのでしょう。本番までに完全にすり合わせて、よい戦いを見せて欲しいですね。

こちらは、日本での合宿で一回あった戦術練習での話し合いについての記事です。国内組からなる守備陣は、エクアドル戦で「一回下がって待ち受けてからプレスの網にかける」という戦いを選択し、奏功していましたね。ヒデにもそれを踏襲して欲しいということでしょう。私も、現状ではその方針に賛成です。

戦術練習が中断するたびに、ボランチを務めた中田英の周りに選手が集まった。DF加地、宮本、三都主…。そのたびに中田英は苦笑い。守り方、攻め上がり…。次々に改善を求められた。
 この日は、数的不利な状況での守備を反復。加地が守備につけない状況で、攻撃を受けたときには、中田英が対応することを確認。そこで加地は「ボールにいかないで、スペースを埋めるようにして」と求めた。
 中田英は1対1に強いため、数的不利な状況でも、ボールを奪いにいく傾向がある。だがボールを奪えなければ、決定機を与える危険性が高い。宮本は「ボランチ1人じゃ守れない。出ていかないで!」と訴えた。

中田ヒデ選手のファーストプレスの出足の早さ、その際の1vs1の強さ、戦術眼は大きな武器なのですが、それをチーム全体で後押しするためには、チームの意識が統一されていることが必要です。現状では、中田選手を3-5-2のボランチとして起用する以上、セカンドプレスをチーム全体で整備するよりも、「いったん下がって待ち受けて」を選択せざるを得ないでしょう。

しかし、渡欧してからの練習でもその部分がふたたび焦点になっているようですね。以下5月29日(月)の毎日新聞より

 28日の紅白戦では控え組に展開力のある選手が多く、中盤でボールを回された。W杯でも想定できる場面だ。すると、DFラインは裏のスペースを突かれることを警戒して自陣まで下がった。ジーコ・ジャパンは、11人がコンパクトに守ることが約束である。おのずと、チーム全体が自陣に引かざるを得ない。こうなると、ゴール前で相手をはね返すことはできても、攻めるには相手ゴールが遠い。

これは、日本で行われた話し合いどおりの「いったん下がって待ち受ける」やりかたですね。

 この状況が続き、中田英(ボルトン)が試合を止め、宮本(ガ大阪)、福西(磐田)らと話し合う場面があった。中村(セルティック)は「ヒデさん(中田英)としては『最終ラインを下げすぎだ』という意見だった」と解説する。攻撃陣は最終ラインを押し上げて、ボールを相手ゴールに近い位置で奪取して、攻撃を仕掛けたいと感じる。得点を奪えなければ試合には勝てないという考えだ。

最終予選前にも書いた通り、中田ヒデは「ラインを高く、高い位置で奪う」ことを志向する選手です。攻撃面では「アクション・サッカー」と言われるジーコジャパンですが、守備面でも「アクション」を仕掛けていく守備、積極的な守備をしたい、ということですね。アジアカップ以来、下がって待ち受けること、いわば「リアクション的守備」をよしとするようになったチーム全体と、どう折り合いをつけていくのか、注目ですね。

 一方、宮本は「各国の親善試合を見ても、最終ラインを高い位置まで押し上げているところは少ない」とリスク管理を重んじる。

国内組は、下がって成功したイメージが色濃いのでしょうね。私も、オーストラリア、クロアチア相手には、いったん下がって待ち受けて、敵の自滅を誘う「戦略」のほうが、今回のチームでは正しいのではないか、と思っています。ブラジルを相手にする時はもちろんですが。

福西は「それぞれの意見は違うが、まとまりある決断をしなければならない」と話す。

その通りだと思います。そろそろ決断をして、意識統一を図って欲しいですね。


■完全公開が育てるもの

さてこちらは、ジーコ監督が練習の完全公開方針を貫いているという話題です。宮本は「ありがたいことです」と言っていますね。

前回大会では、若い選手たちが迎える地元開催のW杯ということで、この熱気がダイレクトにぶつかると「上がり」や「入れ込みすぎ」につながりかねない懸念がありました。2004年の1次予選でも、ホームの熱い声援による「いいサッカーをしなきゃあ」とい過緊張、いわゆる「ホーム・ディスアドバンテージ」があったと、宮本も言っていますね。それもあり、トルシェ前監督は非公開を貫いたのですが、今回は平均年齢も上がり、W杯を経験している選手も増えてきました。そういう状況では、公開方針もよいことのように思います。

ブラジルではいつも完全公開なのだそうですね。それはブラジルにおいては、サッカーの代表、特にW杯というものが、国民全体の関心事-いわば「国民代表」の行なう4年に一回の祭典、マツリゴトのようなもの-であるという事なのでしょう。やはりそういう環境があるから、ブラジルの選手は応援をエネルギーに変える強い回路を体内に持っている。今回のこの完全公開方針が、日本の選手にも「国民全体」との一体感を感じさせ、体内に「それ」を大きく育てていく、その端緒になると、それはよいことではないか、と思うのです。

まあさすがに、セットプレーの一番大事なところくらいは隠してもいいんじゃないかと思いますが・・・。

しかしいよいよ本番、W杯まであと少しですね。ドイツのご飯はおいしいでしょうか。私も少々緊張してきました(笑)。

それではまた。

04:20 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1) |

May 15, 2006

代表発表前夜

もう今日(2時間後)は、ドイツW杯に向けた日本代表の発表の日ですね。昨日から実にいろいろと選手選考について喧しいですが、ここでひとつ、基準となるジーコ監督の選考基準について考えてみましょう。

ジーコジャパンで最も重要なのは、「貢献度」だと一般に言われています。ジーコ監督自身もそう明言していますね。ただ私は、その前にもう一つ重要な基準があると思っています。

それは、うまい言葉ではいえないのですが、「才能」「クオリティ」というようなものです。

かつての超名選手であったジーコ監督がその「目」で選んだ、「この選手には才能がある」「この選手は試合を決めるクオリティを持っている」ということ。それが、実はすべてに優先しているのではないか、と思います。

コンディションのよい普通の選手よりも、コンディションが悪くても才能がある選手を。

ジーコ監督がそう考えているとすると、これまでのさまざまな選考基準、ふるまいにも納得がいきます。というか、理解が進みます。ジーコ監督の中の「序列」も、それによってまずは決まっているのでしょう。「今日本のベストとなるメンバーを」というのはそういうことなのだと思います。

時としてジーコ監督は、「才能」「クオリティ」を重視することで、それまで所属リーグで試合に出場せず、勘を鈍らせているような選手や、熱があって動けない選手も優先的に起用したりします。それが悪い方に出たのが1次予選緒戦オマーン戦でした。

同時に、才能があると「見込んだ」選手に対しては非常に強い信頼を寄せ、結果が出なくても我慢して使い続けたりします。それを「意気」に感じた選手が「これほどに信頼してくれるのだから」と、いつもは出せないレベルのチカラを発揮したりする。それがアジアカップ優勝の一つの力になった(可能性がある)のは、このやり方のよい点だったと言えるでしょう。

私の記憶が確かなら(ちょっとソースが見当たらなくなってしまったのですが)、昔ジーコ監督は、怪我でいくらかブランクがあった中村選手に対し、「彼は試合を必要としている」と、試合に優先的に起用し、その復調に手を貸したことがありましたね。これもいうまでもなく、「その時点」でのコンディションよりも「才能」=クオリティを優先していることから来るものであり、「才能で決められた序列の上位に来る選手」には、代表戦をリハビリに使うような、そのような扱いも「あり」だということなのでしょう。

そういうわけで、今年に入ってからのテストマッチは、私にはあまり「選考」の役に立っているとは思えませんでした。それよりも、久保、小野といった、「才能」により見込まれた「序列上位」の選手たちの「リハビリ」に使われていたのだと考えると、この半年間のマネジメントが非常にしっくりと来ます。そのかいがあって、と考えるべきか、所属クラブのスタッフの努力を褒めるべきかわかりませんが、小野はここに来てずいぶんと復調してきたようですね。もちろん、リハビリだけではなく、彼らを組み込んだ上での連携をなるべく構築しておく、という側面もあります。

(ブルガリア戦、スコットランド戦も、小野と玉田、遠藤のための試合だった、と考えると、しっくり来るのではないでしょうか。)

このやり方を是とするか、非とするかは、意見が分かれるところでしょう。2002年にも、長期にわたって怪我で動けなかったベッカムが選ばれ、メンバーとして出ていますし、1994年大会でも、大会中に負傷したバレージが、期間中に回復し、決勝戦に出場したということもありました。一部の選手に関しては、コンディションよりもクオリティを、という考えが正しいことも、時としてある。

しかし同時に、1次予選緒戦オマーン戦のように、コンディションを重視しないマネジメントがマイナスに働くことも多い。どちらが正しいかは、ポリシーによるのでしょう(もちろん2分法ではなく、どんな監督もその両者の間でバランスをとって考えるのだと思いますが-トルシェ監督@2002年大会も、最初は復帰直後の森岡を先発させていましたしね)。

ジーコ監督は、そうとうな「クオリティ」「貢献度」重視派ですね。それはもうわかっていることで、変わらないこと。明日の発表は、1、2名を除いてほとんど予測はつきますね。怪我上がりの選手を入れることは、ギャンブルの部分は出てしまうかもしれませんが、そういう監督なのだから、それもそれで、一つの方法なのだ、と思います。

ほとんどの方と同じだと思いますが、一応私の予想メンバーです。

GK: 川口、楢崎、土肥

CB: 宮本、中沢、田中誠、坪井
SB: 三都主、加地、中田浩、駒野

DMF: 福西、小野、稲本、  *遠藤
OMF: 中村、小笠原、中田ヒデ  *松井

FW: 久保、高原、大黒、柳沢  *玉田

最後の枠を、遠藤、松井、玉田のうちの二人、というところでしょうか。誰が選ばれても、クオリティにおいて日本を代表する選手たちであることは間違いがありません。今はまだちょっとだけ心がざわざわしているでしょうが、今日にはすべてが決まります。決まってしまえば、泣いても笑っても後1ヶ月。覚悟を決めて、よい強化をしてドイツに臨んで欲しいですね。

それではまた。

12:28 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0) |