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November 06, 2005おめでとうジェフ!
ナビスコカップ決勝を観戦に国立に行ってきました。試合後のセレモニーがとてもジェフらしくてよくて、あそこに参加できたことがとても幸せで、つくづく行った甲斐があったと思える決勝でしたね。
試合自体は、一発勝負の決勝らしく序盤からお互いにリスクを犯さない入り方をしたようでした。このカードから「攻め合いの試合になるのではないか」という戦前の予想が裏切られ(笑)ましたが、しかし両チームの守備の意識の高さが見られ、締まったよい試合になったと思います(鈴木チェマン会見)。
鈴木チェアマン:
両チームとも守備の意識が非常に高い試合だった。集中力の切れない素晴らしい試合だった。あれではなかなか点も入らないだろうと思った。
サッカーを知っている人には玄人好みの面白い試合だっただろう。
とはいえ、ジェフはハースを欠き、ガンバは二川、家長が不調だったり出場しなかったりというところが響いている部分はあるように思いました。
やはり「大きくして(ちょっとだけ)上手くした柳沢」のようなハースが動きながらボールをおさめ、そこからやわらかなボールが散らされると、ジェフの攻撃は一段も二段もよくなります。この試合では彼がいなく、1トップの後ろにホペスク選手と羽生選手が配置されていました。特にホペスク選手がボールを「待って」しまうことが多く、全体に「追い越す動き」が減って、ジェフらしい攻撃が減っていましたね。
ガンバは、3トップの脅威が強調されていますが、それを支える二川、遠藤、橋本、家長といったあたりのパスワークも非常に重要なのだと思います。特に両サイドに二川や家長というもともとはインサイドの、攻撃的中盤としてファンタジーを見せるような選手を配置し、彼らと3トップのからみから多くのチャンスをつくりだしていました。しかし、怪我もあり、ここ最近はそれが難しくなって来ていた(西野監督会見)。二川は怪我から何とかこの試合には出場しましたが、やはりトップパフォーマンスとは言いがたかったですね。ガンバはボールを支配できず、ジェフボールを奪ってカウンター、ということのほうが多い印象でした。
しかし、序盤に何度か見せたそのカウンターが、アラウージョ、フェルナンジーニョ、大黒の3人の個人技のために反則級に怖く、序盤はらしさを見せていたジェフから、やや思い切りを奪ったように見えました。決勝の重圧、ガンバ攻撃陣の個人技の脅威、それらによってジェフがいつものジェフではなくなっていましたね。ボールを追い越す動きがずいぶんと減っていました。
スタジアムではそのように感じて帰ってきたのですが、オシム監督の会見を聞くとこれはオシム監督のゲームプランというところもあったようで、抑え気味からスタートしての後半、延長勝負と読んでいたがゆえのものだったようです。確かにいつもに比べると中盤でのアタックも少なく、ルーズめにマークしていることも目に付きました。スタンドからは「ジェフ硬くなってるなあ」という声が上がっていたのですが、あえてセーフティーに、一発勝負のカップ戦の戦い方を選択したのだとすると、「ジェフも大人になったなあ」と言うべきだったでしょうか。
後半になって、動きがいくぶん変わってきたジェフ(両監督ハーフタイムコメント)。
オシム監督(千葉):
・暑くてやりにくいのはわかっている。前半はハンドブレーキを上げて走っているようなものだ。
・攻撃はもっと危険なプレーを仕掛けること。
・もう少しマークに対してタイトについていこう!!
・ゴール前で何かやるなら全力でプレーしよう。
また、ジェフは工藤、水野、そして林と攻撃陣を活性化させる手を打ってきたことで、さらに動きのよさが出できました。これに対して怪我上がりの宮本を投入、シジクレイを中盤に上げる采配を見せた西野監督。これはなかなかの好采配だったのではないでしょうか。ジェフは中盤に起点が作りにくくなり、ロングボールが増えていきました。ただ、水野、林といったあたりが投入されているので、その前に入れるとけっこうチャンスになります。後半から延長にかけては(シュート数はともかく)ジェフの決定機の方が多かったように感じました。ジェフは、手持ちの駒が減っている中、こういう戦い方もできる、というところを見せましたね。
ところで、私はバック上段という、とてもディフェンスラインの見やすいところから、試合を見ていました。すると、やはりマンマークを重視して時にバランスの崩れることをいとわないジェフ、それに比べると相当ゾーンバランス重視のガンバDFラインというのがはっきりと見えて、興味深いものでした(←写真:左がジェフ、右がガンバ。ともに左が自陣ゴール方向です)。しかし、その上でガンバはシジクレイの獅子奮迅の活躍が素晴らしく、読みも強さも一級品でした。周囲にはジェフサポが多かったのですが、「またあいつだよ」という声が何度も何度も上がっていましたよ(笑)。
さてPK戦の結果はでましたが、首位ガンバにはもちろんリーグ戦での優勝を目指した戦いがあるわけです(勝ち点差5のジェフにも)。ガンバはやはり3トップ以外の構成力が落ちているのが課題でしょうか。むしろこの試合の前半のように、守りを固めて3トップに任せる、というような戦い方を選択した方が脅威だと思うのですが、西野さんはどうするか。ジェフはやはりボールを持ったときの、ゴール近くに行ってからの「違い」を作り出すところにやや難があるように感じます。ただそこはやはり一朝一夕には変わらない部分ですから、今の、「額に入れて飾っておきたくなるような試合」の時のようなよいサッカーを維持、貫き通すことが重要でしょうね。
ところでエルゴラッソではとうこくさんが漫画に「オシム監督(105キロ)の胴上げが見てみたい」と書かれていましたが、試合後選手たちが胴上げしようとしたところオシム監督が辞退して「なし」になってしまったようです。確かにそれで腰を傷めたりしたら目も当てられないわけですが(笑)、ある意味一番の注目でしたね。とうこくさんの着眼点は鋭い!
両チームの選手、監督、関係者、そしてサポーターの皆さん、本当にお疲れさまでした。オシム監督の涙腺がゆるんでいるのを見たら、ジェフサポではない私もぐっと来てしまいましたよ。「サッカーを呼吸する」ということの一端を(あくまでも一端ですが)感じることができたような気がします。Jクラブのサポであることが、とてもうらやましく思えたナビスコカップでした。
そしてジェフ千葉、初タイトル、おめでとう!
それではまた。
10:40 PM [Jリーグ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0) |