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October 11, 2005

ラトビア戦ヒデインタビュー

さて、ラトビア戦の試合自体はまだまだ見たいところもあるのだけど、もう一つ話題は中田英寿選手の試合後のインタビューでしょう。サッカーのある幸せでエルゲラさんがまとめてくださっているのでご参照ください(ページの下の方です)。

私も見ていましたが、中田選手の表情、言い方、それを読めないインタビュアーの拙さなどに思わず「あちゃー」と顔を覆ってしまいました(笑)。中田選手の言い方も社会人としてはいかがなものかと私なんかは思うのですが、あのインタビューでは無理もない。そう思っていたら、中田選手に対して「いかがなものか」メールを送った方もたくさんいらっしゃるようです。彼自身が自分のページでそれに触れて、ある意味反論しています。

中田選手の言っていることはもっともだと思います(ただ、もう一度言いますが「態度」においてはもう少し何とかなんないの?と私も思います)。日本のインタビュアーは、特にこういう場所での短時間のインタビューでは、ちょっと困った質問をすることが多いのも事実ですね。エルゲラさんのまとめを引用しながら(エルゲラさんありがとうございます)、どこが問題だったのかを少し読み解いて見ましょう。


■インタビュアーが言いたいことを言うスタイル

インタビュアー:「何か、ワールドカップ本番を思わせるような緊迫した雰囲気になりましたが、結果2対2でした(マイクを向ける)」

ここですでに、中田選手の言う「相手がきちんと考えて質問をしていなかったり、自分が聞きたい答えを導き出すためだけの質問」になっているのではないか。私は「ああ、不機嫌なヒデにこういう聞き方をするとなあ」と思いながら見ていた(笑)。

まず、「何か、ワールドカップ本番を思わせるような緊迫した雰囲気になりました」というのは記者の感想であって、中田の意見ではない。本当に中田選手の考えを聞きたいのなら、それを言う必要はない。邪推(笑)すれば、テレビ朝日の設定した「決意のヨーロッパ遠征」と同様、「この試合は意義があるんだ!!!」とテレビ朝日が強調したいだけにも聞こえる文言だ。

さらには「結果2対2でした」というのは質問になっていない。これこそ「で?」と聞きたくなるような投げかけだ。「そうですね」としか応えてもらえなくても仕方がないようなものだ。にもかかわらず、日本のインタビュアーは良くこれをやる。この部分がヒデメールでも「どう答えれば良いんだろう?」と言われているところだろう。

この一連の質問は、重要なのは前半であって、それが言いたいだけのものだったのではないか。どう答えるか迷うような、どう答えてもいいような質問は、それよりも質問に先立つ「インタビュアーの言いたいこと」を出したいだけの、商売のための考えから出たのではないか。

私はここで中田選手が「で?」というのではないかと冷や冷やした。しかし、中田選手は大人の対応(笑)を取る。どうこたえてもいい質問を、それなりに酌んで答えてあげたのだ。

質問は「2対2の結果でしたが、先制できていただけに残念です。追いつかれたのはなぜだと思いますか」ということですよね?

と脳内補足してあげ、

中田英選手:「いやまあ、やっぱり前半で取れるうちに得点を取らなくって、それがやっぱりこの結果につながったと思います」

という答えだ。私は「ちょっと偉いな」と思ったくらいである(笑)。


■対話になっていないインタビュー

しかし、この流れに潜む「中田選手が『仕方ないな』と思いながら補足して答えた」という部分にインタビュアーは気づかず、すでに今答えたことに対する質問(になっていない質問)を繰り返した。

イ:「前半かなり攻撃的にいい形もできていたと思うのですが」

これも「いい形もできていた」というのは記者の感想であって、それをただ投げかけられても困ってしまう。大体その前に「やっぱり前半で取れるうちに得点を取らなくって」とヒデが言っているのは、「いい形もできていたけど取れなかった」ということであって、この質問はただそれと同じことを言っているだけなのだ。この時の中田選手の「何言ってるのこの人?」という表情は、「今の、直前の答えを聞いていなかったの?」という戸惑いだったのだと思う。

この記者は「勉強していない」記者かどうかは分からない。サッカーに詳しいかどうかはこのインタビューからは不明だ。それよりも、むしろ用意してきたこと(ある意味勉強してきたこと)を愚直に言っただけなのではないだろうか。最初に「重要な試合だった」とヒデに言わせ(ないし自分が言ってしまい)、次に「前半の攻撃は良かった」とヒデに言わせ(ないし自分が言ってしまい)、最後に課題にふれて絞める、という風に、自分の中でストーリーができていたのだろう。

最初の質問でヒデがそれを「言ってしまったこと」がわからなかった。自分の目の前で言われたのにもかかわらずである。極端に言えば彼はヒデと「コミュニケーション」をとろうと思っていない。対話しようと思っていない。ただ自分の考えた流れどおりに何か言ってくれればいい、としか思っていないだろう。だからヒデの言ったことをきちんと理解しようとさえしないのだ。そこが中田選手には非常に不可解に映ったのだろう。

で、ヒデのあれがでてしまう(笑)。

中:「……はい、で、何でしょうか(笑)」

これに対し記者は、前の質問で省略した部分を言い直す。しかしそれも、最初に言ったことに屋上屋を重ねることにしかならなかった。

イ:「イメージ通りの攻撃というのは、随所にできていたと思われますか」

中:「まあ、前半は特に早いパスまわしからいい形ができたところまでは良かったんですけれども、まあそん中で決定力不足って言うのが、まだあいかわらずの課題としてやっぱり残ってるし、その結果が後半相手に勢いを与えたんじゃないかと思います」

やはり「イメージどおりの攻撃が随所にできていた」と言って欲しかったのだろうね。しかし中田選手は(さっきも言ったことだけど)と言いたげな顔をしながら、最初の答えを詳しく言いなおしただけだった。ここまで質問を重ねながら、話がまったく進展していないのもインタビュアー、中田選手ともにある意味すごい(笑)。


■そこまで意地悪せんでも(笑)

インタビューは守備面に移る。

イ:「随所にこうDFラインに下がって何かコミニケーションをとられてましたが、守備の面での課題、修正点というのは何かありましたか」

これも、「随所にこうDFラインに下がって何かコミニケーションをとられてました」ということが言いたかったんだろうね。でもそれを言ったんなら「そこで伝えられていたこと(のなかで一番重要なこと)はなんでしょうか?」と聞けばいいのに。

中:「多々…」

これはちょっと中田選手、意地悪だなと思う(笑)。ヒデメールでも「課題を挙げ始めたらきりがない」と言っているけれども、その中でも自分で重要と考える2、3個を話してあげることは難しいことじゃないだろう。この時点で相当不機嫌になっていたようで、でもそれを出さずにインタビューに答えることもできたんじゃないか。何よりもインタビューを聞いているファンのみんなも(というか私も)、「ヒデの考える課題の重要なポイント」は聞きたいと思っていたよ!

イ:「それは…今後…次のウクライナ戦に、持ち越しということですか」

残念、ここで「中で一番重要なものはどれだと思われますか」と聞けばよかったのにね。というか、次からはそう聞こう!(笑)


■もう局の都合の押し付けはやめよう

こういうTVでのインタビューは、時間内で終わることもインタビュアーに要求されることだろうと思う。そういう意味ではエルゲラさんが書かれているようなまっとうな質問は、選手もしっかり考えて答えなくてはならないし、答えも長くなりそうだ。そんなことを話されるよりも、記者が自分で考えたことを言ってしまい、選手には「そうですね」ぐらいにとどめてもらうほうが、時間が短縮できていいのだろう。

中村選手なんかはどんな質問にもしっかり考えて言葉を選んで話すので、大体放送時間をオーバーする。そうすると私たちは文句を言うのだ(笑)。今回は記者もそれを避けようとしたのかもしれない。しかし、それも放送局の都合である。角沢アナが「決意のヨーロッパ遠征」と繰り返すのと同じだ。

そこにあるのは「本当はどうでもいいサッカーを、俺たちが放送のテクニックで盛り上げて視聴率を取ってやるぜ!」というような姿勢ではないか。スタッフにサッカーを本当に好きな人はいるのだろうか?いるのなら、もうみんながそういう中継には飽き飽きしているのだということを、見つめなおしてもらえないだろうか?無理やりな煽りや盛り上げはいらない、ただピッチの上の真実を伝えてくれ。質問も、選手の考えをきちんと聞きだすことを考えてくれ。それが回りまわって、一番サッカーの魅力を伝え、ファンを増やし、あなたたち向けに言えば視聴率を取れるようにすることにつながるのだから。

最後に、でもヒデ、もう少し酌んで話してやってもバチは当たらないと思うよ(笑)。今度は「一番の課題は?」とか「一番の収穫は?」と聞かれると思うので、そこは答えてほしいな。

それではまた。

09:44 PM [メディア] | 固定リンク

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