« 結果オーライ(いい意味で) | トップページ | 300日へのスタートライン »


August 15, 2005

「応援」と「煽り」は違うのだ!

日刊スポーツの永井孝昌記者がサイトのBLOGコーナーで、「内輪感」の心地悪さと題されたエントリーを書かれている。内容は、先日の東アジア選手権におけるテレビ朝日の実況や解説陣について、「あまりに内輪感が強すぎるのではないか」と批判するものだ。いわく

何の騒ぎですか。

 先の東アジア選手権、男女の試合とも久々にテレビで観戦したが、正直に言って試合に集中するどころではなかった。「代表の試合はテレビで見るもんじゃない」。そう思っていた理由が、何となく分かった気がする。

確かに、東アジア選手権の中継は騒がしかった。松木氏や大竹氏による熱心な応援&解説、進藤潤耶アナ、角沢照治アナによる絶叫系の、懸命に煽ろうとする低レベルの実況。試合自体の鬱憤がたまる展開ともあいまって、夏の夜の不快指数をさらに上げていたことは、我が家的にも間違いないことである。そういう意味では私は永井記者に同意するところも多い・・・かというと、NOである!

私は声を大にして言いたい、「煽りと応援は違うのだ!」と。

そして「解説者の『応援』はオッケーなのだ!」と。

以前にもこの件を、ダバディ氏が書いていたことがあって、私は掲示板上で反論したことがあるのだが、私は「日本代表の真剣勝負は日本中が応援するという前提でかまわない!」と思っている(どうもこういう話題になると、こちらまで絶叫系じゃないが、「!」マークをつけてしまう・笑)。

たとえば、名古屋に行けばけっこう名古屋グランパスの試合のTV中継がある。私が「いいねえ」と思うのは、名古屋向けの放送だから、実況も解説も明らかに名古屋を応援しているところだ。偏向している(笑)。でも、いいではないか。名古屋の人は名古屋人だから名古屋を応援する。名古屋のTVはそういう人たち向けだから、名古屋を応援する。何が悪い?

実地のスタジアムでもそうだ。アウェーチームの選手紹介はぼそぼそとやっておいて、ホームチームの選手の時だけ、DJが盛り上げる。いいねえ。

で、それと同じことを、日本代表の試合で日本の放送局がやってなぜいけないのだ?五輪やW杯予選では、いちいち冷静に、ネガティブめなことを言うBSよりも、多少うるさくても松木さんの解説の方にチャンネルを合わせてしまった。こちらが応援モードに入ってるのに、水をかけないで欲しいのだ。「今のシュートはうち方が全然ダメですね」なんて言う解説より、「よくシュートで終わった、これでいい!」っていう応援の方がいい。

まあ、親善試合で、のべつ幕なしそれでは困る。課題を探り、それを改善して欲しいと指摘するのは正しい。しかし、真剣勝負では「応援」でいいじゃないか。グランパスの場合と同じじゃないか。

昔、たぶん97年ワールドカップ予選、たぶんNHKの山本アナが、努めて冷静に実況していたけど、日本ボールのスローインの時、敵がなかなかボールをこっちに渡さない(自分ボールと勘違いした『振り』をして?)のに対し、「ニッポンボールです…ニッポンボールで・す…二・ッ・ポ・ン・ボ・-・ル・で・すっ!」と切れていて、笑ってしまったことがある。いいねえ。それでいいと思う。

もう一度言うが、「日本代表の真剣勝負は、日本中が応援するという前提でかまわない」と私は思う。だから、松木さんの過度な応援の解説も、大竹さんの、はっきり言って選手の親かお姉さんのような解説も、全然いいと思う。大体大竹さんは選手に身内感を抱く、親身になる理由がたっぷりとあるじゃないか。それがああなるのは、無理もない、かまわないことだと思う。

だから、

 サッカー中継を見ていて味わう心地悪さ。その元凶はきっと「内輪感」にある。興奮するのは当たり前。応援するのがコンセンサス。ちょっと油断すると「テレビの前の皆さんも力を貸してください」と呼びかけられちゃうトンチン感。「応援しなきゃ非国民」的な、乱暴な前提のもとに放送が進んでいくから、静かに試合を見たいと思うと疎外感すら覚える。

この部分に関しては、私は「それは違う」と言いたいのだ。「テレビの前の皆さんも力を貸してください」と呼びかけられたら、私はよろこんで力を貸すぞ、何もできないけど(笑)。それが「内輪感があってイヤだ」という人には申し訳ない。申し訳ないが、日本にいて日本代表の試合を見ているんだから、ある程度は仕方ないと思って欲しい。イングランドのTVでイングランド代表の試合を見たけど、似たようなものだったよ。

ただ、である。

以上はあくまでも「解説者が応援する」ことだけに限る。

「応援」と「煽り」は違うのだ。

私は、テレビ朝日の実況アナの、あの無理やり煽ろうとするスタイルが大嫌いである。事前に用意してきた決まりきったフレーズ、選手に勝手に煽りネームをつけて、毎回それを呼ばずには実況しないスタイル、実際のピッチの上のサッカーをまったく見れずに、いくつかのフレーズの連呼しかできない実況能力の低さ・・・・。今回の東アジア選手権でもまたそれをイヤというほど堪能させてもらった。だから、以下の部分にはかなり同感なのだ。

 注目度が低い大会だと、その色はさらに顕著になる。冒頭でちゃかすように書いたのは申し訳ないが、例えば完全に内輪になりきってしまっている解説だったり「内側」の視聴者を逃がすまいと必要以上に危機感をあおる実況だったり。日本代表戦の中継が時に40%、50%も視聴率を稼ぐ優良コンテンツに育ったことは、同時に20%では満足できないという焦りを生んでいるのかもしれない。それが無意味なテンションの高さにつながっているのなら、この国のサッカー文化のもろさ、根の浅さを痛感せざるを得ない。

先にも書いたように解説の部分は違うと思うが、それ以外は的を射ていると思う。テレ朝の「煽らんかな」の実況は、その向こうの商売が透けて見える。この大会を盛り上げて、視聴率を稼がなきゃ。どうせ視聴者はサッカーのことなんかわかってないから、俺が悲壮感を出して盛り上げてやらなきゃ。サッカーのわからんやつらに盛り上げるには、選手にキャッチフレーズをつけて、連呼しなきゃ。そうだ!今回はこれだ!「現役女子高生永里ッッッッッッッ!!!!!」それはすべて、局の商売のためなのだ。

それにくらべると、「応援」は、ちょっと、いやかなり純粋なものだ。松木さんも始めはテレ朝から「なるべくポジティブに、応援っぽくお願いします」とか言われているかもしれない。しれないが、あの怖いまでの熱狂振り(笑)は、それだけではないと思える。途中からは本当に無私に、こころから日本代表を応援していると思う。大竹さんは無論、完全にそうだ。それは計算抜きの「応援」だろうと思う。そして私はそれには共感するものだ。

テレビ局のアナウンサーが、ある種、視聴者を馬鹿にして「盛り上げよう」「煽ろう」とする実況は、商売のためのものである。しかし、解説者が思わずしてしまう「応援」は、それとは違う、無縁なものだと思う。無私といったら言い過ぎかもしれないが、私たちが普通にスタジアムで、テレビの前で応援するのと、一緒だと思う。言い過ぎついでにいえば「魂」を送っている、と思う。それでいいと思う。

われわれと同じ応援をしているだけなら、ギャラをもらっているプロとしてどうなんだ、という意見もあるかもしれない。でも、松木さんも大竹さんも、解説としてのある程度のレベルは一応クリアして、その上での応援になっている、とも言える。松木さんも、TVには映っていない選手の動き出しについて言及したりしていたし、大竹さんも、「これは練習でよくやっていたんですね」などと、ただの応援者では知りえない情報を提供してくれていたりする。特に、親善試合ではかなり解説的だ。

逆に、実況は「煽らんかな」が気に障るだけではなく、明白に「レベルが低かった」。選手の名前を言い間違える(それだけでも最低だが)だけでなく、完全にフレーズを間違えていることも多々あった。用意したフレーズを組み合わせているだけだからだろう。「日本は勝って帰るわけにはいきません!」などという噴飯ものの言葉が飛び出したりするのだ。「煽る」のはおいておいて、一回「目の前で起こっていることを過不足なく描写する」という、実況の基本中の基本の練習を、一年間くらいしてきたらどうか、といいたくなるくらいである。

さて、この項の結論は最初に書いた。「応援」と「煽り」は違う。真剣勝負での「応援」はいいと思うが、局が商売のために無理やり「煽ろう」としても、もう我われはついていかないよ。アナが煽ろうとして「○○選手は身長が○○センチしかありません!」と繰り返し、大竹さんと掘池さんが半ギレで「身長は関係ないですから!」「体の使い方が上手いですから!」とさえぎった。あのシーンがすべてだ。

サッカーの試合を中継する局、アナウンサーは、さすがにそろそろ、ちょっと考え方を変えてほしい。もう煽らなくていいよ。本業に帰っていいよ。それはあなたたちにとっても、本当は一番望ましい、業界に入ったときの初心に帰れってことなんじゃないかな、と思うのだが。

それではまた。

08:13 PM [メディア] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21259/5481704

この記事へのトラックバック一覧です: 「応援」と「煽り」は違うのだ!:

» 【サッカー】テレ朝の実況&解説は如何? from そういう風に出来ている@夏の短期復活!
++蹴球JAPAN++blogさんとKET SEE BLOGさんが同じネタについて取り上げていた。 続きを読む

受信: Aug 16, 2005 6:08:17 AM

» 『解説者の『応援』はオッケーなのだ!』に同感 from あじぽん日記
KET SEE BLOGを見ていて、おおいに同感した。 サッカーのサイトでは割と日本のテレビ中継の音声に批判的だけど、僕自身はなんとなく松木の解説がにぎやかで好きだったりするし、たしか中国で日本代表がブーイングなどで苦戦したとき、日本代表が活躍し、その中継でセルジオ..... 続きを読む

受信: Aug 16, 2005 10:51:23 PM

» あなたはサッカーが好きですか? from 眞鍋カヲリを夢見て
サッカーの日本代表を応援する人に考えてもらいたいこと。 続きを読む

受信: Nov 19, 2005 12:51:08 PM

» ほぼ同感。 絶対に耐えられない実況とは、「煽り」ってことだったのか。 from 半周遅れのメディア観戦記
 ちょっと予定外 & 古い話題ですが、こういうページを見つけました。 http://ketto-see.txt-nifty.com/blue_sky_blue/2005/08/post_4eac.html  自分、今年10月の日本代表対ラトビア戦の実況に関して、「絶対に耐えられない実況がある」という話を書きまして、その気持ちは全くその通りなのですが、その中で、「以前、女子日本代表戦(@東アジア選手権)のあまりに下品な実況に腹を立てたことがある」云々とも書きましたが、その腹立たしさ感につい... 続きを読む

受信: Dec 6, 2005 10:25:11 PM

» ほぼ同感。 絶対に耐えられない実況とは、「煽り」ってことだったのか。 from 半周遅れのメディア観戦記
 ちょっと予定外 & 古い話題ですが、こういうページを見つけました。 http://ketto-see.txt-nifty.com/blue_sky_blue/2005/08/post_4eac.html  自分、今年10月の日本代表対ラトビア戦の実況に関して、「絶対に耐えられない実況がある」という話を書きまして、その気持ちは全くその通りなのですが、その中で、「以前、女子日本代表戦(@東アジア選手権)のあまりに下品な実況に腹を立てたことがある」云々とも書きましたが、その腹立たしさ感につい... 続きを読む

受信: Dec 6, 2005 10:27:09 PM

コメント

コメントはBBSの方へお願いします。