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May 23, 2005
キリンカップペルー戦
事前に聞いた、20日前に監督交代したてのチーム、南米予選のサブにも入っていない選手たち、といううわさよりも、ペルーはずっとよい戦いをしてくれましたね(実は監督本人は、就任3日目と言っているようですが)。
TVの中継で言っていたように「ここで活躍すれば(これまでのレギュラーを差し置いて)予選にも呼ばれるかもしれない」という、テルネロ監督による競争意識の植え付けが、ペルー選手たちのモチベーションをずいぶんと高めていたように見えました。
また、初代表がほとんどとは言え、ペルー選手一人一人は、さすが南米、というところを見せてくれました。フィジカル・コンタクトもうまく、技術もそれなりに高く、足元に入ってしまうとなかなかボールが取れなくて、キープされてしまいますね。そして、カウンター一辺倒ではなく、ショートパスをつないで攻めようとし、実際ペルーペースの時間もかなり長く作ってきました。時間がなく、チームはまだまだできていなかったでしょうが、スパーリングとしては、なかなかよいマッチアップとなったと言えますね。
■立ち上がり~前半
立ち上がりからペルー選手は寄せが早く、日本はなかなかボールをつなげません。「立ち上がりこそ一番危険」という共通認識の下、まずは日本に主導権を握らせないために行われたものでしょう。この辺はやはり南米の選手、狡猾というか、サッカーを良く知っていますね。
途中からだんだん日本もそれに慣れ、プレッシャーをいなせるようになり、そうなるとペルーも引いて守るようになります。日本人選手よりも大きく、個人DF戦術も、DF技術も高い選手たちがああやって集中して守っていると、なかなか得点は入らないもの。これは、バーレーン戦に向けていいシミュレーションになりました。
日本は2トップと小笠原の動きがちぐはぐだったでしょうか。FWが2人とも左右に流れてしまうと、小笠原もパスの出しどころがなく、戻さざるを得ない。ボランチやアウトサイドも含め、なかなか攻撃を形作ることができない時間が続きました。いつもの彼らしく果敢に一対一に挑んでいった三都主ですが、南米でああいうドリブラーをたくさん見ているであろうペルーDFにはなかなか通用しませんでしたね。
前半は、ペルーも時々ペースを握り、一進一退の攻防。無得点でしたが、右サイドに回って先発した三浦選手が、少し目立っていましたね。縦に行ってクロス、中に切り込んでシュート、時に三都主まで届くサイドチェンジ。加地とは違った持ち味を出していて、オプションとしての幅の広がりを期待させるものでした。また遠藤と福西のバランスも悪くなく、遠藤のこぼれだまに対する嗅覚はなかなかのものだったと思います。
■後半
さて、後半。8分に玉田が傷んで大黒と交代。大黒はおそらく予定より長いチャンスをもらったことになります。ここでチャンスをつかめるか?
やはり大黒のすばらしい動き出しは健在で、うまく体を半身に置きながら細かくステップ、一瞬ごとに体の向きや進行方向を細かく調整することで、自分の周囲にほんのちょっとのスペースを作り出す。それにボールホルダーが気づいてくれると、一気にゴールへ向けて加速することができる。小野や小笠原と合いそうですね。今後が楽しみです。
大黒の動き出しを基点に、そこから攻撃が活性化した後半の日本。しかし、ペルーもそういう時にまた試合巧者振りを発揮します。そう簡単に日本のペースを長くさせない。
そこへ、さらに、これは「テスト」ということでしょうが(笑)、稲本が福西に代わってピッチへ。稲本は持ち味のミドルパスと、力強い前進でチャンスを作り出します。これに三都主、三浦が絡んで、日本は重層的な攻撃を繰り出す。しかし、最後の瞬間に体を張って守るペルー。スパーリングとしてはとてもありがたい状況です。さすがに南米、バーレーンの守備はこれほどではないでしょう。
ロスタイム、5分。これは審判、日本に「点取れ」と言ってくれてるのでしょうか(笑)。日本は人数をかけて攻め上がります。三浦淳のロングスロー、こぼれを田中が放り込む、稲本それに競り負け。そのこぼれがペルーの選手へ。彼はドリブルでボールを運びます。日本DF3人、vsペルー選手3人!バランスを崩したことにより、数的同数のピンチが生まれてしまいました。
こぼれを拾ってドリブルする選手は、(日本から見て)右気味に位置する10番(だと思ったんだけど、どこを見ても22番チロケって書いてありますね)にパス、その外側を駆け上がっていく。(こういう「ボールのない時の動き」、今日のペルー選手では初めて見た!)10番(私的には・笑)の前にいた宮本は、その上がっていく選手のケアのために後退します。10番(22番?)には、田中がルーズマーク。
(日本から見て)左気味に走った9番は坪井がケア。しかし、10番(22番?)が一瞬の隙を突いて、9番バサージョの前、ペナルティエリア内にパスを流す。坪井はその一瞬、9番に先を行かれ、シュートを許してしまう。アウト気味にかけた、前に出ようとした川口の鼻先を抜く技ありのシュート!
失点。
まあこの3人で組むのは、久しぶり(初めて?)。中澤が言っていたように、一人が代わると作り直しになるジーコジャパンです。連携も構築途上だし、カウンターも上手かったし、いい授業料というところでしょう。これを教訓に話し合って、バーレーンにやられなければそれでいいですよね。まあ、バーレーンの選手もカウンターがうまいですが、これはあくまでも強化試合、ここで教訓を得て、さらに修正していければそれでいい。
■今後へ向けて
日本は、格好のスパーリングパートナーを得つつ、アジアカップに比べるとコンパクト志向が明白で、プレスもかけようとし、攻撃もサイドチェンジやワンタッチパスを織り交ぜる、DFラインもゾーン気味で行ってみる、など、バーレーン戦や北朝鮮戦に向けて内容をよくしていこうという意思がはっきりしていましたね。そういう点は良かったと思います。
ただ、いかんせん攻撃が足元、足元で遅いために、クロスを上げる頃には中央に敵DFがしっかりと布陣を引いて待っている。あれではなかなか、こういう相手から点を取ることは難しいように思います。しかし、そのやり方はもう変わらないでしょうから、これでも点を取れる方策を考えなくてはいけない。一つはファウルゲットからセットプレーというものでしょうが、もう一つは大黒のような「一人でスペースを作り、使う」という動きかもしれません。
UAE戦では、今日でた課題の解消をして、しっかりと勝ち、いい準備につなげて欲しいですね。
それではまた。
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