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May 31, 2005顔を上げて、遠くを見て
「UAE戦は、ボール保持率が高かったのだから、苦戦ではない。負けたのはカウンターだけ、運が悪かった」というような意見がある。
しかし、ボール保持率が高いことは、現代のサッカーでは必ずしも優位に試合を進めていることとはならない。セットプレーを除けばダイレクトプレーからの得点が大半を占める現在では、よくいう「ボールを持たされている状態」というものがある。むしろレベルの高い試合でも「ボールを持っているほうがピンチ」「ボール保持の押し付け合い」のような戦いが見られることがあるくらいなのだ。
決定力がもともとない日本。それが遅攻を強いられ、敵に帰陣されると、さらにシュートが難しくなる。この悪循環、まさに敵の思う壺にはまってしまっていることになりはしないか。
ただ、言うまでもないがポゼッションサッカーそのものが悪いわけではない。その中でもよい攻撃のできる、点の取れる方策を準備していく必要があるということだ。
遅攻の中でも点を取るためには、「攻撃参加人数を増やす」という手段が一つある。ジーコジャパンでアウトサイドの外側をCB(坪井や田中)が上がっていくのもその一つの例だし、UAE戦では小野と福西が「最低でもどちらか一人は必ず攻撃参加しよう」と話し合っていたという。確かにボランチ(特に終盤の小野)のあがりがチャンスを生んでいたところはあり、これは継続して行ってよいところだと思う。
ただ、攻撃に人数をかけるということは、敵も守備に人数をかけやすくなるということでもあり、Jリーグなどでもよく見られるが、「前線に人が渋滞してしまって、かえって点が入らない」というような状態も起こる。時としてシュートが味方に当たってしまうような、そんな事態は避けた方がよい。またむろん、こちらが多く上がっていけば、敵にカウンターのチャンスを与えることにもなる。この辺は勝ち点との計算で、じっくりとゲームプランを練っておかなくてはならないところだろう。
もう一つ、ポゼッションしつつ得点に結びつけるやり方が、「ボールを速く、大きく動かす」というものである。
ペルー戦、加地の怪我を受けて三浦淳宏が右サイドで先発をした。彼のプレーで非常に印象に残ったのが、右でキープしてから左の三都主へ出した大きなサイドチェンジだ。日本代表では、こういうプレーを久しぶりに見た気がした。いうまでもなく、キープすれば敵の守備はそちらに集中する。そこから速く大きなサイドチェンジを入れると、逆サイドの選手にはスペースと時間が潤沢に与えられることとなる。
「チョップ、チョップ、アザーサイド」「ショート、ショート、ロング」というのは、これを常に心がけるべき、ということを示した基本中の基本なのだが、今の日本代表は、これがあまり行われていないように感じる。「チョップ、チョップ、チョップ、チョップ・・・・」なにか日本代表の試合は、そんなリズムで行われてしまっているような気がしないか。パスを大事にする、ショートパスをつなぐのはいいのだが、そればかりでは、敵陣は崩れない。ボールを大きく動かして、スペースを突いていくことを、もっと重視して欲しいと思う。
ここで興味深いデータがある。
90分平均のサイドチェンジ回数
18.2回 山本ジャパン通算 |
昨年5月のニッカンに載っていたデータ(6/3追記:当時は4ー4ー2が多かった)なので、その後多少の変化はあるだろうが、ジーコジャパンがアジアカップ、1次予選オマーン戦と、リスクを避けるサッカーに傾いていったことを考えると、サイドチェンジ回数の大きな変化はなかったのではないかと思う。
一目瞭然、見ればわかるとおり、山本ジャパンとジーコジャパンのサイドチェンジ回数は、ほぼ同数なのだ。これはどういうことを意味しているのだろうか。
ガゼッタさんがかつて山本ジャパンを評した通り、山本ジャパンの特徴の一つは「サイドにサイドの専門職をおく」というところであった(後期山本ジャパンが森崎をおいたのは、そこから脱していたが)。それは三都主、加地といった選手を、アウトサイド、(6/3追記:ないしサイドバックとして)配するジーコジャパンでも同様だ。それと対照的なのが、名波、中村、小野という、本来はインサイドのMFをサイドに配置したトルシェジャパンである。3-5-2のアウトサイドを「ミッドフィールダー」と捉える考え方だ。
これはもちろん、どちらが上と言うことではない。サイドの本職をおく場合は、やはりドリブルでサイドを突いていく、崩していく、という狙いがあるだろう。実際ジーコジャパンでも、そういうシーンは目にする。逆に、例えばキープ力やロングパスの正確さのある、もともとはインサイドの選手を起用する考えもある。その場合の狙いがまさに、ボールを速く、大きく動かして、逆サイドのスペースをついていく、という「サイドチェンジの多いサッカー」なのだ。
三浦淳は、もともとサイドの選手ではある(最近はヴィッセルでトップ下もやっているようだが)。と同時に、FKの名手でもあり、正確な両足のキックを持っている。いわゆる「香車」とはやや違ったタイプでもある。彼が入ったことで、ペルー戦では「サイドからサイドへの速く、大きなサイドチェンジ」が見られた(言うまでもないが、これはどちらの選手が優れているということではない。タイプの違いを論じているに過ぎない)。
ジーコジャパンの「ボールポゼッション・サッカー」は、「ゆっくりとした確実なキープから、隙を見つけてスピードアップして得点する」ということを狙いとしている。そこからなかなか得点できてはいないのだが、その狙いがピッチで見られないわけではない。ただ、「縦へのスピードアップ」だけだと、組織が出来上がっている敵の場合、「狭いところへ入っていく」ことになるのは否めない。いったんショートパスをつないでキープしたら、ルックアップして遠くを見て、逆サイドへ、スペースのあるところへ展開する攻撃もおりまぜて欲しいと思うのだ。
UAE戦では、ボランチの小野や福西から大きなサイドチェンジ気味のパスが何度か出ていた(冒頭の写真)。これはよいことだと思うのだが、問題はそれを受けたサイドの選手がスピードアップせずにまたキープしてしまい、敵につめられ、バックパスなどの選択肢を取らざるを得なくなってしまったところだ。サイド攻撃と言っても、じっくりと時間をかけた後、敵が中で準備して待っているところにセンタリングを上げても、なかなか得点になるものではない。
キープしたら、そこから速く、大きくボールを動かしてスペースを突こう。 サイドチェンジをスペースで受けて、そこから敵の体制が整わないうちにクロスを。 |
こういうプレーがもっと出てくると、ポゼッションサッカーからも得点につながりやすくなると思うのだが。
「決定力不足」はけして単にFWのシュート精度だけの問題ではない。守から攻への早い切り替え、動き出し、そしていったんポゼッションしたら時に大きく、速くボールを動かし、スペースを突いていくこと。チーム全体がこれらを意識すれば、改善されていくものでもある。ぜひバーレーンでは、チーム全体で連動して得点をあげ、勝ち点3を狙って欲しい。
それではまた。
10:26 AM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (4) |
May 28, 2005今日は谷間の日(UAE戦)
久しぶりの国立競技場での代表戦、代表を見続けてきたサポには、「聖地」でもあるスタジアムで、日本代表は敗れてしまいました。とても、残念です。しかし、キリンカップというタイトルこそかかっているものの、あくまでもこれは、最終予選前のシミュレーション。ここで落ち込まず、立て直して、バーレーンに向かって欲しいです。以下、簡単に感想を。
■ジーコ流「遅いサッカー」の結実
ペルー戦でもUAE戦でも、次のような意見があった。
「敵があれだけ引いているのだから、点がなかなかはいらないのは仕方がない」
いわゆる「攻撃のカタチはできている、後は決定力不足」という考えだろう。私はこれは「嘘」であると思う。
久しぶりの国立競技場で見てきたが、日本で何より特徴的だったのが、「守→攻の切り替えの遅さ」だった。現代の、DFの能力が上がり、戦術も整備されてきたサッカーでは、いったん守りを組織されてしまうとなかなか点は入らない。そこで最も重要視されるのが、「ボールを奪った瞬間が最大のチャンスである」、という考え方、「守→攻の切り替え」なのだ。その瞬間なら、敵はまだ守備組織を整備しきれていない。そこでこちらの選手がいち早く動き出してその組織の隙間を突き、そこへ奪った選手から鋭いパスを送れば、それが最大の得点チャンスになるのである。
もちろん一発のパスでなくともよい。ボールを奪った瞬間に複数の選手が動き出し、そこへパスを送って攻撃を組み立てていく。ダイレクトプレー、カウンター、ショートカウンター、さまざまな言い方はあるが、それらを含めた「守→攻の切り替え」の早さ、それが現代サッカーで点を取るためにもっとも重要なことの一つなのだ。
思い出して欲しい。最近の日本代表でそのようなシーンはあっただろうか?
UAE戦でも、「奪った瞬間」に動き出しているのはUAE選手のほうだった。日本の選手たちは、本当にその瞬間に動き出さないのだ。味方が奪ったことに対して、おそろしく「アラート」でない。あの動き出しのいい大黒でさえ、最初のうち2、3回「奪った瞬間にDFの裏を狙う動き出し」を見せながら、奪った側の選手がすぐにゴールに結びつくパスを出さないのを見てとると、それを止めてしまったほどである。あの天才パッサー、小野がボールを奪ってさえ、日本の選手は誰一人動き出さないのだ!
先の文言はこのように言い換えられるべきだろう。
「敵にあれだけ引く時間を与えてしまっているのだから、点が入らないのも無理はない」
実際、後半途中までのUAEは、けしてジーコが会見で言うような「べた引きからカウンターを狙う」チームではなく、比較的高い位置でゾーンディフェンスを引いていた(クリックすると大きな写真になります)。むしろ「セーフティーに、8人で守れ」と言われた宮本たちの守備位置のほうが低かったくらいである。それなのに、日本の攻撃が決定的になる頃には、ペナルティエリア内には敵DFが多く帰陣し、シュートに体を投げ出していた。なぜなのか?
それが「守→攻の切り替え」の遅さ、あるいは、攻撃する時の、攻撃自体の遅さによるものなのだ。敵にわざわざ帰陣する時間を与えていることの結果なのだ。
UAE戦のようなポゼッションサッカーが悪いと言っているのではない。奪った瞬間にも敵に隙がないときはある。その場合はしっかりつないで攻めていくことも選択肢だろう。しかし、そればかりでは厳しい。特に中盤の選手たちは、奪ったらすぐに前線の隙を探すことに、ある程度プライオリティを置いて欲しいと思うのだ。そうすれば、勝つために出て来ざるを得ないバーレーンである、点を取ることを「決定力の問題」だけにしないで済むだろう。ただ、中盤で奪うための組織ができているかどうかという問題は残るが・・・。
■失点の原因はカウンターなのか?
失点シーンを「一発のカウンターでやられた」と表現する人がいる。ペルー戦については、まさにそうだったと言えると思う。しかし、UAE戦に関して「一発の」と言うのなら、それもまた間違いであると思う。
失点シーンの流れは、日本の中盤でのパスがミスになって、UAEの8ムバラクに入ったところから始まった(この辺は、発汗さんの分析に詳しい)。日本のDFラインはさささーっと下がってしまう。中盤にぽっかりと大穴があく。ムバラクに対しては加地と福西がルーズマーク、どちらかが当たりに行くということもなく、ムバラクは余裕を持ってボールを運ぶことができた。
ムバラクから前線のフリーの11ハリルにクサビのパス、これに対してあわてて田中と坪井がプレッシャーをかけに行く。後ろから田中に寄せられながら、ハリルはムバラクにパスを戻す。この時には8アロ・アリがフリーランニングを開始している。フリーで(一応横を福西が併走しているが、見てるだけ)、戻しのパスを受けたムバラクはアロ・アリにスルーパス。一瞬ハリルにプレッシャーをかけに行っていた坪井は戻りながらアロ・アリにつこうとするが、競争に負け、失点。
ボールを奪ってからきれいに4本のパスがつながって、ポストとフリーランの選手を活用しての得点。これを「一発のカウンターでやられた」というのは、やはり違うのではないか。「攻めていたのだから、カウンターをされて数的不利になっても仕方がない」というシーンでは、まったく、まったくなかったのだ。問題はこの時の、ムバラクを完全にフリーにしていた中盤の選手たち、ぽっかりと大穴を空けた組織、1トップのハリルのポストに誰が対応するかがあいまいだった点、などなどにあるというべきだろう。
中でも、もっともこの日の守備を象徴していたと思われるのが、「ムバラクを完全にフリーにしていた中盤の選手たち」だと思う。このシーン以外にも、敵中盤のボールホルダーに対して誰もアタックに行かず、「見ながら」下がり続け、結果フリーでプレーさせ、そこを起点にしたパスでDFが攻撃側に対して数的同数になったりする危機がたびたびあったのだ。
特に後半(の失点シーンよりも前)は、UAE選手がおそらくハーフタイムにそう指示をされたのだろう。中盤の選手がフリーでボールを持つたびに前線の選手がフリーランを開始して、そこからシンプルに攻撃をくりだしていた。この、恐ろしいほど敵の中盤の基点をフリーにしてしまう癖は、どうしてついたのだろうか。
私はそれは前日、ジーコ監督が「ボールより後ろに8人いて守るように」という指示をした結果ではないか、と思う。
そもそも、DF時にボールホルダーにアタックに行くのには、「勇気」が必要なのだ。「もしここで自分が抜かれたら」という意識が、どうしてもでてくるものだからだ。しかし、それでは守備は下がり続け、最後は自陣ゴールに入ってしまうから(笑)、その前に誰かがアタックに行かなくてはならない。その時必要になるのは、「自分が抜かれても後ろがいるから大丈夫だ」という「組織への信頼感」というものだろう。それがあるから、個人としてはある種リスクチャレンジである、中盤でのボールホルダーへのアタックを仕掛けていくことができるのだと思う。
しかし、ジーコジャパンの守備時の指示は、「かならず一人余れ」「セーフティーに」というものだった。しかも、それを具現化するための守備練習、戦術練習は非常に少なく、選手同士が「慣れ」で連携を作っていくしかない状況。それが「敵がボールを持ったらさーっと下がってしまうDFライン」を生み、組織への不信につながり、「後ろが気になるからアタックに行かないボランチ」を生んでいるのだ。その結果が、中盤に大穴がぽっかりと空くことにつながっているのは以前にも指摘したとおり。
そしてさらに、今回の「ボールより後ろに8人いて守るように」という指示。これによって中盤の選手たちも、「セーフティーに」「下がって対応しなくては」という意識を植え付けられた。多くのシーンで、ボランチも、アウトサイドも、ボールホルダーに対しては(こちらが複数で囲んでいても)ルーズマークしかしない、ある意味「ボールホルダー・ウォッチャー」になってしまっているのだ。奪いに行けばかわされる可能性がある。奪いに行かなければ、かわされない。「かわされないこと=セーフティー」と、組織のできていない中では、選手たちが思ってしまっても無理はない。
失点シーンはまさにその、ルーズマーク・ボールホルダー・ウォッチャーが連続して起こったことによるものだ。そこをUAEの選手たちが見て取り、するどく狙ったことによるものだ。けして「カウンター一発でやられてしまった」ものなどではないのだ。日本の選手たちも、そこは肝に銘じておいたほうがいいだろう。そして、バーレーン戦までには、もう一度「誰がアタックに行くか」の意思統一を、選手たちの間で行っておくことだ。組織が変わる可能性はなく、それしか向上できるところはないのだから。
■それでもバーレーンには勝つ
大丈夫。宮本が言うように、日本には、「ホーム・ディスアドバンテージ」がある。ホームでは観客の声援に押されて攻め急いでしまう。それがむしろ、焦りを生み、悪い結果につながってしまうのだそうだ。バーレーン戦はアウェーである。「ホーム・ディスアドバンテージ」はなくなる。敵が攻めてきてくれたほうが、日本には都合がよい。大丈夫、勝てるだろう。
もう一つ、ジーコジャパンは「機能共同体」ではなく、「親族共同体」である。このような、何もかかっていない親善試合ではその力は発揮されにくい。「家族は危機に陥った時こそ、その最大の力を発揮する」ものではないか。むしろ、この2連敗という危機からこそ、ジーコジャパンは雄雄しく復活するのだろう。
問題は、この2連敗でチーム内の自信が崩れ、自分たちのやり方、やってきたことに対して疑問、不信がわきあがったりした場合である。その時、この集団は家族でいられるか。選手同士、問題点について「共通認識を持って」話し合いができなくなったらどうするか。「あそこはこうするべきだろう」「いやそれは違うだろう」・・・。ネガティブな話し合いは、バラバラになる危険をはらむ。その時の交通整理は、これまではおそらく長男たる藤田の役割だった。今、彼は代表には選ばれていないのだが・・・。
いずれにしろ、ジーコジャパンの再生は、今度こそ選手たち、特に長男たちに托された。ジーコは一つだけ正しいことを言った。ことここに至れば、もう選手たちを応援するしかない。選手全員が副官たる自覚を持ち、時間のすべてを費やして、話し合い続けて欲しい。がんばってくれ、ジーコジャパン!
それではまた。
03:08 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (5) |
May 23, 2005キリンカップペルー戦
事前に聞いた、20日前に監督交代したてのチーム、南米予選のサブにも入っていない選手たち、といううわさよりも、ペルーはずっとよい戦いをしてくれましたね(実は監督本人は、就任3日目と言っているようですが)。
TVの中継で言っていたように「ここで活躍すれば(これまでのレギュラーを差し置いて)予選にも呼ばれるかもしれない」という、テルネロ監督による競争意識の植え付けが、ペルー選手たちのモチベーションをずいぶんと高めていたように見えました。
また、初代表がほとんどとは言え、ペルー選手一人一人は、さすが南米、というところを見せてくれました。フィジカル・コンタクトもうまく、技術もそれなりに高く、足元に入ってしまうとなかなかボールが取れなくて、キープされてしまいますね。そして、カウンター一辺倒ではなく、ショートパスをつないで攻めようとし、実際ペルーペースの時間もかなり長く作ってきました。時間がなく、チームはまだまだできていなかったでしょうが、スパーリングとしては、なかなかよいマッチアップとなったと言えますね。
■立ち上がり~前半
立ち上がりからペルー選手は寄せが早く、日本はなかなかボールをつなげません。「立ち上がりこそ一番危険」という共通認識の下、まずは日本に主導権を握らせないために行われたものでしょう。この辺はやはり南米の選手、狡猾というか、サッカーを良く知っていますね。
途中からだんだん日本もそれに慣れ、プレッシャーをいなせるようになり、そうなるとペルーも引いて守るようになります。日本人選手よりも大きく、個人DF戦術も、DF技術も高い選手たちがああやって集中して守っていると、なかなか得点は入らないもの。これは、バーレーン戦に向けていいシミュレーションになりました。
日本は2トップと小笠原の動きがちぐはぐだったでしょうか。FWが2人とも左右に流れてしまうと、小笠原もパスの出しどころがなく、戻さざるを得ない。ボランチやアウトサイドも含め、なかなか攻撃を形作ることができない時間が続きました。いつもの彼らしく果敢に一対一に挑んでいった三都主ですが、南米でああいうドリブラーをたくさん見ているであろうペルーDFにはなかなか通用しませんでしたね。
前半は、ペルーも時々ペースを握り、一進一退の攻防。無得点でしたが、右サイドに回って先発した三浦選手が、少し目立っていましたね。縦に行ってクロス、中に切り込んでシュート、時に三都主まで届くサイドチェンジ。加地とは違った持ち味を出していて、オプションとしての幅の広がりを期待させるものでした。また遠藤と福西のバランスも悪くなく、遠藤のこぼれだまに対する嗅覚はなかなかのものだったと思います。
■後半
さて、後半。8分に玉田が傷んで大黒と交代。大黒はおそらく予定より長いチャンスをもらったことになります。ここでチャンスをつかめるか?
やはり大黒のすばらしい動き出しは健在で、うまく体を半身に置きながら細かくステップ、一瞬ごとに体の向きや進行方向を細かく調整することで、自分の周囲にほんのちょっとのスペースを作り出す。それにボールホルダーが気づいてくれると、一気にゴールへ向けて加速することができる。小野や小笠原と合いそうですね。今後が楽しみです。
大黒の動き出しを基点に、そこから攻撃が活性化した後半の日本。しかし、ペルーもそういう時にまた試合巧者振りを発揮します。そう簡単に日本のペースを長くさせない。
そこへ、さらに、これは「テスト」ということでしょうが(笑)、稲本が福西に代わってピッチへ。稲本は持ち味のミドルパスと、力強い前進でチャンスを作り出します。これに三都主、三浦が絡んで、日本は重層的な攻撃を繰り出す。しかし、最後の瞬間に体を張って守るペルー。スパーリングとしてはとてもありがたい状況です。さすがに南米、バーレーンの守備はこれほどではないでしょう。
ロスタイム、5分。これは審判、日本に「点取れ」と言ってくれてるのでしょうか(笑)。日本は人数をかけて攻め上がります。三浦淳のロングスロー、こぼれを田中が放り込む、稲本それに競り負け。そのこぼれがペルーの選手へ。彼はドリブルでボールを運びます。日本DF3人、vsペルー選手3人!バランスを崩したことにより、数的同数のピンチが生まれてしまいました。
こぼれを拾ってドリブルする選手は、(日本から見て)右気味に位置する10番(だと思ったんだけど、どこを見ても22番チロケって書いてありますね)にパス、その外側を駆け上がっていく。(こういう「ボールのない時の動き」、今日のペルー選手では初めて見た!)10番(私的には・笑)の前にいた宮本は、その上がっていく選手のケアのために後退します。10番(22番?)には、田中がルーズマーク。
(日本から見て)左気味に走った9番は坪井がケア。しかし、10番(22番?)が一瞬の隙を突いて、9番バサージョの前、ペナルティエリア内にパスを流す。坪井はその一瞬、9番に先を行かれ、シュートを許してしまう。アウト気味にかけた、前に出ようとした川口の鼻先を抜く技ありのシュート!
失点。
まあこの3人で組むのは、久しぶり(初めて?)。中澤が言っていたように、一人が代わると作り直しになるジーコジャパンです。連携も構築途上だし、カウンターも上手かったし、いい授業料というところでしょう。これを教訓に話し合って、バーレーンにやられなければそれでいいですよね。まあ、バーレーンの選手もカウンターがうまいですが、これはあくまでも強化試合、ここで教訓を得て、さらに修正していければそれでいい。
■今後へ向けて
日本は、格好のスパーリングパートナーを得つつ、アジアカップに比べるとコンパクト志向が明白で、プレスもかけようとし、攻撃もサイドチェンジやワンタッチパスを織り交ぜる、DFラインもゾーン気味で行ってみる、など、バーレーン戦や北朝鮮戦に向けて内容をよくしていこうという意思がはっきりしていましたね。そういう点は良かったと思います。
ただ、いかんせん攻撃が足元、足元で遅いために、クロスを上げる頃には中央に敵DFがしっかりと布陣を引いて待っている。あれではなかなか、こういう相手から点を取ることは難しいように思います。しかし、そのやり方はもう変わらないでしょうから、これでも点を取れる方策を考えなくてはいけない。一つはファウルゲットからセットプレーというものでしょうが、もう一つは大黒のような「一人でスペースを作り、使う」という動きかもしれません。
UAE戦では、今日でた課題の解消をして、しっかりと勝ち、いい準備につなげて欲しいですね。
それではまた。
01:24 AM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (6) |
May 12, 2005日本代表スケジュール
前回の記事をフル代表だけのものに直して、コンフェデまでの週単位で書いて見ました。
MON | TUE | WED | THU | FRI | SUT | SUN |
J1 | 5/15 プレミアリーグ終了 J1 | |||||
5/16 | 5/17 代表合宿? | 5/21ブンデスリーガ終了 | 5/22キリンカップ ペルー戦 オランダリーグ終了 | |||
5/23 | 5/27キリンカップ UAE戦 | 5/29 セリエA終了 | ||||
5/30 | 6/3アジア最終予選 vsバーレーン | |||||
6/6 | 6/8アジア最終予選 vs北朝鮮 | |||||
6/13 | 6/16コンフェデ杯 vsメキシコ | 6/19コンフェデ杯 vsギリシャ | ||||
6/20 | 6/22コンフェデ杯 vsブラジル |
・ 5月22日の時点では、ドイツ、オランダ、イタリアの各リーグが終わっておらず、場合によってはペルー戦には、高原や小野も間に合わないかもしれない。
・ キリンカップvsUAE戦後、アウェーでのバーレーン戦までは一週間。現地での合宿をどれだけ取れるか。移動を考えるとかなり慌ただしい。
・ バーレーン→タイ(中4日)という強行軍のあと、1週間で再びコンフェデ(@ドイツ)にいかなくてはならない。アジア予選突破が決まっていたら、この辺から新戦力登用かなと思っていたけど、このスケジュールでは無理かもしれない。
・ コンフェデはいつものように、中2日で3連戦(以上)という厳しいスケジュール。強行軍の後のこのタイトな日程だから、5試合(予選2試合+コンフェデ3試合以上)を同じメンバーで戦い抜くのは無理がある。さすがにこの辺ではプチ(でなくてもいいけど)ターンオーバーを視野に入れておいたほうがよいだろう。
ということがこの日程表から見えてきましたね。
特にコンフェデは、夏場に中2日で3連戦というのは、本当はサッカー的には「あってはならない」スケジュールではないでしょうか。まあドイツは比較的涼しいのですが、各国リーグ戦的にはオフシーズンでもあります。世界的に優秀な選手のスケジュールがどんどんタイトになってきている現在、FIFAは率先して「選手を守る」ことを考えるべきではないかと思います。
そしてdorogubaさんがおっしゃっているように、日本代表監督にももちろんそれを考えてほしいですし、ある程度は選手が自分でも考えるべきだと思います。ほんとうに彼らには厳しい日程ですが、何とか、なんとか大きな怪我などなく、乗り切ってほしいものです。
それではまた。
11:03 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0) |
May 02, 2005ちょっと今後のこと
黄金週間のJリーグまっただ中ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
ちょっと個人的備忘用に、今後のサッカースケジュールをまとめてみました。
(あくまでも個人的なものなので、遺漏等ありましてもご容赦願います)
しかし今年は、サッカーの大会ラッシュですね。
もちろんこれにJリーグやACLも加わるわけで、選手や監督、関係者の皆さんには本当にご苦労さまですね。くれぐれも深刻な怪我などないように祈りたいです。
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今後の観戦スケジュールに思いをはせる、ゴールデンウィークの合間の一日でした。それではまた。
07:16 PM [サッカー日本代表] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (2) |