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March 31, 2005一安心2(バーレーン戦)
勝ちましたね!
サルミーン、ありがとう!・・・というのは冗談ですが(笑)。
選手、監督、関係者の皆さん、このなんとも大変な強行軍、本当にお疲れさまでした。
プレッシャーもさぞや大きかったことでしょう。
きょうはゆっくり休んでください。
順位 | チーム | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 得点 | 失点 | 得失 | 勝点 |
1 | イラン | 3 | 2 | 1 | 0 | 4 | 1 | 3 | 7 |
2 | 日本 | 3 | 2 | 0 | 1 | 4 | 3 | 1 | 6 |
3 | バーレーン | 3 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 0 | 4 |
4 | 北朝鮮 | 3 | 0 | 0 | 3 | 2 | 6 | -4 | 0 |
前半の試合内容はちょっと不満の募るものでしたが、後半にかけて改善されましたね。
やはり中田ヒデが入って2試合め、予想どおり次第にプレスを再構築し始めていますね。それが各所に現れていました。その上ヒデがボランチにいるわけで、カウンターのケアも読みの良さを生かして(福西ともうまく分担して)ばっちりでした。
前半は「慎重に行こう」という打ち合わせでもあったのでしょうか?やはりカウンターを警戒してDFラインが低い。また攻撃面でも、福西が上がらない、加地や三都主の攻撃参加のタイミングも遅い。下がってポストに入ろうとする高原や鈴木はほとんどファウルで止められる。なかなか攻撃が機能しませんでしたね。本当はこういう試合は、前線でゲームメイクできる柳沢を入れておくと効果的なんですけどね。
まだお互いに慣れてないから仕方がないですが、ヒデと中村選手は生かしあうところまで行っていない感があります。そのせいで、どこが攻撃のスイッチなのか、チーム全体がわからないでいる感じ。中村だけの時は、彼に入った時が「最終チャレンジの合図」というような共通認識があるような、いっせいに動き出す時があったりしたのですが、ヒデもいるとそうもならない。どうしても攻撃がノッキングし、スムースに流れていかない。そうなると、シュートに至る流れが作れませんね。特に前半は、きれいににやろうとする意識が強すぎたのかな。うまく行きませんでした。
後半になって、いきなりの三都主の上がりでもわかるように、両サイドをどんどん高めに持っていくようになりました。そしてそこへ早めにボールを入れて、どんどん個人で勝負していく。これだ、と叫んでいました(笑)。
ジーコジャパンは、どうしてもみんな足元でもらいたがるから、ヒデがやりたいような「連動した攻撃で敵をこじ開けていく」のは、かなり時間をかけて連携を作った後でないと無理なんです。それならどうするかというと、今日の後半のようにどんどん個人で突っかけていく、しかない。そして、そこでぱっと出る発想、創造性に賭ける。その発想を回りが「感じる」ことで、ゴール近くでの細かい隙を作り出す。ブラジル流というか、たぶん木村和司氏なんかはそういう感でやってたんじゃないでしょうか。おっと話が横道にずれた。
そうやってとにかく仕掛けていくことで、流れが日本に来ましたね。オウンゴールは偶然の産物ですけど、サッカーのゴールにそういうことはつき物。内容的には、日本が勝って不思議はないゲームでした。
気になったのは、セットプレーが同格以上の体格の相手に研究されると、なかなか効果をあげられなかったところですね。ジーコジャパンの大きな武器だったんですけどねえ。
それと、やはり中村と中田ヒデ、鈴木と高原、という組み合わせはきついような気がしてきますね。時間をかければ何とかなるかもしれないですが。ちょっとMFも、FWもタイプがかぶりすぎではないでしょうか。先ほども言ったように前線に、「一人でスペースを作り、使うことができる」柳沢タイプを使うか。それとも、森島のようにヒデ、中村からのパスを受けて動き回って潤滑油になれる選手を投入するか(現在の調子はわかりませんから「のような選手」という意味ですが)。そういうことが必要な気がしますね。
思えば、岡田監督時代、97年予選のころ、中田、名波という2人のパッサーがマークされ、日本の攻撃が停滞したことがありました。その時、2人の前方に北沢選手が配置され、効果を上げたんですね。北沢選手はけして派手なプレーをするわけじゃないんですが、2人の前で動いてパスを受け、またすぐに預けて動き回り、2人からマークを引き剥がして、2人が前を向いてプレーできるようにしたのです。その効果は劇的で、日本が97年予選の終盤戦に上昇していく一つの原因ともなりました。何かそういうものが、2人には組み合わさる必要があるように思いますね。
なにはともあれ、勝てた、勝ち点3を取れたことは大きい、とんでもなく大きいです。今後は、バーレーン、北朝鮮とアウェイで戦うことになります。主力の帰って来るバーレーン、どんどん連携がよくなり、イランを攻めに攻めていた北朝鮮と、まだまだ厳しい戦いが続きそうですね。バーレーンを勝ち点で上回ったとは言え、それはわずかに2に過ぎません。直接対決で負けたらひっくり返ってしまう数字です。もちろん、監督にも選手にも油断などないと信じていますが、これからも、これまで以上にいい準備をしていって欲しいですね。
いや、今日はまだそれは置いておいて、ただただ疲れた体を休めて欲しいですね。本当にお疲れさまでした。
それではまた。
01:53 AM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (4) |
March 29, 2005もうワールドカップは始まっている
4バックが問題だったのか
中田ヒデや中村、宮本らの直訴もあって、バーレーン戦では3バックに戻すらしいですね。私も、ヒデやジーコの言う通り「システムがサッカーをやるわけではない」と思っていますから、3でも4でもどっちでもいいのですが、人がサッカーをやるからこそ、意思疎通、共通意識、連携、慣れ、などが重要だと思っています。そして、イラン戦で問題だったのは「4バックである」ことではなく、「慣れない布陣である」ことであったと思います。もしこの1年連携を深めてきたのが4バックの方であったのなら、「急に3バックにすること」の方がリスキーだったでしょう。この辺をごっちゃにしている議論が多いのではないでしょうか。
今回は田中が出られなかったこと、中田ら欧州組が合流したことで、前をうまく使う形、この2点から考えたことで私は練習を見ている限り、不安もなかったし、これまでも4バックで練習し、試合の流れの中で3から4に変えたこともある。選手と話したが、4だとバランスが大きく崩れるからどうしてもできないということは出てこなかった。
と、4バックに不安も問題もなかったと認識しているようです。確かにこれまでも3から4への変更などもしてきていますが、あれはあくまでも「敵が疲れはじめ、スペースができ始めた時に前方に起点を増やす」という「シフトチェンジ」に選手が慣れて来ていたのであって、それらの時も4バックにした後にDF陣が混乱している様子は見うけられました。そしてさらに、「スタートからの4バック」は、それとは勝手が違い、中村が言うように「自分たちのサッカーを探している」状態になっていました。失点シーンは、特に2点目は「運」の要素が強いと思いますが、それを差し置いても、前回も紹介した選手の談話のように、「慣れない布陣」がチームをギクシャクさせたことは確かだと言えるでしょう。
3バックへの変更
そして、選手の意見「も」あり、3バックに戻すことをジーコ監督は選択したようです。これはこれで一つの選択であり、とりたてて非難することはしませんが、個人的には「えっ、戻しちゃうの?」という感じがあります(笑)。
私はこのニュースを聞く前、個人的には「イラン戦は内容は良かった、4バックは失敗ではなかった」と選手に信じさせ、それを継続することが監督としては重要ではないか、と考えていました。そうでないと、「やっぱりあれは失敗だったんだ」「あの時のあのプレーがダメだったんだ」「なんであんなこと(慣れない布陣の採用)をしたんだろう」「あの選手の起用が間違っているんだ」などという、「負のサイクル」に陥ってしまうような気がしたからです。
この辺はやはり非常に微妙な問題であり、どの監督でもナーバスになるところでしょう。実際ジーコ監督も、記者にそのあたりを聞かれ、
──3バックにしているが
ジーコ よく言われるがシステムで試合に勝てるなら、監督なんていらないのだ。今回は田中が出られなかったこと、中田ら欧州組が合流したことで、前をうまく使う形、この2点から考えたことで私は練習を見ている限り、不安もなかったし、これまでも4バックで練習し、試合の流れの中で3から4に変えたこともある。選手と話したが、4だとバランスが大きく崩れるからどうしてもできないということは出てこなかった。システムありきではない、あくまでも選手ありきだ。
とかなり熱を込めて答えています。ちなみに、この「田中が使えなかったから4バックにした」という発言について、ちょっと論議を読んでいるようですが、私はこれは、「選手に言われたから3バックにしたのではないか?」という批判をかわすための方便ではないかな、と感じています。こういう方便は多くの監督が弄するもの、あまり騒ぐにはあたらないでしょう。
確かに、次のホームバーレーン戦は本当に「負けられない戦い」となったわけで、ここで選手がやりやすい、慣れた布陣で戦うことは合理的でもあります。選手もそれを希望している以上、そちらを選ぶことは間違っていないでしょう。そして、そうすることで逆に、「この間の試合は、悪かったのは4バックであって、それはもう切り捨てた、忘れよう」と考えること、いわゆる「気持ちを切りかえる」ことが、そのフォーメーションの変更によってできる可能性もありますね。今はそちらに作用することを信じて、そして今まで自分たちが培って来たものを信じて、前に向かうしかないでしょう。
W杯予選は「メディアとの戦い」
もうすでにW杯は始まっています。1997年の予選の時も、まだまだ自力での突破がある時でも、その後、他力とは言え十分な突破の可能性が残っている時にも、「クビの皮いちまい!」とか「赤信号!」とか「絶望!」などなどと大騒ぎになり、それが選手たちのメンタルに悪影響を与え、自分たちで困難な戦いにしてしまった部分がありました。また1998年大会、2002年大会のどちらのワールドカップ期間中も、メディアの狂躁状態は凄いものであり、それがまた選手たちを試合に集中させられなくした部分もありました。ちょっといい過ぎであることを承知で言えば、W杯という事を考えた場合、「メディアは敵である」と言っても良いほどであると思います。
前任者は、W杯であるかどうかを問わず(笑)、メディアを敵に回してしまうタイプの監督でした。まあ欧州を見まわして見れば、そういうタイプの監督はけっこういますね。木村さんが書かれているように、スペインにおいても、「監督vsジャーナリスト」という対立は、常態であるようです。しかし、ジーコ監督はああいう人格者でもあり、平時はなんとかメディアと良好な関係を保とうと努力をしていましたね。そのこと自体は良いことと思います。
しかし、ワールドカップ予選が始まれば、別かもしれません。予選は国民の大きな大きな関心ごとであり、ちょっともらした選手や監督の何気ない一言が、スポーツ新聞の一面をでかでかと飾ってしまうような状態になります。彼らからすれば極めて「おいしい」この時期、選手や監督の一挙手一投足を、メディアは「騒ごう」「持ちあげよう」「叩こう」と虎視坦々と狙っています。この時期にあまりに不用意にメディアと付き合うのは、避けるべきでしょう。
ジーコ監督は、練習後の取材において、先発メンバーを聞き出そうとした記者に対して、非常に怒ったようすを見せたと言います。
ジーコ (非常に怒った様子で)それを聞かれるのは非常に心外だ。私は就任以来、一度も練習を非公開にしたことはない。みなさんは練習を見て、誰が先発なのか、いつでも判断できるはずだ。私は敵をあざむくには、まず味方から、そういったことをしたこともなければ、みなさん報道陣をあざむこうなんて思ったこともない。見た通り書いてもらえば、それがスタメンだということを、一度も変えたことはないだろう。
これは、「真剣勝負でわざわざスタメンを事前発表するような監督」というバッシングを受けることが予想されての答えではないでしょうか?しかし、実際にはジーコ監督は練習試合や紅白戦でのスタメンを隠しもせず、そのまま起用する監督です(そしてそのこと自体は間違いではない)。したがって「予想メンバー」を立てるのはたやすいはずです。しかし、メディアはそれでは満足しない。「ジーコ、先発メンバー明言!」という見出しが欲しいからです。
ジーコ監督が怒ったように、私たちはこの時期のメディアに躍らされないようにしなくてはなりません。イラン戦の敗戦で私は本当に落ちこみましたし、そのやり場を求めてしまいそうな衝動を押し留めるのに苦労しました(笑)。それにつけこもうとしているのがメディアです。加茂監督の時も、岡田監督の時も、トルシェ監督の時も、ジーコ監督の時も、ワールドカップ予選、本大会においては「メディアは敵」なのだと、サポーターであるわれわれももう一度肝に銘じておいた方が良いのではないでしょうか。
(報道陣への)監督のコメントを、選手はあまり聞かない方がいい。選手は選手のリズムでやればいい
というのは、以上のような文脈で聞くべき言葉であると、私は信じたいと思います。
イラン戦の反省、追加いくつか(フィジカルコンタクトと審判)
イラン戦について、私は「またあの主審が日本に不利な笛を吹いている!」という印象を持っていたのですが、何度かビデオを見なおして行くうちに、「これは彼なりに統一された基準があるのではないか」と思えて来ました。それは「足でのぶつかりあいは、ものすごく激しくてもノーファウル」逆に「手を使ったり、肩で後ろから押したりすると、どんなに小さくてもファウル、場合によってはイエロー」という基準です。考えて見ると、そういうジャッジが多かったと思いませんか?
思えばオフト監督、加茂監督の昔から、「日本選手はアジア基準のフィジカルコンタクトに弱く、それによってナーバスになり、試合を支配されてしまう」という弱点がありました。イラン戦では、ナーバスになることはなく、試合でも逞しくボール支配をして行くことはできていましたが、やはりコンタクトには「なんでファウルじゃないの?」という不満を審判に表明する選手もいましたし、また「これはファウルだろう」と選手が勝手に判断し足を止めてしまったことが、危機に結びついていた部分もありました(失点シーンで前線にいた選手たちもそうですね)。
これからもアジアとの厳しい戦いは続きます。対戦相手はもちろん、審判もアジア人、アジア基準でジャッジがなされます。アウェーの試合もあり、また、審判はどうも、「アジア最強の日本」に対して辛目に取ることが多いように感じます(これは私の主観ですが・笑)。
それでも、予選は絶対負けられない戦い(笑)です。もうこのコンタクト、それに対する審判基準を折り込んで戦うべきではないでしょうか。具体的には、こちらも足でのコンタクトはハードに、ゴール前では手は使わない、不利なジャッジにもいらだたない、そして、「これはファウルをもらえるだろう」という自己判断をしない(笛がなるまでプレーを続ける)ということですね。
同点後の意識のズレ
前回も書いた、同点後の「攻めるのか、守るのか」という点での意識のズレですが、これが失点シーンにも微妙に影を落としているな、と思えてきました。前回も書いたように、失点シーンの流れは「前方の柳沢にボールが入ったところ」から始まっています。この前、中村と小野が高い位置から敵に対してプレッシャーをかけに行き、奪えたボールを柳沢が拾おうとしていたのですね。この柳沢のポストに対して敵DFがファウルまがいにつぶして、それをマハダビキアにつないで、そこからカリミにスルーパス、というカタチが失点に至る流れです。
この時、小野は自分の奪ったボールが柳沢に納まり、そこから展開されると信じて前方に走り出しています。中村も同様ですね。二人の「攻めへの意識」がうかがえますね。それによって、マハダビキアと対峙した福西は、ハードにあたりに行くことができなくなっています。一発勝負に行って抜かれたらゴール前中央で数的不利になってしまいますからね。福西は距離を置いてディレイをすることしかできなかったわけです。小野が上がっていなければ、という点が一つあります。
また、この時に中央が数的不利になっていなければ、マハダビキアと対峙したのは小野であった可能性もあります。(その直前にマハダビキアからボールを奪ったのも小野)であれば、福西はもう少し下がり目にいることができ、カリミからクロスが上がった時点で中央加地のフォローに入っていることができました。実際にジーコジャパンでそういうシーンは何度か見たことがあります。ヘッドの強い福西があそこにいれば・・・。
以上のように、この失点シーンの前の段階での、中盤の選手の「前へ」の意識と、その割りに上がり切れず、コンパクトを維持できなかったDF陣の意識のズレが、マハダビキアから自由にパスをださせ、中澤の足に当たったボールがカリミの前に転がるという一つの不運で失点してしまう遠因になっていたということが言えるでしょう。今後は、監督の指示の出し方も、それを受けた選手の意識も、もっと試合の流れをよく見て、的確であることが望まれますね。
さあ、バーレーン戦!
バーレーン戦はホームですし、実力的にもこちらが上、さらにバーレーンは主力を3人欠いています。日本と違い人口67万人の小国で、選手層も薄いバーレーンにとって、この3人の欠場は痛いようです。敵の武器はカウンター、右サイドのM・フバイルの突破、クロスから、中央のアリが決める、というカタチですが、三都主とのマッチアップ、中央でのCB陣のしっかりしたポジショニングがポイントになるでしょうね。もちろん、敵は引き分け狙い、守ってからカウンターで来るでしょう。こちらは慣れた布陣に変えたことですし、3バックはアジアカップでカウンターともずいぶんと戦っています。十分に勝てるでしょう。是非いい準備をして、しっかりと結果を出して欲しいですね。
それではまた。
08:06 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (2) |
March 26, 2005一喜一憂しない
悔しいですね!
敗戦は意外とダメージに感じてしまいました。落ち込みから立ち直るのに時間がかかり、更新が遅れました。申し訳ありません。
■非常に惜しい試合
しかし、勝ち点を取れる可能性があったから「惜しい!」と思うけれども、最強の敵とのアウェイ戦なのだから、この一敗は「想定内」ですよ。そのはずです。ここまで2試合終えて勝ち点3、残り4試合で9以上を取れば、勝ち点12になるわけですから、次のバーレーン戦に勝てば問題なしです。そう思います。
グループ2
順位 | チーム | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 得点 | 失点 | 得失 | 勝点 |
1 | バーレーン | 2 | 1 | 1 | 0 | 2 | 1 | 1 | 4 |
1 | イラン | 2 | 1 | 1 | 0 | 2 | 1 | 1 | 4 |
3 | 日本 | 2 | 1 | 0 | 1 | 3 | 3 | 0 | 3 |
4 | 北朝鮮 | 2 | 0 | 0 | 2 | 2 | 4 | -2 | 0 |
■意外と機能した[4-4-2]
この1年関連携を深めて来た[3-5-2]をお休みし、急遽編成された[4-4-2]は、思ったよりも機能していたと思います。練習で約束事の確認をしたというボランチとOMF(特に中田ヒデ)との連携は、それほど大きな穴をあけませんでした。これはまあ、個人能力を活かしてゆっくりと攻めて来るイランの攻撃の特性に助けられた部分はありましたが。北朝鮮のように連携が良く、ぽんぽんとダイレクトパスをつなぐような攻撃にさらされた場合は、昨日のようには行かなかったでしょうね。
選手たちは
(中村) 相手うんぬんというよりも、自分たちのサッカーをちょっと探しているというか。味方がどんなプレーをするんだろうというか、そういう連係がスムーズにいっていなかった。
(宮本) すぐにしっくり来るシステムというわけでもない。
(高原) どのタイミングで動いたらパスをもらえるのか、分からなかった。(中略) 向こうの守備というよりもうちの連係ではないか。お互いの動きやパスのタイミングだとかが、やっぱり良くなかったと思う。
(玉田) 自分もタカさん(高原)も前線で孤立していたというか、もらってもあまりいいプレーができていなかった。
と語っていますが、もちろん合宿で4日間しか練習していないのだから、そうすぐにパーフェクトとは行かないでしょう。しかし、「思ったよりも」うまく行っていたな、と私は感じました。
ヒデを組みこむと「中盤のプレスの再整備」に手をつけるだろう、それはアジアカップで掴んだやり方とは少しく違った物になるだろうと、以前に書きました。この試合はまさにそうなって、FWから、OMFから、ずいぶんとプレッシャーをかけに行っていましたね。イランは個人個人の能力があって、前を向かせてスピードに乗らせると手がつけられないでしょうから、プレッシャーをきつくする、前線からガツガツとチェックに行く、というのは間違っていないと思います。
ただ、それで飛ばしすぎたところがあったでしょうか?失点シーンの直前あたりから、日本選手の体が重そうになり(テヘランは高地です)、コンタクトが淡白になり、イラン選手が前を向いてボールを持つシーンが増えてきましたね。失点は、この時間帯守備に追われた中村選手が、なぜかダエイと中澤と競ってしまい、痛んで退場してしまうプレーから。これが日本のファウルに取られ、そのFKをマハダビキアが精度高く放りこみ、加地がそのボールをイラン選手につぶされてこぼし、それをハシェミアンが蹴りこみました。
失点は加地の個人的ミスの部分が大きいと思いますが、あそこで不用意にFKを与えてしまったプレー、なんといっても味方同士で交錯し、ファウルを犯してしまう、守備面での混乱が問題ですね。これはさらに話し合いを増やして、改善して行って欲しいですね。イランは日本に対してとにかくFKを与えないようにプレーをしていました(日本の獲得した直接FKは8、イランは23)。見習わなくてはいけませんね。
■忙殺された中村選手
前半今一つ日本のサッカーが出来なかった原因は、中村選手が日本の左サイドの守備のケアに忙殺されたことが大きいでしょう。イランはマハダビキア、カエビに加えカリミも(イランから見て)右に流れ、そちらを起点にゴリゴリと攻めてきましたから、どうしても中村も守備にもどってしまいます。さらにイランはアジアカップでの大活躍を覚えているのでしょう、中村を非常に警戒し、厳しくマークしてきましたから、この点でもボールを足元に納めてからプレーを開始する中村選手は持ち味を発揮することができませんでした。
次にイランと対戦する時は、中田ヒデを左に、中村選手を右に配置したほうが、チーム全体がスムースに行くかもしれません。中田選手ならば、守備の局面からでも非常に早い動き出し、フリーランニングで攻撃に参加していくこともできたでしょうし、多少のコンタクトではつぶされなかったでしょう。逆に中村選手は、スペースのあるところでボールを持つと、昨日の中田選手よりももっと「違い」を作り出すことができたでしょう。
後半になって、中村選手は右にも顔を出すようになって来ます。ここで中田選手と中村選手の距離が近くなったことで、この時間帯は日本の攻撃が活性化していました。イランを敵陣に押し込むようになったところで、「スペースを作り、使う動き」のうまい柳沢を投入したのは良かったと思います。彼が玉田に代わって前線でボールをおちつけるようになるとさらに攻勢を強めることができ、スローインから中田選手がクロス、柳沢が競ってこぼれ球を福西が豪快にシュート!アウェイで追いついたのは良かったですね。
■攻めるのか、守るのか
中村選手が試合後に述懐しているように、ここで守るのか、さらに攻めるのかの判断があいまいになったところが、もったいなかったと言えば言えると思います。そういう試合のモメンタム(流れ)を掴むのは、昨年のアジアカップ後の日本代表は向上していたはずでした。しかし、今年になってまたいくらかやり方を変え、さらに今回4バックにして選手構成も変わった代表は、昨年掴んだそれを少し失っていたようです。残念ですね。
ただ、97年予選ホーム韓国戦の時のように「守れ」という判断が失点につながることもあるのですから、「引き分けを狙わなかった」ということが問題だとは思いません。そうではなく、選手たちの間で、「チームとして」意思統一ができていなかった点が残念なのです。その点で考え方に差があると、少しずつ選手の動きがかみ合わなくなっていってしまいますから。
■決勝点の失点シーン
決勝点を奪われたシーンは、中澤の大きなクリアが13カエビに入ったところから。カエビに中村が対処し、カエビから2マハダビキアにパス。これを小野がチェックに行き、ボールを突っついて奪い、そのまま前方へ攻撃に上がります。小野の奪ったボールを処理しようとした柳沢を、イランのセンターバック(かと思いますが、ビデオでは背番号が20に見えます。20だと、左サイドバックのノスラティかな?)がハードにチェック、ボールがマハダビキアにおさまります。これが実際の攻撃のスタートですね。
マハダビキアがドリブルし始めると、ヤナギからボールを奪ったCB(仮にそうしておきます)はその勢いのまま、日本の左サイドのライン沿いに上がって行きます。小野はイラン陣に上がろうとしていたので置いていかれ、マハダビキアの前方で少し距離を置いてディレイしようと(?)していたのは福西になりますね。三浦淳は、上がってくるCBと、13カエビのケアのために、下がらないでポジションを取ります。マハダビキアから8カリミにパスが出ると、中澤がついて行く。ラインぎりぎりまで切りこんだカリミは、CKを得ようとしたのか、わざと中澤の足にボールを当てようとします。これがたまたま、中澤の足に当たって残ってしまい、カリミはすかさずそれを拾ってクロス、中央には加地と中田ヒデにはさまれて、「ヘリコプター」9ハシェミアンが入りこんでおり、みごとにへッド、失点となります。
この時、宮本はグラウンダーのパスコースを消しながら、ニアに入りこんで来ている14ナドビキアをフリーにしないポジションを取っており、特にミスとは言えません。三浦淳も、13カエビと上がろうとするもうひとりのCBをケアするポジションを取っていて、ミスとは言えないと思います。中澤はクロスをあげさせてしまいましたが、カリミにきちんとついていて、抜かれたわけではなく、ちょっと不運。問題はやはり、真ん中でハシェミアンにフリーでへッドさせてしまった加地、あるいは加地があそこで競り合いをしなくてはならないようなチーム全体のやり方のほうにあると言えるでしょう。
もともと4バックは、サイドからのクロスにSBがファーで競らなくてはいけない布陣です(CB両方がペナルティエリア内にそろっていても)。その点で能力の高い選手がいないことが、Jリーグで外国人監督が4バックを採用(したいのに、)しない理由の大きな一つであると思います。身長やヘディングの能力もそうですが、特に、今回の加地のように「クロスをあげられる前に首を振って、自分のマークするべき選手がどこにいるかを確認する情報収集能力」において、現代のSBをこなせる能力のある選手は少ない。加地はやはり、ハシェミアンの動き直しを視認することはできていませんでした。
この局面を「人数はそろっているから組織は出来ている」とするのは、難しいと思います。選手にはタイプや、固有の能力、志向性があり、それをうまく組み合わせ、必要な意識づけをして行くのが「組織作り」でしょう。ただ選手を並べて、約束事を与えておしまい、ではないのです。やはりこの局面では、加地の特性を把握し、ハシェミアンのFWとしての能力とのマッチアップを考え、意識づけをしておく必要があったと思います。「相手を視野にいれている部分もある」とジーコ監督が語った4バック、もともとハシェミアンに対峙するのは加地の役割だったはずなのですから。
■「ジョーカー」のいない日本代表
今回残念だったのは、リードされた時に打てる手が、柳沢以外は効果的ではなかったことです。これまでは、[3-5-2]でスタートし、[4-4-2]に変えることで、「システム変更がジョーカー」というスタイルを作ることに成功していました。前方に起点が増えることで、敵を押しこめ、それまでとマークの狂いをさそう。そういう中で前回の大黒の得点も生まれたのです。今回は、[4-4-2]でスタートしたことで、その後に打てる手が限られていました。柳沢、大黒、小笠原の投入は、リードした後引いて守り始めたイランをこじ開ける手段にはなりませんでした。ジーコ監督は、ヒエラルキーの上位からスタメンにする、というやり方を取り、選手のタイプをいろいろとそろえて、局面に応じて投入できるように連携を熟成させておく、ということをしませんから、仕方がないことですが、今後に向けての一つの不安材料ではありますね。
■ヒデを組みこむという選択
ジーコ監督は、今回あらためて中田ヒデ選手に与えた「長男」の位置の、ジーコ・ヒエラルキーの中の磐石さを周囲に知らしめました。しかし、オマーン戦の時のように、それを問題視しようとは、私は思いません。かの時は、中田選手という「理詰めで良いサッカーを追求し、周囲にもそれを要求する」選手に、長男かつキャプテンという重過ぎる役割を与え、周囲の選手のメンタル・コンディションに悪影響を与えたことが問題だったのです。しかし、アジアカップを経て一体感を増した現在の代表では、その部分は問題にならないでしょう。
逆に、イラン戦では中田選手の重要性があらためて確認できたように思います。特に、FWの選手がずるずるとすべり、トラップが非常に大きくなってまったくボールが納まらないピッチコンディションで、微動だにしない(笑)フィジカルの強さは際立っていました。それはイランの選手とのマッチアップでも表れていましたね(こういうところが海外でやっている経験・・・なのかと思ったのですが、高原選手も滑ったりトラップミスをしていたりしたのはなぜでしょう?)。
ピッチコンディションが悪かったり、審判が不安定だったり、敵選手がラフだったり、何があるかわからない最終予選に、予選の経験もあり、悪い条件も苦にしない中田ヒデのような選手が欲しいのは理解できます。しかし、長いこと代表から離れている。予選を戦いながら彼の組みこみを図るのは、一種の賭けになる。そうなると、その「賭け」に出るタイミングは二つ、今回か、5月のキリンカップか(もっと後でもいいですが、そうなると最終予選の重要な局面でヒデの力が期待できないですね)。今回は、1勝の後の、最強の敵とのアウェイ戦(ある意味、敗戦しても痛手が少ない)、時間もある程度とれますし、海外組もコンディション良く臨める、日本はアウェイで強い、など、好条件がそろっています。強い相手との戦いは、モチベーションも高めやすいですしね。
ヒデが入る以上、彼主導で中盤の守備は作りかえられるでしょう。アジアカップでの戦いよりも前がかりになり、プレスも積極的に、攻撃面でもこれまで以上に早い攻守の切り替え、ダイレクトな攻めが志向されるでしょう。そのようなやり方も、敵が(例えば)引いて守ってくるバーレーンだと試す効果が薄い。そういう戦いの慣熟走向には、実はイランは格好の相手だったと言うことができるのです。
私はジーコのその賭けは、「勝ち点以外はよかった」という結果が出た、と思います、少なくとも現時点では。思ったよりも守りも攻めも機能し、アジア最強かもしれないイランと互角に戦った。チャンスも作った。完全に崩されたシーンは少なかった。問題点も多くあるけど、再スタートとしては悪くない(「こんな時期に再スタートしている事が問題」とか言いっこなしですよ)。これを熟成させて行けば、もっとよくなるかもしれない。
最も重要なのは「これから」だと思います。具体的にはこの4日間。内容は思ったよりも良かったとは言え、敗戦は敗戦。試合後、選手たちの顔は一様に固かったですね。この一敗が、チームにどう言う影響を与えるか。負けた原因を[3-5-2]から[4-4-2]への変更に求めるような意見が、チーム内で出ないか。あるいは試合勘の悪い中田選手が来たらいきなりサブに追いやられた選手が、納得できるかどうか。バーレーンに絶対勝たなくてはいけない状況に陥ったこと、ホームの試合で「いい戦いしなきゃ」というメンタルになりがちなこと、それらがこの正念場でどういう影響を及ぼすか。ここが本当に、この予選での正念場ではないでしょうか。
■勝てる、勝つべき相手バーレーン
バーレーンは、主力FWのA・フバイルが怪我で欠場の上、有力なトップ下のユースフとSBのジャラルがカードで出場できません。主力が3人欠けていますから、絶対に守って来るでしょうが、ここで勝たないと予選突破の歯車が狂ってきます。勝てる相手ですし、絶対に勝ちましょう!
それではまた。
11:40 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (7) |
March 21, 2005イラン戦は4バックでしょうか
ドイツ合宿中のジーコジャパンは、ドイツの地域リーグ(3部に相当)のチームと練習試合をし、1−0(前半1−0)で勝ったそうです。前半が4バック、後半が3バックとのこと。これは興味深いですね。そしてさらに、
ジーコ監督は「きょうの動きでは、守備は両方やれる感触をつかめた。システムは、欧州組次第で変わる」と語った。
とのことです。またスポニチでは
布陣は欧州組の状態で決まるかとの質問に「その通り」と発言。
ということで、これはやはり前回
もしジーコ監督が[4-4-2]をする時は、守備から考えるよりも、やはり中盤のタレントを生かすためにすることでしょう
と書いたように、中田ヒデの調子がかなり布陣を決定するようです。
最近あまり見られなかった「スタートからの4バック」ですが、これは守備面でも効果があるかも知れません。ご存じのように、イランがダエイを頂点に据えた1トップ、ないし3トップのような形を取ってくる可能性は高いと思われますから、図のように日本が4バックを採ると、ちょうど各所で1vs1が成立し、さらに宮本が余る形を作れるわけです。これは、攻撃力を誇るイラン封じを考えても、有効な形の一つだと思われますね。
(注:選手名のリンクは海外のものが多く、かなり重いです)右のマハダビキアを三浦淳が見て、左のハシュミアン(ここにザンディが来る可能性もあると思います)を加地が見る。ダエイに中澤(コンディション次第で松田とか、茶野の可能性もあり)をぶつけて、そのカバーリングを宮本が担当、もう一つの驚異のカリミ(2004年アジアMVP)には、ネドヴェドをマークして仕事をさせなかった稲本を当てる。こうなると、日本の堅陣はなかなか崩されないような気がしますね。
イラン人の父を持つザンディは、ドイツ生まれでドイツ育ち、ドイツU-21代表にも入った10番タイプの選手ですが、2重国籍のためにイラン代表入り、バーレーン戦でもプレーしましたね。(なかなかカッコイイ顔でも一部で有名です・笑)バーレーン戦ではチームにフィットできず、活躍できなかったようですが、日本同様4日の期間が取れるこの試合ではどうでしょうか。彼が本来の力を発揮すると、もう一つケアしたほうがいいポイントが増えることとなります。ジーコジャパンの[4-4-2]では、どちらかというと左に位置することが多かった中田ヒデ選手を、この図では右に配置しているのはそのためです。彼の守備力でザンディを封じ込めようという意図ですね。
もう一人、驚異になってくるのは、マハダビキアとの連携で上がってくる右SBのカエビでしょうか。彼は、フリーにさせるとさすがに怖いので、今回は守備からはいることを考えているらしい三浦淳にしっかりと抑えてもらいたいところです。ただ引いて守るだけではなく、彼が上がることでカエビとマハダビキア、二人を引っ張って守備させるくらいにできるといいですね。もちろん、それにはボランチ小野やOMF中村、そして宮本の協力も必要になってきますが(ザンディの驚異をあまり心配しない場合には、カエビの対面、日本から見て左にヒデを配することも有効でしょう)。
ジーコ監督はおそらく中田選手の起用面から4バックを考えているのでしょうが、選手の特性や対戦相手との相性などから考えても、実はなかなか合理的な選択かもしれません。ただ、問題となる可能性があるのは、選手も「意外だった」と語るように「これまでの継続性」との兼ね合い、再度の約束事の整備のための選手間の話しあいの時間、そして、選手起用によるチーム内のメンタルのマネジメントでしょうね。アジアカップを経て一つの「ファミリー」のようになっている今の日本代表なら、気にすることはないと思いますが。
そして、アジアカップで見る限り、イランは攻撃も守備も個人頼み。特に攻撃陣は「好きなようにやっている」感が強く、はまれば強力でしょうが、アジアカップにおいて「カバーを重視した守備」と、うまく行かないときでも「落ち着き」を手にした日本ならば、守りきることは不可能ではないでしょう。そして、アジジも言う個人に頼った守備は、おそらく北朝鮮よりも崩しやすいはずです(あれほどの「守備面でのデターミネーション(不退転の決意)」は持っていないでしょう)。欧州から距離的にも近く、海外組もコンディションよく臨めるこの試合。敵は強力ですが、臆することなど無いと感じます。
小野や中田ヒデ、稲本らコンディションが心配された選手たちも、ここに来て90分戦えるようになってチームに合流できそうです。この最大の決戦の場に、ジーコ監督の理想通りの選手がそろうと言うのは、なにか運命的なものも感じますね(笑)。あとは短いですが、合宿を有効に使って各選手のコンディションを見極め、(中澤も心配する)戦術をもうちょっと整備すれば、イラン戦にも勝利できるでしょう。
アウェーの地で、最大の決戦に挑む選手たち。大変でしょうが、是非いい準備をして欲しいですね。
それではまた。
(注:イランがこのような「日本のイラン対策」を読んで、その裏をかこうと別のことを考える可能性もありますね。そこまでは読み切れませんれども・笑)
06:38 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (3) |
March 15, 2005さあ、最大の決戦へ!
ついに、日本代表候補が発表になりましたね。このメンバーで17日からドイツ合宿、そして25日のイラン戦、30日のバーレーン戦に臨むわけです。「いよいよ」という感じがしてきましたね。試合自体も後10日後に迫ってきました。
GK 楢崎正剛(名古屋)、土肥洋一(FC東京)、曽ヶ端準(鹿島) DF MF FW |
総勢で26名の大所帯ですね。ここから、各試合のために18人が登録されることになります。三都主と田中マコは累積警告のためにイラン戦には出場できないため、ドイツ合宿にも帯同せず、日本で英気を養う(?)ことになるようです。
GKでは、川口が手の骨折から復帰が間に合わなかったようですね。DFは、気合満々だった松田が怪我から復帰、逆に中澤がひざに問題を抱えてしまっているようです。
このちょっとした不安を会見でジーコ監督に聞いた記者の方がいらっしゃいました。
――ディフェンス陣では、中澤選手がひざをけがしていて、坪井選手と松田選手も故障あがりです。DFに関しても不安はありますか?
ジーコ 確かに不安がまったくないということはありませんが、今回の試合は25日ということで、いつもよりは試合まで時間が残されて、多少余裕を持って状態をチェックできます。(ここから各選手の状態について) もし必要があれば、多少コンバートすることが考えられる選手も何人かいますし、非常に楽観的に考えています。
ジーコ監督のこの答えは興味深いですね。誰かの怪我が悪化した場合は、追加召集なのか、今回選ばれている中でのコンバートなのか。
この「コンバートの可能性」は、今回の代表候補を見る一つのキーワードになるかもしれないですね。
現状では[3-5-2]で、中村選手、小笠原選手がトップ下に入ってやってきたわけですが、これまで怪我をしてきた選手たちのようやくの復帰もあり、中盤にそうそうたるメンバーが集まることになりました。しかし、特に[3-5-2]の場合は、攻撃的中盤のポジションは一つしかなく、残りのメンバーを起用しようとすると別の場所に配置する必要がでてきますね。実際にジーコ監督は中田英選手のポジションを聞かれて、
ジーコ 今の状態で彼が一番貢献できるところ。そういったことを含めてこれから考えますけれど、本当にどこのポジションでも非常にいい力を出してくれるんじゃないかという期待を持っています。
と、さまざまなポジションで起用する可能性があることを匂わせています。
また、メンバーを見て誰もが気づくサイドのバックアップメンバーの不在ですが、記者会見でジーコ監督は、
――アレックス選手がイラン戦ではプレーできませんが、このメンバーにはサイドのバックアップメンバーがいません。それについてはどう考えていますか?
ジーコ 自分の時期ではないですが、2人の選手、あえて名前を挙げれば小野、中村選手がこのポジションを過去にやっています。他にも名前を挙げませんが、自分が考えているバックアップのメンバーがこの中にはいると考えています。
と答えており、小野や中村、それ以外にもバックアップ足りうる想定メンバーがジーコ監督の脳裏にはあるようです。これも興味深いことですね。Jリーグでサイドを担当していいパフォーマンスを見せている選手は何人かいると思うのですが、彼らよりも現メンバーの中でのコンバートを優先するということでしょうか。
いずれにしても、選手と監督が合宿でじっくりとよく話し合って、それぞれのポジションを考えていくのでしょう。よい形を見つけて欲しいですね。
そういう意味では、今回のメンバーはこれまでのジーコジャパンにないほど、「誰をどう起用するのか」という点で興味深いものとなっていますね。アジアカップ仕様の[3-5-2]もできる。やろうと思えば、2003コンフェデ仕様の[4-4-2]もできる。練習で連携を深めた国内組はもちろん起用できる。欧州組も、移動距離が短く、また時差も少なく、よいコンディションで試合4日前(オフィシャルAマッチデーなので)には合流できる。彼らを起用することも(合流後の練習時間の問題を除けば)無理がない。
熟成を重ねたフォーメーションで行くのか、起用できるメンバーの特性を重視したカタチを選ぶのか。イランという最終予選上最大の敵と戦うこの時に、このようにメンバーがそろって、ある意味目移りのする(笑)状態になるとは、実に有意義なことと感じます。(これはイランも読みにくいでしょうね・笑)
とりあえず、今考えられるのはアジアカップ仕様に小野や稲本を組み込んだものか、2003コンフェデ仕様の[4-4-2]でしょうか。イランはダエイの1トップのやや後ろにカリミやハシュミアンが控える[4-3-3]ないし、[4-5-1]のようなカタチで来ると予想されますから、日本がここで4バックを採るのも論理的ですね。1トップは、4バックの2人のCBでうまく見ることができますから。
とはいえ、もしジーコ監督が[4-4-2]をする時は、守備から考えるよりも、やはり中盤のタレントを生かすためにすることでしょうね。その場合にも、アジアカップを獲った日本の強み、「カバーを重視する守備、個人能力、セットプレー、そして落ち着き」は維持できるのか。それともそれを継承しながら、新しいものを付け加えていこうとするのか。そこも重要なところですね。
あ、そうそう。この26人という召集人数、イラン戦と5日後の長距離移動後のバーレーン戦という強行軍に、もしかするとかなり明白なターンオーバーを敷くことが考えられているかもしれません。イランでは欧州組中心、日本では北朝鮮戦と同じようなメンバー、とか。うまくそれができると、この苦しいスケジュールも乗り越えられるでしょうね。
早くも今年のジーコジャパンの正念場、この3年間の最初の集大成の場ですね。厳しいスケジュールの中、決戦に向かうこのチーム、後はいい準備をして欲しいと祈るばかりです。
それではまた。
02:55 AM [ジーコジャパン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (2) |