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February 26, 2005

ジーコ監督に副官を!

V6010038やっと、北朝鮮戦を埼玉スタジアムでホームビデオに友人が取ってきてくれたものを借りて、見ることができました。

TV観戦も選手の表情などが見えて好きなのですが、やはりボールのあるところを中心に映すので、DFラインの動きや、ボールが中盤にある時のFWの動き出しなどが、わかりづらい部分があります。こうやってスタジアムの高いところから見ると、それらがよく分かりますね。

そうして見ると、TV観戦での感想を補強するようなことがけっこう分かりました。まず、宮本の指揮するDFラインが、昨年のドイツ戦での反省を受けてか、試合スタート時にはかなり高目に位置するようになっていたこと。これによって、序盤の日本の前線からのプレスは「後押し」をされていたんですね。そうでないと、前線が追いまわしてもその後ろが間延びしてしまい、上手くいかなくなってしまうのです。

これが意味するのは、宮本がジーコに進言したというアウェーオマーン戦での「引いて守るやり方」は、中澤が「この試合だけだから」というように、かならずしも選手たちも本意とするものではなかったということでしょう。アウェーオマーン戦直前での市原ユースとの練習試合で高めからプレスをかけようとして上手くいかなかったこと、引き分けでも通過できるという状況だったこと、などから「現実的」に1次予選通過のために採用したものだった。しかし、日本のサッカーとしては前線からプレスをかけ、高めでコンパクトを形成するものだと、彼らも思っているということの顕われでしょうね。

highdmflowdmfしかし、前半に何回か、北朝鮮にダイレクトでパスをまわされ、遠藤、福西のボランチ陣がそれを捕まえられず、日本のDFラインが脅かされるシーンが出てくると、3バックはかなり早めに下がってしまうようになります。具体的には、敵がボールを奪った瞬間ぐらいに下がってしまう。アジアカップ・スタイルそのままに回帰したわけですね。そしてボランチも、敵のダイレクトのパス交換を捕まえられないために、DFラインと同調して下がってしまい、さらに敵のパスまわしを楽にするという悪循環がうまれていました。1次予選やアジアカップではボランチの後ろにできていたスペース(図1)、この試合ではボランチの「前」にできていたということですね(図2)。これが、前半の途中から日本の失点まで、北朝鮮にペースを明け渡す原因の一つとなっていました。

これは一つには、遠藤と福西の「タイプ」によるところがあるでしょう。どちらも、バランスを取る能力はあるものの、「ボールを持ってから仕事をする」という、ボールプレイヤーの側面を多く持つ選手です。ジーコ監督は基本的にそういう選手を重用しますね。運動量が多く、目立たないところできっちりを仕事をできるタイプや、中盤でのボール奪取能力の高い選手はJリーグにもいるのですが、あまり代表には選ばれていない。ボールプレイヤータイプを重ねて、さらにDFラインに「セーフティーに」という指示がずうっと出ていて、その上に初戦の重圧があり、敵がなかなか連携を練っていると、どうなるのか。

北朝鮮戦の分析をしたNumber622号、戸塚啓氏の文章に興味深い一節があります。

ハーフタイムを迎えて、宮本恒靖は遠藤に「ラインがちょっと低いか?」と確認している。「そういうときもある」という答えを受け、宮本は前半よりも高めにラインを設定しようとした。受身ではない前向きな姿勢の表れである。

やはり、前半に何度かラインが低くなってしまったこと。それによって中盤との連携に難を生んでいたことは、選手たちにも自覚されていたのですね。

しかし、ジーコジャパンでラインを高くするためには、遠藤、福西の部分が、「一人が当たり、一人がカバーする」などのプレーができていないと難しいです。敵のパス交換が中盤をスイスイ通り過ぎて行くような状態でDFラインだけをあげても、試合のペースを取り戻すことにはならない。後半は上げようと意図が生まれながら、それがなかなか機能しないうちに、さらにアグレッシブに、ファウルすれすれのラフチャージを仕掛けてくるようになった北朝鮮に精神的にも押され、完全に流れを持っていかれてしまいます。

これは、いわゆる「初戦の重圧」によるものであり、かつ、日本代表特有の「ホーム・ディスアドバンテージ(ホームの不利益)」によるものでもあったでしょう。「大きな戦いの初戦」は常に最も緊張するもの、監督、選手は十分な自覚を持ち、準備することが必要です。アテネ五輪、2002年のベルギー戦を見てもそれはわかるでしょう。そして、宮本とジェレミーさんの言うように、日本代表はホームでは「勝たなくては」「点を取らなくては」「いい試合をしなくては」という意識からか、むしろ固くなり、よくない試合をしてしまうことが多い。この両者が、北朝鮮戦の試合内容に影を濃く落としていたのは間違いないと思います。

しかし、それだけでもない。やはり中盤でのプレスが整備されていないこと、ファーストプレスとセカンドプレスの関係、それぞれのポジショニング、攻めている時の守備のバランス、ポジショニング、それらを後ろからささえるDFラインの位置、安定性など、ジーコジャパンでまだ問題を残している点は多々あります。「ボールの取りどころが定まっていない」「日本らしい高い位置で奪うサッカーができていない」・・・これらを選手たちが反省点として口にする状況は、ずうーーっと変わっていません。そして合宿を重ねたあとの北朝鮮戦を見ても同じような問題が噴出する点を見ると、これらに関しては、ジーコ監督ではこれ以上の向上は難しいのではないかと思えます。

昨年、私はジーコ監督を解任して、新しい監督に日本代表を指揮して欲しいと思っていました。それはその時なら「まだ間に合った」からです。しかし今はもう、仮にイラン戦やバーレーン戦によい結果が得られなかったとして(もちろん、そうはならないことを信じていますが)、ジーコ監督を解任しても、後任の監督がチーム作りをする時間はない。それはあまりにもリスキーです。ですから私は今では、ジーコ監督を解任せねばならないような状況になることをまったく望んでいませんし、仮に何かが上手く行かなくなったとしても、これから監督を交代することのリスクを考えると、可能な限りそうするべきではないと思います。

と同時に、このように中盤の守備に問題がある状況は、やはり改善するべきと思います。前回も書いたように、アジア予選を通過するだけなら、もっとラインを下げて守るやり方でもいいでしょう。私は半分くらいそれで行くべきだと思っています。しかし、選手たちの意識は、今はその方向で統一できてはいない。前線はプレスしようとし、DFラインやボランチは上げようという意図を持ちながら、「本能的に」(?)リスクをおそれ下がってしまう。これはあまりよい事ではありません。

もうジーコ監督で行くしかない。しかし、ジーコ監督(およびそのスタッフ)には、長所もあれば欠点もある。欠点を補うためには、協会もそろそろ本格的に「副官」を置くことを考えるべきだと思います。もともと山本氏がおり、アテネ後は復帰が基本路線だったわけですし、そもそもコーチのいない代表というもの自体、ここしばらくでは珍しいことなのですから。オフト氏に清雲コーチ、加茂氏に岡田コーチ、トルシェにサミア、山本コーチがいたように。そしてそのコーチは、ジーコ監督の考え方を理解でき、その上でプレッシングやDFラインの指導が上手くできる人であるべきですね。

そう考えると、ジーコを理解する知性、代表監督の難しさを知っていること、そしてプレッシングやDFラインの指導については現在Jリーグ一であると思われることなどなど、一番いいのは岡田さんですねえ。もちろんマリノスに悪いので、「岡ちゃんを副官に!」とは私は言いませんよ(笑)。言いませんが、彼が理想に近いことも確かですね。誰かいないでしょうか、「岡田さんみたいな人」(笑)。

ジーコ監督に副官を!J-NETでずっと出ていた議論で、私は反対だったのですが、現状から考えるとそれがベストのように思います。

それではまた。

09:25 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク

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