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February 04, 2005

北朝鮮戦のメンバーと「家族」

glassシリア戦については、友人とわいわい観戦モードでしたので、感想はまた後日に書きます。まあ、シリアはカザフスタンよりも、細かいところが少しずつ上手く、北朝鮮戦に向けて負荷をかけていてコンディションが底である日本は、序盤ちょっと苦労しましたね。しかし、サイドからのクロスというパターンを徹底し、そこから点が取れたのがポジティブです。後はこれを北朝鮮戦に向けて微調整して行ってほしいですね。

さて、それを受けて北朝鮮戦に向けてのメンバー24名が発表になりました。ここからさらに6人が絞られ、実際の1次予選には18人で臨むことになります。いよいよ最終予選の実感がわいてきましたね。

ここでなんといっても興味深い、話題を呼ぶのは、海外在籍選手からは今回は2人しか召集を受けていない、ということでしょう。ジーコ監督は、カザフスタンとの試合後

ただ、昨年と違って、帰国した選手のコンディションや、実際に試合に出て貢献できるのか、活躍できるのかという部分をよりシビアに判断したい。試合勘などの問題も含めて、パフォーマンスに影響がないと思われる選手を選んでいきたい。

シリア戦後には、

海外組から誰を呼ぶかについては、もう少し考えるが、基本的にいえることは、今のこのグループを次の試合にもう少し残したいと考えている。それにプラスして、誰が来るかということだが、できれば今日のスタメン+ベンチを最初の試合(北朝鮮戦)にぶつけてみたいという気持ちはある。

と語っていて、この言葉を有言実行した形になったわけです。よいことだと思います。

「ジーコ監督の強化法は、選手間の話し合いや、試合でできるコンビネーションに負うところ大であり、集まってから機能するまで、ある程度の期間を必要とする」と私は思っています。従って、「合宿で連携を作れる国内在籍選手」に、どうしても直前合流となってしまう海外在籍選手のうち、コンディションのよい選手を「全員ではなく」何人か組み合わせる程度で試合をすべきだ、というのが私の昨年のオマーン戦以来の主張でした。当初は、おそらくジーコ監督も国内組のプレーに不満があったのでしょう。どうしても戻ってきたての海外組を主軸に据えていましたが、チェコ戦あたりからそれが変わり、アジアカップで大きく信頼を増し、そしてここに来て、ついにこのような変化が起こったわけです。

小野は怪我からようやく練習を始めた程度、ヒデはプレーを始めましたが調子は上がっていない状態です。しかし、大久保も(怪我があるとはいえ)、ヤナギも、稲本も試合に出ていて、出れば活躍しています。去年のオマーン戦でも、怪我で長いこと試合から離れていた選手や、ベンチを暖めることの多かった選手がいましたが、全員が招集され、ピッチに立ったのと比べると、かなりの変化を感じます。

ところで、尊敬する宇都宮徹壱さんが、「絶対的な父性」としてのジーコというコラムを書かれています。この中には、北朝鮮戦のスターティングメンバーに稲本を書き入れていたり、ジーコのシリア戦後のコメントを「リップサービス」としたり、「外した」(笑)ところもあるのですが、そんな枝葉末節はともかくとして、全体の趣旨は大いに同感できるものでした。

宇都宮さんはジーコジャパンの特徴を

意外にも今の代表は、日本の伝統的な家制度における「ファミリー」に近い、というのが私の分析である。そして、その「ファミリー」を支えているのが、ジーコの絶対的な父性、なのである。

とします。このような「家族観マネージメント」は、J-NETJ-KETでも何度か話題になっていたことですが、私も当を得ていると思います。ジーコは昨年の終わりになってよく「サブの選手は列の後ろに並ばなくてはならない」という趣旨のことをインタビューで語っていましたが、そのようなヒエラルキーを作ること、それによって選手起用を決めていくことが、ジーコジャパンの大きな特徴でした。そして、その列の順番は当然、「家父長」であるジーコ監督が決めるものであるわけですね。

思えば、2004年とは、私たちサポや、メディア、そして選手たち自身もその「家族観マネージメント」に慣れていく過程だったのではないでしょうか。

ジーコ監督はその独自のヒエラルキーによって、昨年は海外所属の選手たちを直前合流にもかかわらず強硬に起用、それがチーム全体を戦う集団とはいえないものにしているような状態が発生しました(オマーン戦、シンガポール戦)。(いわゆるキャバクラ事件はそれとは関係ないもの、単なる規律違反事件と私は捉えていますが)

またかよ、っていうのは正直なところみんな感じてる。なにをか作ろうと思っても、次にはまたイチからやり直しってこともある。でも与えられた中で最大限やるしかないし、それが代表選手ってもんでしょ、下を向いていても仕方ないから。(サッカーダイジェスト5・25日号「ある選手の弁」)
今の代表チームでは、サブの選手に厳しいことを言うのは良くないと思うんです。ジーコはレギュラー以外のことをほとんど考えていないように見える。控えは完全な紅白戦要員で、チャンスがないんです。で、そこにコンディションの悪い海外組がやってきて、厳しいことを言われるとそれはちょっと違うんじゃないかと感じる。自分も最初はサブ要員だったから良くわかる。(NUMBER2005年1・13日号、中澤談話)

これがオマーン戦、シンガポール戦の苦戦のひとつの原因であったことは、間違いないものと私には思われます。

それが変質した(ように見えた)のが、4-5月の東欧遠征でした。ハンガリー戦で久保と玉田の組み合わせで試合内容が良かったことを受けて、海外組が合流しても彼ら二人の組み合わせが紅白戦のレギュラー組に入る。ジーコ監督のこのようなアクションにより、宿舎では国内組が率先して動き回り、選手間で話し合い、約束事を作っていったといいます(前出サッカーダイジェスト5・25日号)。

しかし、アジアカップでは、再びジーコ監督の「ヒエラルキーによるスタメン固定」がクローズアップして表面化したように見えました。グループリーグ突破が決まったにもかかわらず、イラン戦でも同じメンバーをピッチに送り込む。連戦の疲労を考慮しないそのやり方は、いかにも不合理であるように思われました。

しかし、アジアカップでは2月の試合とは条件が変わっていました。それは

1)サブの選手の心構えの変化
2)ジーコ監督が選手を大事にしていることが浸透してきた
3)中国という超アウェーの環境

という要因によるものだったと思います。選手は口々に「藤田や三浦淳に助けられた」「サブの選手が気配りをしてくれた」と語ります。彼らの行動で、チームは次第に一つとなり、2月のオマーン戦時とは違ったものを見せ始めていました。中田浩二選手は

メンバーを固定して戦うのがジーコのやり方だから、選手はそれに慣れなければならない。(Sportiva 2005年2月号)

と、「家族観マネージメント」「ヒエラルキー主義」を選手が理解し、それに慣れていく必要があると語っています。また、同誌では

選手全員に気を使っているんです。一人一人に声をかける、ということはしないけど、選手を大切にしているな、ということはすごく伝わってくる。だからこそ、選手は結果を出して、ジーコに返さなければいけない。(藤田)

というような、2)のジーコ監督のマネジメントスタイルも選手に理解されてきたことを示す談話も多く紹介されています。この辺は、ブラジル代表テクニカルコーディネーター時代にも発揮された、ジーコ監督のはっきりとした美点でしょうね。

そして、ここからは想像なのですが、このような「家族観マネージメント」が最も力を発揮するのは、実は「家族が危機に瀕したとき」なのではないでしょうか。「家族」は、普段はそれほどでもないですが、その集団が脅かされた時には団結し、自らを守るために非常に強い力を出す。それが現れたのが、あの超アウェーのアジアカップであり、その中で何度も見せた底力、そして現在に至る勝負強さなのではないかと思います。

日本に対する風当たりが強かったから、それを全員で吹き飛ばしてやろうという気持ち、それがチームのまとまりにつながったのかもしれません。(前出Sportiva 楢崎)

さて、今回さらに「次男坊」や「三男坊」に対する信頼も高まってきたことが示されました。家族としてもまとまりも出てきて、もはや昨年のようなことはないでしょう。最終予選はけして楽な道ではないでしょうけれども、「家族」としてのジーコジャパンなら、逆境でこそ真価を発揮してくれることと期待したいと思います。

それではまた。

12:04 AM [ジーコジャパン・考察] | 固定リンク

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