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January 19, 2005
バーレーンはそれほど組織的?
ちょっと古いのですが、興味深い記事を見つけました。Number618号の、永井洋一氏の記事です。
全体としては「アジア最終予選で、日本は苦戦しても突破するだろう」という趣旨ですから、大いに賛成です。特に去年獲得した「カバーを重視した守備、セットプレー、個人能力、そして落ち着き」という強みを発揮することができれば、アジアにおいての4.5枠ですから、まず問題なく突破できると信じています。
ところで気になったのが、次の一節です。
チーム全体がコンパクトにまとまり、前線から積極的な守備をし、奪ったボールは手数をかけずに早めに前線に送る。選手は「約束事」を忠実に守り、全員がよく動き、チーム全体に勢いがある。格上の相手にも「自分たちのサッカー」を貫き、試合展開はスピーディーである。オマーン、バーレーン、ヨルダンら、アジアで急成長したチームの姿だ。
これについては、「本当かなあ」とちょっと疑問を抱かされます。
オマーンは確かにいくぶんそういうチームでしたが、五輪予選でも、アジアカップでも、私はバーレーンにコンパクトネスを特に感じませんでした。前線からの積極的な守備というよりも、後方で人数をかけて守っているという状態が長く続いていたと思います。また、時間がたつにつれ間延びして、アジアカップでは10人の日本とオープンガードの殴り合いのような試合を演じていましたね。
ヨルダンについては、確かに日本戦では前線からプレスをかけてきました。いいサッカーをしていましたね。しかし、その前のヨルダンvs韓国戦では、ずっと自陣にはりついて、韓国の猛攻をやり過ごす、という戦いをヨルダンはしていました。日本人選手もそれらの試合のビデオを見た後には、
「彼らは人数をかけて守ってくる。注意しないといけない。(宮本)」
「ヨルダン戦は我慢でしょうね。人数をかけて守備をすると思うし、焦らず冷静に攻めの形を作れるかどうか。(三都主)」
などと、「引いた相手をいかに崩すか」が課題だと発言していたくらいです。
しかし、ヨルダンの監督は、試合後に「日本はDF3人に頼りすぎているから、攻撃的に出た」と言っていて、この「べた引きの韓国戦→積極的にプレスをする日本戦」の内容の変化は「日本を研究した上での意図的なもの」だったようです。(元のソース先が消えているので、それを確認したときの過去の掲示板の書き込みをリンクしてあります。)このことを見ても「ヨルダンが普段から、永井さんの言うようなチームかどうか」はけっこう疑問であると思います。
もうひとつ同じようなことで、疑問なのがここですね。
W杯アジア最終予選では、「約束事」でチームが見事に統一されたバーレーン、北朝鮮と対戦することになった。アンチジーコ派が最も好むチームスタイルを持つ相手だ。
上記のように、バーレーンはそれほどコンパクトではなく、基本的には引いて守って身体能力を生かしたカウンターという、スタンダードなサッカーをするチームのように思います。その割りにディフェンスもそれほど組織的ではなく、穴が多かった印象です。「約束事で見事に統一された」と言うほどかなあ?北朝鮮については、永井さんはどのような試合を見てそういうチームだとおっしゃっているのでしょうか?サッカージャーナリストとして、普通よりも試合を見ることは多いでしょうから、しっかりと情報を集めて書かれているのでしょうね。私たちには情報があまりないので、対戦してみるまではわかりませんが。
それにしても、永井さんも
それでも「型」と「約束事」が大好きなマニュアル愛好者からは散々の非難を浴びている。
(中略)
アンチジーコ派が最も好むチームスタイルを持つ相手だ。
こんなふうに、何かの風潮に関して「仮想敵」を作って、その仮想の意見に反論するのは、あまり意味がないと私は思うのですけどね。「誰の考えのどの部分に反論する」ということを明確にしないと、どこにもない意見に対して議論を吹っかけることになってしまう可能性もあります。さまざまな人がそれぞれに少しずつ違うことを言っているのだし、それをまとめてこのように決めつけて、0か100かのレッテル張りをするようでは、それぞれの意見の相互理解も妨げてしまうでしょうに。
「型」と「約束事」も大切です。そうでなかったら何でドイツがあんなに約束事の多いサッカーをするのでしょう?そしてもちろん、それを越えたところにあるメンタルや、自信、落ち着きもすごく大切。ジーコはそれをもたらそうとしている。そういうものを両方評価して、その両方が日本代表に備えられるように期待、激励、要求することが、建設的というものなんじゃないでしょうか。
いずれにしろ、
日本代表は彼らとの戦いで確実に苦戦するだろう。しかし、勝負のポイントを押さえるのは日本代表だと信じている。
この部分は大いに同感です。個のチカラで勝る日本、多少苦戦したとしたとしても、アジアカップを制したサッカーができれば、確実に4.5枠に入ることはできると思います。ただ心配なのは、ドイツのように「個のチカラで勝る敵が、組織的に戦ってきた時」なんですよね。まあそういう相手と対戦するのは2006年の本大会においてでしょうからとりあえずは置いておいて(笑)、今は迫ってきた北朝鮮戦の勝利をただ祈りたいと思います。
それではまた。
08:25 PM [ジーコジャパン・考察] | 固定リンク
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