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December 14, 2004

最後のチャンピオンシップ(2)

チャンピオンシップ第2戦、浦和はどのように攻めに変化をつけてくるのか。そして、横浜はどのように受けて立つのか、興味は尽きませんでした。


■ノンコンパクトを強要された2戦目前半の横浜Fマリノス

浦和の変化は、まず布陣に現れましたね。

---エメ--永井---
三都主--山田---平川
---鈴木--長谷部--
-ネネ-闘莉王-アルパイ-
-----山岸-----

1戦目での3トップから、ガンバ戦でもやったように山田をトップ下へ、そして右に平川を入れてきました。田中達也の調子が今ひとつということもあったでしょうし、左右アウトサイドともに攻撃的に行くという意思表示だったかもしれません。

compact4.5前半のレッズはこれに加え、左右のアウトサイドを高めに位置させ、そこへロングボールやサイドチェンジ気味のパスを送り込むという戦略を取ってきました。これは、1戦目の横浜FMのやってきたことを反対にしたわけです(笑)。横浜FM守備陣がラインコントロールでオフサイドゾーンに浦和FWを追いやっても、後ろから走りこんでくるアウトサイドの選手はオフサイドにならないでボールを受けられます。

これによって、2戦目立ち上がり、サイド深くに基点を作られた横浜FMはラインを下げさせられ、コンパクトゾーンを保つことができなくなりました。

浦和はホームの声援の後押しもあり、序盤から飛ばして来ましたが、その勢いだけではなく横浜FM は、こうした「コンパクトの奪い合い」でも主導権を握られていたため、プレスもかけられなかったわけです。また、浦和の左右が高い位置で攻撃参加するため、ドゥトラも隼磨もそれへの対応に追われ、位置取りが低くなってしまっていました。それによって、横浜FMは押し返すことがなかなかできなくなりました。

ここで得られた多くのCKやFK、しかし浦和はなかなか決めることができませんでしたね。ここで得点が奪えていれば、試合展開はまったく違ったことでしょう。


■再びコンパクトを取り戻す前への意識

後半になって横浜FMは、前へ前へとFWやMFがプレスに行く姿勢を取り戻しました。同時に浦和は、パスをつないだり、ドリブルを多く用いたりする攻撃をしはじめました。どちらかといえばこの方が「浦和らしい」(笑)のですが、横浜FMが勢いを取り戻したのとあいまって、逆にプレスに引っかかることも増えてきました。そうなってくると、横浜FMディフェンス陣も、ふたたびラインコントロールに自信を持てるようになり、どんどん押し上げていけるようになって来ました。

offside2ここで重要なのは、横浜がやっているのはオフサイド「トラップ」ではないということです。プレスの状態によってラインを上下動させ、「オフサイドラインを利用してFWの動きを制限する」ということなんですね。さらには、敵MFがボールを持ってFWにパスしようとすると、FWがオフサイドポジションにいるために前方へのパスが出せなくなる。選択肢が制限され、そこで躊躇していると、囲まれ、奪われてしまう(左図)。敵の攻撃をスローダウンさせ、選択肢を奪い、プレスを強化することが重要で、「オフサイドを取ることが目的」ではないですから、オフサイドの数は重要ではないのですね。

さて、浦和の戦略は「前半ロングボールでラインを下げさせておいて、後半からうちらしい攻撃をしよう」というものだったのでしょうか?しかし、横浜FMの守備陣は、いったん下げさせられ、ノンコンパクトを強要された状態からでも、そこからまた押し上げていける共通理解がありました。そうして後半は、コンパクトフィールドでのプレスができるようになったわけです。


■退場と失点

互いに何度もカウンターからゴール前でのチャンスを迎えたあとの74分、やはりカウンターで田中達からエメルソンへパスが通ったところを中西が倒したという判定で一発レッド。そしてそこからのFKで失点。さらに横浜FMは残りの時間を10人で戦わなくてはならなくなりました。しかし、この日のように守備陣に集中力があり、組織も崩れていなくてしっかりと対応できているときは、えてして数的不利になってもそれほど影響がないものです。

それにしても横浜FMの選手たちの落ち着きは見事でした。退場があり、続いて失点、という局面では、選手たちの心理が不安定になっても仕方がないものです。しかし、経験豊富な選手たちは、慌てず騒がず、それまでと同じように対処、むしろ数的有利となった浦和が個人勝負に出たり、オフザボールでの動きがやや緩慢になったりで、攻めあぐねる状態が目立ってきました。

そしてそのまま延長突入、どちらもカウンターからのチャンスを迎えるも、得点はなくタイムアップ。PK戦もいろいろと駆け引きがあり、とても楽しめましたね。しかし最後は、さまざまな局面で「一日の長」を感じさせた横浜FマリノスがPK戦を制しました。

さて、1戦目と2戦目で、見事に「コンパクトの奪い合い」が流れを変えるところを見せてもらい、そこが興味深かったのでこのような考察をしましたが、もちろん、これだけが勝負を決したわけではありません。サッカーにはメンタル、フィジカル、戦術面、さまざまな要素があり、そのどれもが大事なのだと思います。そのちょっとの差が、昨日の勝敗を分けたのでしょうね。

個人的にもう一つ感慨深かったのはこの2試合が実に「激しい」ものとなったことです。ボール際での攻防、そこでぶつかりあい、倒される選手たち。かなり以前には「日本ではちょっと転んだだけですぐにファウルを取ってもらえる」という状態だったのが、ここ数年、だいぶ変わってきたように思います。これなら、あたりの激しい中東勢と試合をするときにも、戸惑わなくてすむでしょうね。個人的にはよいことと思いました。

もう一つの「最後」トヨタカップは「つまらなかった」という声が多いのですね。そうかなあ(笑)。一方のチームがちょっと引きすぎというところは感じましたけれども、局面局面では質の高いプレーもあって、私はけっこう楽しめましたけどね。

それではまた。

02:27 PM [Jリーグ] | 固定リンク

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