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November 11, 2004

大山とは?

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国立で行なわれた新潟vs柏の試合に、駆けつけて来ました。いつもの彼らの試合を生でたくさん見ているわけではないので、正確なところはわからないのですが、柏は結構よくなっているように見えました。コンパクトにできていたし、新潟の強力3トップに対する守備陣の集中力は素晴らしかったですね。

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さて、前回の書きこみにTENさんからトラックバックでご意見をいただきました。BLOGは議論に最適のツールなのだそうですが、はたしてそうなりますかどうか(笑)。いただいたご意見に考察を加えてみたいと思います。

まずはじめに言っておきたいことは、私はJクラブ首脳の「先につながる選考をして欲しい」という談話だけから、前回の書きこみをしたわけではないということです。あちこちの掲示板で、あるいはメディアで、そしてサッカー関係者の間でも賛否両論、大激論が巻き起こった。その全体が「大山鳴動して」だと私は思っています。そしてその反対派の意見を総じて眺めてみると、「新戦力を起用して、代表チームの底上げをして欲しい」というものであったと私には受け止められました。そういった意見の出てくるベースはなんなのか、そこを考察したのが前回の書き込みです。

Jリーグのクラブの首脳が「代表に功労者を呼ぶ」ことに疑問を感じているのは間違いないでしょうが、ジーコの方針、やり方に不満を持っているから口を出したわけではないでしょう。予選を突破した以上、これまでフルに戦ってきた選手を休ませたい、というのが要望としてまず出るのは当然でしょうが、だとすれば呼べるのは新戦力、あるいは控え選手なわけで(だって、代表選手以外って、このどちらかしかいないでしょ)

「これまでフルに戦ってきた戦力を休ませて欲しい」という談話がクラブ関係者から出ましたでしょうか。出てきたのは、「先につながる試合をして欲しい」ということですよね。「休み」より先に、そういう談話が出たことから私が受けたのが、前回書いたような印象なのです。ただ、もう一度言いますが、彼らの談話「だけ」から考えたことでもないですが。

クラブの首脳も日本のサッカーを愛する仲間だと私は思っていますから、ただ「自クラブの選手を休ませたい」「若手をプロモーションしたい(これはTENさんではなく、コメント欄でキンタローさんが書かれた言葉ですが)」という考えだけで、「先につながる試合をして欲しい」と言ったとは、私には思えないんですね。もちろん、この推測が的外れであり、彼らが完全に利益追求のためだけにそう言った可能性もありますよ。でも私はもう少し彼らを信じたいわけです。

確か、別のコラムで読んだ話だと、ジーコは誰を何人呼ぶのか、は一言も語ってないらしい。正直言って、ここまで批判が大きくなるなら、ジーコがどんな代表選考をするのか見てみたかったけど、まさか全員が「功労者」ってことはないでしょ。こういう批判がジーコの選手選考に自制をかけたのかもしれないけど、自分の意見が正しく広まる前にこういう批判が飛び出たことに、ジーコは不満を持っているかもしれないな。

私もそう思いますよ。まさか全員が功労者ってことはないでしょうから、功労者をこれまでのサブと組み合わせることになるだろうし、それは特に問題とするにはあたらないと思っています(そう書きました)。これまでも書いているように、そこにチーム強化の意図があれば、私は「功労者を呼ぶ」ことを批判するつもりはないのです。

むしろ、Jクラブの首脳を集めて「こういう考えで功労者を呼ぶのだ、それが私の哲学なのだ」としっかりと語って欲しかったぐらい。そこに、「チーム強化」の考えがあれば、つまり「ここで功労者を呼ぶことこそが『先につながる試合』なのだ」と説明できれば、J関係者だって納得したかもしれない。それをせずに、「これまでサブだった選手の声を聞いて」断念してしまったのが、私にはむしろ残念です。

だいたい、アジアカップの戦術を「引いて守ってセットプレーにかける」なんて、正当な評価なのかな。守備から入って、ハーフ(あるいは単なる)カウンターなんて、まさに今チェルシーがやってるサッカーで、得点力不足を批判されるあたりもそっくりなのだけど、それでもしっかり勝ち上がってるところもそっくりなのはどう評価するんだろう?

チェルシーと同じように評価しなければいけないということもないと思うのですが(笑)、アジアカップの場合はカウンター、あるいはダイレクトプレーもそれほど上手く機能できていたとは思えないんですね。得点のかなりの部分がセットプレーでした。それはさておき、あれに「ボールを支配して攻撃的なサッカーができた」という評をする人はおりますまい。しかし、「それで優勝できたのだから、それでいいのだ」「あの暑さでは、あれが最適なのだ」という考え方はあっていいと思いますよ。

「代表の存在価値」自体がずれている以上、今出ているジーコ批判にあまり意味があるとは思えないんだよね。ジーコは現場の人間で、自分の「主義・信条」を貫けばいいけど、批判する側には自分の「主義・信条」とは別に、「ジーコの主義・信条に思いを至らせる」必要があるはずだと思う。だけど、このトラックバック先もそうだけど、今のジーコ批判にはそういうアプローチがない。

あらら、「ない」と言い切られてしまった(笑)。以前からも、特にアジアカップ以後にはそういうアプローチをいくつかしているつもりなんだけどな。これとかも

代表合宿と選手選考で強化する、という発想が「代表にとって当然あるべき目的の一つ」に数えられていること自体が、そもそもちょっとズレている気がするんだよね。アジアカップ、WC予選、WC本大会と、どれも負けられない戦いが続くのに、育成や長期的な視野がそもそも絶対的なの?代表合宿とスポットである予選の試合を通じて、代表チームそのもののレベルってどこまで上がるんだろうか。強化、育成を否定するつもりはないけど、今の日本代表の置かれた環境で、そんなに重要で、A代表に求められる要素なんだろうか。

いや、私は育成や長期的な視野を「当然あるべき目標の一つ」にしてはいないですね。現代表チームの「強化」は当然必要だけど、「日本全体の底上げは代表監督のミッションではない」と私も思いますよ(先のリンク先でも書きましたが)。しかし、批判ではなく個人的な好みとしては、できればそこまで考えてくれる代表監督を望みたいとは思いますけどね。

で、その発想に違いはどこから生まれるのか。オレは、短期的なプロジェクトが3つ4つ続いた結果、4年間がすぎると思っているのだが、どうやらジーコ批判をする人は、まず4年間という育成スパンがあって、その中のターニングポイントとして3つくらいの大会が存在している、言い方を変えれば、トルシエ時代の強化方針が今、この状況でも取れるとと考えているようだ。

で、「代表監督は日本全体の長期的育成をするべき」というミッションを私は掲げていないので、この「ジーコ批判をする人」に対する反論は、私にとっては反論になっていないんだな。

もう一つは、トルシエが若手を継続的に使い続けられたのは、その時の環境による部分も大きいと思うし、「今の日本サッカー界の状況を考えれば、同じ方針は難しい」とオレは思っている。この「今ある環境」からスタートしないで、マスコミが載せた記事やコメント、試合の感想からスタートしている時点で、多分批判としては意味をなしていない。

私もトルシェのときは非常に特殊な状況だったと思っています。あれほどの若手に切り替えるべき時期は、そうそうないでしょう。なにより、今代表の主力の79年組だって、25歳、まだまだ若手ですよね。1998~2002と同じ起用法を取る必要はないし、現五輪代表がフル代表に選ばれないのも、ジーコの「成熟した選手を求める」という方針では仕方がないと思います。しかし同時に、そのやり方によって、現在失っているものがあるよなあ、というのは私の素直な感慨なのですね。

私は、ジーコ監督の「1戦必勝主義」「ヒエラルキー主義」には個人的には賛成しません。それはブラジルならともかく、日本に向いている手法ではないと思っています。しかし、少なくともジーコ監督はそれでアジアカップで結果を出しました。優勝という成果はこの上ないものです。それは非常に高く評価していますよ。ただ、「今後は」なるべく問題点を解消しておいた方がいい、あるいは、もっと上を求めてもいい。そのためには、こういうジーコ監督に対する「現状分析」と「将来への展望」を考えておく意味はある、と思っているのですね。こちらはもっと時間をかけて考えたいことですが。

この話題(召集関連)は、もう一回だけ続けます。

それではまた。

03:47 PM [ジーコジャパン・考察] | 固定リンク

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» ケットさんとのやりとり from 飼い犬とボク
なんかお返事をいただいたようですんで、こちらからもお返しします。 まずは、 >私はJクラブ首脳の「先につながる選考をして欲しい」という談話だけから、 >前回の書... 続きを読む

受信: Nov 11, 2004 11:02:47 PM

コメント

ボクも、ケットさんの目線の高さ議論にすごく納得しています。そもそもジーコは、トルシエジャパンに攻撃力を追加するべき目的で呼ばれたわけですよね。結局その理想はかなぐり捨てて、イタリアみたいなサッカーでアジアでは勝ちました。最初ジーコがいいと言っていた人達は、こんな「攻撃的」のかけらもないサッカーで満足なんでしょうか?相手はスペインでもトルコでもなくてヨルダンとかオマーンとかですよ?なんでずっと5バックにして守らなくちゃいけないんでしょうか?そこまでココロザシを落とさないとジーコは擁護できないンでしょうか。ほんとなさけないです。そして、僕と同じように思ってる人が多かったのだと思います。だから「新戦力を!」「底上げを!」という意見があんなに出たンですよ。カズなんかは選ばれませんでしたけど、結局新戦力は選ばれませんでした。こんな向上心のない状態で、2次予選やワールドカップでは大丈夫なんでしょうか。ほんとう、どうにかして欲しいです。
スレッドができていなかったので、こっちにコメントしちゃいました。おそれおおいですけど、問題があったら削除してください。

投稿者: バルディール (Nov 11, 2004 5:45:39 PM)

こんにちは。
今回のエントリーの趣旨とは外れますが…

>現在失っているものがあるよなあ、というのは私の素直な感慨

お忙しいとのことなのでなかなか難しいかもしれませんが
このあたりを是非お聞きしたいです。

投稿者: ehutaiby (Nov 11, 2004 8:47:17 PM)

「人は自分の読みたいところしか読まないんだなあ」というの
が感想です。前回のエントリのどこを読んだらジーコ批判に聞
こえるんだろう。ケットさんは「泰山が鳴動した」のを見て、
「なぜ鳴動したのか」を分析しているだけではないですか。コ
ミニケーションっていうのは難しいですね。それを嫌がらずに
対処するケットさんにはほんとに頭が下がります。

投稿者: 雫石 (Nov 11, 2004 9:27:51 PM)

うーん。なんでバルティールさんのような意見がでるのか。
「攻撃的のかけらもない」という日本が1番アジア予選で得点とってんだけどね。アジアで1番の成績でも批判されるんだから、ジーコもつらいところだ。「2次予選大丈夫か」という言葉は日本にはあてはまらないでしょ。日本はアジア予選突破の大本命ですから。上記の言葉は韓国やイランにしてあげたい。

投稿者: kk (Nov 11, 2004 11:10:04 PM)

ジーコをめぐる評価については結局大きく分けて下の二つの立場に分かれるのだと思います。

①ジーコ容認・支持派
親善試合の戦績は良いしアジアカップも優勝したし実績があがってるから別に悪くないじゃないか。代表は決して弱くない。

②ジーコ懐疑派・解任派
どうもサッカーのスタイルが古臭いような鈍重な感じがする。
論理的、継続的な強化を進めているようにも見えないので本当の真剣勝負となる最終予選やW杯本大会で戦って勝てるのだろうか?

私の個人的な感想では、前任者のトルシェはそれまでの日本サッカーを見てきたものには実に新鮮で、将来への希望があふれる着実な強化をすすめているように見えました。
U19世代等の若手の大胆な強化。南米選手権へのアジアからの初参加。仏サッカー界のコネを生かしたクレフォンテーヌの使用や仏代表との対戦などヨーロッパの超強豪国との交流。アフリカコネクションを生かしたハッサン杯などアフリカ諸国との交流試合etc。

ひるがえってジーコは代表監督として何をしているかというと外から見ている限りは別に日本人監督でもできそうな選手の自主性を重視した紅白戦主体の合宿や協会まかせのマッチメイク、あげく年の1/3はブラジルにバカンスに帰っているような様子が見て取れます。
本当に全精力、知力を日本代表監督という仕事につぎ込んでいるのか?という疑問符が常にあります。

結果だけでとらえるのか、プロセスの部分も重視したいのかで支持、不支持が分かれるのではないでしょうか?私はもちろん後者の立場なのですが。

投稿者: キャプテソ川口 (Nov 12, 2004 12:44:03 AM)

kkさんの意見に賛成です。確かに内容的には攻撃的と言えなかったかもしれませんが、とるべきところできっちり得点をあげてると思います。私が思うに、日本人の特性(かどうかは定かではないですが)として、「明確な根拠のない結果」というのはイマイチ信じきれないところがあるのではないでしょうか(もちろん専門家が見れば根拠はあるのかもしれませんが)。「押されているんだけど、いつのまにかなんとなく勝っちゃう」っていうのでは納得できずに、「今日の試合はここがこうでこういう理由で勝ったのだ」というはっきりした根拠を示してもらえないと、次はどうなの?っていう不安を感じてしまう、のではないでしょうか。よくわからないんだけどなんとなく勝っちゃう、ってのはある意味で強くなったことの証拠とも思えるのですが。

投稿者: レフティ (Nov 12, 2004 7:36:28 AM)

ボクはアジアカップが「攻撃的のかけれもない」と話してるンです。大体、賀茂監督のときの1次予選だって日本は大量点取ってましたよ。あのときの方がまだ攻撃的だった。でもぎりぎりの通過だった。そしてワールドカップでは「守れるけど、攻撃はどうするのか」という内容で、3敗ですよ。トルシエも一時、スペイン戦で守り方を練習して袋叩きにあいましたけど、あれは相手がスペインです。何でヨルダン相手にに5バックで守らなくちゃいけないのか。それでもいいという人がいるから、「目線の高さ」の問題になるんです。

投稿者: バルディール (Nov 12, 2004 11:52:44 AM)

みなさんコメントありがとうございます。管理人不在中に盛り上がりましたね。こういうところが「大山」だな、と思うわけです(笑)。

>バルディールさん。
ただ、ジーコも「今回は」こういう召集だったけど、次回ドイツ戦では何か改善を模索するかもしれませんね。それを期待したいものです。
>ehutaibyさん。
そうですね。ちょっと今は時間が取りにくいですが、先の書き込みにリンクしておいた、エルゲラさんの論考なんかが参考になると思います。
>雫石さん。
でも、そういうことまで含めて意見交換が楽しいからネットやってるわけですから(笑)。
>kkさん。
そうですね。私も最終予選は4.5枠もあるし、今のジーコサッカーで勝ち抜いていけると思いますよ。問題はそこから先でしょうね。
>キャプテン川口さん。
評価の分かれ方ですが、他にも要因はいろいろとあると思います。その辺は興味深いので、また考えてみたいですが。
>レフティさん。
そうですね。ただ、私は「結果」に根拠はあるんだと思いますよ。それが今後も続くのか、最終的な目的を達成するために役立つのか、というところが問題視されるのでしょうね。

投稿者: ケット・シー (Nov 12, 2004 1:55:03 PM)

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