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November 10, 2004

大山鳴動して2

私は前々回の書き込みで、功労者召集を、「単なる感謝のために行うのか、『魂の継承』のために行うのか」そこが重要だ、と書いたのですが、結局、今回の代表発表会見でも、「魂の継承」についての言葉は聞かれませんでしたね。あくまでも「感謝」のために行いたいということのようです。ジーコ監督は「お祭りではなく真剣に勝つために戦う」という趣旨の発言をしていますが、やや違和感がありますね。

「真剣に勝つために戦う」ことと、「日本代表の強化のために戦う」こととは、実はイコールではありません。卑近な例で言えば、オールスターだって「真剣に勝つために戦って」はいるのですから。「日本代表の強化のために戦う」こととは、今の日本代表に何が欠けているのか、あるいはプラスすべきところはどこなのか、そういうことを考えて、それに応じた策を講じていく、ということです。そのために試合を「使う」ということによって、このような消化試合も「強化のための試合」として行くことができるのですね。

いわゆる「功労者」がシンガポール戦へ参加することによって、何かを現日本代表チームにもたらすだろうとジーコ監督が考えて、「強化のために」このプランを発案したのではないか、と私は予想していました。さすがに本当にただの「感謝」のためだけに、代表の試合を、それも予選を、つかうことはあるまいと思ったからです。しかし、どうも私の予想は外れたようです。

以前にもご紹介したように、サカマガ997号の西部さんの意見

(ジーコ監督は)今日がなければ明日はないという1戦必勝主義者だ。前監督がすべては明日のためにと、今日を使ったのとは正反対のアプローチである。

がまさに至言だった、ということでしょうね。「今日がなければ明日はない」、目先の一勝主義の監督が、いわゆる消化試合を与えられた場合に、「明日のために」ではなく、「感謝のために」と思いついても、それはある意味当然のことともいえましょう。しかし、それでいつまで「明日があるさ」と言っていられるのかどうか。

さて、今回招集される人数は、怪我人と海外組をのぞいた18人と言うことになりました。1次予選の試合に実際にエントリーできるのは18人で、これまでは22人を選んで合宿を行い、その中から18人を選んでいたわけです。今回は最初から18人しか選ばなく、そのまま行く、というカタチになるようです(紅白戦はどうするんだ?・笑)。

ここに、アジアカップのチーム以外から新規に召集されたのは、大久保選手一人にとどまりました。大久保選手も、昨年のコンフェデ杯、東アジア選手権などではしばしば起用された準レギュラーでしたから、まったくの新顔はただの一人もいないことになります。「ジーコ監督はブラジルに帰っていて、新戦力を発掘する暇がなかったのだから当然だ」という意見もありますが、私はそれよりも、「ジーコ監督はアジアカップのチームを壊したくないのだろうな」と受け止めました。

オマーン戦でもそうでしたが、アジアカップの時のチーム、やり方で、来年のアジア最終予選も戦っていく、いける、ということなのでしょう。試合内容は「引いて守ってセットプレーにかける」というものでしたが、それでアジアナンバー1になったのだから、4.5枠あるアジア最終予選にそれで臨むことは、論理的には確かに間違っていません。

しかし多くの人が、「あの内容では今後困る」と考えたことが、「功労者ではなく新戦力の起用を!」という意見につながったのだと私は思います。本来なら代表選考に口を出す立場ではない、Jリーグクラブの首脳までが、そのような意見を表明していましたね。なぜこれほど「大山鳴動」したのか。それは、「あのままでよい」と満足している代表監督と、「あのままでは困る」と考えている日本サッカー界の、目線の高さの違いが浮き彫りになったということでしょう。

試合にはいわゆる「チームを支えてきたサブ組」を起用するにしても、合宿にはこれまでどおり22人呼んでもかまわないわけですね。そこに代表経験のない選手を(例えば4人)呼び、代表の雰囲気に慣れさせておく、ということは、今後をにらめば意味があることです。ジーコ監督はそれさえしなかった。これはそうとう強固な「あのままでよい」という意思の表明であるように思えます。

今ある資源を使い尽くしたとき、そこに私たちが直面するのは、どのような明日になるのか。エルゲラさんも考察されているように、そういう問題なのでしょうね。

この話題はもう一回続けます。

それではまた。

09:44 AM [ジーコジャパン・考察] | 固定リンク

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» ジーコ批判について from 飼い犬とボク
これはちょっとこじつけすぎでしょう。 Jリーグのクラブの首脳が「代表に功労者を呼ぶ」ことに疑問を感じているのは間違いないでしょうが、ジーコの方針、やり方に不満を... 続きを読む

受信: Nov 11, 2004 12:15:00 PM

コメント

18人招集というのは、今回は消化試合でかつ日程がタイトなこともあって
クラブへの配慮ということだそうです。

試合前に23人呼んでも結局18人しかベンチ入りできないから
5人は天皇杯が組み込まれてキツい日程の中
トレーニングに来てベンチにも入らず帰らなきゃいけない
ですからね。


いくつか読みましたがちょっとコジツケ、言いがかりレベルで
このブログには呆れてしまいました(苦笑)。

投稿者: 柏の葉 (Nov 10, 2004 3:50:01 PM)

>単なる感謝のために行うのか、『魂の継承』のために行うのか」そこが重要だ

 何故、ジーコが言ってもいない、「『魂の継承』のために」と言う可能性を考えたのでしょうか?ケットシーさんらしくない。
 明らかに、ジーコは、「消化試合」と言い、「感謝のために功労者を呼ぶ」と言い、強化とは関係の無い完全なる消化試合とすることを意図していたのに。
 邪推すれば、ジーコは功労者を呼べば、消化試合で負けても文句は言われないと思ったのでは無いでしょうか。
 また、監督が上記のような消化試合と表明したため、せっかくのAマッチデーなのに天皇杯優先となり(ジーコもそれを望んでいるのでしょう)、ほとんど練習もできない日程でシンガポールと戦うことになりました。
 監督が今回チームを強化する気が無いのですから、余分な選手は呼ばないのがどおりでしょう。

投稿者: RYU (Nov 10, 2004 5:35:35 PM)

柏の葉さんコメントありがとうございます。
クラブへの配慮はいいことだと思いますよ。つまりジーコ監督の中では、クラブへの配慮>戦力の底上げということに今回はなるのでしょうね。しかし、配慮を受けるはずのクラブの多くが「先を見た召集をして欲しい」と言っていますよね。この時期であっても、そうする意味はあるし、クラブも協力する気もある。しかし、そっちを選ばないのがジーコ監督だ、ということです。

>いくつか読みましたがちょっとコジツケ、言いがかりレベルで
このブログには呆れてしまいました(苦笑)。

はあそうですか。それではお好きなブログへ行かれるといいと思いますよ(笑)。私の意見は一つの考え方でしかありませんし、世の中には多様な意見があふれています。サッカーには絶対の正解はないのですから、そのどれもが真実を含んでいるでしょう。ご自分で取捨選択をされればいいのではないでしょうか。

と言っても、私は異論を排除するわけではなく、それを歓迎する派です。掲示板もそのためにご用意していますしね。ただ「あきれた」というだけではなく、きちんとした異論であればいつでもお話をしたいとも思っていますけどね。

>RYUさん
うーむ、おっしゃる通りかもしれませんね(笑)。
ただ、ジーコ監督のアジアカップでの強化法の一つが、そういったメンタル面にアプローチをするものだったと私は思ったものですから、それならばそのようにするのかな、と予想したわけです。外れたようですが(笑)。

投稿者: ケット・シー (Nov 10, 2004 6:22:59 PM)

こんにちわ。今回の選考について、素朴な疑問として、なぜオリンピック代表は大久保だけなのか、ということです。あのチーム、あの選手たちは「谷間」のままでよいのでしょうか。阿部のフリーキックは?石川のサイド攻撃は?今野の危険察知能力は?
とにかく呼んでほしかったですね。

投稿者: へけらもけら (Nov 10, 2004 10:09:48 PM)

僕ちんが思うにですね、ジーコが功労者を呼ぶと言ったのは、「感謝」の気持ちを示したいということが一つ。もう一つはクラブに余計な負担をかけたくなかったってことだと思いますよん。どっちが本音かと言われれば、両方だと思う。つまり一石二鳥だと思ってたわけ。

ジーコとしては消化試合で各チームの主力を極力酷使したく無い。本当はやりたくなかったアルゼンチン戦で酷使してしまったことを後悔してるんでしょうな。

「功労者」は語弊があるのを承知で言うと各チームの「主力」では無くなってきている。功労者召集にJクラブが反対したそうだが、本当に神戸がカズ召集に反対したんだろうか。反対してないと思うんだよね。反対したのは、自チームの若手をプロモーションしたいクラブだったんじゃないのかな。

サカマガのジーコ岡田対談でもジーコはクラブを大切にしたいと思ってるのがわかるもんね。

投稿者: キンタロー (Nov 11, 2004 1:08:15 AM)

へけらもけらさんコメントありがとうございます。
そうですね、私も個人的にはそういった選手たちを呼んで、経験を積む場にして欲しかったとは思います。ただ、「アジアカップのチームを大事にする」というジーコ監督の考えも理解できるので、「若手を呼ばないこと」で彼を責め立てようとは思わないですが。
ただ、「若手に国際経験を積ませることで、日本サッカー全体の向上を」と考えることはないのだなあ、と慨嘆するのみです(かつては多少していたと思うのですが)。

キンタローさんコメントありがとうございます。
クラブに負担をかけたくないとジーコが考えていたのは、ありそうなことですね。
しかし、

>反対したのは、自チームの若手をプロモーションしたいクラブだったんじゃないのかな。

これについては「どうかな?」と思いますね。確かJは「ほぼ全クラブが反対」したのではなかったでしたか。
もちろん「若手をプロモーションしたい」という利己的な動機でクラブが意見を言った可能性もありますが、彼らが日本サッカー全体のこと、日本代表のことを考えて「次につながる召集にして欲しい」といった可能性もありますよね。
もし彼らが利己的な動機から意見を言うならば、「うちのクラブの主力を休ませることが重要だ」という意見も出るのではないかと私は思います。しかし、それはありませんでしたね。
私はJ各クラブの首脳もそれぞれにサッカーを愛する仲間であり、その心から今回の反対意見が出たのだろうと推測しますよ。
もちろん利己的な動機によるものである可能性も否定しませんけどね。

投稿者: ケット・シー (Nov 11, 2004 3:33:09 AM)

ちょい感情的意見になってますな
Jクラブの首脳が本気でそんなこと言ったどうか怪しいもんですな
どうでもいいシンガポール戦に若手をあえて召集して「怪我」でもさせられたら、はたして「ああ気にしないで」なんていうクラブ聞いたこともないですな

わたしゃ、あの「ほぼ全クラブ反対」は田嶋の作り事だと思うね99%
もしほんとに強行に反対がそれだけ多数あれば個別の社長なりがマスコミに意見を出すはず

あれは田嶋がクラブ首脳にお願いして取りまとめたとしかおもえん

クラブは実際天皇杯もある中、若手のスターを怪我させられて戻されたらいい迷惑この上ないのが世界の常識

利己的かどうか、では無く一般にクラブは選手を自分たちの「所有物」だと考えてる、まぁ社員といってもいいかも

それを代表に「レンタル」するわけだからクラブにとっては「傷をつけて」返されたくはないのは当然至極
だからJクラブの大半は反対なんて、論理的におかしい、そこまで普段から代表のことを考えてるなら、そもそも協会とクラブの間に軋轢なんておこらない

だから今回の反対はあきらかに「創作」
田嶋こそがジーコ案に大反対の人だというのが正しい結論

投稿者: ケセラセラ (Nov 13, 2004 2:13:05 AM)

ケセラセラさんのご意見は独創に富んでいますね。

>わたしゃ、あの「ほぼ全クラブ反対」は田嶋の作り事だと思うね99%
>あれは田嶋がクラブ首脳にお願いして取りまとめたとしかおもえん

反町さんや浦和の中村マネジャーの談話も出ていますけどね。

>だから今回の反対はあきらかに「創作」
>田嶋こそがジーコ案に大反対の人だというのが正しい結論

田嶋さんがすべてを創作したというのも、極端な話ですね(笑)。

投稿者: ケット・シー (Nov 13, 2004 2:56:05 AM)

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