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October 15, 2004

「現実的」な勝利

何か妙なことになって来ていますが…。

私は個人的には功労者にはいくら酬いてもいいと思っている方ですが、なんとなく今回の件には違和感を感じますね。もし功労者に酬いるという主旨なら、それ専用の試合を組んで、vsアジアオールスターズとかにしたほうが良いのではないでしょうか?それにしても当人たちが引退を表明した後のことでしょうけどね。

まあそれはそれとして、オマーン戦はまったく問題のない勝利でしたね。

まさに、アジアカップの再現のような試合といえますね。アジアカップの優勝の原動力であった、カバーを重視した守備、セットプレー、個人能力、そして落ち着き、がやはり多くを決しました(今回はセットプレーは不発でしたが)。

特に、日本の合宿でも練習していたという、守備を重視したゲームプランは功を奏していたようで、前半はボールをオマーンに支配されても、日本の選手は慌てないで済みましたね。それに参加していなかった高原は結構困っていたようでしたが。

この辺が、2月のオマーン戦、アウェーのシンガポール戦との大きな違いでしょう。2月の試合では、さまざまな理由により苦戦しましたが、その苦戦に対し「こんなはずじゃない」「もっと出来るはずだ」「なぜこんなことに・・・」などと選手たちが(おそらく)考えてしまっていたことが、一つの問題だったのではないでしょうか。それによって、時間が経つにつれ、チームは自分たちで自分たちを追い詰めてしまっていたわけです。

欧州遠征、アジアカップと、ジーコと共に過ごすうちに、選手たちは「そういうことじゃないんだ」「最後に勝てばいいんだ」ということを体得して行ったようです。アジアカップにおいて多くのアジアの国から押された試合展開となったことがもっとも大きいでしょうが、同時に、それがジーコの哲学だ、ということも影響しているでしょうね。

ただ、守備的布陣を練習していたジーコですが、それでもあそこまで押されるのは想定外だったようですね。確かにバイタルエリアを空け渡してミドルを打たれても、オマーンのシュート精度が低いので大丈夫ではあります。しかし、日本のシュートは前半は敵のミスを高原がさらった1本だけじゃなかったですか?ハーフタイムには「もっと前から勝負して行こう」と指示があったようです。

それもあって、後半開始から日本は前に出て、小野の素早いリスタートから俊輔の走り込み、すばらしい2段フェイントから鈴木の豪快なゴール!オマーンは日本のこのシフトチェンジに対応できませんでしたね。

気落ちしたオマーンに対し、日本は心憎いまでの落ち着きを見せます。ボールを奪っても、早く前線へ送らない。ゆっくりとしたボールポゼッションで、じわり、じわりと陣地を回復していく。ジーコ監督のサッカーは「フォーリングバック+ポゼッションサッカー」だと以前J-NETで議論したことがありましたが、ここに来てようやくそれが真剣勝負で見えて来ました。まあ、「引き分けでも通過」という試合だからそれがさらに有効に機能した、という部分はありますけどね。

この「相手をいなす」ボールポゼッションができていたところが、この試合の内容がオマーンとの3試合で一番よかったと私が思ったところです。世間ではこの内容に不満な人もいるでしょうし、2次予選、W杯本大会ではミドルシュートの精度はもっと高いです。この守備でおさえ切れるかどうか?という疑問はありますね。まあそれは2次予選までの課題としましょう。

この試合で私は小野の危険なポイントを読む力、宮本の統率と、中澤の、アジアレベルを越えたすばらしい守備能力に感銘を受けました。また、中村選手もボールを奪われなくなったし、必要な時にはシンプルにはたいてリズムをつくることもできていた。すごくいいプレーでしたね。後半はいいポジションをとって、DFが跳ね返したこぼれだまを、ことごとく中村か小野が拾うという状況も作れていました。

総じて、「現状の(組織力も含めた)戦力で、1次予選を突破するには最適のやり方」ができたことは確かです。「現実的」なたたかいとはそういうことでしょう。2次予選はよりレベルの高い相手との戦いになりますが、アジアカップで優勝できたように、このやり方でもW杯にたどりつくことはできると思います。あとは、本大会でどのようなものを目指すのか、ということになるでしょうか。それは、またいろいろと落ちついたら考えましょう。

それではまた。

06:58 PM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク

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コメント

こんにちは。
たいした質問ではないのでこちらでさせてください。

>守備的布陣を練習していたジーコですが、それでもあそこまで押されるのは想定外だったようですね。

このことを伺わせる記事があったのでしょうか?
まだ目にしていないので紹介して頂けるとありがたいです。

投稿者: ehutaiby (Oct 15, 2004 11:20:31 PM)

ehutaibyさんこんにちは。

微妙ではありますけどね、

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/kaiken/200410/at00002857.html

>ただ選手たちにも焦りがあったので、なかなかうまくいかないところもあったんですが、後半に入ってから切り替えていこうと。自分たちが今置かれている状況を考えながらも、引き分け狙いで引いてしまうと厳しくなるので、できるだけバランスを崩さずに前へ出るように(指示しました)。

この辺なんかも、それを示していると思いますが。あとは、湯浅さんの

http://www.yuasakenji-soccer.com/yuasa/html/topics_2.folder/04_japan_10.13.html

>このことは、ジーコも記者会見で次のように述べていた・・「引いて守るばかりでは、いつかは厳しい状況になってしまう・・ここは、まあなるべくバランスを崩さずにだけれど、後半はもっと前から勝負していこうという意思を確認した・・そしてゲーム内容も、後半はよくなっていった・・」

というあたりでしょうか。他にもいろいろ目にしたり、耳にしたりしたように思いますが、とりあえず参照しやすいものはこの辺でしょう。

ではでは。

投稿者: ケット・シー (Oct 16, 2004 3:37:55 AM)

この記事でしたか。

う~ん。
私は「引く」ことと「押される」ことは別だと思いました。
記者の方々が選手たちに焦りがあった理由を追求していればわかりやすかった事ですねえ。
そういう意味では確かに微妙です。

紹介ありがとうございました。

投稿者: ehutaiby (Oct 16, 2004 10:39:08 AM)

>私は「引く」ことと「押される」ことは別だと思いました。

オマーン戦は「能動的に引いて守った」ので、「押された」のではない、ということでしょうか?
そういう意味では私の言葉の使い方もあいまいでしたね。
私は、確かに自分たちから引いて守ったのだけど、ジーコはもう少し押し返せると思っていた、このまま引き過ぎて戦っていると「厳しくなる」と考え、もう少し前に行こうと指示をした、ということではないかと思っています。
つまり自分たちから「引いた」のだけど、オマーンに「押されて」、押し返せなかった(前半は)、というのが私の言いたかったことになるでしょうか。

投稿者: ケット・シー (Oct 16, 2004 11:14:43 AM)

その通りです。
9分台に、宮本がゾーンを圧縮させたいというジェスチャーを(おそらく)FWに対してしていましたね。
律儀に引くことを遵守した結果押し返すことを“しなかった”というのが前半を見ての感想です。

もっともあそこまでできれば前へ出るのが至極当然とジーコが考えているのなら
その先入観のために「押されていた」と思ったかもしれません(笑)

ケット・シーさんの仰りたいことがより理解できました。
ありがとうございました。

投稿者: ehutaiby (Oct 16, 2004 12:37:22 PM)

加地も鈴木に戻るようにと言ったらしいですね。
そして私は、宮本や加地が低めでゾーンを圧縮することを選択せざるを得なかったのは(ゲーム開始当初は少し違うことを考えていたと思います)、思ったよりオマーンに「押されて」しまったからだと見るわけです。
それを試合中に修正できるようになったのは、やはりアジアカップの経験が大きいでしょうね。

投稿者: ケット・シー (Oct 16, 2004 1:04:07 PM)

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