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October 07, 2004

2002トラウマから脱却しよう(2)

2002トラウマその2は、「ラインを高くすることへの恐れ」である。

先日の五輪代表の考察にも書いたのだが、U-23もU-20も、結局実現していたのは「低い位置からのダイレクトプレー」であった。トルシェ代表の戦いを見て、「コンパクトに戦ってダイレクトプレーをするのは日本にあっている」「でもラインを上げすぎると裏を突かれるのが怖い」と考えてしまったのだろうか?ラインを押し上げるリスクを負わない、カバーを重視したディフェンスを、どの年代も採用してしまっている。

それ自体は一概に悪いことではない。どのようなコンセプトにもメリットもあればデメリットもあるのである。ラインを低くするディフェンスには、「ディフェンダーが守りやすい」「裏を突かれない」というメリットもあるが、いうまでもなく、「全体が間延びする」というデメリットがある。それにより試合全体を支配される可能性が高くなり、また、バイタルエリアを利用されての失点の危険も出てくる。

「間延びした中盤でパスをつなぐ」というのは、これもまた一概に悪いことではない。そこに出現するのは、ボールをコントロールする余裕と、敵との頻繁な1vs1である。そこで時間をかけてじっくりとポゼッションし、1vs1を制覇していこうというのは、敵との技量レベルに差がある場合は(例えばレアル・マドリーならば)、うまくいくことであろう。あるいは、各選手の「ボールのないところでの動き」がよくトレーニングされ、ボールを上手く引き出していける組織性があれば、これも問題ないであろう。

U-20代表ではどうだっただろうか。間延びしたフィールドで、ボールはつなげなかった。「ボールのないところでの動き」の組織性を高めるトレーニングはできていないようであり、また1vs1にさらされると、それを制していくだけの技量差は、アジアを相手にしても持っていなかった。結果として、ボランチが「序盤は中盤で持ちたくない」という状況になり、平山の頭めがけて蹴るサッカーになってしまっていた。

さらには、敵が高いディフェンスラインを引き、コンパクトフィールドでのプレスを挑んできたカタール戦では、そこにはボールを持った日本選手を複数の選手が取り囲む、1vs多の状況が出現してしまっていた。日本は中盤でのプレス合戦に持ち込めず、かつての中東諸国がやってきたような「ロングボールを放り込む」という時間が長いサッカーになってしまっていたのである。

さて、これは日本全体がとるべき方向性なのだろうか。議論は分かれるところだろう。なお、「ラインの裏が怖い」という意見は根強い。しかし私は、特に若年層において、コンパクトフィールドを高い位置で実現できる技術、その中でボールコントロールし、パスをつないでいく技術を伸ばすことが、日本の今後のためには必要であると思う。そのためには「裏恐怖症」から脱却する必要がある。

重要なのは「ダイレクトプレーかボールポゼッションか」ではなく、「コンパクトフィールドとプレッシング」であり、その中でもボールを繋げるようにするスキル、そしてそれを可能にする第3の動きなどの個人戦術なのだ。そこのところが取り違いされ、「低い位置でセーフティーに守ってダイレクトプレー」では、昔の「べた引きから放り込み」と変わらなくなってしまうではないか。

もちろん、大熊監督の志がそこにあるというつもりはないし、現チームがそれしかできないチームであるというつもりもない。しかし、「コンパクトフィールド、プレス、コンパクトの中でもつなげる連動性」をさらにさらに強調していくようにしないと、強い相手と戦うときには再び同じ状況になってしまうだろう。それではオフト以来の日本サッカーの時計を逆に進めてしまうことになるのではないだろうか。

世界は先に進んでいる。アジア諸国も追いつこう、追い越そうとしている。日本が停滞している暇はない。もっと世界から学び、もっと世界を目指して強化する必要がある。そろそろ2002トラウマから脱却しようではないか。

それではまた。

11:02 AM [サッカー日本代表] | 固定リンク

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