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August 07, 2004

前夜

いよいよ決勝ですね。

多くの方が言われているように、コンフェデはアジアの日本にとって、欧州南米と公式戦で戦える数少ない機会、その出場権は非常に重要です。また、ここまで苦しい戦いを勝ち抜いてきた選手たちも、優勝してこそ自信と一体感をつかめるでしょう。アウェーの環境、審判と問題はありますが、それを実力で跳ね返して、是非是非優勝して欲しいと思います。

ところで私は、すでに書きましたように、アジアカップの日本代表については楽観的に考えていました。実際はかなり苦労しながらも、ついに決勝までたどりつきましたね。決勝の相手は中国ということになりましたが、この戦いもやはりある程度は楽観できる状況であろうと思います。

1)チーム作りのための時間が取れたこと。特にメンバー固定により、連携の熟成のための時間がたっぷりと取れている(メンバー固定には私は賛成しないけど、熟成の役に立つと言うポジティブ面は否定しない)。

2)個人の能力において、日本はすでにアジアの強豪であること。この大会でも中村の左足、玉田のスピード、三都主の切り返し、そして中澤のヘッドなどなどアジアの水準を凌駕し、大きな武器となっている。

3)北京が涼しい気候であるようであること。コンディショニングはあと一試合は持つのではないか。中国も、準決勝で120分間戦ったあとでもあることだし。

4)ブーイングや、2試合続けての激しい戦いにより、チームのモチベーションが高まっているようであること。特にヨルダン戦のPK戦以降は、一体感が強まっているように見える。

5)中国は、これまでの試合を見る限り、特に攻撃面での恐さを持っていない。韓国やイランの方が恐かった。

といったところでしょうか。

心配は選手の怪我、疲労だけですね。これは「かわいそう」ということではなくて(笑)、例えばDF陣の疲労が抜け切れていないと、集中力や、1対1の攻防に際しても身体の切れに問題がでて、失点してしまう、という危険性がある、ということです。それさえなければ、アジアカップ連覇も相当近いところまで来ていると思います。

ところで4)モチベーションについて少し補足をしておきたいと思います。

ルイスアントニオ高崎氏(ブラジルスポーツ庁長官時代のジーコのアシスタントだった方)の手になる「ジーコ 終わりなき挑戦」という文献があります。その中には、98年大会直前にブラジル代表のテクニカルコーディネーター(当時の監督はザガロ)に就任したジーコの活動について、詳しく書かれています。

ジーコが日本代表監督になった直後にそれを読んだ私は、「ジーコのモチベーション作りの能力は高いはずだ」と当初、思っていました。というのは、本書中でジーコは自分の役割について、

大きくは、選手とスタッフ、CBF会長などの役員との間にいい関係を作ることだ。
私は誰に対しても同じ姿勢であたることを自分のモットーにしているから、その自分の哲学にのっとってチームをまとめたい。チームをひとつのマインドを持った大きな体にしたいのだ

と語っており、テクニカルコーディネーター(以下TC)のひとつの大きな役割が、まさのその点、モチベーションを盛り上げ、維持していくことにあるように読めたからです。そしてまた、「ジーコは代表チームの潤滑油」という章があり、ジーコが合流後、代表チームで会話が増えた、明るい性格で誰ともふざけあえるジーコが、チーム全体にいい雰囲気を与えた、とも書かれています。

おそらくはジーコは、自分の性格を生かして、チーム全体をファミリーのようにすることで一体感を作り、モチベーションとしていくようなやり方をブラジル代表TC時代にはとっていたのでしょう。それならば、それは日本代表でもできるはずではないか。ジーコ就任当初、戦略や戦術、組織作りの手腕などに疑問を呈しながらも、この点に関してはジーコの能力は高いはずだ、と私は思っていたのです。

しかし、皆さんご存知のとおり、今年のイラク戦からオマーン戦、そしてシンガポール戦と、さまざまなマネジメント上の「悪手」によって、チームは戦う集団とは言えないような状態に陥りました(と私は思っています)。私はその点をずいぶんと糾弾しましたし、今でも、「チームのモチベーションの状態を的確に見て取って、必要な手を打つ」という意味での「モチベーション・コントロール」に関しては、ジーコ監督の能力はけして高くないようだ、と考えています。

このアジアカップ、オマーン戦からヨルダン戦に至る過程では、試合の入り方をうまくできていないような状態が続いていました。西部氏がオマーン戦の苦戦の原因を「予断ではないか」としたように、モチベーションの作り方が、ここでもうまくいっていないように見えました。しかし、この厳しいアウェーでの長い戦い、合宿の期間中、ジーコ監督の「一体感を作る能力」は徐々に徐々に発揮され、見えないところでチームをひとつにして行っていたようですね。それはヨルダン戦の延長開始前、スタッフまで一体になった円陣でついにカタチになって現れたように思います。

それはさらにアウェーの過激なブーイング、不可解なジャッジによる退場、さらにもう一度の延長戦、などなどによって、より強化されたのではないか。それがまさに逆転に次ぐ逆転劇につながって行ったのではないか、とジーコ監督に批判的な私にも思えます(注:そもそもあのような失点を招いた組織作りの手腕や、チームマネジメントについては横におきます)。遠回りはしましたが、ジーコ監督はついにそのよさを一つ日本代表にもたらした。今の代表チームは、そういう状態なのではないでしょうか。

それがあれば今回のアジアカップ決勝、日本は中国よりもずっとずっと優勝に近いでしょう。

優勝まであと一歩ですね。今日だけは監督込みで、日本代表全体を応援します。連覇を目指して、ガンバレガンバレ、日本代表!

それではまた。

01:25 AM [ジーコジャパン・考察] | 固定リンク

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明日だけは、ここまでの試合を頑張ってきた選手達のためだけに日本代表を応援します。 というのも、この決勝でどんな負け方をしたところでジーコは解任されないから... 続きを読む

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「ピンチを跳ね返す力、それは歴史である」と語ったのは、その昔、強かった頃の日本代表バレーボールチームの監督だっただろうか。その場しのぎの付け焼き刃の闘志なんて、... 続きを読む

受信: Aug 7, 2004 2:02:32 PM

コメント

スタメン固定のメリットをきちんと指摘した文章を読むのは初めてですな。私もほぼ同じ考えだったので、今回は敵ながら天晴れという感じですw
主力のゴッソリ抜けた、急造チームだと、疲労の問題よりも、連携の精度や試合展開のリズムの共有を優先すべきだと思いますからね。とにかく今日は圧倒して勝って欲しい・・・

投稿者: M (Aug 7, 2004 5:29:24 AM)

Mさんコメントありがとうございます。

敵とか味方とか言わんと(笑)。

スタメン固定にはメリットもありますよ。というより、それがジーコ監督のチーム作りの方法論です。しかし、そこには功もあれば罪もある。

罪の一つが、今回の戦いを「主力の抜けた急造チーム」にしてしまった、ということです。これまでの2年間、別のやり方をしてれば「急造チーム」などといわないですむようにする事もできたのですけどね。

>とにかく今日は圧倒して勝って欲しい・・・

とにかく今日はこれにつきますね。なんとしても、連覇して欲しい。それが最高、最大の望みです。ガンバレガンバレ、日本代表!

投稿者: ケット・シー (Aug 7, 2004 8:23:13 PM)

「不可解なジャッジによる退場」とはバーレーン戦の遠藤の退場を指すものだと思いますが、私には全く不可解ではありませんでした。あれを不可解とする人が多いのですけれども、どのあたりなのでしょうか?
私は、今回のアジアカップのジャッジは概ねまともだったと思います。オフサイドの判断も良い位置で見てのものだったと思うし、アドバンテージもしっかりと大きな動作で解りやすいものでした。ファウルの基準がJリーグと違うところもありますが、それは仕方ないので選手が学ばなくてはいけない。
私の印象では、全体的に日本がジャッジで不利な判定を顕著に受けたということはなかった、と思います。

投稿者: ミケロット (Aug 10, 2004 3:04:12 PM)

ミケロットさんこんにちは。

遠藤の退場は、「こぶしが顔に当たったことを故意の報復行為と捉えた」ことによるレッドカードだったと思います。
しかし、遠藤も故意ではないと言っていますし、プレーの流れ的にも故意であるとは私にも見えませんでした。その点が不可解であると思ったところです。
大会全体のレフェリングについて、ミケロットさんのようにおっしゃっている方は始めて見ました。興味深いですね(ただ中国との他の国の試合ではどうだったのかを見てみたいですが)。

投稿者: ケット・シー (Aug 10, 2004 3:16:18 PM)

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