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August 01, 2004

アジア諸国はトルシェ日本の夢を見るか

PK戦には感動しましたね。久しぶりに鳥肌が立ちました。酷暑の重慶で120分間戦い抜いた選手たち、そしてPK戦での川口の頑張りには、心からお疲れさまといいたいです。

さて、試合内容ですが、「韓国の猛攻をしのいだ」感のある韓国vsヨルダンを見ると、とても昨日のような試合展開は予想できませんでした。ヨルダンは組織的なプレスに、組織的なパスワークで相手を崩していく、いいサッカーを構築していましたね。ヨルダンもオマーンも、いい監督に出会ってレベルアップをしているようです。

思い起こせば、2月のオマーン戦で私は心底落ち込んだのですが、それはそのときに書いたように、20歳そこそこのオマーンに、「組織力で負けていた」からなのです。

その後、欧州遠征で持ち直したかに見えたのですが、それはやはり敵がこちらを研究してこない親善試合だからであり、また、ある程度時間が取れたことで「選手が話し合ってチームを作る」ことができたからでもありました。

さて、このアジアカップではどうでしょう。

初戦のオマーン戦、やはりオマーンに組織で、今度はさらに「完敗」をしていましたね。日本が動けていなかったのは、暑さだけが問題だと言う人もいましたが、私はそうは思えません。オマーンはよい監督に出会い、組織力のレベルアップを果たしています。ソースは忘れてしまったんですが、オマーン戦後に中村選手が

本当は自分たちで動いてボールを取りに行けばよかったんだけど、取りにいけなくて、後手後手になってしまった。自分たちから動くのではなくて、敵のボールをあとから追っかけて動かされてしまった。それでかえって消耗してしまった。

という趣旨のことを語っていました。これはまさにそれを意味していると思います。日本は組織的なプレスのレベルで負け、ボールを動かして相手を走らせる、組織的なボールポゼッションのレベルでも負けていたのです。

ヨルダン戦でも同じことが起こりましたね。アジアカップ予選や、W杯1次予選の結果を見れば、ヨルダンは急成長している弱くない国だと言うことはわかりますが、vs韓国戦では、韓国の猛攻にGKを中心に必死に耐え、そこからのカウンターで勝機を伺うチームに見えました。しかし日本代表は、そのヨルダン代表にもやはり、組織力で負けてしまい、プレスでボールを奪われ、複数の選手の意識の連動したパス回しで中盤を支配されてしまいました。

ボールポゼッションは日本49%vsヨルダン51%だったそうです。しかし、ヨルダンの攻撃はスピーディで、スムースに前にボールを運んでいた印象がありませんでしたか?逆に日本のボール保持は、DFラインやボランチレベルでの、横へ横へのパスが多くなかったでしょうか?数字はこうでも、全体としてはさらに差があり、試合を支配され波状攻撃を受けていたというべきではないかと思います。

それは、ヨルダンの選手が、必要なときに必要なところへ、共通理解のもと、ススッと走ることができていたからです。スペースへ走る選手へパス、その選手がパスを出せる位置へススッと動く。そこへまたパス。その繰り返しによって、ヨルダンは日本ゴールに近づき、そこからはスピードやテクニックを生かして、シュートまで持ち込んでいきました。

日本は逆に、一人がボールを持っても周りが連動して動き出さない、「いつ動き出すかが自由なサッカー」であり、パスは足元へ、足元へ、という単調なものになります。それはヨルダンのプレスの格好の餌食でしたね。囲んで奪うこともできますし、パスコースがわかりやすければインターセプトもできます。そして、ヨルダンはこの環境下でも120分間、プレスサッカーをやり通しました。

(ちなみに、ヨルダンは湿度の低い国らしく、さらに暑い重慶には移動の後入ったばかり。「日本はヨルダンよりも暑さに慣れていないから走れなかったのだ」とはさすがにいうべきではないと思います。)

「サッカー批評」2002isuue16「ワールドカップ最終出口」巻頭対談で、

「組織のサッカーだと個が埋没するというイメージではいけない」
「組織が個を光り輝かせるんです」

と小野剛氏は言っておられますが、オマーンやヨルダンはまさにそれを実現しようとしていますね。あと足りないのは経験だけではないかと思います。いい監督に出会えてよかったですね。

トルシェ日本・2000アジアカップ・インパクト

私は「アジア諸国はトルシェ日本の夢を見るか」と題し、レバノン2000での日本代表の躍進を見て「日本だけがヨーロッパのサッカーをしているようだ」と思った国々が、組織サッカーをしっかりと強化しよう、と考え始めているのではないか、と書いたことがありました。

当時は中国やサウジなどの国を念頭において書いていたのですが、むしろこういった中東の中堅国においてそれが実際のものになっているのをみると、複雑な気分ですね(笑)。逆に、韓国やイランなどのもともとの強豪国は、アジアカップのほかの試合を見ると、やや停滞している感がありました(その筆頭は日本なのですが・泣)。やはり個人で何とかできると思ってしまっているからでしょうか。

日本はもともとアジアでも突出した存在ではない。だからこのぐらいの苦戦は当たり前なのだ、という意見があるようです。前半の意見には私は同意します。日本のクラブは、ACLでも苦戦続き、なかなか優勝することができません。ベースの部分では、日本はけしてアジアで突出した力を持つ国ではないと私も思います。

そして、だからこそ日本の強みの源泉であった組織力を捨て去るべきではない、と強く強く思っていました。組織的なプレッシングで相手を追い込む連動した守備。そこから共通理解の下、ボールも人も連動して動く展開の大きなパスサッカーによる攻撃。それは前回アジア杯を制した、あるいはコンフェデ杯で準優勝した時の、日本の誇るべきところでした。しかし、それは現在では消え去って、すくなくとも、今回のアジアカップにおいてそれをしているのは、あきらかに対戦相手のほうですね。

日本はもともとアジアでも突出した存在ではない。だから「自らの強みを捨て去れば」このぐらいの苦戦は当たり前なのだ。そういうことではないでしょうか。ほかにも大会を勝ち抜くためのチームマネジメントや、選手の疲労は大丈夫なのか、など、いろいろと問題もあると思います。同時に、今の日本代表が「PKで上には上がれるが、内容では圧倒された」という状態にあるのはなぜなのか、その原因もはっきりしてきたのではないかと私は思うのです。

さて、移動込みなか二日でバーレーン戦ですね。難しいでしょうけれども、選手たちにはしっかりと休養をとって欲しいです。

それではまた。

04:56 PM [ジーコジャパン・考察] | 固定リンク

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