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July 23, 2004

能動的に引いて守ったのか?

私は、2月のオマーン戦では心底落ち込みました。しかし同時に、あれほどひどいサッカーはもう見ないで済むだろう、あそこが「底」だろう、と思っていたのですが・・・。

世間では、いくつかポジティブな意見も見られるみたいですね。

1)優勝をにらんで、グループリーグ初戦にはコンディションのピークを持ってきてない。その状態で勝てたのだから、よしとするべきだ。これからコンディションは徐々に上昇する(それに伴って試合内容も改善するのだ)。
1´)優勝をにらんで、選手が自主的に6試合分のスタミナ配分をしたのだ。つまり「動けなかった」のではなく「動かなかった」のである。もちろん、必要な時はもっと動き、決勝までスタミナは持つのである。
2)このような酷暑の大会では、人もボールも動くサッカー、あるいはスタミナを要するプレッシングサッカーは無理だ。それは放棄し、意図的にわざと引いて、敵を引き出してのカウンターサッカーをしたのだ。それが成熟した大人の戦い方というものだ。

なるほど、どれも一理あるように聞こえます(考えの内容が一部違う、というような場合にはお教えください)。

1)については、「理論的にはありますね」「そうだといいですね」と私も思います。これは実際にこれからの試合での、選手の動きを見ていけばわかることでしょう。

ただ、「チーム・ジーコ」は、コンディションに関して、2月のオマーン戦でも国内の選手が動けていないとか、シンガポール戦へ向けた暑熱対策とか、私から見ると疑問の残る仕事ぶりが多かったのも確かです。大会全体でのコンディショニングがうまくできるのかどうか、ちょっと心配ではありますが、それもこれからの試合を見ていけばおのずと判明することでしょう。

1´)と2)については、どちらも「意図的にそうしたのだ」という点で共通点があるように思います。確かにジーコ監督も、引いて守ってカウンターという指示を出していたようです。特に先制できた場合には、これは間違った戦い方ではないでしょう。

しかし、私はこのやり方が機能していて、「成熟した大人の戦い方」であるとするには、条件があると思います。

A)決定的なチャンスをあまり作らせないこと。
B)跳ね返したボールを有効な攻撃につなげられること。

言うまでもなく、人数をかけて引いて守るのは、ラインを上げて攻撃的に守るのよりも、そちらのほうが守りやすいのでなくては意味がありません。裏を取られることが少なく、DFが前を向いてボールと敵を同時に視野にいれて守れる。だから守りやすく、ピンチになりにくい。それを求めて「人数をかけて引いて守る」わけですね。

また、どれほど実力差があろうと、ゴール前で波状攻撃を受け続けたら、何らかのきっかけ(単純なミス、ボールの跳ね返りなどのちょっとした偶然)で失点してしまう危険性も高くなります。さらには1点はセーフティーリードではない。引いて守るにしても、そこから効率的なカウンターにつなげられないと、やはり問題だと思います。

では、アジアカップでのvsオマーン戦の戦い方は、その2条件に合致していたのでしょうか?

私は、人数かけている割に、ずいぶんと決定的なチャンスを作られているし、また攻撃に関しても、効果的なカウンターはほとんどなく、ゆっくりしたボール回しでポゼッションを回復することもできなかったなあ、という印象を持っています。みなさんはどうでしょうか。

選手の談話を見てみると、

本山:「後ろが薄くなってた。もうすこし守備をしっかりやらないといけない。」

川口:「(反省点は?)相手にボールが渡ったときに近くに寄るのが遅かった。」

宮本:「後半になって、こぼれ球を拾えなくなっていた。ここから攻めに行く、ってときに(ボールを)取られたりしたことが、あんなに攻め込まれた理由だと思う」

福西:「(プレスが甘かったように見えたが?)前(の選手)を使って方向を限定しないと、あれ以上はいけない。そういうのはみんなで直したい。」

中村:「一個一個の寄せが遅れていた。ゴールのあと、もう1点行きたかったけど、自分たちで苦しんでしまった。後ろから押し上げられなくて、孤立してしまった。」

などなど、どうも「自分たちの作戦としてわざと引いて守った」というものには聞こえないものが多いですね。川口の「DFラインはしっかりしていた。攻め込まれたけど、要所要所できっちり対応できていた。」はその中ではポジティブな印象を残すものですが・・・。

宮本もやはり、

「中盤の守りがないと、守備ラインをゴール前まで下げざるを得ない。思い通りの(守備の)陣形も作れない」

と言っているようです。以前からも「ボールの奪いどころ」がこのチームの課題だと彼は語っていましたが、まだ改善されていないのでしょうか。

思えばやはりシンガポール戦も、DFラインが下がりすぎ、バイタルエリアを開けてしまい、そこを利用されてミドルシュートを打たれ、失点していますね。ホームでのオマーン戦でも、バイタルエリアにぽっかりと空間が広がっていました。どうもこの辺はジーコジャパンの伝統(?)であるような気もします。心配なところです。

いずれにしても、この戦い方が意図してわざとした「成熟した大人の戦い方」だったのかどうか、あるいは大会の初戦だからコンディションを上げていないことによるものなのかどうか、それはこの大会を通じて明らかになるでしょうね。私も日本代表があそこまで弱くなったとは思いたくないので、その意見が正しいことを切に祈ります。

アジアカップは始まったばかり、一試合で「結果が出た」ということもないですし、一試合の内容の悪さで「もうダメだ」という必要もない。大会が終わった時点でどういう「結果」になるのか、それを求めるチームマネージメントはどうなのか、ということを、しっかりと見て行きたいと思います。

それではまた。

04:04 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク

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今回のアジア杯初戦対オマーンの試合における日本選手のあまりと言えばあまりの「動けなさ」について、これが最大で六試合を戦う今大会で後半へ向けたピークの持って行き方... 続きを読む

受信: Jul 24, 2004, 7:55:16 AM

コメント

「動かなかった事」についてはジーコの「消耗するな」という指示の元で
行われたのではなく、本大会に入ると選手交代をあまりしないなど、
これまでの経験から学習した個々の選手自身がペースを考えて
それぞれに自制した、っつー事ではないか、と思うのですが
どうでしょうか。
 動かないならそれなりに選手同士でも打ち合わせするべきだったが、
ジーコの手前そうそう細部をつめるわけにもいかず結果的に連携が
取れない場面が結構あったのではないか、とちょっと思ったんですが。
 という訳で、そういう注意がまったくなかったとは思わないけど、
私もあれはジーコが意図した結果ではない、と考えます。

投稿者: 晶 (Jul 26, 2004, 11:11:25 AM)

晶さんこんにちは。はじめまして、かな?コメントありがとうございます。

そうですね。あれがジーコの意図したものではなさそうだ、という点は同意です。

「動かなかった」「動けなかった」は、どちらか100%ということではなくて、いろいろなファクターが絡んでいるのでしょうね。

暑さも、コンディションも、油断も、モチベーションも、組織の未熟さも、敵に動かされたことによる疲労も、おっしゃるような自己セーブも、実にさまざまな要素が含まれているのでしょう。

今後の試合に向けて向上して欲しいものですね。

投稿者: ケット・シー (Jul 28, 2004, 4:38:52 PM)

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