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July 28, 2004

さまざまな見方

もうイラン戦ですね。なかなか更新ができなくてすみません。

タイ戦は、オマーン戦よりは動けていましたが、先制されて動かなくてはならなくなっていたわけで、コンディションがどれほど上向いていたかは今ひとつ、わからないところですね。セットプレーがらみとは言え4得点、結果としてはグループリーグ突破を2試合で決めたのですから、上出来というところでしょうか。

さて、今週のサッカーマガジンでは、当然そのアジアカップに関する記事が多かったのですが、まずは田中誠選手の談話が興味深かったですね。オマーン戦に関して、

実は僕たちは、終始余裕を持って守れていたのだ。見る側はハラハラしたかもしれないが、プレーヤー・サイドとしては「追い付かれるのではないか」といった恐怖感はまったくなかった。むしろ思惑通りの展開だった。

と言っています。私たちは「見る側」ですから(笑)、ハラハラしましたし、Jリーグの選手の談話などでも「追いつかれるとは思っていなかったが、一瞬の隙を突かれた」などという談話はよくあるので、ちょっと「ホントかなあ」と思ってしまいますね。

タイ戦の被先制点には、

明らかに油断があったことを認めなければならない。先制点を許した場面は、相手の攻撃を遅らせるつもりであえてドリブルで持たせた。ところが結果的に寄せが甘くなり、そのままシュートを叩き込まれてしまった。

とのことです。「○○したつもりだったが、結果的に・・・」という言葉は、オマーン戦と真逆(笑)。ちょっと、どのように受け止めればいいのか迷うところです。

私は、いろいろな方と意見交換をして、「オマーン戦では大人の戦い方を目指したが、予想外に押し込まれ、思った以上にピンチを作られた」という見方が、総合すると正しいのではないか、と今では思っています。

さて、後藤健生さんは、オマーン戦の前半については「あのコンディションを考えたら理想的な展開」「日本がいちばん大人のチームだね」と大絶賛です。ところが後半については、「あそこまで攻め込まれ続けていては、リスクは大きい」「引きすぎて苦しい試合にしてしまったのは失敗だった」とのことです。

これはちょっと妙だなあ、と私は思いました。「大人のサッカー」「成熟した試合運び」と評するには、それが90分トータルして、一試合コントロールできてはじめてそう言えるのではないでしょうか?前半は素晴らしい「大人のサッカー」、後半はそうではない、というのは、「大人のチーム」なのかなあ?

後藤さんは前半と後半とを引き合いに出して、

「ジーコ原理主義」の長所と弱点の両者が見えたのがオマーン戦だったのではないか。

とまとめていらっしゃいますが、ちょっと前半だけをもって「大人のサッカー」と言い切るのは強引のような気がしますね。

最後に、どちらかというとジーコ監督を擁護する論説が目立っていた西部謙司さんですが、「こういう試合もある」でいいの?と題して、オマーン戦について、オマーンに押し込まれた理由を分析しています。まずは次の3つの要因をあげ、

1.選手の力量差
2.FWのキープ力不足
3.判断の甘さ

そして、

一番大きな原因は日本選手にあった“予断”だったのではないだろうか。

としています。結びは、

サッカーは言葉ではなんとでも言える。オマーン戦をどう言い表すこともできるが、自分の言葉にごまかされてはいけない。厳しいぞ、油断するなと言いながら、オマーンに圧倒された事実を深刻にとらえる様子もなく、ムードだけが非常にいいという状況に、重慶の暑さの中、多少薄ら寒い感触を覚えた。

チームのムードがいいのはよいことですが、なぜオマーンに圧倒されたのか、の分析も、10月を見据えてしっかりとしておいて欲しいものですね。

以上、なんとも興味深い、三者三様の意見でした。

さて、今日はもうイラン戦です。強敵ですが、よい内容ですっきりと勝つ、という試合がそろそろ見たいですね(笑)。また、グループリーグ突破は決まりましたが、ジーコ監督がメンバーをどうマネジメントするか。それが最終的な、この大会自体の成績につながるだろうことはもちろんですが、この酷暑の大会では、選手のためにも、うまくやって欲しいものだと願わずに入られません。

それではまた。

04:27 PM [ジーコジャパン] | 固定リンク

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これはきむらずさんが今週のサカマガの田中誠の手記を読んでの感想でした。マコの手記についてはケットさんのBlogに紹介されているのでそちらをどうぞ。 きむらずさん... 続きを読む

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コメント

久しぶりに書き込みさせて頂きます。(といって,もう誰も覚えてらっしゃらないと思いますが...)
「大人の」サッカー論,もっともだと思います。厳しいフィジカルコンディションの中での理想的な戦術は中盤の省エネ,効率の良い少人数でのカウンター,それから鉄壁のゴール前ですから。いわゆる「リアリズム」ですよね,それこそ「いいときの1次予選でのイタリア」みたいな。
ただこれをやり通すのは結構難しい,例えばそのイタリアをしても2002年の韓国戦では(その他のファクターはあるにしても)逃げ切りに失敗してますから。特にフィジカル的にフィットしてしまった相手との試合では難しい。相手に対する「予断」があれば尚更でしょう。
今大会の日本にとって準々決勝までの試合は,「リアリズム」定着を目指すものとなってしまいました。恐らくは結果的にそうなってしまっているのでしょうが。そうであるならば,上記のイタリアのようなへぼはせずに,少なくとも「結果」だけは持ち帰って欲しいものだと思います(準決勝では多少気候も緩和されるのでしょうが)。「結果の出ない」「大人」のチームほどつまらないものはありませんし,そんなことでは「リアリズム」の承認も定着もおぼつかないでしょう。
かの地の暑さを思うと,こんなことは机上の空論でしかないと思わざるを得ないのですが,とにかく今起こっている全てが今後の代表に好影響を与えて欲しいと思うばかりです。

投稿者: にし (Jul 29, 2004, 12:18:48 PM)

にしさんこんにちは。コメントありがとうございます。興味深い考察ですね。

>今大会の日本にとって準々決勝までの試合は,「リアリズム」定着を目指すものとなってしまいました。

まあ、真剣勝負の大会ですから、こういうのもアリでしょうけれども、ジーコの監督を頼んだのは、そういう理由でしたっけ?と疑問に思ってしまいますね(笑)。

>「結果の出ない」「大人」のチームほどつまらないものはありませんし,

わー、それは嫌だなあ。1-0の逃げ切りを図って逃げ切れないイタリアですか。そんな日本代表は見たくないですねー。

>とにかく今起こっている全てが今後の代表に好影響を与えて欲しいと思うばかりです。

そうですね。ご考察が正しいとすると、やはり必要なのは結果でしょう。もろもろうまくいくといいのですが。

投稿者: ケット・シー (Jul 30, 2004, 7:29:44 AM)

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