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June 04, 2004

時間が取れるか取れないか

大住さんは「見守り派」になったのですね。

こちらの方は相変わらずですが(笑)。

私も今回の遠征、ジーコ監督は非常にいい仕事をしたと思います。武藤さんも書かれているように、イングランド戦は日本代表史に残るいい試合でした。また、ああいう前半押されている展開では「一回ポゼッションして、そこから攻撃を組み立てる」というやりかたが、ペースを握りなおす上で効果があったことも確かです。

私も「誰がいつ動き出すかが自由なサッカーでは、組織的な守備をする強豪から点が取れないのではないか」と思っていましたが、大住さんが言うように、動き出しを含めたカタチの練習を増やしていることでポゼッションから縦への以降がスムースになっているようで、「それでも点は取れる」ということに変わってきましたね。

アイスランド戦では、中村が語るように彼がやや下がり気味で、小野や稲本からのミドルパスでボールの引き出しの上手い久保や玉田が生きる、ダイレクトプレーが多かったですね。イングランド戦の後半では、まさにジーコのやりたいであろう横へボールを動かしながら、サイドやFWの動き出しにあわせて縦に入れる、というポゼッションスタイルがイングランド相手でもかなり機能していました。素晴らしいことだったと思います。

ところで大住さんは練習内容の変化に注目していますが、私は、「特定の選手に大きすぎる役割をあたえることを止める」「海外組の無条件起用を止める」などのやり方の変化があったことも、チェコ戦からこの遠征に至る過程でチームが一つになるのに、大きく役立ったと思います。チェコ戦後のサカダイの川原氏のレポートにあるとおりですね。さらには、「自主性を尊重するならそれに向いた選手を多く入れたほうがいい」と私は思っていたのですが、ここに来てそういう選手が有効に機能し始めた部分もあるでしょう。

さて、ジーコ監督は「時間があれば」よい内容のサッカーを見せることができることを証明しました。その良い内容のサッカーが、W杯ベスト8を目指すのになかなか希望の持てるものであることも(ただし、厳しいプレスにさらされたときにそれができるかは、まだ不明ですね)。しかし、これはさかのぼって言えば、コンフェデ杯フランス戦でも見えたことではないでしょうか?

私はまさにそのコンフェデ杯で「不支持」を決めたのですが、それは、ジーコ監督の「選手の話し合いに任せるサッカー」では、一試合二試合いいサッカーをしたとしても、「今回のようにみんなで話し合う時間があればいい。でも、そうでない場合や新しいメンバーが入ってきた時に、意見のすリ合わせが十分にできない恐れがある。」(コンフェデ杯後選手談話・サッカーマガジン誌)という問題点があると考えたからです。

ジーコ監督のやり方では、「時間が取れないことがわかっている」最終予選での数試合で、大きく不安が残る。私はそう思いました。そして実際、時間が取れなかったオマーン戦、シンガポール戦では、コンフェデ杯での良い内容は影も形も見られませんでした(私は1次予選はかけらも心配していなかったのですが)。

それは、単に時間が取れなかっただけではなく、わざわざ高熱があった選手を先発させたり、コンディション、試合勘に関係なく海外組を強行起用したり、特定の選手に大きすぎる役割をあたえたり、それによって選手のモチベーション・コントロールに失敗したり、などなどによるものでした。こういったとんでもない「悪手」さえ打たなければ、あれほど1次予選で苦戦することはなかったと私は思います。

その「悪手」の部分は、さまざまな外的要因により、チェコ戦ではある程度改善されていたのですが、私は「ジーコ監督の哲学では、それが継続する可能性は低い」と思っていました。しかし、イングランド遠征でもその改善は継続し、また小野を中心とした新しい一体感もチームに生まれているようです。1次予選の時に感じられた、「このチームは危険な状態にある」というところからは、今では完全に脱していると言えるでしょう。

私はオマーン戦後、「不支持」から「積極的に解任すべし」と考えを変えました。それはこのチームマネジメント上の「悪手」があまりにも酷く、さらにジーコ監督がそれに無自覚であったように見えたためです。このままではこれが(オマーンよりもさらに強い敵を相手にしなくてはならない)最終予選でも繰り返される。それは恐ろしすぎる。しかし、その最悪の部分はさすがに改善されました。

とはいうものの、ジーコ監督の「選手の話し合いに任せる」やりかたが、「みんなで話合う時間があればいい。でも、そうでない場合や新しいメンバーが入ってきた時に、意見のすリ合わせが十分にできない恐れがある」という問題点を抱え、それがまた「時間が取れないことがわかっている」アジア最終予選で表面化する、という危険は依然残っていると思います。

コンフェデ杯で一回できたベースは、なぜオマーン戦で機能しなかったのか?それは今後、もう繰り返されることはないのか?

それを確認することは、今後は(オフィシャルAマッチデーのため)時間が取れるアジア1次予選ではもう訪れないでしょう。チーム状態がよければ、アジア1次予選は「大勝の連続」だと私は思います。そうなると、「多少チーム状態が悪くても、アジアを圧倒できる『地力』があるかどうか」を、アジアカップを見て判断することになるでしょうか。

このなかなかに魅力的で強いチームを作り上げたジーコ監督、そしてこのチームが、アジアの強豪を相手に中国の地で、どのような戦いを見せるか。実は私はそれがかなり楽しみになってきています(笑)。ただし、ジーコ監督がもうあのようなチームマネジメント上の「悪手」を打たなければ、のことなんですが。

それにしても稲本が心配ですね。それではまた。

10:52 AM [ジーコジャパン・親善試合] | 固定リンク

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受信: Jun 9, 2004 10:37:14 AM

コメント

ああ、またダブらせてしまいました・・・。
ケットさん、すいません・・・。

投稿者: TEN (Jun 4, 2004 2:29:36 PM)

ジーコジャパン全くダメ!というのが僕の意見です。
失点までの20分間日本は何ができたでしょうか。
その後はイングランドは緩みました。立てなおせないほど緩みました。後半のキックオフの時のオーエンとルーニーのダラダラ笑顔に現れていたように思いました。
エリクソンのみ立てなおそうと躍起となり、交代させなかったわけですが、効果ありませんでした。
日本が良いプレーをしたのではなく、イングランドが悪いプレーをしたのです。
証拠にアレックスの立ち止まってのボールキープが通用していたことです。いままでのワールドカップの予選であのプレーが通用していたためしがありますか?

守備では失点までのあいだフラットにならないために宮本はどんどん下がり、中盤でプレスが利かない状態でした。
また1対1でも抜かれるのが怖いために距離をとり、抜かれないけれどワンタッチのパス回しのやられ放題。
日本がなんとかして何とかなったんではないのが僕は悲しかった。
攻撃ではボールは全く収まらず、奪われ放題。何かできたでしょうか。

またピッチコンディショニングは最高じゃなかったでしょうか。
これであの前半では話にならないです。
むしろサンドニの時のほうがはるかに戦っていました。

ゲームをどんなにトータルで考えても、喜べない。
勝ってしばらく喜ぶのはとても大切なことだけど、もう喜んでいてはいけない。まだ喜ぶならどこかでしっぺ返しを受けそうな気がします。

ひにくだけど、それをジーコは経験上知っていると思う。
試合後のコメントはそういうコメントだったと思う。

と、ダークサイドでとぐろを巻く僕でした。

投稿者: くまのおまもり (Jun 4, 2004 7:55:49 PM)

イングランド戦は見れなかったけど、アイスランド戦とともにま
あ、良いような試合をしたみたいですね。しかし・・・・・・
それでジーコの評価を上げるべきなのか?それは疑問でした。
うまく言えませんがこのままジーコでいいのか?と思います。

投稿者: hamunoji (Jun 6, 2004 1:55:32 AM)

hamunojiさんはじめまして。コメントありがとうございます。

「ジーコの評価」に関しては微妙でしょうね。

「1次予選も託せないほどダメ」という低レベルからは、ようやく脱出しそうな雰囲気です。ただ、「W杯まで託そう」というほどには、まだ達していないと思います。

くまおまさん、コメントありがとうございます。

前半は本当にダメダメでしたね。しかし、失点の後は何とか前に出て行くこともできるようになっていました。これは敵のコンディションによるものもありますが、それだけではない。

例えばシンガポール戦、ガス欠になった日本は後半動けなくなりましたが、シンガポールが日本から1点取ったことに関しては、シンガポールの選手や監督の貢献があったことを認めるべきでしょう?

そういう意味での、日本の向上はいくらかはあったと思います。ただ、それがこのペースで、このレベルでいいのか、ということは、問題視されるべきだと思いますが。

ジーコが兜の緒を締めているのはいいことですね。

ではでは。

投稿者: ケット・シー (Jun 6, 2004 6:49:01 PM)

気ままに代表ブランク移転のお知らせ ブランク&バステン

KET-SEE BLOG様におかれましては、弊サイト「気ままに代表ブランク」をリンクに加えていただいておりましてありがとうございます。

「気ままに代表ブランク」については、かねてよりサーバーの不調による更新速度の低下を解決すべくサイトの移転を検討しておりましたが、このたび本格的に下記の場所に移転することにいたしました。

http://blank7.jugem.cc/。

コメント欄に私事を書き込んでたいへん恐縮なのですが、リンク先の変更をお願いできますでしょうか。
お手数かとは思いますが、よろしくお願いいたします。

投稿者: ブランク&バステン(気ままに代表ブランク) (Jun 6, 2004 7:08:02 PM)

ケット・シーさん、拙BLOGへのコメントありがとうございました。誉めていただいて恐縮です。J-NETでの引用の件はご自由にどうぞ。

但し、今朝6/9に拙BLOGにも書いたのですが私はJ-NETはROMに徹しようかな、と思っています。フランス大会予選の頃からずーっと読んでいて、もちろんいろんな意見があって楽しいのですが、まあそれだけ様々な人がいて、他者への最低限のリスペクトが感じられない書き込みも多いので..... その点、安心できるJ-KETには今までどおり、お邪魔させていただきますね。今晩は、インド戦ですね。頑張れ NIPPON!

投稿者: 湘南蹴鞠屋 (Jun 9, 2004 6:52:17 PM)

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