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May 10, 2004

来し方、行く末

前回話題にしたTENさんの考える「連携を取る能力の高い選手で代表を作る」という方針に対して、別の方針の可能性を提示してみたいと思います。

それは、おそらく2002年W杯終了後に当時の技術委員会が次期監督をリストアップしていた時に考えただろうと思われる方針です。

当時技術委員長だったのは大仁氏(田嶋氏ではありません・笑)、フランスの監督をリストアップし、それもビッグネームだけじゃなくフランス協会の推薦する(おそらくは地味な?)監督もそれに加えていました。ここでポイントだったのは、五輪代表監督も次期監督に任せるという方針だったことです。

これは、チェコ・フランス型強化(と私が呼ぼうと思うもの)を協会が志向していたことを、示すものだと思います。

それは、西部謙司氏がサッカー批評22号で書かれていた、「日本代表強化計画<私案>」と近いものです。そこで西部氏は、「ユース年代でひな形を作ってしまえ」としています(どうもこの一連の話題では西部さんばっかり引用してしまいますが、そういう意味ではやはり、「日本のサッカー界の位置取り、方向性」という視点から書いているライターは多くないということかもしれません)。時間の取れないフル代表で戦術を構築するのではなく、ユース、五輪年代でそれを行っておこう、ということです。

西部さんも触れていますが、現在のチェコ代表・ブリュックナー監督は、以前にユース年代の代表監督でした。当時指導した選手の多くが今の代表にも含まれていて、「A代表を担当してイチからチームを作り始めたわけではないのだ(西部さん)」ということです。これはよく紹介されるコラムですが

調和が取れているチェコの試合を見れば、私がユース指導者時代の5年間でどれだけ膨大な戦術を、選手に行き渡らせたのかを知ることができるだろう

とブリュックナー監督は言っていますね。他にも、例えばフランス代表も、若年層からほぼ同じコンセプトで代表チームを作っていく、一貫性のある強化をしていると言えるでしょう。

実際日本でも、トルシェ時代はそうでした。ワールドユース準優勝組が、その後のチームの中核になって行ったことは誰の目にも明らかでしょう。それと同様に、まだ海外組がいないユース、五輪代表年代で、優秀なトレーナー型監督(便宜上こういう分類を使います)に戦術を浸透させる。それをフル代表年代でも共通させ、全体としての日本の形を作っていく。2002終了後のリストができた時には、こういう「強化の大方針」がそこにあったのだろうと考えることは、それほど的外れではないでしょう。

これは、海外組が増えてくる2002-2004でも有効に機能した可能性が高いと思います。2002直後にリストにあったような監督が就任していれば、ある程度フル代表選手たちが「すでに慣れ親しんだ」戦術でスタートすることができただろうからです。もちろんフラット3である必要はないですが(笑)、例えばルメール監督がチュニジアで、あるいはギー・ステファン監督がセネガルでやったようなDF戦術は、エッセンスとしては共通している部分が多いわけで、その他プレスのかけ方や攻撃時のスクエアパスの動きなんかも、「ああ、これね」(笑)という感じでこなせたのではないでしょうか。

(注:このコンセプト自体の当否は今は問いません。あくまでも「やりやすさ」だけの話に限定しています)

そういう意味での継続性、積み上げがあれば、1998-2002のフランス・チェコ型の一貫強化を、スムースに2002-2006のそれへとつなげて行くことができたはずで、その場合には「海外組が増え、召集が難しく」なっても、そして監督がトレーナータイプであっても、問題はなかったのではないか、と考られます。

これを、よくわからない理由で(笑)覆してしまったのが、川淵-ジーコ体制であって、実にもったいないことをしたものだと思っています。

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ただし、言うまでもなくこれは「そもそも論」であって、「2002終了後にはそちらを取るべきだったのでは」ということです。逆に言えば、KINDさんの問いかけにあったような、「今ジーコを解任したとして、その後最終予選まで監督をどうするか」ということには答えていないものですね。最短の目標、最終予選のことを考えると、また別の考え方をするべきであるかもしれません。

しかし、TENさんがおっしゃるように、「日本のサッカー界の位置取り、方向性の確立」という中長期的なことを考えるのなら、そして日本が世界のトップ10に定着することを目標とするなら、この大方針はもう一度十分に検討に値するものではないかと思います。

それではまた。

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