« 苦い味を噛みしめながら | トップページ | 高熱選手の先発について »


February 20, 2004

オマーン戦の再現可能性

今回のオマーン戦で苦戦した最大の原因は、「ヒデが合流して時間がなかったこと」でしょう。

ジーコ監督のチーム作りは「選手を固定し、固定された選手間での話し合いで約束事をつくる」です。
それ以外の方法を持っていません。
そしてそれは、

>「今回のようにみんなで話合う時間があればいい。でも、そうでない場合や新しいメンバーが入ってきた時に、意見のすリ合わせが十分にできない恐れがある。ディフェンスだけは感覚でできないから」

という選手の談話(コンフェデ後のサッカーマガジン誌)で既に問題点がはっきり分かっていたことでした。(オマーン戦では「ディフェンスだけ」ではなかったことが明らかになりましたが)

しかし、実際に「選手を固定し、固定された選手間での話し合いで約束事をつくる」は、どのように機能するでしょうか?結局それは、選手のサッカー戦術理解のレベルに左右される、ということになります。そして、その点において突出しているヒデの言うことに、みんながついていく、というカタチにならざるをえなかったのではないかと思われます。彼の経験、実績、戦術理解、サッカーに関する言葉の豊富さ、推進力、それらに比肩しうるのは、わずかに宮本のみでしょう。

コンフェデの時のように時間があり、選手を固定して何試合もして、その都度修正していければ、次第にいいサッカーが出来るようになります。コンフェデフランス戦はその集大成でした。

それは、その後すべての試合でベストメンバーを組もうとしてきた方針により、その後もだいたい維持できて来たのだと考えられます。ナイジェリア戦、セネガル戦、チュニジア戦、ルーマニア戦、カメルーン戦、多くの時間こそ取れなかったからかもしれませんが、コンフェデ・ベストメンバーがほぼそろい(遠藤が欠けたり宮本が欠けたりしましたが)、その時の連携が結構残っていたのでしょう。

しかし、問題が生じました。東アジア選手権です。海外組が藤田を除いてほとんど使えなかったこの大会。大会での試合自体は、だれがリーダーシップを取ったか分かりませんが、国内組の中での話し合いによって、そこそこ機能しました。それほど長い合宿は出来なかったものの、何度かの紅白戦と3バックの採用があり、そこであるていどは「選手を固定し、固定された選手間での話し合いで約束事をつくる」ができたからでしょう。

さらに今年になって、また国内組の中で話し合いが続けられます。約束事がいくらか出来ていきます。小笠原が「裏へ走れと今までさんざん言って来た」と三都主に関して語り、イラク戦で(少ないとは言え)いいカタチを見せたのはその現れでしょう。

問題というのは、それによってチームの中に「コンフェデ時の話し合いで出来たもの」とは別のものが育ってきてしまっていた、ということです。DFラインと遠藤は、その両方に適応しなくてはいけなかった。ああ大変そう(笑)。まあ基本的には、コンフェデ時の話し合いを伝えていく、という作業だったかもしれないけれど、それにしても、アレンジが加わり、試合をこなすうちに(5試合ですからね)違うものになって行ってしまった。

そこに海外組が帰って来ました。ヤナギ、俊輔、稲本…しかし彼らではコンフェデ時の約束事を強力に復活させるチカラはない。中田が帰って来たのは、試合の2日前でした。

おそらくチームは、中田がまた新しい話し合いをもたらすだろうと身構えたのではないでしょうか。しかしヒデは、今回はその影響力を発揮する時間がさすがになかった。といいつつ少なくとも、チームの中に、昨日までに培ったものと、それを良く知らない中田ヒデ、ただし影響力は絶大、という二つの、なんと言えばいいのかな、「コンセプト」が存在してしまった、ということなのだと思います。

ヤナギ 遠藤 三都主 山田 宮本 坪井 楢崎(東アジア→2004親善試合組)
高原 俊輔 ヒデ 稲本(コンフェデ→2003親善試合組)

おそらくピッチの上で、この二つの「話し合いで生まれた約束事の理解」が、まるで刷り合わせる時間なく、存在してしまった。それが、オマーン戦の試合内容が、同じ選手をそろえながらコンフェデフランス戦とまるで違うものになってしまった原因ではないかと思います。

これは、今後も何度でも起こり得ることです。

そう考えると、ジーコ監督の「2週間」発言は以外と的を射て/得ているということが分かります。2週間あれば、誰かがリーダーシップを取ったりして、一つの「話し合いの結果」が出来あがってくる。そうすれば、まずまずな試合が出来る。

しかし、その時間がないと、難しい。特に今回は間に、別のものを育てる時間/機会があってしまったからなおさらです。おそろしいことに、ジーコ監督の場合、ベストメンバーがそろわない試合機会は意味がないばかりでなく、有害でさえあるのかもしれない、ということになります。あはは。そんな馬鹿な強化法があっていいものでしょうか。

ジーコ監督のやり方は、時間がたてば立つほど選手どうしが慣れてきてうまく行くようになる、と私は思っていました。しかしそれはどうやら間違いであったようです。

そこには、合宿単位での「慣れ」はあっても、1年かけても2年かけても「向上」はない。だって、彼らが習得すべきなにものもそこにはないのですから、当然のことです。彼らがすべきなのは、その時その時のすり合わせ、それだけなのです。

そういうわけで、ジーコ監督の次の危機はシンガポール戦になるでしょう。海外組がいつ合流できるか。特に、ヒデが何時?それが最大の焦点になります。もちろん他の選手もなるべく早く合流した方がいいけど、仮にヒデの合流が今回と同じ前前日だったら…ピッチの上にはまた同じことが再現されるでしょう。もちろん、オマーンとシンガポールの戦力差はありますけどね。

ポイントになるのが「クラブで有用な選手は帰してもらえない」というところでしょうか。今回早期召集可能だった選手たちは、実はクラブでは評価されていないということですから、所属チームの方でも発奮しないといけないはずですね。逆にヒデは、移籍したあと急にボローニャで重要な選手になってしまいましたから、直前まで返してもらえないかもしれません。最も重要なピースが、もっとも使いにくい。これは非常に難しいところですね。

仮に1時予選を突破したとしても、アジア最終予選は今回と同じ、とびとびのインターナショナルマッチデーに行なうことになります。そして、その中の、拘束時間の短いフレンドリーマッチデーにも当然行なわれることになるでしょう。そうした場合は、ジーコ監督のチーム作りの特性上、今回とまったく同じ、なにも向上していないチームがピッチの上に出現するわけです。

そしてもうひとつ、ヒデが怪我でも、カードの累積でもピッチ上からいなくなったら?東アジア選手権や2004の親善試合はヒデがいなかったじゃないか、という人もいるでしょう。それはもともとヒデがいないことが全選手にも分かっていた試合です。そうではなく、いると思って無意識に頼っていたら、急にいなくなった…そう言うことはサッカーでは常にあることです。

ジーコ監督は解任するべきです。それは早ければ早いほどいい。こんなことは言いたくない。でもあのサッカーを見て、そして日本代表チームを、あるいはサッカーを愛している人ならだれもがそう思ったはずだと、私は思います。

それではまた。

ふうう。

05:57 PM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21259/43729425

この記事へのトラックバック一覧です: オマーン戦の再現可能性: