消化試合ですから
会社では会議中で見れず、そのまま徹夜(笑)、帰ってきてようやく試合を見ました。結果を知っていたからかもしれませんが「まあ、こんなものでしょう」というところですね。
実戦でコンビネーションを作っていくこのチームが、実戦でほとんど組んだことがない選手たちの組み合わせで戦ったのですから、スムーズに行かなくても当然です。宇都宮さんも、同様の指摘をしていますね。まあ、アジアカップでやっていた3-5-2ならまだましだったかもしれませんが、ここへ来ていきなりスタートから4バックですしね。選手たちも戸惑いが大きかったように見えました。
また、功労者召集の件で妙に注目されましたが、あくまでも消化試合ということで、選手のモチベーションの保ち方も難しいものがあったでしょう。逆に、騒がれたことで、サブの選手たちが「アピールしなきゃ!」と気が入りすぎた可能性もあります。たまにしかアピールの機会がないですからね。
さらには、リーグ戦終盤というのはコンディション的にそうとうきつい時期でもあります。前監督時代も、アジアカップ制覇後、韓国相手にピリッとしない試合をしてしまったことがありましたよね。
もともと私は、ジーコ監督の方針下では、サブ組にとって「現レギュラー組とのコンビネーション」を向上させるのでなければ、「テスト」としての意義もあまりない、と考えていました。だって、今日の試合で藤田と小笠原の、あるいは中田浩二と三浦淳の連携がやや向上したからと言って、それが最終予選で実現する可能性はどれほどあるでしょうか?実現したとして、今日得たコンビネーション(そもそも得られたのかどうか)が、そこに役立つ可能性は?
サブの、あるいは新戦力の「テスト」ならば、現在できているチームとフィットするかどうか、という観点で図られなくてはならないはずです。しかし、今回の試合は諸事情により、そうはならない。ただ個人の能力をどう発揮するか、という部分が大きくなってしまうでしょう。しかも、それを十分に見せるための練習期間(話し合いの時間)もしっかり与えられたわけではない。
今日の収穫と言えば、宮本と松田が、そして鈴木(たぶんレギュラー候補)と大久保がコンビネーションをつくれたことくらいでしょうか。三都主の久々のサイドハーフ起用が、ひさびさに(初めて?)機能したこともありますか。それ以外は、普段サブの選手たちが出場経験を積めたという、そのことだけでしょう。いや、別に現行方針を責めているのではなく(笑)、1次予選の消化試合というのは、「そんなもの」だと私は思う、と言うことです。
試合の方は、序盤はやっぱりシンガポールが妙にラインを上げて、プレスを狙ってきてくれたおかげで裏へのパスが狙いどころになり、よく崩せていたのですが、途中からマークの意識がはっきりしだして、日本は苦しんだ、というところでしょうか。あの「妙にラインを上げる」「妙にゾーンで守る」「意外とプレスを頑張る」というのは、宇都宮さんもレポートされているように、彼らにとって10年後にワールドカップ出場を目指すための、地道な努力なのですね。シンガポールとしては、着実に進歩している自分たちを感じられたことでしょう。国としてのサッカーの「若さ」が感じられて、ちょっとうらやましいです(笑)。
今時間がないので細かいことはまた後日書きますが、あと目立ったのはマツの上がりくらいですか(笑)。しかし、1次予選全勝は文句のない状態ではあります。最終予選へ向けて、いろいろとある課題を一つ一つ解決して行って欲しいですね。
それではまた。
04:53 PM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク | コメント | トラックバック(2)|
November 08, 2004大山鳴動して
本業がてんてこ舞いで、どうにも話題から遅れてしまい申し訳ありません。このタイトルの言い回しも、もうみんな使ってるんだろうなあ・・・・(笑)。
シンガポール戦に向けての代表選手18人が発表になりましたね。ジーコ監督は「これまで控えだった選手の声を聞いて」、いわゆる「功労者」の召集を「しない」という決定をしたと、会見で説明をしています。
これはAFCから届いた「ベストメンバーで戦うように」というレターの影響ではないか、という意見がメディア上をにぎわせているのですが、私にはどうも違和感があります。ジーコ監督がまさに会見で言っているように、選手選考は監督の専権事項、その国の代表監督が自分のチームに選ぼうという選手に対して、何を基準にAFCが「ベストである」「ベストでない」などと判断できるのか、意見を言えるのか、まったく持っておかしな通達だと思います。
したがって私は、仮に若手を試そうと、または海外組を休ませようと、あるいは功労者を呼ぼうと、AFCは何も文句を言わないだろうと考えます。この通達はそういう趣旨のものではない可能性が高い。以前のトルシェ五輪代表監督は、五輪最終予選突破後のタイ戦で、それまでとかなり様変わりしたメンバーをピッチに送り込んでいますね。その時ももちろん何の問題にもなりませんでした。
今回このようなレターが来た背景には、J-KETでボヘミアンさんからご指摘いただいたように、グループ4の香港と中国の関係があるのではないかと思います。こちらの表をご覧ください。
| 順位 |
試合
|
勝点
|
勝
|
分
|
負
|
得失点差
|
|
| 1 | クウェート |
5
|
12
|
4
|
0
|
1
|
8
|
| 2 | 中国 |
5
|
12
|
4
|
0
|
1
|
6
|
| 3 | 香港 |
5
|
6
|
2
|
0
|
3
|
-3
|
| 4 | マレーシア |
5
|
0
|
0
|
0
|
5
|
-11
|
1次予選最終試合 2004.11.17 クウェートvsマレーシア 中国vs香港
ごらんのように、中国とクウェートは勝ち点12で並び、得失点差では2点差でクウェートがリードしていますね。最終戦、クウェートは勝ち点を一つも取れていないマレーシアと戦い、中国は香港と戦うことになります。基本的にはクウェートが有利なのではないかと思われるのですが、ここで浮上するのが、香港は中国と「同胞」関係にある、ということです。
この記事にあるように、すでに2次予選進出の望みのなくなった香港から、何らかの形で中国が大勝し、クウェートから出場権を奪う、という疑いが、今回のメールの背景にはあるのではないか、と思われるのです。香港側からすると、ただ負けるだけではなく、メンバーを落としておけば、余計な指示(点取られて来いとか?)がなくても目的を達成できるかもしれない。AFCはそれを警戒したのではないでしょうか。
日程や強化のことを考えて選手をローテーションするのならともかく、このような疑いのある状況下で選手を入れ替えることは慎むように、ということではないでしょうか?私たちにはそのレターの中身を精密に知ることはできないわけですが、そのレターが日本の功労者召集問題と関係があるようには、どうも私には思えないのです。
やはり会見でジーコ監督自らが言っているように、「これまで控えだった選手の声を聞いて」それを断念したのだと考えるべきでしょうね。いかにもジーコ監督らしい(笑)。これまでのジーコ監督のチーム作りの方法論、体質などから考えると、実に合点がいくことです。合点は行くのですが、さてそれが日本代表の強化にとってどうなのか、ということになると、なんとも疑問が大きいと言わざるをえませんね。
それはさておき、この「大山鳴動してキャプテンの尻尾出ず」(笑)騒動については、もう少し考えてみたいですね。
それではまた。
10:21 PM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク | コメント | トラックバック(1)|
November 05, 2004「魂の継承」なのかどうなのか?
自称評論家のおおやしさんからトラックバックをいただきました。ありがとうございます。
さて、そちらで提起された問題ですが、おおやしさんは「理想型」と「中間型」という風に、物事の批評の仕方をまとめておられます。そして、おおやしさん御自身は「理想型」であり、
だから一歩進んでいいものには「いい」、ダメなものには「ダメ」と言わなければいけないと思います。見守る側が価値基準と批判精神を失っては、そこに発展はない。チームを応援する人は常に高いところを見ていなければならないと思います。サポーターが諦めてどうするんです?
とお考えだとのことです。
私もこれはまったく賛成です。「いいものにはいい、ダメなものには」ダメと言う、いわゆる是々非々の姿勢ですね。私もそうありたいと思うし、基本的にはそれを貫いてきたつもりです。
しかしながら、その中でも、今回の「功労者召集案」は、まだ「ダメなもの」の範疇には入っていないと私には思われる、ということなのです。つまり前回の文章では、「今回の件は(まだ)それほどダメじゃないのではないか」と書いたつもりです。
それ以外の部分でジーコ監督にダメな部分が多々あるのは、私としては指摘済みのつもりなんですね。ただ、これからも継続してそれに対して声を上げていく必要があるということも確かです。おおやしさんがおっしゃるように、サポは諦めてはならない、ですね。
というわけで、ここでおおやしさんの「公式戦を無駄にするな」をベースに、「それほどダメなのか?」をもう一度検証してみたいと思います。おおやしさんは、功労者召集案に「大きな問題点が4つある」とされています。
一つ目は、引退したわけでもない、もしくは代表引退を表明したわけではないのに、こうした「引退試合風」ゲームをやってしまうこと。実際に名前が挙がっている選手にとっては、勝手に幕引きがなされるようで、気分の悪い選手もいるだろう。
これはおっしゃるとおりだと思います。ただ、だからこそ、ジーコが(当該選手に)面と向かって召集の理由を説明するまで、その是非が問われるべきではないのでは?とも思うのです。一部で言われるような、「魂の継承」というような意図がジーコにあり、彼がそれを選手に説明して、選手たちが納得したとしたら、それは「引退試合風」ゲームではなくなりますよね。その点がまだグレーなので、この問題点を厳しく追求するには当たらないのではないかと思うわけです。
2つ目は公式戦をこうしたゲームに使うこと。記念試合は通常の代表活動に影響の無いところで行われるべきだ。シーズンオフ、もしくはリーグ戦の合い間の水曜日あたりにやるべきであり、インターナショナルマッチデーをつぶしてやるような試合ではない。重要なのはシンガポール戦という消化試合がつぶれること以上に、そのゲームの前に確保されている1週間以上の準備期間が無駄になることである。また、公式戦の舞台を若手から奪っての記念試合というのは、出る側も後味が悪いだろう。
準備期間の視点は私も見落としていました。17日のシンガポール戦の前の土日は、少なくともJリーグは休止して、国内組だけで考えれば、試合の前にかなり長い準備期間が取れそうですね。シンガポール戦ではほとんどろくな準備もできない、と私が思っていたことは、確かに訂正の必要があるようです。
そこが公式戦と、親善試合の違いですね。親善試合では通常はこれほどの期間が取れないものです。この準備期間があれば、例えば新戦力を召集したとして、代表になじむ時間はある程度とれそうですね。それが無駄になるのは、いかにももったいないことです。ただこれは、1つめとも3つめとも関係するのですが、ジーコ監督がその合宿こそ、「魂の継承」の場所だと考えている可能性も否定できません。
つまり、「功労者を招集しての試合」を、本当に単純に、彼らを招集してのお祭りとして、彼らに感謝するためだけに行うのか。それとも、そういう機会を設けて、「魂の継承」によって現日本代表を強化する目的があって行うのか。
そこがもっとも大きな点だと思うのです。
もし後者であるのなら、1)功労者たちも喜んで協力してくれるかもしれないし、2)準備期間も無駄にならないだろうし、3)シンガポールにも失礼に当たらないでしょう。日本が、どのような強化策をとろうとも、強化のための策である限りは、他国から文句を言われる筋合いはないように思います。
4つ目は、控え選手から出てくるであろう不満の声だ。
これについては前回も書きましたが、海外組を原則召集しない中では、これまでの控え組みはおそらく召集され、功労者の招集があったとしても、組み合わさってピッチに立つこともできるでしょう。
以上のように、1~3の問題点は、ジーコ監督の意図が「おまつり」にはなく、「強化」にあった場合には、それほど問題ではなくなると思うのです。確かに「フェスタ」という発言はありましたが、私はこういう一部の言葉を切り取って取り上げたスポーツ紙の記事はあまり信用していません(笑)ので、まだ「ジーコが強化のためにこの召集案を考えた」という可能性も捨てきれないと思っています。したがって「現時点では」騒ぐにはあたらない、と思うのです。
もちろん、ジーコが強化のことを考えていなく、本当に浮かれた、ただのお祭りのために功労者召集案を言い出しているのなら、私もそれはおかしいと思います。断固として反対です。しかし、そうではない可能性もある。よって、その真意がわかるまでは静観しておこう、というのが現在の私のスタンスなのです。
私も「ダメなものはダメと言う」姿勢に大いに賛成です。そして、これからもその姿勢で行くために、「ダメかどうかまだわからないものには、ダメと言わない」という考えでやっていこうと私は思っています。もちろん、この点は人それぞれでいいのですが。
有意義な問題提起ありがとうございました>おおやしさん。
今日いよいよ発表ですね。どのような召集があるのか、またそれに対するジーコの意図の説明はどのようになるのか。いろいろな意味で注目ですね。
それではまた。
12:46 PM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク | コメント | トラックバック(4)|
October 15, 2004「現実的」な勝利
何か妙なことになって来ていますが…。
私は個人的には功労者にはいくら酬いてもいいと思っている方ですが、なんとなく今回の件には違和感を感じますね。もし功労者に酬いるという主旨なら、それ専用の試合を組んで、vsアジアオールスターズとかにしたほうが良いのではないでしょうか?それにしても当人たちが引退を表明した後のことでしょうけどね。
まあそれはそれとして、オマーン戦はまったく問題のない勝利でしたね。
まさに、アジアカップの再現のような試合といえますね。アジアカップの優勝の原動力であった、カバーを重視した守備、セットプレー、個人能力、そして落ち着き、がやはり多くを決しました(今回はセットプレーは不発でしたが)。
特に、日本の合宿でも練習していたという、守備を重視したゲームプランは功を奏していたようで、前半はボールをオマーンに支配されても、日本の選手は慌てないで済みましたね。それに参加していなかった高原は結構困っていたようでしたが。
この辺が、2月のオマーン戦、アウェーのシンガポール戦との大きな違いでしょう。2月の試合では、さまざまな理由により苦戦しましたが、その苦戦に対し「こんなはずじゃない」「もっと出来るはずだ」「なぜこんなことに・・・」などと選手たちが(おそらく)考えてしまっていたことが、一つの問題だったのではないでしょうか。それによって、時間が経つにつれ、チームは自分たちで自分たちを追い詰めてしまっていたわけです。
欧州遠征、アジアカップと、ジーコと共に過ごすうちに、選手たちは「そういうことじゃないんだ」「最後に勝てばいいんだ」ということを体得して行ったようです。アジアカップにおいて多くのアジアの国から押された試合展開となったことがもっとも大きいでしょうが、同時に、それがジーコの哲学だ、ということも影響しているでしょうね。
ただ、守備的布陣を練習していたジーコですが、それでもあそこまで押されるのは想定外だったようですね。確かにバイタルエリアを空け渡してミドルを打たれても、オマーンのシュート精度が低いので大丈夫ではあります。しかし、日本のシュートは前半は敵のミスを高原がさらった1本だけじゃなかったですか?ハーフタイムには「もっと前から勝負して行こう」と指示があったようです。
それもあって、後半開始から日本は前に出て、小野の素早いリスタートから俊輔の走り込み、すばらしい2段フェイントから鈴木の豪快なゴール!オマーンは日本のこのシフトチェンジに対応できませんでしたね。
気落ちしたオマーンに対し、日本は心憎いまでの落ち着きを見せます。ボールを奪っても、早く前線へ送らない。ゆっくりとしたボールポゼッションで、じわり、じわりと陣地を回復していく。ジーコ監督のサッカーは「フォーリングバック+ポゼッションサッカー」だと以前J-NETで議論したことがありましたが、ここに来てようやくそれが真剣勝負で見えて来ました。まあ、「引き分けでも通過」という試合だからそれがさらに有効に機能した、という部分はありますけどね。
この「相手をいなす」ボールポゼッションができていたところが、この試合の内容がオマーンとの3試合で一番よかったと私が思ったところです。世間ではこの内容に不満な人もいるでしょうし、2次予選、W杯本大会ではミドルシュートの精度はもっと高いです。この守備でおさえ切れるかどうか?という疑問はありますね。まあそれは2次予選までの課題としましょう。
この試合で私は小野の危険なポイントを読む力、宮本の統率と、中澤の、アジアレベルを越えたすばらしい守備能力に感銘を受けました。また、中村選手もボールを奪われなくなったし、必要な時にはシンプルにはたいてリズムをつくることもできていた。すごくいいプレーでしたね。後半はいいポジションをとって、DFが跳ね返したこぼれだまを、ことごとく中村か小野が拾うという状況も作れていました。
総じて、「現状の(組織力も含めた)戦力で、1次予選を突破するには最適のやり方」ができたことは確かです。「現実的」なたたかいとはそういうことでしょう。2次予選はよりレベルの高い相手との戦いになりますが、アジアカップで優勝できたように、このやり方でもW杯にたどりつくことはできると思います。あとは、本大会でどのようなものを目指すのか、ということになるでしょうか。それは、またいろいろと落ちついたら考えましょう。
それではまた。
06:58 PM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク | コメント | トラックバック(0)|
October 14, 2004一安心
やりましたね!
あんまりにもほっとしたので、力が抜けました(笑)。細かいことはまた後日に書きたいと思います。
しかし、今日の日本は強かったですね。オマーンとの3試合の中で一番内容もよかったのじゃないかな。私は個人的に、小野の守備に感銘を受けました。
いやあ、なにはともあれよかったですね。
それではまた。
03:51 AM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク | コメント | トラックバック(3)|
October 11, 2004さあオマーン戦!
いよいよオマーン戦が近づいてきましたね。
このBLOGでアジアカップの総括がすまないうちにこの日が来てしまったのが申し訳ないのですが、基本的には私は悲観してはいません。「引き分け以上で1次予選突破」ですから。ここへ来ていろいろな不安材料が取りざたされていますが、今の日本には、オマーン相手に引き分ける力は十分以上にあると思いますよ。
ユースに苦戦したのも、メンバーがそろわなかったり、試合直前でフィジカルを追い込んでいたりする時期だからでしょう。一日出発が遅れ、直前の現地入りになりましたが、「気候順応は3日前が一番きつい」と湯浅さんはおっしゃっていますし、「ぱっと現地入りして、現地の悪影響を受ける前に試合をしてしまう」というインド戦方式に、むしろ近くなったとも言えます。
故障者だけがやや気がかりですが、報道を見る限り「本番で試合できない」ほどの選手はいないようですし、藤田や本山らのサブも好調な様子です。アジアカップでも苦しい中、戦い抜いた選手たちですから、心配するには当たらないでしょう。
そして、悲観しすぎるには当たらない理由は、やはりアジアカップでの日本代表の姿があるからです。あの時と同じような試合展開になるかもしれませんが、それでも何とか勝ってしまう力を今の日本代表は持っています。アジアカップの優勝の原動力になったのは、カバーを重視した守備、セットプレー、個人能力、そして落ち着き、だと私は考えているのですが、それは現在でも失われていないでしょう。
カバーを重視した守備は、「自分の前でものごとがおこっていて欲しい」というDFの本能に近い形でプレーをすることができ、基本的には安定させやすい守備です。問題は、引きすぎた時にさらにボランチが引きずり出されてバイタルエリアを空けられ、そこを利用されてしまうことがある点。また、サイドを攻められへCBが一人出ていった時、ペナルティエリア内のファーサイドのケアをアウトサイドの選手(三都主か加地)がしなくてはならない点。これまでの失点はそれらによるものが多いですね。ただ、これにさえ気をつければ、FWの決定力が高くないオマーンのこと。日本が2点以上取られることは考えにくいですね。
セットプレーは、アジアカップを通して日本の強力な武器になりました。主に中村の左足からでしたが、他にもアジアカップでは遠藤や三都主が蹴ったりしていましたし、今回は小野もいます。勝負のかかった拮抗した試合では、しばしばセットプレーが勝敗を分けるものです。今回もこれが日本の頼みになるでしょう。
そして「落ち着き」です。2月のオマーン戦やシンガポール戦には見られた「攻め急ぎ」や「焦り」が、アジアカップから消えてきているように思います。それは宮本が言うような「アウェー・アドバンテージ」が現実化したものでしょう。「こんな環境なら“いいサッカー”ができなくても仕方がない」「悪い内容でも焦らないようにしよう」「最後に勝っていればいいんだよ」このような感覚が、アジアカップを通して次第に成長していったように見えました。これは、「引き分け以上で1次予選突破」である日本にとって、なかなかよい状態であると思います。
そして、アジアカップからのプラスオンもありますね。小野、久保、の復帰です。思えばオマーンは、2月の予選でも、小野とは出会っていないわけで、中盤でためを作れる小野、そして、途中出場だったインド戦でもそのポテンシャルを十分に見せていた久保の存在は、今のチームにとって非常に大きな武器になるでしょうね。小野のパスと、動き出しのよい久保の組み合わせも、相性がとてもよいですしね。
そして最後に、今回もFixed dates for Official Competition matches(公式試合用Aマッチデー)であり、「時間が取れる」ことも最も大きなファクターの一つであろうと思います。私の常々の持論なのですが、「選手が話し合いながらサッカーを作る」ジーコジャパンでは、その話し合いに参加していなかった選手(または久しぶりの選手)が入ってくると、チームを機能させることがなかなか難しいのではないか、ということです。今回はそうではない。話し合う時間が十分に取れますし、もともとアジアカップで培ったベースもあります。
以上のようなことから私は、2月のオマーン戦、アジアカップでのオマーン戦のような内容にはならないだろうと考えますし、なったとしても、最後には勝てるだろうと思います。とはいえ、一抹の不安もありますから、10月13日はしっかりと応援したいですね。今からモニター前にブルーのユニフォームを置いておきます。
ガンバレガンバレ、ジーコジャパン!
それではまた。
10:41 PM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク | コメント | トラックバック(2)|
September 09, 2004コルカタでの勝利
やりましたね!これでアジア1次予選突破が大きく近づきました。選手、監督、関係者の皆さんお疲れさまでした。
4-0は大きいですね。
オマーン戦引き分け以上でオッケーになりました。これは有利です。オマーンはシンガポールに2-0で、アウェーとは言え、アジアカップで見せたような破壊力は見せることができていないようですしね。
日本は、アジアカップでの勝利の原動力となった、個人能力、セットプレー、カバーを重視した守備、そして落ち着き、といったあたりが、この試合でも有効に機能しましたね(まあ、カバーを重視した守備が必要になったのは数えるほどでしたが)。個人能力ではやはりインドを圧倒していましたし、引いた敵から得点するにはやはりセットプレーが重要になってきます。
ただ、日本の前半は、得点できないことでちょっと落ち着きを失っていたでしょうか?次第にミスも増えていったような印象もあります。10万人のアウェーの雰囲気や、スタジアムそのほかの環境、粘土質のピッチの滑りやすさなどもあるでしょうが、ひとつの大きな原因は「ゲームプランのたて違い」ではないか、と私は思います。
前半の日本は、DFラインからロングボールをサイドへ振る、前方のFWの頭めがけて送る、サイドからはアーリークロスで、などという「省エネ、パワープレイ」を、「フィジカルで勝てる敵を相手にしての、効率よく得点するための手段」として、選択していたように思いました。
それが逆効果で、(前半は)すばらしく集中して体を張ったインドのディフェンスにてこずった、というところででしょう。小野の枠に行っているダイレクトのミドルシュートがインドDFに阻まれること。インドDFのボールから目を放さない集中力はすごかったですね(前半は)。イギリス人のスティーブン・コンスタンチン監督は、環境のよくないなかで、なかなか頑張った仕事をしていましたようです(余談ですが、このインタビューかなり面白いです)。
後半は、たぶん「もっとつないで行け」という指示が出たのではないでしょうか?前半とはかなり変わって、ショートパスの連鎖が出てきました。こうなると、本山の良さも生きていきますね。チームとしても、ゴール近くでのファウルを得たり(→小野のFK)、ペナルティエリア前にポイントを作って崩してフリーを作って得点(福西)などというシーンが増えてきたのは、このようにシフトチェンジしたことによるものではないかと思います。
ところで、「前回は直前合流でよくなかった。今回は反省し日本合宿から欧州組を呼んだ」という記事ですが、これはちょっと微妙ですね(笑)。というのは、いくら反省してもできる時とできない時があるからです。
ちょっと復習しておきましょう。今回のアジア予選はFIFAの定める「国際Aマッチデー」にとびとびに行われます。実は「国際Aマッチデー」には2種類あって、
オマーン戦やシンガポール戦は、Fixed dates for Friendly matches(親善試合用Aマッチデー)
今回のインド戦は、Fixed dates for Official Competition matches(公式試合用Aマッチデー)
なんですね。前者は試合の2日前からしか選手の拘束ができず、そのために海外組みの直前合流という事態になったわけです。今回は、公式試合用ですから、9月4日、5日もリーグ戦が休みで、そのために早く合流することができたのです。「反省したから早く呼んだ」というよりは、このレギュレーションの違いで早く「呼べた」という方が正しいでしょう。
次回のオマーン戦も、Fixed dates for Official Competition matchesです。今回と同じように準備を整えて迎えることができます。ゆるんではいけないけれども、心配しすぎることなく、試合を迎えられますね。
来年の最終予選では、また直前合流しかできない「親善試合用Aマッチデー」に試合をしなければならなくなる可能性が高い。そういう時のために、チーム・マネージメントが重要になってくるわけです。今年のはじめに問題になったのはその部分で、時間の取れている今はあまり表面化しないのですが、来年へ向けては向上しておいて欲しいところです。
いずれにしても、今日の結果はよかったですね。ところで、今日行われたU-17の方は、残念な結果に終わったようですが、最後にいい試合をして見せてくれたとのことなので、深夜の録画放送で彼らの戦いぶりを見届けたいと思います。
それではまた。
(アジアカップ総括や、五輪総括は、遅くなっておりますがまだ続けますので・笑)
追記:台風18号はすさまじい風でしたね。被害にあわれた方には心からお見舞い申し上げます。
01:11 AM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク | コメント | トラックバック(3)|
June 10, 20041次予選ですね
やりましたね!7-0の快勝、久しぶりに見ていて安心できる1次予選らしいゲームでした。
と思ったら、裏ではオマーンがシンガポールにやはり7-0で勝ってるんですね。申し合わせたかのような点差・・・。TV中継中にアナウンサーが「この後の試合でオマーンが10点差をつけて勝つことも、オマーンの実力を考えるとありえるから、日本ももっと大量得点を」と言っていた時には、「それは視聴者を煽るためとはいえ、言いすぎだろう(笑)」と思っていたのですが、近いところまで行ってしまいましたね。
これで、得失点差は日本が9、オマーンが10と、また上回られてしまいました。グループ3は、日本とオマーンの2強と言う図がはっきりとしてきましたね。ますます加茂さんのときの1次予選と似てきました。ちなみに当時のスコアは、
オマーンラウンド
日本 1―0 オマーン
日本 10―0 マカオ
日本 6―0 ネパール
日本ラウンド
日本 10―0 マカオ
日本 3―0 ネパール
日本 1―1 オマーン
やはりオマーンにだけ苦戦しています。当時から見ると日本ももちろん成長していますが、オマーンもずいぶんと強くなっているようで、この一騎打ちに勝たないと上にあがれないわけです。
今回の予選のレギュレーションは、
2チーム以上が勝ち点で並んだ場合は
1)当該チーム間の勝ち点数
2)同得失点差
3)同総得点
4)全試合の得失点差
5)総得点
6)中立地でのプレーオフにより上位チームを決める。
ということになっているようですので、万が一日本がアウェーでオマーンに1点差で敗れた場合、1)2)3)がすべて同じとなるために、4)の得失点差勝負になるのですね。その時のためには、やはり得失点で上回っておきたいところでしたが・・・(引き分け以上の場合は日本が勝ちあがり、2点差で負けた場合はオマーンが勝ちあがりです)。
とは言え、試合自体は7-0ですから、今回の試合にこれ以上を望むのは酷というものでしょう。
試合自体は、チームの実力差どおりの結果が出たというところでしょうか。しかし、1点目の三都主のアーリークロス気味のパスをシュートした久保のアクロバティックさはどうでしょう!ジャンプしながら、妙な体勢でクロスに足を合わせるだけ。それが見事にコントロールされたシュートとなって、キーパーの横をまっすぐに抜いていく。ちょっとすごいですね。少林サッカーかと思いましたよ(笑)。
2点目のアシストも久保ですが、このカタチは引いた相手とか、組織されたディフェンスから点をとる時に有効なものの一つであると思います。中村選手の精度の高い、サイドチェンジ気味のアーリークロスを、ファーの選手が折り返して、飛び込んできた2列目の選手が(今回は福西でしたが)シュートする。先日のイングランド戦で、開始早々ベッカムのクロスをオーウェンが折り返したものも狙いは同じでしょう。前代表でも、例えばアジアカップサウジ戦の1点目などがそうですね。
これだと、1回目の前をボールが横切ることになるため、DFやキーパーがボールを見てしまい反応が遅れやすいのですね。せっかく中村選手がいるのだから、これは得意な一つの形として磨いていって欲しいものだと思います。
中村選手のフリーキックで3点目。後半は敵がかなり押し上げてきたために、ラインの裏が空き、そこを玉田がドリブルで突き4点目。セットプレーから中澤が2得点。早いサイドへの展開から、加地の絶妙のパスがペナルティエリアに入り込んでいた小笠原に渡って得点。
私は後半から4バックにして欲しいと思っておりまして、その通りになったのですが、どうも選手の動きが重いような・・・。アイスランド戦後半や、シンガポール戦前半の方が、人もボールも良く動いていたような印象があります。インド戦では、一人一人がボールを持って考える時間が妙に長かった。まあ攻め急ぐような状態ではなかったのだというのも正しいのですが、シドニー五輪1次予選での小野の怪我を考えると、気をつけて欲しいと思わずにいられません。
もちろん7点取っているのだから不満を言っている場合ではありません。ただ、その多くの点が個人能力のごり押しである点が気になるといえばなりますね。思い起こせばオマーン戦、高原がマーカーを背中で吹っ飛ばしてペナルティエリア内でフリーになった(シュートはキーパーの正面をついてしまいましたが)シーンがあったように、個人能力に差がある場合には、そこを生かした戦い方をするのは、その試合に勝つことを考えれば理にかなっています。オマーン戦、シンガポール戦も、もう少しそうすればよかったのに、と私は思っていました。
しかし、今後インドよりもマークがしっかりし、個人能力が高い敵が引いてきた場合、やはり個人の能力で押すだけでは勝ちきれない場合が出てくるでしょう。そういう時のためには、しっかりと崩す形も今後はもっと欲しいですね。その意味では中村選手に、よりいっそうの覚醒を求めたいところでしょうか。フリーキック以外でも、もっともっとできるはず。そして、彼を含めた日本の攻撃の連携を高めることが、アジアカップで勝ち上がっていくには絶対に必要でしょう。アジアカップはまた「時間の取れる」中での戦いとなります。よい結果を期待したいですね。
そうそう、皆さん見どころは中村キャプテン事件だったと思われますか?私は「鈴木ルーレット」が気になりました。ただそのすぐ後ファウルを受けているところが鈴木らしいのですが(笑)。
それではまた。
10:14 AM [ジーコジャパン・1次予選] | 固定リンク | コメント | トラックバック(6)|